10年前に戻れたら…

かのん

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ずっと、ずっと…②

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「恭ちゃん!」



「あっちゃん!?どうしたの?」



「今すぐこっちに来れない?お母さんが…」



「ハナさんがどうした?落ち着いて…」



敦子は握っている携帯が手の振るえで落としそうになる。



「落ち着いて、深呼吸して――」



恭平に言われたとおりに深呼吸をして気分を落ち着かせた。



「落ち着いた?」



「…うん。」



「どうしたの?」



「お母さんがまた手術していて…」



「どんな手術かわかる?」



「わかんない…」



「さっきまで一緒にいたの?どうなったの?吐血?」



「とにかく苦しそうで真っ青になって…息がうまくできていない感じだった。」



「そっか…」



ハナさんの癌はもう――




「今から来れない!?」



「ごめん…今からオペなんだ。」



「いつ…来れそう?」



「二週間ぐらいしないと落ち着かないんだ。」



「そんな…」



――間に合わないかもしれない



お母さんのさっきの様子をみたらそう思った





「あっちゃん…本当に色々してくれてありがとう。だけど俺も…きっとハナさんもたとえこのまま会えなくても大丈夫だよ。」



「どうして…ずっと待ってたのに…」



「何があっても…それが運命だって思えるから…かな?」



「運命?」



「ハナさんに会えて世界が変わった。ハナさんに出会ってなかったら、きっと医師じゃなくて花屋になっていたと思う。医師になったから、命を一人でも救うことができてよかったって思う。」



「恭ちゃん…」



「あっちゃんにも…」



「え?」




「ハナさんの娘さんが俺に会わそうと一生懸命になってくれてる…あっちゃんのその真っ直ぐな思いや強さを見てたら、俺も強くなりたいって思えるんだ。医師としてやることをまずやらないとって…」



「恭ちゃん…」



「あっちゃん、それまで一人で大丈夫?絶対行くから。終わったらすぐ行く。」



「…うん。待ってる。お母さんと一緒に待ってる。」



「じゃあ、二週間後…」



「うん!」















きっと神様は




もう一度二人をあわせてくれる――




そう思いたかった・・・














“ウィーン…”


手術室のドアが開いて先生が出てきた。



「先生!」



「お母さんは命は取り留めました。」



「よかった…」



「ですが――」



「えッ――」



「大丈夫ですか?」



「あ、すみません…」



敦子が倒れそうになったところを看護婦さんが支えてくれた。









恭ちゃん、早く来て――










――二週間後



“ガララララッ…”



「恭ちゃん…」



「遅くなってごめんね。」



「ううん…お母さん、恭ちゃん来たよ。」



敦子の声で窓の外を見ていた目を恭平へ向けた。



「ハナさん…」





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