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第四章
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「あっ!」
「何だよ、智親」
碧空くんとソファに座り、目の前には美都瑠と智親くんがいる。
「いや、ほら、碧が入寮した日に鍵がかかるかって気にしてただろ?あれって、ウイッグとコンタクトのためなのか?」
「うん。ごめんね」
「そう言えば、そんなこと言ってたな。そうか…智親には見られたくなかったんだな…」
碧空くんは何故か嬉しそうにうんうんと頷いている。ほんと申し訳ない。こんな僕に可愛いとか言ってくれて、気にしてもらったっけ。
「あっ!」
「今度は何だよ?!」
「もしかして、高倉さんも知ってる?ウイッグとかコンタクトも」
「うぅ…うん…」
どうなんだと碧空くんにちょっと睨まれてビクッと震えた。
「怒ってないから言ってみ?」
「うん…眼鏡が伊達なのとウイッグだってことは知られてたけど、髪色とかは知らないよ。コンタクトのことも知らない」
途端に碧空くんから不機嫌オーラが溢れ、僕の腰を抱く力が強くなる。怒らないって言ったのに…。
「いつ?」
小さな、小さな声でポツリと呟き僕の肩に頭を乗せた。
「えっ?」
「だから、いつ高倉さんに姫の秘密を教えたんだ?」
「そうだよ!同じ部屋の俺にも教えてもらってないのに」
「僕にも教えてくれなかった。一番の友だちでしょ?」
三人に睨まれて固まってしまった。
「えっ、えっと…」
「言えないの?」
優しく聞いてくれるけれど、碧空くんの目は言うまで許してあげないと告げている。
「あの…、教えたんじゃなくて、バレちゃったって感じで…」
「脅されたの?」
「違うよ」
これ、言ってもいいんだろうか?言わないと質問攻撃は終わらなそうだけど、言ってしまったら確実に怒られるか、心配されるだろう。
もう二度と高倉さんと尾崎さんには近寄ることを許してもらえなさそうだ。決して親しく接したいと思っているのではない。けれど、友だちの少ない僕には、食堂や廊下ですれ違う時などに挨拶を交わす人がいるのは嬉しい。
ちょっと度を超えた接近が今回の事件のきっかけになってしまったけれど、悪い人ではない。
……と、思う。
あれこれ思い悩んで、考える時間が長すぎたようだ。余計に不機嫌になってる碧空くんは何か勘違いをしているみたいで、申し訳なくなる。
好きって言ってもらえたのに、ここで喧嘩はしたくない。
もう嫌われてしまっただろうか?
どうしよう…。
一度こんなふうに抱き寄せてもらえたのに、突き放されたら……生きていけない。
そうなれば、また逃げなくちゃならないんだろうか?
僕はこの腕の中には居られない?
どうしよう…どうしよう…。
「姫?」
「…ぅぅっ……」
「何泣いてるの?」
「だって……嫌わないで…もう嫌い?こんな僕はヤダ?…ぅっ…うぇぇん…」
碧空くんと智親くんと美都瑠が何か話してるけど、泣き出した僕には聞こえなかった。恥ずかしいけど止められない。抱きしめてくれるからまだここに居てもいいのかな?引き剥がされないなら抱きついていいだろうか?必死で離されないように碧空くんの腰に腕を回す。優しく頭を撫でて感触を楽しむように髪を梳き、指に絡ませる。そうしていると僕の涙が治った。前を見ると二人は帰っていなかった。
「もう、平気?」
「うん。ごめんね…泣いたりして」
「どうして泣いたの?」
覚悟を決めて新歓の鬼ごっこの時のことを話した。不機嫌になる碧空くんにまた涙が溢れて、嫌いにならないでってお願いした。もう遅いかもしれないけど自分の気持ちをちゃんと言わないといけないと思った。
「嫌われ、たら…生きて、いけないから、だから、ぅっ…んっ…」
いきなりキスされた。
「嫌いになんかならない。ずっと、姫だけ、姫だけ見てた。会えない五年半も、姫の事だけ考えてた。怒ってないから、ねっ?も、泣かないで」
「…ほ、ほんと?」
大きく頷いてくれるからやっと安心した。
「でも、他には俺に内緒にしてることない?」
「ないよ?」
「嘘。生徒会室で篤人と何話してたの?」
「ああ、八城さんは前から知り合いで、恋人紹介してもらったことあったから。だから、付き合ってるフリしてあげようかって言われたけど断った。碧空くんに誤解されるの嫌だったから」
