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第二章
02
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授業が終わり鞄を持って席を立つと、碧空くんが僕を見ていた。頷くと何も言わずに教室を出て行く。
エレベーターを使わず三階の教室から七階の生徒会室まで階段で上がる。途中何度か確かめるように後ろを向くけど、話しかけることはなかった。
僕がちゃんと付いてきているのを見て一瞬目を合わせ、誰にもわからないように微かに頷き前を向いた。その間も碧空くんには声が掛かる。
六階は特別教室のため誰も居ないので、僕が最上階の七階に上がるところを誰にも見られずにすんだ。
「ふぅっ…」
碧空くんが盛大なため息を吐き肩を回した。
「階段で疲れなかった?悪かったな。でも、うっかり一緒にエレベーターに乗るところを見られたら大変だから。教室でも話し掛けないでごめんな」
「ううん、平気です」
「あいつら、煩いからさ…ほんと困ってるんだ」
あのハイエナのようなファンの子たちの事かな?
コンコンとノックして返事を待たずに扉を開け、生徒会室に入って行く。その後ろをおずおずと付いて行った。
部屋の隅の花瓶には、満開の山桜が綺麗に咲いていた。花瓶も前に見たものとは違う。
「連れてきたよ」
「ああ、そこ座って」
あの時の碧空くんのようにこちらを見ずに大きな机いっぱいに書類を広げ、作業しながら指示を出す。多分、会長さんだ。碧空くんはお茶の用意のためか給湯室…たぶん…のドアに手を掛けた。
碧空くんが戻ったのが合図のように会長が僕の向かいに座った。碧空くんも会長の隣に座る。
「碧空はもういいよ」
「えっ?帰り困るだろ?」
「俺が送って行く」
「それが困るんだよ!」
「お前だって似たようなもんじゃないか?」
「…まあ、そうだけど」
「何?お前、なんか知ってんの?」
「な、何を?」
「あっ、いや、知らないならいい」
「何だよ、歯切れ悪いな。篤人らしくない」
「あの…」
二人の会話は僕を置いてきぼりで、何でここに来なければならないのかわからない。
「僕は一人でも帰れますよ?」
だってさっきから幼稚園児の初めてのおつかいを見守る親のように、僕の心配をする二人に頼りない自分が恥ずかしい。でも……、
一人で大丈夫です!
帰り道もわかります!
敷地内の寮に帰るだけなのに…。
「それより、どうして僕はここに呼ばれたのでしょうか?生徒一人一人に面接とかするんですか?」
途中からだし、いろいろとややこしいのだろうか?
「いや…」
「俺も聞きたい。一生徒をここに入れることってほとんどないよな?」
「碧空はもういいよ。ありがとう」
会長は同じことを繰り返し言う。
「どう言うことだよ?」
「そのままだ」
「これはプライベートなのか?オフィシャルじゃないってこと?」
「まあ、そうだな。安田くんこっち来てくれる?」
手を差し出されて戸惑う。碧空くんが淹れてくれた紅茶を一口も飲んでないのに…。仕方ないので、もう温くなってしまった紅茶を一口飲んで立ち上がった。
「ちょ…、何だよ。ここでいいだろ?」
「そう言うわけにはいかないんだ」
碧空くんはまだ何か言いたげだったけど、会長に睨まれて言葉を続けることはなかった。
「ここで待ってるからな!」
「勝手にしろ。ああ、それ片付けといてくれ」
大きな机いっぱいに広げられた書類を顎で指し、立ち上がった僕の手を取り…手を取り?……これは、手を繋いでるのですけれど?
「あの…」
「んっ?」
「この手は?」
まさかのまだ幼稚園児扱いですか?
