28 / 45
第四章
01
しおりを挟む
◆◆◆◆◆
「大沢くん。この子の事知ってるの?」
僕の身体をあちこち診ながら勘解由小路さんが碧空くんに聞く。重くて申し訳ないと思いながら、膝から下りられなかった。
怖かった。
精一杯抵抗したけど、二人相手にはやはり僕の力では押さえ込まれてしまった。頬を殴られた時になんとか蹴りを入れたらヒットしたけど、直ぐに態勢を立て直されて、逆上して髪を引っ張られた。
痛っと怯んだら後ろから羽交い締めにされウイッグを取られた。ニヤニヤと笑う大塚は、ヒューと口笛を吹き顎を持つ。
気持ち悪い。頭を振って抵抗するも後ろから抑えられれば何もできない。足をバタつかせても難なく押さえ込まれ、ズボンを下された。
そんなことを考えながら碧空くんの膝に座るのは恥ずかしい。大塚に触られるのは気持ち悪かったけど碧空くんになら平気。だんだんと顔に熱が集まってきていたたまれない。
「はい、小学生の時から知ってます。ずっと探してたんです」
はっきりと、僕に聞かせるように言葉にしてくれる。でも、幼馴染にするにはあまりに近すぎると気づいた。モゾモゾと動き隣の椅子に移ろうとすると、その動きに気付き腰を抱く力が強くなった。碧空くんの顔を見ると笑顔で見つめられる。
「どうした?」
今までとは違う雰囲気に戸惑う。
優しくプラチナブロンドの髪に指を絡ませこうするの久しぶりだと嬉しそうに呟いた。今僕はズボンは履いていない。勘解由小路さんの診察を受けるために生白い足をさらけ出して、服も捲られている。
「顔だけみたいだな」
そう言ってもう一度毛布をかけてくれた。
「安田くん、大沢くんの言うことは本当?」
「はい」
「一つ聞いてもいい?ここに入った時、一番最初に会ったよね?その時には気付いてなかったの?」
「えっ…いえ…わかってました」
そうだ。知ってたけど、他人のふりをして無視したんだ。
「ああ、あの時牧野くんにって言ったのを直ぐに断ったのも大沢くんの事があったから?」
「いえ、そう言うわけではないんです」
「智親と何かあったのか?」
碧空くんが少し怒った口調で聞く。
「ああ、違うんだ。この子の容姿が皆にバレれば危険だから、牧野くんに食べられちゃえばっ…」
「えっ!姫、智親と?」
「ち、違うよ。そんなことない。僕は碧空くんが好きだから…」
自分から告白してしまった。
恥ずかしいけど、ここははっきり誤解を解いておきたい。例え碧空くんが僕をどう思っていようと。
「何か事情がありそうだね。でも安田くん、今好きって言ったよね?君もフリーだから問題ないね、大沢くん。この子の事守ってあげてね」
さらりと僕の言葉を拾い確認する。
「はい。もちろんです」
「えっ?桜庭さんは?」
「克さんは大学生の恋人がいるんだ。その人に頼まれて守ってただけ。俺も克さんと居るとうるさい奴から逃げられるから、ちょうど良かったんだ。姫が誤解してたなら謝るよ。でも、さっきちゃんと告白しただろ?」
「う、うん」
夢の中の出来事のような気がしてた。あの言葉が今やっと、僕の心に染み込んでくる。
「じゃあ、コンタクトも取ったら?長時間つけてると疲れない?普通のコンタクトレンズとは違うからずっと使い続けるのはお勧めしない」
勘解由小路さんの言葉に碧空くんは喜んでる。
「じゃあ、これからはまた綺麗なブルーの瞳が見られるんだな。姫のことは俺が守るから」
「さっきから姫って呼んでるけど?」
「ああ、碧の本名は姫宮碧です。小学校の時に俺は姫って呼んでたんです」
「そうか、そこまでは知らなかったな。だから、大沢くんはこの子の事がわからなかったんだね」
「はい。どことなく似てるなって気にはなってたんですけど、俺があまり構うと危険ですし」
「そうだね。犯人は八城くんが?」
「はい。篤人と克さんと智親に任せました。碧を連れていってもいいですか?」
顔に湿布を貼った僕は、ほとんど自分の足で立つことなく碧空くんの部屋のソファに座ってる。
途中で僕の部屋に寄って着替えを持ってきた。なぜ着替えと思ったけど、僕はズボンを履いていない。部屋に着いた時、ベッドに座った僕が動く前にどこにあるかを聞き出した碧空くんは勝手にタンスを開けて、勝手にズボンを出して僕に履かせた。おまけに明日の分なと予備の服を用意してカバンに入れた。
「大沢くん。この子の事知ってるの?」
僕の身体をあちこち診ながら勘解由小路さんが碧空くんに聞く。重くて申し訳ないと思いながら、膝から下りられなかった。
怖かった。
精一杯抵抗したけど、二人相手にはやはり僕の力では押さえ込まれてしまった。頬を殴られた時になんとか蹴りを入れたらヒットしたけど、直ぐに態勢を立て直されて、逆上して髪を引っ張られた。
痛っと怯んだら後ろから羽交い締めにされウイッグを取られた。ニヤニヤと笑う大塚は、ヒューと口笛を吹き顎を持つ。
気持ち悪い。頭を振って抵抗するも後ろから抑えられれば何もできない。足をバタつかせても難なく押さえ込まれ、ズボンを下された。
