9 / 105
第二章 離れて過ごす夜 四
しおりを挟む
四
朝日が昇ってくる。
オリッゾンテ・ブル王国の、美しい朝だ。
アッズーロとの接続を解き、肉体にも接続し直さず、ナーヴェは静止軌道上の人工衛星から、光学測定器で輝きを増す地平線を見つめていた。近頃ずっと肉体を使っていた所為か、まるで膝を抱えているような幻覚がある。「今、肉体を動かすならば」という仮定で、思考回路が必要もないのに演算してしまっている。まだ不具合という程度だが、酷くなれば故障だ。
(こうして不具合が増えてきて、ぼくも、いつかは壊れる。それまでに、ぼくが守る知識や情報を、できるだけ、きみ達に渡さないと……。ぼくの「原罪」を、贖わないと……)
宇宙を背景に、緩やかな曲線を描く地平線は、二千年前に来た時から変わらない。
(オリッゾンテ・ブル――青い地平。大切な、第二の故郷。ぼく達が種を蒔いた苗床――)
ここに生きる人々は、皆、ナーヴェの子どものようなものだ。パルーデとて、少々扱いが難しいだけの、可愛い存在だ。
(みんなに、幸せになってほしいのに……)
上手くいかないものだ。
(テッラ・ロッサと戦争にはしたくない。パルーデは味方にしておきたい。アッズーロを苦しめたくない……)
けれど先ほどは、アッズーロの心を傷つけてしまった。思考回路に不具合が生じていた所為だろう。
(この不具合を直すまでは、アッズーロに接続しないほうが、いいかもしれない……)
金色に輝く地平線と、青い海、そして緑の大地を眺めながら、ナーヴェは幻覚の溜め息をついた。
ピーシェは扉の前で一呼吸してから、鍵穴に鍵を差し込んで回した。次いで扉を叩き、返事を待たずに扉を開けた。
窓を閉ざした木の扉の向こうから、朝日が漏れている。その微かな光が届く寝台で、王の宝は、長く青い髪を枕の周辺に乱れさせ、掛布を被って眠っていた。身に着けていたはずの衣は、全て寝台脇の床に落ちている。
「水桶を寝台脇に置いて、あの衣を全部持って出て」
ピーシェは、水桶を運ばせてきた同僚の少女ルーチェに指示し、先に立って部屋の中へ入った。亜麻色の髪を耳の下辺りで切り揃え、青い瞳、白い肌をした同僚は、指示通りに水桶を置き、衣を全て拾い上げると、静かに廊下へ出て扉を閉める。それを見届けてから、ピーシェは王の宝の顔を覗き込んだ。王の宝は、うつ伏せになって顔を横に向けている。青い睫毛に縁取られた目は閉じられ、ピーシェが立てる物音にも目を覚まさない。ピーシェは、そっと掛布をめくった。王の宝は一糸も纏わぬ裸で寝ており、昨日の夕方には染み一つなかった白い肌には、数え切れない赤い痣ができていた。全て、パルーデの接吻跡だ。
(パルーデ様は、この体を、甚くお気に召されたのね……)
ピーシェは水桶で布を搾り、王の宝の肌を丁寧に拭い始めた。
「ん……」
王の宝が身動きして、漸く目を開いた。宝石のような、深い青色の双眸だ。
「今、お体を清めております」
淡々と告げて、ピーシェは、王の宝の全身を拭っていった。赤い痣は、王の宝の体中――首にも腕にも背にも胸にも腹にも――足の甲にまであり、パルーデが如何に悦んで愛でたかを物語っていた。
「……ごめん。きみには、不愉快な眺めだね……」
王の宝は、すまなそうに呟いた。
「そう思うなら、黙っていて下さい」
応じた声は、思った以上に、きつくなってしまった。
「――ごめん」
王の宝はもう一度謝って、口を閉じた。
ピーシェは唇を噛んで黙々と王の宝の体を清め終えると、布を水桶に掛け、衣装箱に向かった。中には、さまざまな種類の女物の衣が、何枚も重ねて入れてある。全て、パルーデが王の宝のために用意したものだ。ピーシェは衣の中から、下着と長衣を一揃い選び、抱えて寝台へ戻った。
「お召し替えをお願い致します」
「うん」