「いいから」
碧空くんは何故か睨んで怖い顔だし、会長は始業式の時に壇上で見た凛々しい顔じゃなくって笑顔だし、僕はきっと困った顔をしてると思う。
三者三様の顔をして、僕は会長に手を引かれて給湯室…で、いいですか?…の隣のドアに案内された。
エレベーターを使わず三階の教室から七階の生徒会室まで階段で上がる。途中何度か確かめるように後ろを向くけど、話しかけることはなかった。
僕がちゃんと付いてきているのを見て一瞬目を合わせ、誰にもわからないように微かに頷き前を向いた。その間も碧空くんには声が掛かる。
六階は特別教室のため誰も居ないので、僕が最上階の七階に上がるところを誰にも見られずにすんだ。
「ふぅっ…」
碧空くんが盛大なため息を吐き肩を回した。
「階段で疲れなかった?悪かったな。でも、うっかり一緒にエレベーターに乗るところを見られたら大変だから。教室でも話し掛けないでごめんな」
「ううん、平気です」
「あいつら、煩いからさ…ほんと困ってるんだ」
あのハイエナのようなファンの子たちの事かな?
コンコンとノックして返事を待たずに扉を開け、生徒会室に入って行く。その後ろをおずおずと付いて行った。
部屋の隅の花瓶には、満開の山桜が綺麗に咲いていた。花瓶も前に見たものとは違う。
「連れてきたよ」
「ああ、そこ座って」
あの時の碧空くんのようにこちらを見ずに大きな机いっぱいに書類を広げ、作業しながら指示を出す。多分、会長さんだ。碧空くんはお茶の用意のためか給湯室…たぶん…のドアに手を掛けた。
碧空くんが戻ったのが合図のように会長が僕の向かいに座った。碧空くんも会長の隣に座る。
「碧空はもういいよ」
「えっ?帰り困るだろ?」
「俺が送って行く」
「それが困るんだよ!」
「お前だって似たようなもんじゃないか?」
「…まあ、そうだけど」
「何?お前、なんか知ってんの?」
「な、何を?」
「あっ、いや、知らないならいい」
「何だよ、歯切れ悪いな。篤人らしくない」
「あの…」
二人の会話は僕を置いてきぼりで、何でここに来なければならないのかわからない。
「僕は一人でも帰れますよ?」
だってさっきから幼稚園児の初めてのおつかいを見守る親のように、僕の心配をする二人に頼りない自分が恥ずかしい。でも……、
一人で大丈夫です!
帰り道もわかります!
敷地内の寮に帰るだけなのに…。
「それより、どうして僕はここに呼ばれたのでしょうか?生徒一人一人に面接とかするんですか?」
途中からだし、いろいろとややこしいのだろうか?
「いや…」
「俺も聞きたい。一生徒をここに入れることってほとんどないよな?」
「碧空はもういいよ。ありがとう」
会長は同じことを繰り返し言う。
「どう言うことだよ?」
「そのままだ」
「これはプライベートなのか?オフィシャルじゃないってこと?」
「まあ、そうだな。安田くんこっち来てくれる?」
手を差し出されて戸惑う。碧空くんが淹れてくれた紅茶を一口も飲んでないのに…。仕方ないので、もう温くなってしまった紅茶を一口飲んで立ち上がった。
「ちょ…、何だよ。ここでいいだろ?」
「そう言うわけにはいかないんだ」
碧空くんはまだ何か言いたげだったけど、会長に睨まれて言葉を続けることはなかった。
「ここで待ってるからな!」
「勝手にしろ。ああ、それ片付けといてくれ」
大きな机いっぱいに広げられた書類を顎で指し、立ち上がった僕の手を取り…手を取り?……これは、手を繋いでるのですけれど?
「あの…」
「んっ?」
「この手は?」
まさかのまだ幼稚園児扱いですか?
「いいから」
碧空くんは何故か睨んで怖い顔だし、会長は始業式の時に壇上で見た凛々しい顔じゃなくって笑顔だし、僕はきっと困った顔をしてると思う。
三者三様の顔をして、僕は会長に手を引かれて給湯室…で、いいですか?…の隣のドアに案内された。
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