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別れても好きな人
02
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「どれか食べる?」
凄く食べたい。それは、お腹が空いているからではなく、美味しそうだからでもなく、ただただ直輝が作った物だから。
勿論とても美味しそう。黄色に緑に赤に、色とりどりの料理が僕を誘う。
「良いの?」
どこまでがクラスメイトとして正しいのか?
土曜に部活がない日には一緒に買い物に行き、母親が出かけてからアパートに戻り一緒に作ったこともある。料理屋の息子らしく手際も良いし、味付けも最高だった。それがまた食べられる…。
涙が出そう。こんなに優しくしないで欲しい。僕はまだ忘れられていないのだから。
こんなふうに普通に話しかけられると、直輝の中での僕は、最初からクラスメイトに少し毛の生えた程度の相手だったのだと教えられてるみたいで辛い。
弁当箱の蓋と箸を、ほら、と渡された。改めて弁当を見ると凄く多いと思う。
「いつもこんなに食べるの?」
一緒に食べてる時にはこんなに食べてたかな?
「安村と一緒に食べようと思って。いつもより沢山作ったから、いっぱい食べて良いよ」
「えっ?」
「あのさ、お箸忘れたから、一緒に使お?」
「えっ?」
さっきから驚いてばかりだ。
キスはいっぱいした。舌を口内いっぱいに迎え、粘膜を執拗に舐られたりもした。もっと近く、裸で四肢を絡ませ、睦あった。今更間接キスを恥ずかしがるほど純情ではない。
でも……
この明るい教室で頬が熱くなるのがわかる。
…顔赤いよ?小さな声で囁かれて更に赤くなる。
下を向き両手で頬を挟み熱を下げようとするけど、なかなか上手くいかない。この甘い空気を何とかしたくて、お箸を持って、お弁当の中から一番目立つ黄色の卵焼きを摘んだ。
「美味しい」
「これも食べてみて」
「これ、キッシュ?」
パイ生地ではなく、薄い皮のようなもので包まれたキッシュをガブリと口に入れ驚く。
「これも、美味しい。でも、これは洋風だし、これは和風だよね?中華は?」
「いっつも食べてるじゃん。飽きた。多い目に作ると父さんも食べてるよ。最近じゃ、賄いは俺が作った料理をアレンジしたりしてるみたい。流石毎日客に出す料理作ってるだけあって、食べただけで何となくわかるのかな?いや、あれは知ってて作ってなかったのかな?わかんねぇや」
直輝の家は中華料理屋さん。酢豚や回鍋肉、何を食べても美味しかった。
また、食べたいな…。でも、ご両親は付き合っていたことを知っている。別れた今となっては、例え客としてでも、息子の元カレである僕は行けないよね。
「そうなんだ…」
二人で料理をした時にグラタンを作った。マカロニを茹でるのに別の鍋を使ったけれど、フライパン一つでホワイトソースまで作る手際は僕には真似できない。
僕が使った箸を持って、ブロッコリーを食べる。じっとその箸先を見つめていることに気付き、慌てて目をそらした。
男同士でこれはどうなの?
クラスメイトでここまでする?
まるで恋人じゃん…。
「どうして…」
「ん?何が?」
「どうして、一緒にお昼、食べるの?僕たちは、その…わ…いや、そうじゃないでしょ?」
小さな声でも別れたとは言えなかった。
「別に良いじゃん…」
「う、うん」
「親交を深めるため?」
何でそこで疑問形?
「ほとんどしゃべったことないし…」
教室で…と小さな声で続けた。ああ、元カレがぼっちとか可哀想だと思ったのかな?
ほら、とお箸を渡され唐揚げを口にする。
「これはお店の味なんだ」
「唐揚げはお弁当の定番でしょ。それだけは父さんの味だよ。流石に毎日は入れないけどね」
普通に会話してることに、不思議な気分になる。教室でほとんどしゃべったことない、って事実を失念してしまうくらい自然な雰囲気だった。
凄く食べたい。それは、お腹が空いているからではなく、美味しそうだからでもなく、ただただ直輝が作った物だから。
勿論とても美味しそう。黄色に緑に赤に、色とりどりの料理が僕を誘う。
「良いの?」
どこまでがクラスメイトとして正しいのか?