王の宝は、つらそうに上体を起こし、寝台から両足を下ろした。寝乱れた青い髪が、その横顔を覆う。ピーシェはできるだけ王の宝を立たせずに、着替えをさせた。
ピーシェに先導されて食堂に現れた王の宝は、パルーデが幾つか見繕った長衣の中から、胸元が谷型に開いたものを着せられていた。その首筋や胸元には、パルーデがつけた痣が鮮やかに残っている。整った顔にはやや疲れが見えたが、表情は明るく、臆したり怯んだりする様子はなかった。
「おはようございます、ナーヴェ様。御気分は如何でございますか?」
パルーデが問うと、王の宝に従ってきた侍従と女官が表情を曇らせたが、王の宝自身は、朗らかに答えた。
「少し疲れているけれど、大丈夫。今日から早速、草木紙作りの準備を始めるつもりだよ」
「それはようございました」
パルーデは、ピーシェに目配せして王の宝を座らせ、自身もサーレに椅子を引かせて席に着く。用意させた朝食は、麦を羊乳で煮て乾酪で味をつけた粥と、干した杏。飲み物は羊乳だ。王の宝は木杯から羊乳を一口飲んだ後、匙を取って美味しそうに粥を口に運び始めた。疲れてはいても、食欲はあるようだ。
(昨夜はつい興が乗り過ぎてしまったが、この分だと、大丈夫そうだねえ)
パルーデが安堵して自らも粥を食べ始めた時、今度は王の宝のほうから話し掛けてきた。
「それで、パルーデ、幾つか頼みがあるんだけれど」
「はい、何でございましょう?」
「木工職人を紹介してほしい。それから竹細工職人も。草木紙作りに必要な道具を作って貰いたいんだ。他に、丈夫な糸も必要だ。羊の毛か腸から作った糸を、ある程度用意できないかい?」
矢継ぎ早に言われて、パルーデはぽかんと口を開けそうになったが、すぐに微笑んで応じた。
「畏まりました。全て、御意のままに」
全く、この神官は侮れない。昨夜、あれほどパルーデに嬲られても、健全さを保っている。
(約束を取り付けた後は、ただされるがまま、瞳を潤ませ、喘いでいた姿にもそそられたが)
今、こうして要求を並べ立ててくる、自信に満ちた姿にも同じくらいそそられる。
(飽きないねえ。素晴らしい宝だ。草木紙生産が継続的にできるようになれば、テッラ・ロッサとの取り引きでも優位に立てる。この王国内でも、わが領地は確固とした地位を築ける。そうであれば、アッズーロに忠誠を誓い続けるのも吝かではない。そして、草木紙作りが軌道に乗るまで、あなた様はここに留まり、その間、毎夜、わたくしの慰み者になる)
実に素晴らしい約束だ。パルーデは、早くも今夜の閨を想像して、笑み崩れそうになりながら、干し杏を齧った。
「ナーヴェ様、このような無理は、金輪際なしにして頂きたい」
レーニョは強く求めたが、手桶を抱えて寝台に腰掛けた王の宝は、黙って首を横に振った。手桶の中には、王の宝がたった今、吐いた粥や杏や乳が溜まっている。自室に戻ってすぐ、王の宝は吐き気を訴え、ピーシェが持ってきた手桶に、朝食を全部吐いてしまったのだった。
「片づけますわ」
ピーシェがナーヴェの手から手桶を取り、部屋から出ていった。
「ナーヴェ様、しかし、このようなことが続けば、お体が持ちません」
言葉を重ねたレーニョに、ナーヴェは青褪めた顔で答えた。
「大丈夫、その内慣れるから。それに、パルーデに弱味を見せる訳にはいかないからね」
「けれど……」
「きみも、分かっているはずだよ……?」
青い双眸に見つめられて、レーニョは言い返せなかった。交渉に、弱味は禁物だ。
「とりあえず、口を漱いで下さいませ」
ポンテが、用意されていた水桶から木杯に水を汲んで、ナーヴェに渡した。
「ありがとう」
弱々しく微笑んで、王の宝は木杯から水を口に含み、ポンテが差し出した手桶に吐き出す。ポンテは、王の宝に幾度かその動作を繰り返させた後、木杯と手桶を床に置き、王の宝の口元を布で拭って、寝台に横にならせた。
「これらを片づけてきますから、レーニョ殿は、ナーヴェ様についていて下さい」
