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第一章
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そろそろ行くか?と碧空くんが言ったから、三人で寮に向かった。寮の入り口には寮父さんの部屋がある。寮でわからないことは寮父さんに聞けば良いらしい。
名前を書いて入寮した。長期休暇は勿論、外泊する時は必ず連絡することと念を押された。
「碧空が来るなら俺、生徒会室まで迎えに行かなくっても良かったじゃん」
「まあ、俺も用事思い出しただけだから…」
ちらりと笑顔で僕を見て言葉を続けた。
心臓に悪いです。
「さっき渡した封筒の中にカードが入ってる。それが、寮に入る時も校舎に入る時も必要になる。食事も買い物もこのカードで管理して、一括で請求される。失くしたら直ぐに再発行はできないから失わないようにな」
「はい…」
「荷物は届いてるはずだけど…」
淡々と説明してくれる碧空くんは、通りがかった生徒に熱い視線を送られている。それに笑顔で答えてる。僕には軽く睨みが入ったり、興味深げにジロジロ見られた。
「ああ、部屋の前に置いてあった」
「手伝ってやろうか?」
「いえ、そんなに多くないですし、大丈夫です」
ウィッグの替えと大量のカラコンが見つかるわけにはいかない。
「わからないことがあったら智親に聞けよ。あっ、担任への連絡は部屋にある電話でできる。内線の電話番号は貼ってると思うから」
「はい。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げてお礼を言った。僕たちの部屋は四階だった。部屋の前には段ボールが四つ置いてある。
「部屋入るのもこれだから…開けてみ?」
僕が持ってた封筒の中をガサガサと探して、カードを渡された。これが無くては生活できないのか…。カチャっと軽い音がして鍵が開いた。
「ここにあるのは何でも使ってくれて構わない。ここが安田の部屋な」
牧野くんがそう言って左右のドアの右側を開けた。あっ、鍵!確かめると内側から掛かる。良かった。
「お前なんか襲わないぞ?」
牧野くんが不機嫌そうに言ってくる。
「いえ、そうじゃなくて…僕、寮とか初めてで緊張しちゃうってか….だから、恥ずかしくって…」
上手く誤魔化せただろうか?大体僕は男ですから!可愛くなくて当然の男ですから!
「まあ、そう怒るなよ」
何故か碧空くんが取りなしてくれた。三人で…僕は見てただけだから実質は二人で段ボールを僕の部屋に入れてくれた。
「じゃあ、夕飯の時迎えに来るから」
「えっ?」
「寮の案内してなかったからさ。ちょっと早く来るから」
碧空くんはそう言って帰って行った。二人になり牧野くんが、言いにくそうにこっちを見る。
「あのさ…碧空はああ言ったけど、今日はまあ、案内ってことだけど、これからは碧空に近寄らないほうが良いかもな」
「どう言うことですか?」
「全寮制の男子校なんてさ、恋愛対象が男って奴が多いんだよ。生徒会なんかやってるとさファンみたいなのがいてさ、あんま碧空と仲良くしてると何されるかわかんねぇぞ?」
「えっと…喋らなかったら良いんですか?」
「まあ、そうだな」
「そうですか…」
僕が姫宮碧だと気付かれて、また意地悪されたら辛いから僕からは近寄らない…。そう、思ってたけどそれも辛いな。
それに初恋の姫…今も想ってる女の子がいるんだもん。
「何だよ?安田はもう碧空の事好きになったのか?」
「ち、違います!」
「良いよ、別に。あいつモテるしさ…おかしなことじゃない」
おかしなことじゃないのですか?
そうですか…。
僕が驚いていると、逆に牧野くんも驚いている。
「そうだな…普通じゃないか?」
名前を書いて入寮した。長期休暇は勿論、外泊する時は必ず連絡することと念を押された。
「碧空が来るなら俺、生徒会室まで迎えに行かなくっても良かったじゃん」
「まあ、俺も用事思い出しただけだから…」
ちらりと笑顔で僕を見て言葉を続けた。
心臓に悪いです。
「さっき渡した封筒の中にカードが入ってる。それが、寮に入る時も校舎に入る時も必要になる。食事も買い物もこのカードで管理して、一括で請求される。失くしたら直ぐに再発行はできないから失わないようにな」
「はい…」
「荷物は届いてるはずだけど…」
淡々と説明してくれる碧空くんは、通りがかった生徒に熱い視線を送られている。それに笑顔で答えてる。僕には軽く睨みが入ったり、興味深げにジロジロ見られた。
「ああ、部屋の前に置いてあった」
「手伝ってやろうか?」
「いえ、そんなに多くないですし、大丈夫です」
ウィッグの替えと大量のカラコンが見つかるわけにはいかない。
「わからないことがあったら智親に聞けよ。あっ、担任への連絡は部屋にある電話でできる。内線の電話番号は貼ってると思うから」
「はい。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げてお礼を言った。僕たちの部屋は四階だった。部屋の前には段ボールが四つ置いてある。
「部屋入るのもこれだから…開けてみ?」
僕が持ってた封筒の中をガサガサと探して、カードを渡された。これが無くては生活できないのか…。カチャっと軽い音がして鍵が開いた。
「ここにあるのは何でも使ってくれて構わない。ここが安田の部屋な」
牧野くんがそう言って左右のドアの右側を開けた。あっ、鍵!確かめると内側から掛かる。良かった。
「お前なんか襲わないぞ?」
牧野くんが不機嫌そうに言ってくる。
「いえ、そうじゃなくて…僕、寮とか初めてで緊張しちゃうってか….だから、恥ずかしくって…」
上手く誤魔化せただろうか?大体僕は男ですから!可愛くなくて当然の男ですから!
「まあ、そう怒るなよ」
何故か碧空くんが取りなしてくれた。三人で…僕は見てただけだから実質は二人で段ボールを僕の部屋に入れてくれた。
「じゃあ、夕飯の時迎えに来るから」
「えっ?」
「寮の案内してなかったからさ。ちょっと早く来るから」
碧空くんはそう言って帰って行った。二人になり牧野くんが、言いにくそうにこっちを見る。
「あのさ…碧空はああ言ったけど、今日はまあ、案内ってことだけど、これからは碧空に近寄らないほうが良いかもな」
「どう言うことですか?」
「全寮制の男子校なんてさ、恋愛対象が男って奴が多いんだよ。生徒会なんかやってるとさファンみたいなのがいてさ、あんま碧空と仲良くしてると何されるかわかんねぇぞ?」
「えっと…喋らなかったら良いんですか?」
「まあ、そうだな」
「そうですか…」
僕が姫宮碧だと気付かれて、また意地悪されたら辛いから僕からは近寄らない…。そう、思ってたけどそれも辛いな。
それに初恋の姫…今も想ってる女の子がいるんだもん。
「何だよ?安田はもう碧空の事好きになったのか?」
「ち、違います!」
「良いよ、別に。あいつモテるしさ…おかしなことじゃない」
おかしなことじゃないのですか?
そうですか…。
僕が驚いていると、逆に牧野くんも驚いている。
「そうだな…普通じゃないか?」
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