土曜に部活がない日には一緒に買い物に行き、母親が出かけてからアパートに戻り一緒に作ったこともある。料理屋の息子らしく手際も良いし、味付けも最高だった。それがまた食べられる…。
涙が出そう。こんなに優しくしないで欲しい。僕はまだ忘れられていないのだから。
こんなふうに普通に話しかけられると、直輝の中での僕は、最初からクラスメイトに少し毛の生えた程度の相手だったのだと教えられてるみたいで辛い。
弁当箱の蓋と箸を、ほら、と渡された。改めて弁当を見ると凄く多いと思う。
「いつもこんなに食べるの?」
一緒に食べてる時にはこんなに食べてたかな?
「安村と一緒に食べようと思って。いつもより沢山作ったから、いっぱい食べて良いよ」
「えっ?」
「あのさ、お箸忘れたから、一緒に使お?」
「えっ?」
さっきから驚いてばかりだ。
キスはいっぱいした。舌を口内いっぱいに迎え、粘膜を執拗に舐られたりもした。もっと近く、裸で四肢を絡ませ、睦あった。今更間接キスを恥ずかしがるほど純情ではない。
でも……
この明るい教室で頬が熱くなるのがわかる。
…顔赤いよ?小さな声で囁かれて更に赤くなる。
下を向き両手で頬を挟み熱を下げようとするけど、なかなか上手くいかない。この甘い空気を何とかしたくて、お箸を持って、お弁当の中から一番目立つ黄色の卵焼きを摘んだ。
「美味しい」
「これも食べてみて」
「これ、キッシュ?」
パイ生地ではなく、薄い皮のようなもので包まれたキッシュをガブリと口に入れ驚く。
「これも、美味しい。でも、これは洋風だし、これは和風だよね?中華は?」
「いっつも食べてるじゃん。飽きた。多い目に作ると父さんも食べてるよ。最近じゃ、賄いは俺が作った料理をアレンジしたりしてるみたい。流石毎日客に出す料理作ってるだけあって、食べただけで何となくわかるのかな?いや、あれは知ってて作ってなかったのかな?わかんねぇや」
直輝の家は中華料理屋さん。酢豚や回鍋肉、何を食べても美味しかった。
また、食べたいな…。でも、ご両親は付き合っていたことを知っている。別れた今となっては、例え客としてでも、息子の元カレである僕は行けないよね。
「そうなんだ…」
二人で料理をした時にグラタンを作った。マカロニを茹でるのに別の鍋を使ったけれど、フライパン一つでホワイトソースまで作る手際は僕には真似できない。
僕が使った箸を持って、ブロッコリーを食べる。じっとその箸先を見つめていることに気付き、慌てて目をそらした。
男同士でこれはどうなの?
クラスメイトでここまでする?
まるで恋人じゃん…。
「どうして…」
「ん?何が?」
「どうして、一緒にお昼、食べるの?僕たちは、その…わ…いや、そうじゃないでしょ?」
小さな声でも別れたとは言えなかった。
「別に良いじゃん…」
「う、うん」
「親交を深めるため?」
何でそこで疑問形?
「ほとんどしゃべったことないし…」
教室で…と小さな声で続けた。ああ、元カレがぼっちとか可哀想だと思ったのかな?
ほら、とお箸を渡され唐揚げを口にする。
「これはお店の味なんだ」
「唐揚げはお弁当の定番でしょ。それだけは父さんの味だよ。流石に毎日は入れないけどね」
普通に会話してることに、不思議な気分になる。教室でほとんどしゃべったことない、って事実を失念してしまうくらい自然な雰囲気だった。
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