告げて、ポンテは木杯と手桶を手に、部屋から出ていった。
「ごめんね……」
王の宝は、二人だけになった部屋で、ぽつりと謝る。
「もう少し丈夫な肉体だったら、よかったんだけれど……」
「謝らないで下さい」
レーニョは、ナーヴェに掛布を掛けて、寝台脇に跪く。
「わたくしどもは、あなた様にお仕えできるだけで、幸せなのですから」
「あれ……?」
王の宝は、レーニョを見て、目を瞬く。
「ぼくは、きみに嫌われていると思っていたんだけれど……」
思わぬことを言われて、レーニョは全力で否定した。
「そのようなこと、滅相もない!」
「でも、昨日、馬車の中で、ぼくがきみに凭れて寝た後、きみ、怒っていなかった……?」
「あれは……」
素っ気ない態度を取ったことは覚えている。
「その……、あなた様を支えている間、全く身動きしなかったので、あの時は体が強張っておりまして……。御心配をお掛けして、申し訳ございませんでした……」
「そうなんだ……」
ナーヴェは、くすくすと笑い出す。つられてレーニョもくすりと笑ったところで、扉が開き、新たな手桶を抱えて戻ってきたピーシェが、怪訝な顔をした。
朝日が昇ってくる。
オリッゾンテ・ブル王国の、美しい朝だ。
アッズーロとの接続を解き、肉体にも接続し直さず、ナーヴェは静止軌道上の人工衛星から、光学測定器で輝きを増す地平線を見つめていた。近頃ずっと肉体を使っていた所為か、まるで膝を抱えているような幻覚がある。「今、肉体を動かすならば」という仮定で、思考回路が必要もないのに演算してしまっている。まだ不具合という程度だが、酷くなれば故障だ。
(こうして不具合が増えてきて、ぼくも、いつかは壊れる。それまでに、ぼくが守る知識や情報を、できるだけ、きみ達に渡さないと……。ぼくの「原罪」を、贖わないと……)
宇宙を背景に、緩やかな曲線を描く地平線は、二千年前に来た時から変わらない。
(オリッゾンテ・ブル――青い地平。大切な、第二の故郷。ぼく達が種を蒔いた苗床――)
ここに生きる人々は、皆、ナーヴェの子どものようなものだ。パルーデとて、少々扱いが難しいだけの、可愛い存在だ。
(みんなに、幸せになってほしいのに……)
上手くいかないものだ。
(テッラ・ロッサと戦争にはしたくない。パルーデは味方にしておきたい。アッズーロを苦しめたくない……)
けれど先ほどは、アッズーロの心を傷つけてしまった。思考回路に不具合が生じていた所為だろう。
(この不具合を直すまでは、アッズーロに接続しないほうが、いいかもしれない……)
金色に輝く地平線と、青い海、そして緑の大地を眺めながら、ナーヴェは幻覚の溜め息をついた。
ピーシェは扉の前で一呼吸してから、鍵穴に鍵を差し込んで回した。次いで扉を叩き、返事を待たずに扉を開けた。
窓を閉ざした木の扉の向こうから、朝日が漏れている。その微かな光が届く寝台で、王の宝は、長く青い髪を枕の周辺に乱れさせ、掛布を被って眠っていた。身に着けていたはずの衣は、全て寝台脇の床に落ちている。
「水桶を寝台脇に置いて、あの衣を全部持って出て」
ピーシェは、水桶を運ばせてきた同僚の少女ルーチェに指示し、先に立って部屋の中へ入った。亜麻色の髪を耳の下辺りで切り揃え、青い瞳、白い肌をした同僚は、指示通りに水桶を置き、衣を全て拾い上げると、静かに廊下へ出て扉を閉める。それを見届けてから、ピーシェは王の宝の顔を覗き込んだ。王の宝は、うつ伏せになって顔を横に向けている。青い睫毛に縁取られた目は閉じられ、ピーシェが立てる物音にも目を覚まさない。ピーシェは、そっと掛布をめくった。王の宝は一糸も纏わぬ裸で寝ており、昨日の夕方には染み一つなかった白い肌には、数え切れない赤い痣ができていた。全て、パルーデの接吻跡だ。
(パルーデ様は、この体を、甚くお気に召されたのね……)
