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番外編ー3 黒川の誤算
02
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約束の前日に実家に帰った。
当日十二時半に聡史に電話する。ここからお芝居の始まりだ。
聡史の出した条件は…
デートは三時間。
二人きりにならない。車の中は仕方ないとお許しが出た。
接触しない。手なんか繋がないさ!…と言ったら、肩を叩くのもダメなんだそうだ。
最初、一時間とか言うんだ。そんなの短すぎる。そしたら、三十分でもいいんだぞって…さっきより短くなってるし…。絶対約束は守るからと三時間にしてもらった。
「よろしく」
『……ああ、わかった』
余計なことは言わない。今頃、仕事が入ったから、ちょっと会社行ってくると佐々城に言ってるはずだ。
行ってらっしゃいと送り出すことは出来ないと言うから小芝居をした。俺もそのつもりで先に佐々城に連絡したんだけどな。
一時にマンションの前で出てくるのを待つ。結構いいとこ住んでるんだな。そか、二人で払うんならいけるか。
エントランスからマフラーを直しながら佐々城が出て来た。
見たことない笑顔だ。セーラー服姿より可愛さはないけど、綺麗になった。
そのセーラー服姿も六年前に一瞬見ただけだから記憶の片隅にあるけど、衝撃だったから覚えてる。
眼鏡もおしゃれなものに変わってる。聡史の趣味なのか?コンタクトにしたらいいのに。
「黒川君、久しぶり。聡史は突然電話があって仕事に出かけちゃったんだ。ごめんね」
知ってるよ。
俺が電話したんだ。
佐々城は相変わらずマフラーを直しながら俺に笑顔で話しかける。
「どこ行くんだった?」
「ああ、えっと…マフラーしてやろうか?」
びっくりした。
自分が発した言葉と佐々城の表情に。
なんで男のマフラー直してやんないといけねぇの、俺?
佐々城、なんだよその嬉しそうな顔。なんか勘違いしそうになる。
「ううん、大丈夫」
「それ、珍しいな?グレーのモノトーンなんて大学の時には持ってなかったよな?趣味変わった?」
「うん…」
マフラーをぎゅっと握り、ちょっと上目遣いで似合わないかな?なんて聞かれたら…なんか、なんかさ。
可愛い。
「いや…佐々城にはもうちょっと明るい色の方が合うと思うけどな」
「そうかな…でも、今日はこれで…」
車を走らせ近くの観光スポットへ行く。ロープウエーに乗り山頂に登ると、もう紅葉の季節も終わり人は疎らだった。
地元なら一度は学校や家族で来たことはあるだろう有名な場所だ。
一緒に来たことはないけど、ロープウエーを使わず登った時はどうだったとか、台風で登れなかったとか、そんなありふれた会話をした。
でも俺はドキドキだった。
なんだよ佐々城…。
なんでこんなに違うんだ。やっぱり俺、すっげー失敗したのか?
佐々城はマフラーが気になるのか度々直したり、首元に手を持っていく。
その度に嬉しそうな顔をするんだ。
そう言えば、大学の時も一瞬だけそんな顔をする時があった。
実家に帰って聡史に会ったと何気ない会話の時、ふと笑顔になる時があった。『あれ?』最初は何喋ったかわからなかった。
そして、聡史の名前を出すとそんな顔をするんだと三年も終わり頃に理解した。
なんだよ今でもしっかり聡史の事が好きなんじゃないのか?聡史は振られるとか言ってたけどどうなのこれ?…なんて思ったっけ。
まあ、人の色恋沙汰に首は突っ込まない。…ちょっとだけ関わったけど、口は出さない。それに男同士のあれこれは俺にはわからない。
当日十二時半に聡史に電話する。ここからお芝居の始まりだ。
聡史の出した条件は…
デートは三時間。
二人きりにならない。車の中は仕方ないとお許しが出た。
接触しない。手なんか繋がないさ!…と言ったら、肩を叩くのもダメなんだそうだ。
最初、一時間とか言うんだ。そんなの短すぎる。そしたら、三十分でもいいんだぞって…さっきより短くなってるし…。絶対約束は守るからと三時間にしてもらった。
「よろしく」
『……ああ、わかった』
余計なことは言わない。今頃、仕事が入ったから、ちょっと会社行ってくると佐々城に言ってるはずだ。
行ってらっしゃいと送り出すことは出来ないと言うから小芝居をした。俺もそのつもりで先に佐々城に連絡したんだけどな。
一時にマンションの前で出てくるのを待つ。結構いいとこ住んでるんだな。そか、二人で払うんならいけるか。
エントランスからマフラーを直しながら佐々城が出て来た。
見たことない笑顔だ。セーラー服姿より可愛さはないけど、綺麗になった。
そのセーラー服姿も六年前に一瞬見ただけだから記憶の片隅にあるけど、衝撃だったから覚えてる。
眼鏡もおしゃれなものに変わってる。聡史の趣味なのか?コンタクトにしたらいいのに。
「黒川君、久しぶり。聡史は突然電話があって仕事に出かけちゃったんだ。ごめんね」
知ってるよ。
俺が電話したんだ。
佐々城は相変わらずマフラーを直しながら俺に笑顔で話しかける。
「どこ行くんだった?」
「ああ、えっと…マフラーしてやろうか?」
びっくりした。
自分が発した言葉と佐々城の表情に。
なんで男のマフラー直してやんないといけねぇの、俺?
佐々城、なんだよその嬉しそうな顔。なんか勘違いしそうになる。
「ううん、大丈夫」
「それ、珍しいな?グレーのモノトーンなんて大学の時には持ってなかったよな?趣味変わった?」
「うん…」
マフラーをぎゅっと握り、ちょっと上目遣いで似合わないかな?なんて聞かれたら…なんか、なんかさ。
可愛い。
「いや…佐々城にはもうちょっと明るい色の方が合うと思うけどな」
「そうかな…でも、今日はこれで…」
車を走らせ近くの観光スポットへ行く。ロープウエーに乗り山頂に登ると、もう紅葉の季節も終わり人は疎らだった。
地元なら一度は学校や家族で来たことはあるだろう有名な場所だ。
一緒に来たことはないけど、ロープウエーを使わず登った時はどうだったとか、台風で登れなかったとか、そんなありふれた会話をした。
でも俺はドキドキだった。
なんだよ佐々城…。
なんでこんなに違うんだ。やっぱり俺、すっげー失敗したのか?
佐々城はマフラーが気になるのか度々直したり、首元に手を持っていく。
その度に嬉しそうな顔をするんだ。
そう言えば、大学の時も一瞬だけそんな顔をする時があった。
実家に帰って聡史に会ったと何気ない会話の時、ふと笑顔になる時があった。『あれ?』最初は何喋ったかわからなかった。
そして、聡史の名前を出すとそんな顔をするんだと三年も終わり頃に理解した。
なんだよ今でもしっかり聡史の事が好きなんじゃないのか?聡史は振られるとか言ってたけどどうなのこれ?…なんて思ったっけ。
まあ、人の色恋沙汰に首は突っ込まない。…ちょっとだけ関わったけど、口は出さない。それに男同士のあれこれは俺にはわからない。
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