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番外編ー5 篤紀の酔っ払い記念日
01
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篤紀の笑顔は俺だけのものだから!
◇◇◇◇◇
大学の先輩たちとフットサルのクラブで今も身体を動かしている。
卒業して一年はそれどころじゃなかったから、行ったり行かなかったり。松本や岸井から何か聞いてるのか先輩たちも何も言わなかった。同じ大学じゃなくても友だちの紹介で入ってくる奴もいる愉快な集まりだ。
今日も練習があった。
松本と岸井も一緒だ。
篤紀はベンチで見てる。
昼からの練習だけど朝からマンションを出た。
昨日の金曜日、朝食を食べ終わった時だった。
「お弁当作ってさ…」
「うん?」
いきなりだったから篤紀が何を言いたいのか想像つかなかった。いつも練習を見に来てくれる。見てるだけで、退屈なんじゃないかと心配してた。
「僕、高校の時は遠くからしか見られなかったから…近くで見られて嬉しい」
いつもボール追ってるの見てたよな。
知ってるよ。
心配なんかしなくても良かったのか。こんなふうに素直に自分の気持ちを俺に向けてくれるようになった。
嬉しい。
嬉しいけど、ヤバイ。
素直になった篤紀は凶器だ。
俺以外にそんな素直な笑顔を見せないで欲しいよ。
黒川なんか大学の四年間は『暗い奴』って思ってたってさ。それなのにたった三時間で『俺、何見てたんだろな…』って項垂れてた。
篤紀は暗いんじゃなくて、おとなしいんだ。
意思も強い。
強すぎて、俺に内緒で大学を決めてしまった。もっと早く…いや、こうして抱きしめることができるんだ。もう昔のことは言わないでおこう。
食卓テーブルの椅子に並んで座り手を繋ぐ。今から出勤だから抱きしめたりしたら、止められなくなる。
「何?」
「明日、昼からだよね?」
「そうだな…嫌?」
何か用事でも出来たのか?
「違うよ。お弁当持って行ってさ…一緒に食べたいなって…」
えっ?何それ。
「作ってくれるのか?」
「うん」
「俺も手伝うよ。一緒に作ろ」
お弁当って言えば鶏の唐揚げだよな。野菜の肉巻きは人参といんげんを巻いたら切り口がきれいだ。それと昨日の晩御飯のおかずのハンバーグ。
「母さんはいつも前日のおかずを入れてたんだ」
俺ん家もそうだよ。でも、篤紀はそのままじゃなかった。同じタネを小さく丸めて揚げてから、ケチャップベースのソースを絡める。出汁巻玉子とブロッコリーにミニトマト。サニーレタスで仕切り、彩り鮮やかに弁当箱に入った。
二人で弁当持って出かけたことなかったから、俺のテンションは上がりっぱなし。
どこで食べよっか?
お花見のごちゃごちゃしたところは行きたくない。静かな所が良いな。
今日の練習はフットサルのレンタルコート。レンタル料が高いから、参加人数が集まらないとなかなか借りられない。練習場所は探すのが大変。その日により違う。
そのコートの近くに公園がある。
「そこの公園で良い?」
「うん。楽しみ」
抱きついて俺の首にキスをする。
そんなことしたら出かけられなくなるよ?未練を断ち切るように一度強く抱きしめ返した。
キスも忘れない。
触れるだけのキスは出かける時のお約束。
「行こっか?」
車は篤紀が越して来た時に一台にした。篤紀の車で俺が運転する。
助手席にちょこんと座り、きっちりシートベルトを締めて。
「お願いします」って必ず言うんだ。着いたら「運転お疲れ様。ありがとう」って。
全然疲れないよ。
その言葉だけで何時間でも運転できるよ。車の中は二人だけ。車外から見えないところで手を繋ぐ。
遠出した時なんか田舎道の信号で止まった時、誰も周りにいないのを確認して「篤紀」って呼ぶと顔をこちらに向けてくれる。
チュッとキスをする。