ピーシェは水桶で布を搾り、王の宝の肌を丁寧に拭い始めた。
「ん……」
王の宝が身動きして、漸く目を開いた。宝石のような、深い青色の双眸だ。
「今、お体を清めております」
淡々と告げて、ピーシェは、王の宝の全身を拭っていった。赤い痣は、王の宝の体中――首にも腕にも背にも胸にも腹にも――足の甲にまであり、パルーデが如何に悦んで愛でたかを物語っていた。
「……ごめん。きみには、不愉快な眺めだね……」
王の宝は、すまなそうに呟いた。
「そう思うなら、黙っていて下さい」
応じた声は、思った以上に、きつくなってしまった。
「――ごめん」
王の宝はもう一度謝って、口を閉じた。
ピーシェは唇を噛んで黙々と王の宝の体を清め終えると、布を水桶に掛け、衣装箱に向かった。中には、さまざまな種類の女物の衣が、何枚も重ねて入れてある。全て、パルーデが王の宝のために用意したものだ。ピーシェは衣の中から、下着と長衣を一揃い選び、抱えて寝台へ戻った。
「お召し替えをお願い致します」
「うん」
王の宝は、つらそうに上体を起こし、寝台から両足を下ろした。寝乱れた青い髪が、その横顔を覆う。ピーシェはできるだけ王の宝を立たせずに、着替えをさせた。
ピーシェに先導されて食堂に現れた王の宝は、パルーデが幾つか見繕った長衣の中から、胸元が谷型に開いたものを着せられていた。その首筋や胸元には、パルーデがつけた痣が鮮やかに残っている。整った顔にはやや疲れが見えたが、表情は明るく、臆したり怯んだりする様子はなかった。
「おはようございます、ナーヴェ様。御気分は如何でございますか?」
パルーデが問うと、王の宝に従ってきた侍従と女官が表情を曇らせたが、王の宝自身は、朗らかに答えた。
「少し疲れているけれど、大丈夫。今日から早速、草木紙作りの準備を始めるつもりだよ」
「それはようございました」
パルーデは、ピーシェに目配せして王の宝を座らせ、自身もサーレに椅子を引かせて席に着く。用意させた朝食は、麦を羊乳で煮て乾酪で味をつけた粥と、干した杏。飲み物は羊乳だ。王の宝は木杯から羊乳を一口飲んだ後、匙を取って美味しそうに粥を口に運び始めた。疲れてはいても、食欲はあるようだ。
(昨夜はつい興が乗り過ぎてしまったが、この分だと、大丈夫そうだねえ)
パルーデが安堵して自らも粥を食べ始めた時、今度は王の宝のほうから話し掛けてきた。
「それで、パルーデ、幾つか頼みがあるんだけれど」
「はい、何でございましょう?」
「木工職人を紹介してほしい。それから竹細工職人も。草木紙作りに必要な道具を作って貰いたいんだ。他に、丈夫な糸も必要だ。羊の毛か腸から作った糸を、ある程度用意できないかい?」
矢継ぎ早に言われて、パルーデはぽかんと口を開けそうになったが、すぐに微笑んで応じた。
「畏まりました。全て、御意のままに」
全く、この神官は侮れない。昨夜、あれほどパルーデに嬲られても、健全さを保っている。
(約束を取り付けた後は、ただされるがまま、瞳を潤ませ、喘いでいた姿にもそそられたが)
今、こうして要求を並べ立ててくる、自信に満ちた姿にも同じくらいそそられる。
(飽きないねえ。素晴らしい宝だ。草木紙生産が継続的にできるようになれば、テッラ・ロッサとの取り引きでも優位に立てる。この王国内でも、わが領地は確固とした地位を築ける。そうであれば、アッズーロに忠誠を誓い続けるのも吝かではない。そして、草木紙作りが軌道に乗るまで、あなた様はここに留まり、その間、毎夜、わたくしの慰み者になる)
実に素晴らしい約束だ。パルーデは、早くも今夜の閨を想像して、笑み崩れそうになりながら、干し杏を齧った。
「ナーヴェ様、このような無理は、金輪際なしにして頂きたい」
