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幸せだった日々
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お互いの熱を擦り合わせキスをしながらイクのがその頃の行為だった。
「ここじゃ、これ以上は無理だな」
「ど、どうして?」
身体が目当てだと言われたわけじゃない。こんな貧相な細い身体に、欲情してくれてるのも知っている。でも、その先に進めないのはやはり男では無理ということか?
「そんな泣きそうな顔しないで。ほら、両親は下で働いてるし、ここ鍵付いてないからさ。今までもドキドキだったけど、ちょっと無理でしょ。それに、風呂場は一階だし…」
「じゃ、じゃあ、僕ん家来る?」
「行って良いの?」
「狭いよ?ご飯も大したもの出せないし」
「そんなの全然平気」
「実は気になってたんだ」
「何が?」
「だって、こんなに頻繁にお邪魔して、お父さんとお母さんは何て思ってるんだろうって」
急に仲良くなったとしても、友だちとしては会いすぎじゃないかな。
「えっと…」
「な、に?」
珍しくモジモジと言いにくそうにする。
「言っちゃった」
「何を?誰に?」
「だから、彼氏だって、両親に」
「ええっ!?」
「だって、どうゆうお友だちって聞かれて、こんなに毎日会いたい友だちを、恋人以外の言葉で表現できなかった。恥ずかしいけど、一目惚れなんだ。睦己が俺の事見てたのわかったのは、俺も見てたから。最初はヨシの事見てるのかと思ったけど、違うみたいだし、誰かに取られる前に自分のものにしたかったから…。だから、家に来てくれるなら、両親にもちゃんと言っておきたかった」
「反対は…?」
態度が変わったことはない。いつの時点で告白したのかは知らないけど、初めて会った時から、今日も変わらず接してくれていた。
「反対なんかしない。お客さんにいるんだ、男同士で付き合ってる人。だから、大丈夫だと思って」
でも、他人と息子とは違うはず。客なら店に来た時だけ相手にすれば良いけれど、息子の恋人が男なんて嫌じゃないのだろうか?
「睦己の事は気に入ってるし、嫌な顔しなかったよ?」
ぎゅっと抱きしめて、動揺する僕を落ち着けるように髪を撫でる。もともとオープンな家族なのだろう。今までの彼女もちゃんと紹介してきたのだろう。僕もその中の一人。深刻に考えちゃダメだ。
土曜の夕方は、学校から直接僕の家に来るようになった。
直輝がシャワーを浴びて、僕の用意したささやかな料理を二人でつつく。いつも美味しい料理を食べている直輝に申し訳ないけど、プロに敵うわけない。一人だと面倒で作ってなかったけど、小さな頃から自分の分は自分で用意する生活だったから、何もできないわけじゃない。
「美味しいよ。いつも、ありがとう」
そして、僕たちは身体を繋げた。
「睦己の初めて、俺にくれる?」
「うん。男のなんてありがたくないだろうけど…」
「そんなことない。大切だよ」
「そうかな」
「俺で良い?」
「うん。直輝が良い」
薄っぺらな布団の上で抱きしめ合う。シーツは新しくした。直輝にとっては通り道かもしれないけど、僕にとっては大切な始めて。本当はこんな狭い汚いアパートじゃなく、どこか別のところが良かったけれど…。だから、せめて、自分の気持ちを綺麗なシーツに乗せたかった。
通り道の僕相手でも、直輝は優しかった。
丁寧な愛撫にいつもドロドロに溶かされ、声を抑えるのに必死になる。
少し前から、準備だからと後孔を指で解されていた。前立腺を執拗に責められ、快感に溺れ、泣きながら達することもあった。
「まだ狭いね……。でも、今日は…」
「うん…。お願い」
「俺の方が…、俺の方がお願いだよ。優しくするから」
「うん。嬉しい」
いっぱい解されたと思ったけれど、直輝の屹立が挿入ってくるとその質量に息が止まりそうになる。
「睦己、力抜いて」
「う、うん。がんば、る」
「ああ、ダメ、頑張っちゃダメだよ」
「うん…」
顔が近づき目が合う。後ろからの方が楽だと聞いた直輝は、僕を四つん這いにして、獣のようなポーズのまま後ろから抱こうとした。それを嫌だと言ったのは僕だ。ほら、後ろからだと、こんなふうに見つめられなかった。少し焦ったような男前の顔を堪能する。
「好きだよ、睦己」
そしてキスの雨。
キスにより少し弛緩した身体に、ズンと奥まで打ち付けられた。
「んっ、んっ、ぁぁっ、んっ」
「凄い、睦己の中、熱い、うねってる…」
「な、お…、ぁぁっ、んっ、なお、き、好き」
「くっ、…持ってかれる」
アパートの壁は薄い。その壁の向こうに聞こえないように、声を抑えるのが辛かった。タオルを噛み締めて痛みをやり過ごす。最初は緊張のせいか、快感を得られることはなかった。
「ごめん。俺、自分勝手にシテ…」
「ううん…大丈夫だよ」
身体の痛みはあっても、
その時は、
心の痛みはなかったのだから。
「ここじゃ、これ以上は無理だな」
「ど、どうして?」
身体が目当てだと言われたわけじゃない。こんな貧相な細い身体に、欲情してくれてるのも知っている。でも、その先に進めないのはやはり男では無理ということか?