恥ずかしそうにしてるけど、キスしやすいように身体を運転席に…自分から寄せてくれる。
俺だけがキスしたい訳じゃない。篤紀も…そう思うと顔がニヤける。
◇◇◇◇◇
大学の先輩たちとフットサルのクラブで今も身体を動かしている。
卒業して一年はそれどころじゃなかったから、行ったり行かなかったり。松本や岸井から何か聞いてるのか先輩たちも何も言わなかった。同じ大学じゃなくても友だちの紹介で入ってくる奴もいる愉快な集まりだ。
今日も練習があった。
松本と岸井も一緒だ。
篤紀はベンチで見てる。
昼からの練習だけど朝からマンションを出た。
昨日の金曜日、朝食を食べ終わった時だった。
「お弁当作ってさ…」
「うん?」
いきなりだったから篤紀が何を言いたいのか想像つかなかった。いつも練習を見に来てくれる。見てるだけで、退屈なんじゃないかと心配してた。
「僕、高校の時は遠くからしか見られなかったから…近くで見られて嬉しい」
いつもボール追ってるの見てたよな。
知ってるよ。
心配なんかしなくても良かったのか。こんなふうに素直に自分の気持ちを俺に向けてくれるようになった。
嬉しい。
嬉しいけど、ヤバイ。
素直になった篤紀は凶器だ。
俺以外にそんな素直な笑顔を見せないで欲しいよ。
黒川なんか大学の四年間は『暗い奴』って思ってたってさ。それなのにたった三時間で『俺、何見てたんだろな…』って項垂れてた。
篤紀は暗いんじゃなくて、おとなしいんだ。
意思も強い。
強すぎて、俺に内緒で大学を決めてしまった。もっと早く…いや、こうして抱きしめることができるんだ。もう昔のことは言わないでおこう。
食卓テーブルの椅子に並んで座り手を繋ぐ。今から出勤だから抱きしめたりしたら、止められなくなる。
「何?」
「明日、昼からだよね?」
「そうだな…嫌?」
何か用事でも出来たのか?
「違うよ。お弁当持って行ってさ…一緒に食べたいなって…」
えっ?何それ。
「作ってくれるのか?」
「うん」
「俺も手伝うよ。一緒に作ろ」
お弁当って言えば鶏の唐揚げだよな。野菜の肉巻きは人参といんげんを巻いたら切り口がきれいだ。それと昨日の晩御飯のおかずのハンバーグ。
「母さんはいつも前日のおかずを入れてたんだ」
俺ん家もそうだよ。でも、篤紀はそのままじゃなかった。同じタネを小さく丸めて揚げてから、ケチャップベースのソースを絡める。出汁巻玉子とブロッコリーにミニトマト。サニーレタスで仕切り、彩り鮮やかに弁当箱に入った。
二人で弁当持って出かけたことなかったから、俺のテンションは上がりっぱなし。
どこで食べよっか?
お花見のごちゃごちゃしたところは行きたくない。静かな所が良いな。
今日の練習はフットサルのレンタルコート。レンタル料が高いから、参加人数が集まらないとなかなか借りられない。練習場所は探すのが大変。その日により違う。
そのコートの近くに公園がある。
「そこの公園で良い?」
「うん。楽しみ」
抱きついて俺の首にキスをする。
そんなことしたら出かけられなくなるよ?未練を断ち切るように一度強く抱きしめ返した。
キスも忘れない。
触れるだけのキスは出かける時のお約束。
「行こっか?」
車は篤紀が越して来た時に一台にした。篤紀の車で俺が運転する。
助手席にちょこんと座り、きっちりシートベルトを締めて。
「お願いします」って必ず言うんだ。着いたら「運転お疲れ様。ありがとう」って。
全然疲れないよ。
その言葉だけで何時間でも運転できるよ。車の中は二人だけ。車外から見えないところで手を繋ぐ。
遠出した時なんか田舎道の信号で止まった時、誰も周りにいないのを確認して「篤紀」って呼ぶと顔をこちらに向けてくれる。
チュッとキスをする。
恥ずかしそうにしてるけど、キスしやすいように身体を運転席に…自分から寄せてくれる。
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