「そっか、断ったんだ。俺のため?…そっか、そっか…」
碧空くんの機嫌が直ってホッとした。
「何だよ、智親」
碧空くんとソファに座り、目の前には美都瑠と智親くんがいる。
「いや、ほら、碧が入寮した日に鍵がかかるかって気にしてただろ?あれって、ウイッグとコンタクトのためなのか?」
「うん。ごめんね」
「そう言えば、そんなこと言ってたな。そうか…智親には見られたくなかったんだな…」
碧空くんは何故か嬉しそうにうんうんと頷いている。ほんと申し訳ない。こんな僕に可愛いとか言ってくれて、気にしてもらったっけ。
「あっ!」
「今度は何だよ?!」
「もしかして、高倉さんも知ってる?ウイッグとかコンタクトも」
「うぅ…うん…」
どうなんだと碧空くんにちょっと睨まれてビクッと震えた。
「怒ってないから言ってみ?」
「うん…眼鏡が伊達なのとウイッグだってことは知られてたけど、髪色とかは知らないよ。コンタクトのことも知らない」
途端に碧空くんから不機嫌オーラが溢れ、僕の腰を抱く力が強くなる。怒らないって言ったのに…。
「いつ?」
小さな、小さな声でポツリと呟き僕の肩に頭を乗せた。
「えっ?」
「だから、いつ高倉さんに姫の秘密を教えたんだ?」
「そうだよ!同じ部屋の俺にも教えてもらってないのに」
「僕にも教えてくれなかった。一番の友だちでしょ?」
三人に睨まれて固まってしまった。
「えっ、えっと…」
「言えないの?」
優しく聞いてくれるけれど、碧空くんの目は言うまで許してあげないと告げている。
「あの…、教えたんじゃなくて、バレちゃったって感じで…」
「脅されたの?」
「違うよ」
これ、言ってもいいんだろうか?言わないと質問攻撃は終わらなそうだけど、言ってしまったら確実に怒られるか、心配されるだろう。
もう二度と高倉さんと尾崎さんには近寄ることを許してもらえなさそうだ。決して親しく接したいと思っているのではない。けれど、友だちの少ない僕には、食堂や廊下ですれ違う時などに挨拶を交わす人がいるのは嬉しい。
ちょっと度を超えた接近が今回の事件のきっかけになってしまったけれど、悪い人ではない。
……と、思う。
あれこれ思い悩んで、考える時間が長すぎたようだ。余計に不機嫌になってる碧空くんは何か勘違いをしているみたいで、申し訳なくなる。
好きって言ってもらえたのに、ここで喧嘩はしたくない。
もう嫌われてしまっただろうか?
どうしよう…。
一度こんなふうに抱き寄せてもらえたのに、突き放されたら……生きていけない。
そうなれば、また逃げなくちゃならないんだろうか?
僕はこの腕の中には居られない?
どうしよう…どうしよう…。
「姫?」
「…ぅぅっ……」
「何泣いてるの?」
「だって……嫌わないで…もう嫌い?こんな僕はヤダ?…ぅっ…うぇぇん…」
碧空くんと智親くんと美都瑠が何か話してるけど、泣き出した僕には聞こえなかった。恥ずかしいけど止められない。抱きしめてくれるからまだここに居てもいいのかな?引き剥がされないなら抱きついていいだろうか?必死で離されないように碧空くんの腰に腕を回す。優しく頭を撫でて感触を楽しむように髪を梳き、指に絡ませる。そうしていると僕の涙が治った。前を見ると二人は帰っていなかった。
「もう、平気?」
「うん。ごめんね…泣いたりして」
「どうして泣いたの?」
覚悟を決めて新歓の鬼ごっこの時のことを話した。不機嫌になる碧空くんにまた涙が溢れて、嫌いにならないでってお願いした。もう遅いかもしれないけど自分の気持ちをちゃんと言わないといけないと思った。
「嫌われ、たら…生きて、いけないから、だから、ぅっ…んっ…」
いきなりキスされた。
「嫌いになんかならない。ずっと、姫だけ、姫だけ見てた。会えない五年半も、姫の事だけ考えてた。怒ってないから、ねっ?も、泣かないで」
「…ほ、ほんと?」
大きく頷いてくれるからやっと安心した。
「でも、他には俺に内緒にしてることない?」
「ないよ?」
「嘘。生徒会室で篤人と何話してたの?」
「ああ、八城さんは前から知り合いで、恋人紹介してもらったことあったから。だから、付き合ってるフリしてあげようかって言われたけど断った。碧空くんに誤解されるの嫌だったから」
「そっか、断ったんだ。俺のため?…そっか、そっか…」
碧空くんの機嫌が直ってホッとした。
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