そんなことを考えながら碧空くんの膝に座るのは恥ずかしい。大塚に触られるのは気持ち悪かったけど碧空くんになら平気。だんだんと顔に熱が集まってきていたたまれない。
「はい、小学生の時から知ってます。ずっと探してたんです」
はっきりと、僕に聞かせるように言葉にしてくれる。でも、幼馴染にするにはあまりに近すぎると気づいた。モゾモゾと動き隣の椅子に移ろうとすると、その動きに気付き腰を抱く力が強くなった。碧空くんの顔を見ると笑顔で見つめられる。
「どうした?」
今までとは違う雰囲気に戸惑う。
優しくプラチナブロンドの髪に指を絡ませこうするの久しぶりだと嬉しそうに呟いた。今僕はズボンは履いていない。勘解由小路さんの診察を受けるために生白い足をさらけ出して、服も捲られている。
「顔だけみたいだな」
そう言ってもう一度毛布をかけてくれた。
「安田くん、大沢くんの言うことは本当?」
「はい」
「一つ聞いてもいい?ここに入った時、一番最初に会ったよね?その時には気付いてなかったの?」
「えっ…いえ…わかってました」
そうだ。知ってたけど、他人のふりをして無視したんだ。
「ああ、あの時牧野くんにって言ったのを直ぐに断ったのも大沢くんの事があったから?」
「いえ、そう言うわけではないんです」
「智親と何かあったのか?」
碧空くんが少し怒った口調で聞く。
「ああ、違うんだ。この子の容姿が皆にバレれば危険だから、牧野くんに食べられちゃえばっ…」
「えっ!姫、智親と?」
「ち、違うよ。そんなことない。僕は碧空くんが好きだから…」
自分から告白してしまった。
恥ずかしいけど、ここははっきり誤解を解いておきたい。例え碧空くんが僕をどう思っていようと。
「何か事情がありそうだね。でも安田くん、今好きって言ったよね?君もフリーだから問題ないね、大沢くん。この子の事守ってあげてね」
さらりと僕の言葉を拾い確認する。
「はい。もちろんです」
「えっ?桜庭さんは?」
「克さんは大学生の恋人がいるんだ。その人に頼まれて守ってただけ。俺も克さんと居るとうるさい奴から逃げられるから、ちょうど良かったんだ。姫が誤解してたなら謝るよ。でも、さっきちゃんと告白しただろ?」
「う、うん」
夢の中の出来事のような気がしてた。あの言葉が今やっと、僕の心に染み込んでくる。
「じゃあ、コンタクトも取ったら?長時間つけてると疲れない?普通のコンタクトレンズとは違うからずっと使い続けるのはお勧めしない」
勘解由小路さんの言葉に碧空くんは喜んでる。
「じゃあ、これからはまた綺麗なブルーの瞳が見られるんだな。姫のことは俺が守るから」
「さっきから姫って呼んでるけど?」
「ああ、碧の本名は姫宮碧です。小学校の時に俺は姫って呼んでたんです」
「そうか、そこまでは知らなかったな。だから、大沢くんはこの子の事がわからなかったんだね」
「はい。どことなく似てるなって気にはなってたんですけど、俺があまり構うと危険ですし」
「そうだね。犯人は八城くんが?」
「はい。篤人と克さんと智親に任せました。碧を連れていってもいいですか?」
顔に湿布を貼った僕は、ほとんど自分の足で立つことなく碧空くんの部屋のソファに座ってる。
途中で僕の部屋に寄って着替えを持ってきた。なぜ着替えと思ったけど、僕はズボンを履いていない。部屋に着いた時、ベッドに座った僕が動く前にどこにあるかを聞き出した碧空くんは勝手にタンスを開けて、勝手にズボンを出して僕に履かせた。おまけに明日の分なと予備の服を用意してカバンに入れた。
224
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
悪夢の先に
紫月ゆえ
BL
人に頼ることを知らない大学生(受)が体調不良に陥ってしまう。そんな彼に手を差し伸べる恋人(攻)にも、悪夢を見たことで拒絶をしてしまうが…。
※体調不良表現あり。嘔吐表現あるので苦手な方はご注意ください。
『孤毒の解毒薬』の続編です!
西条雪(受):ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗(攻):勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。
ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日”
ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、
ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった
一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。
結局俺が選んだのは、
“いいね!あそぼーよ”
もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと
後から思うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる