彼氏未満

茉莉花 香乃

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穏やかな日々

08

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膝の上から、布団の上へ。
押し倒され、キスをする。押し倒されはしたけれど、キスは僕から。全部直輝が教えてくれたことだけど、受け身だけは嫌。そんな気持ちを察してくれているのか、好きにさせてくれる。直輝の唇を舐め、舌先で刺激する。

「睦己…」

吐息のような囁く声は、感じてくれているのだろうか。直輝の口内に舌を滑り込ませ、歯列を確かめるように舐める。上顎を舌先でくすぐると、ブルリと腕が震えた。気を良くした僕は頬を舐め、鼻を悪戯に甘噛みする。

「こら…」
「ふふっ」

再び唇に戻り、啄むキスをする。二人の唾液で濡れた唇を、尖らせた舌先で更に濡らしていく。

「睦己?」

僕の名前を優しく呼ぶ舌を吸い、絡めた。二人の唾液が混じり溶けてしまいそうだ。

本当に溶けて一つになれれば良いのに。

「はぁ…」

僕の口から漏れ出た甘い吐息は、主導権を奪われるスイッチになった。直輝は舌に強く吸いつき、根元から絡める。苦しいくらいに執拗に攻める。

「……っ……やっ」

耐えられなくなった僕が声を漏らすと、ぎゅっと抱きしめてくれた。肩に顔を埋め息を整えているのか、大きく息を吸う。

「どしたの?」

心配になって聞くと、耳を甘噛みされた。

「睦己が可愛すぎるから、暴走しないように、深呼吸してただけ」

耳に吹き込むような振動は、足先から頭までを痺れさせた。頬、瞼、耳などにキスをする。仕返しのつもりなのか鼻にも執拗にキスをするからくすぐったい。満足したのか最後にペロリと鼻を舐め、ようやく唇に戻ってくる。

熱い吐息をき、何度も何度も口内を貪った。キスを続けたまま直輝の手はTシャツの中に入る。肌の感触を確かめるようにサワサワと動く掌に、ゾクゾクとした興奮と熱が増してゆく。Tシャツを捲り上げ、貧相な身体を見られると思うと、隠したくなる。無意識に腕を前に持ってくると、その腕を頭上に上げられた。同時にTシャツも素早く脱がされる。両手を上げて無防備な脇に直輝の顔が埋まる。

「やっ、そんなとこ…」

そこで思いっきり息を吸うから、恥ずかしい。

「凄く良い匂い。クラクラする」

良い匂いなわけない。僕は直輝の匂いが好きだけど……もしかして、直輝も?
色々考えている間も直輝の手は動きを止めない。乳首を指で擦るようにされたり、摘まれたりすると、背中を反らして快感に耐えようともがく。でも、その格好は、もっとと強請っているようにも見えて、恥ずかしい。

「たまらない、睦己…。乳首、膨らんできたよ」
「やっ、言わないで…」

両腕を直輝の背中に回し、顔を見られないように胸に押し当てる。でも力が入らないから、その腕は自然と落ちてきた。直輝の唇が首筋を啄ばむように舐める。ピクリと震えると、耳朶を甘噛みする。そしてまた首筋に戻る。

僕は最初、首筋が一番反応が良かったらしい。でも。今は首筋も耳も鎖骨もどこもかも…感じてしまう。直輝の触れるところ全部。特に胸は感じてしまう。乳首を甘噛みされたり、舌で転がされたら声を抑えることもじっとしていることもできない。喘ぎ声をあげ、身体をくねらせ、全身で直輝を求めてしまう。

「あぁぁっ…んっ」

それがわかっているのか、執拗に胸ばかり舐め始めた。空いている方は指で摘んだり、撫でたりする。チュッと吸い付かれると堪らない。顔を左右に振り、快感を逃がそうとするけれど上手くいかない。直輝の髪に指を入れ、サラサラの髪を撫でる。

時々僕の顔を見るためか、直輝と目が合う。こんな痴態を晒していることに、恥ずかしさと共に興奮を覚える。

「睦己、凄く可愛い。感じてくれてるんだ…嬉しい」
「ひゃっ…」

僕の方こそだよ。こんなことは言葉で言えないけど、さっきから僕の太ももに直輝の熱を感じる。僕に触れることでこんなに…。直輝の手が胸を離れ臍を辿りさらに下へ。スウェットの中に手を入れて、先走りで濡れている僕のを撫でる。

「あぁっ……っ…」

これ以上の喘ぎ声が出るのが恥ずかしくて、腕に口を当てた。直輝は僕の下着とスウェットを素早く脱がし、僕の手を掴む。

「声、聞きたい」
「やっ、でも…」
「お願い」

そんなお願いされたら、これ以上腕で口を塞ぐことはできない。
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