「そんな泣きそうな顔しないで。ほら、両親は下で働いてるし、ここ鍵付いてないからさ。今までもドキドキだったけど、ちょっと無理でしょ。それに、風呂場は一階だし…」
「じゃ、じゃあ、僕ん家来る?」
「行って良いの?」
「狭いよ?ご飯も大したもの出せないし」
「そんなの全然平気」
「実は気になってたんだ」
「何が?」
「だって、こんなに頻繁にお邪魔して、お父さんとお母さんは何て思ってるんだろうって」
急に仲良くなったとしても、友だちとしては会いすぎじゃないかな。
「えっと…」
「な、に?」
珍しくモジモジと言いにくそうにする。
「言っちゃった」
「何を?誰に?」
「だから、彼氏だって、両親に」
「ええっ!?」
「だって、どうゆうお友だちって聞かれて、こんなに毎日会いたい友だちを、恋人以外の言葉で表現できなかった。恥ずかしいけど、一目惚れなんだ。睦己が俺の事見てたのわかったのは、俺も見てたから。最初はヨシの事見てるのかと思ったけど、違うみたいだし、誰かに取られる前に自分のものにしたかったから…。だから、家に来てくれるなら、両親にもちゃんと言っておきたかった」
「反対は…?」
態度が変わったことはない。いつの時点で告白したのかは知らないけど、初めて会った時から、今日も変わらず接してくれていた。
「反対なんかしない。お客さんにいるんだ、男同士で付き合ってる人。だから、大丈夫だと思って」
でも、他人と息子とは違うはず。客なら店に来た時だけ相手にすれば良いけれど、息子の恋人が男なんて嫌じゃないのだろうか?
「睦己の事は気に入ってるし、嫌な顔しなかったよ?」
ぎゅっと抱きしめて、動揺する僕を落ち着けるように髪を撫でる。もともとオープンな家族なのだろう。今までの彼女もちゃんと紹介してきたのだろう。僕もその中の一人。深刻に考えちゃダメだ。
土曜の夕方は、学校から直接僕の家に来るようになった。
直輝がシャワーを浴びて、僕の用意したささやかな料理を二人でつつく。いつも美味しい料理を食べている直輝に申し訳ないけど、プロに敵うわけない。一人だと面倒で作ってなかったけど、小さな頃から自分の分は自分で用意する生活だったから、何もできないわけじゃない。
「美味しいよ。いつも、ありがとう」
そして、僕たちは身体を繋げた。
「睦己の初めて、俺にくれる?」
「うん。男のなんてありがたくないだろうけど…」
「そんなことない。大切だよ」
「そうかな」
「俺で良い?」
「うん。直輝が良い」
薄っぺらな布団の上で抱きしめ合う。シーツは新しくした。直輝にとっては通り道かもしれないけど、僕にとっては大切な始めて。本当はこんな狭い汚いアパートじゃなく、どこか別のところが良かったけれど…。だから、せめて、自分の気持ちを綺麗なシーツに乗せたかった。
通り道の僕相手でも、直輝は優しかった。
丁寧な愛撫にいつもドロドロに溶かされ、声を抑えるのに必死になる。
少し前から、準備だからと後孔を指で解されていた。前立腺を執拗に責められ、快感に溺れ、泣きながら達することもあった。
「まだ狭いね……。でも、今日は…」
「うん…。お願い」
「俺の方が…、俺の方がお願いだよ。優しくするから」
「うん。嬉しい」
いっぱい解されたと思ったけれど、直輝の屹立が挿入ってくるとその質量に息が止まりそうになる。
「睦己、力抜いて」
「う、うん。がんば、る」
「ああ、ダメ、頑張っちゃダメだよ」
「うん…」
顔が近づき目が合う。後ろからの方が楽だと聞いた直輝は、僕を四つん這いにして、獣のようなポーズのまま後ろから抱こうとした。それを嫌だと言ったのは僕だ。ほら、後ろからだと、こんなふうに見つめられなかった。少し焦ったような男前の顔を堪能する。
「好きだよ、睦己」
そしてキスの雨。
キスにより少し弛緩した身体に、ズンと奥まで打ち付けられた。
「んっ、んっ、ぁぁっ、んっ」
「凄い、睦己の中、熱い、うねってる…」
「な、お…、ぁぁっ、んっ、なお、き、好き」
「くっ、…持ってかれる」
アパートの壁は薄い。その壁の向こうに聞こえないように、声を抑えるのが辛かった。タオルを噛み締めて痛みをやり過ごす。最初は緊張のせいか、快感を得られることはなかった。
「ごめん。俺、自分勝手にシテ…」
「ううん…大丈夫だよ」
身体の痛みはあっても、
その時は、
心の痛みはなかったのだから。
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