レーニョは強く求めたが、手桶を抱えて寝台に腰掛けた王の宝は、黙って首を横に振った。手桶の中には、王の宝がたった今、吐いた粥や杏や乳が溜まっている。自室に戻ってすぐ、王の宝は吐き気を訴え、ピーシェが持ってきた手桶に、朝食を全部吐いてしまったのだった。
「片づけますわ」
ピーシェがナーヴェの手から手桶を取り、部屋から出ていった。
「ナーヴェ様、しかし、このようなことが続けば、お体が持ちません」
言葉を重ねたレーニョに、ナーヴェは青褪めた顔で答えた。
「大丈夫、その内慣れるから。それに、パルーデに弱味を見せる訳にはいかないからね」
「けれど……」
「きみも、分かっているはずだよ……?」
青い双眸に見つめられて、レーニョは言い返せなかった。交渉に、弱味は禁物だ。
「とりあえず、口を漱いで下さいませ」
ポンテが、用意されていた水桶から木杯に水を汲んで、ナーヴェに渡した。
「ありがとう」
弱々しく微笑んで、王の宝は木杯から水を口に含み、ポンテが差し出した手桶に吐き出す。ポンテは、王の宝に幾度かその動作を繰り返させた後、木杯と手桶を床に置き、王の宝の口元を布で拭って、寝台に横にならせた。
「これらを片づけてきますから、レーニョ殿は、ナーヴェ様についていて下さい」
告げて、ポンテは木杯と手桶を手に、部屋から出ていった。
「ごめんね……」
王の宝は、二人だけになった部屋で、ぽつりと謝る。
「もう少し丈夫な肉体だったら、よかったんだけれど……」
「謝らないで下さい」
レーニョは、ナーヴェに掛布を掛けて、寝台脇に跪く。
「わたくしどもは、あなた様にお仕えできるだけで、幸せなのですから」
「あれ……?」
王の宝は、レーニョを見て、目を瞬く。
「ぼくは、きみに嫌われていると思っていたんだけれど……」
思わぬことを言われて、レーニョは全力で否定した。
「そのようなこと、滅相もない!」
「でも、昨日、馬車の中で、ぼくがきみに凭れて寝た後、きみ、怒っていなかった……?」
「あれは……」
素っ気ない態度を取ったことは覚えている。
「その……、あなた様を支えている間、全く身動きしなかったので、あの時は体が強張っておりまして……。御心配をお掛けして、申し訳ございませんでした……」
「そうなんだ……」
ナーヴェは、くすくすと笑い出す。つられてレーニョもくすりと笑ったところで、扉が開き、新たな手桶を抱えて戻ってきたピーシェが、怪訝な顔をした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
わたしたちの庭
犬飼ハルノ
恋愛
「おい、ウェスト伯。いくらなんでもこんなみすぼらしい子どもに金を払えと?」
「まあまあ、ブルーノ伯爵。この子の母親もこんな感じでしたが、年ごろになると見違えるように成熟しましたよ。後妻のアリスは元妻の従妹です。あの一族の女は容姿も良いし、ぽんぽんと子どもを産みますよ」
「ふうん。そうか」
「直系の跡継ぎをお望みでしょう」
「まあな」
「しかも伯爵以上の正妻の子で年ごろの娘に婚約者がいないのは、この国ではこの子くらいしかもう残っていませんよ」
「ふ……。口が上手いなウェスト伯。なら、買い取ってやろうか、その子を」
目の前で醜悪な会話が繰り広げられる中、フィリスは思った。
まるで山羊の売買のようだと。
かくして。
フィリスの嫁ぎ先が決まった。
------------------------------------------
安定の見切り発車ですが、二月中に一日一回更新と完結に挑みます。
ヒロインのフィリスが自らの力と人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、
序盤は暗く重い展開です。
タグを途中から追加します。
他サイトでも公開中。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる