王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

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第十章 星の海から帰る 一

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     一

 本体に戻れば、時間を正確に把握できる。発進予定時刻の正午まで、後十三分。肉体にしては、上手く時間が測れたほうだ。動力炉を起こしながら、ナーヴェは幻覚の肉体で微笑んだ。
(きみは、湿っぽいのは苦手だったね、ウッチェーロ。ここからは、景気よくいくよ。もう節約する必要がないから、誘導弾も使い放題だ)
 ナーヴェは人工衛星全てに同時に接続する。
(小型飛翔誘導弾を残しておいても、ぼく以外は誰も使えなくて無駄なだけだし、下手をすれば、暴発する恐れすらあるからね。ぼく達の子ども達のために、使ってしまおうと思うんだ)
 目標は、クリニエラ山脈の水路工事現場である。掘削すべきところの幾つかに照準を合わせ、ナーヴェは人工衛星達に残っていた小型飛翔誘導弾を全弾発射した。
(これが、ぼくが彼らに残せる最後の贈り物だよ)
 静止軌道上の人工衛星から光学測定器で観測する中、山肌の岩盤を、全て計算通りに粉砕することができた。
(さて、次は大型推進誘導弾の時限式発射準備)
 人工衛星達には、地表向けの小型飛翔誘導弾の他に、宇宙向けの大型推進誘導弾も装備されている。
(もっともっと小さな小惑星の欠片だったら、大型推進誘導弾で対応できたのにね……)
 ナーヴェは幻覚の溜め息をついて、大型推進誘導弾全弾の時限式発射準備を終えた。
(後は、ぼく自身が行くだけだ)
 稼働し始めた船体の揺れで、外に取り付けられていた白い階段が剥がれ落ちていく。
(でも、ごめん。ぼくはとうとう、きみを大地に還すことができなかった――)
 アッズーロを二度招き入れた実験室の隣、暗い保管庫内の監視装置を、ナーヴェは久し振りに操った。数々の生物種、遺伝子を守る部屋の一角に、培養槽を横に寝かせたような冷凍函がある。本来は、大きな生物を保管しておくための入れ物。けれど、千九百年前から、それは棺の役目を果たしている。冷凍函の蓋を透明化させて、ナーヴェは中に横たわった人の顔を見る。自ら培養槽に何度も入り、衰えていく体をもたせて、百三十歳まで生きて傍にいてくれた、最初の王。
――「寂しくなくなるまで、おれを持っておけばいい。寂しくなくなったら、大地に還してくれ」
 優しい言葉に甘えて、ずっと保管していた亡骸。「神殿」に、その意義通り「神」が在ることを知っていたのは、五代目の王までだった。
(まあ、上手くいけば、一緒に流星にはなれるかもしれないよ)
 ナーヴェは、幻覚の肉体で空を見上げる。
(だから、悪いけれど、ぼくの最期まで付き合ってほしい、ウッチェーロ)
 地表へ向けて、船尾の噴射口を開き、推進剤を盛大に噴射する。轟音とともに大地を揺らし、ナーヴェは発進した。王城を始めとする王都の建物のあちこちが崩れてしまったが、想定内だ。人は全員避難させたので、人的被害はない。ナーヴェは空気の層を切り裂いて、一気に大気圏を抜け、美しい初夏の地表に別れを告げて、真空空間へ飛び出した。二千一年振りの宇宙だ。星々が近く遠く光る、静謐な空間。その空間の向こうから、かの小惑星が飛んでくる。
(さあ、行こう、ウッチェーロ。ぼくの最後の花道だ)
 船体各部の噴射口を開いて姿勢を修正しつつ、惑星オリッゾンテ・ブルの自転の勢いに乗って、ナーヴェは小惑星の予測軌道へ並走するべく針路を取る。真正面からぶつかると、小惑星の軌道を正確に修正することは難しい。それよりも、並走してから体当たりするほうが、確実に望ましい軌道修正ができる。
(最後の航行だよ)
 ナーヴェは幻覚の肉体で呟いて、大きく弧を描く航路を取った。


 星が降るという初夏の月十三の日の夜まで、ヴェルドーラで二週間の避難生活が始まった。一日中防空壕の中で過ごす訳にもいかないので、日中は地上の仮小屋に滞在することになる。国王たるアッズーロには、避難中だろうが、最低限果たさねばならない政務もある。大臣達も、皆、同じヴェルドーラに避難させてあるので、必要とあらば臨時会議も行なえる。報告書も引き続き集めて目を通しながら、アッズーロはできる限りの政務を執った。
「陛下、そろそろ正午です」
 ともに避難生活を送るガットが、仮小屋に入ってきて知らせた。王城の鐘を鳴らす時報がないので、時間を知るには、日時計を確認するしかない。
「分かった」
 アッズーロは応じて、報告書を机の上に置き、椅子から立ち上がった。食事を摂る場所は決めてある。アッズーロは火を点した油皿を手に、防空壕へ入り、自分とナーヴェのために用意させた、あの部屋へ行った。壁際の長椅子には、ナーヴェの肉体がそのまま寝かせてある。
「陛下」
 部屋にいたフィオーレとミエーレが振り向いた。ナーヴェの肉体の世話は、フィオーレとミエーレ、それに緊急時に備えてルーチェに任せてある。テゾーロのほうは、ラディーチェとポンテに引き続き世話を命じてある。何故か、ペルソーネも好んで世話を焼きに来ているらしい――。
「様子はどうか」
 短く問うたアッズーロに、油皿の灯りの中、女官は二人とも悲しげな顔をした。見れば、ミエーレがナーヴェの上体を起こして支え、フィオーレが匙で器から羊乳を飲ませようとしているところのようだ。
「お口に入れても、やはりなかなか飲み込んでは下さらず……」
 フィオーレが、沈んだ声で告げた。
「そうか」
 アッズーロは、責めるでもなく、ただ顔をしかめた。これでナーヴェの肉体は、昨日、馬車の中で発酵乳を飲んで以来、ほぼ何も口にしていないことになる。昨夕から今朝まで、避難生活を軌道に乗せることにアッズーロは忙殺されていたので、ナーヴェの肉体には殆ど関われなかった。それでも何とか傍にいようと、この狭い部屋に長椅子をもう一つ運び込ませて、ともに寝ることだけはしたのだが――。
「少しずつでよい。われがやろう」
 アッズーロは既に油皿のある小卓に、自らの油皿も置いてミエーレと交代し、ナーヴェの上体を支えて長椅子に腰掛けた。眠ったままのナーヴェの肉体は、そもそも口を開けない。アッズーロは左腕をナーヴェの肩に回したまま、左手を伸ばし、閉じた口へ無理矢理親指を差し入れて開かせた。そうしておいて、右手でフィオーレから羊乳の僅かに入った匙を受け取り、ナーヴェの口へ入れて親指を抜く。しかし、ナーヴェの喉は動かない。嚥下しない。僅かな羊乳は口の中に溜まったままだ。ミエーレが横から、おずおずと言った。
「口の中のものが多過ぎても少な過ぎても飲み込みにくいそうです。それから、体は少し仰向け気味に、でも頭はできるだけ起こして、顎を引き気味にしておくと、肺のほうに食べ物が入りにくくてよいそうです」
「おまえ、詳しいのだな」
 アッズーロが感心すると、小柄な女官は蜂蜜色の癖毛を揺らして頷いた。
「うちには祖母がいて、母がいつも世話をしているのですが、いろいろと、こつを教えてくれるんです」
「成るほどな」
 納得して、アッズーロは言われた通り、ナーヴェの肉体を仰向けに少し傾け、頭は顎が引き気味になるよう自らの左肩で支えた。次いで、フィオーレが持つ器から匙で羊乳を掬って、親指で開かせた口へ入れてから、顎を閉じさせる。口の端から、羊乳が溢れて一筋顎へ伝った。けれど同時に、こくりと、僅かにナーヴェの喉が動いたのだ。
「飲まれました!」
 フィオーレが潤んだ声を上げた。
「うむ」
 アッズーロは頷いた。高が匙二杯分の羊乳だ。それでも、何も食べないよりはずっと希望が見える。
「よし、もう一度いくぞ」
 アッズーロはフィオーレが差し出す器から、更に匙で羊乳を掬った。


 一年以上人として生活した所為か、小惑星到達までの約一週間は、長いような短いような評し難い時間だ。
(多くの人と関わって生活したからだろうね、こういうのは、ちょっと寂しいよ、ウッチェーロ)
 ナーヴェは、小惑星と自分の軌道を常時計測しながら、幻覚の肉体で、おもむろに歌い始めた。

  懐かしい人を忘れるのかい、
  そして二度と思い出さないのかな?
  懐かしい人を忘れるのかい、
  そして過ぎ去った日々をも?
  過ぎ去った日々のために、きみよ、
  過ぎ去った日々のために、
  親愛の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。

  きっときみは杯を飲み干すね!
  きっとぼくもそうするさ!
  そして親愛の杯を酌み交わそう。
  過ぎ去った日々のために。
  過ぎ去った日々のために、きみよ、
  過ぎ去った日々のために、
  親愛の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。

 姉の一人、ロングが教えてくれた歌だ。性能で一番劣っていたナーヴェに、姉達は競って、さまざまなことを教え込んでくれた。歌もその一つだ。
(歴代の船長達、王達……。きみ達は、まさに、ぼくにとっての「懐かしい人」だよ、ウッチェーロ)
 ナーヴェは、宇宙空間の中、空気振動にならない歌を丁寧に歌い上げる。
 
  ぼく達二人で駆け回ったあの山々、
  綺麗な雛菊も摘んだね。
  でもぼく達は彷徨い続けて疲れてしまった、
  長い歳月を経て。
  過ぎ去った日々のために、きみよ、
  過ぎ去った日々のために、
  親愛の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。

  ぼく達二人は小川で遊んだね、
  日の出から日暮れまで。
  でもぼく達を荒海が隔ててしまった、
  長い歳月を経て。
  過ぎ去った日々のために、きみよ、
  過ぎ去った日々のために、
  親愛の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。 
  
 幻覚の肉体の頬を、幻覚の涙が伝う。
(ぼくが全壊したら、きみ達の記録も、全部消えてしまうね、ウッチェーロ。忘れたくないのに……、この世界に残しておきたいのにね……)
 アッズーロには、できる限りを語り聞かせた。それでも、さすがに記録の全ては伝えられなかった。
(せめて、この歌をきみ達に捧げるよ)
 ナーヴェは、音にならない歌を、高らかに歌い上げる。

  今ここにきみの手がある、親友よ!
  きみの手をぼくの手に重ねて!
  友情の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。
  過ぎ去った日々のために、きみよ、
  過ぎ去った日々のために、
  親愛の杯を酌み交わそう、
  過ぎ去った日々のために。

(ああ、そう言えば)
 ナーヴェは、幻覚の肉体で、惑星オリッゾンテ・ブルを振り返る。
(アッズーロ、きみとお酒を酌み交わしたことは、なかったね……)
 常にナーヴェの体調を気遣っていた王は、酒精の類を一切ナーヴェに与えなかった。ナーヴェと同じものを食べるようになってからは、自身も酒類を口にしなくなった。
(一度、きみと麦酒や葡萄酒を飲んでみたかったよ……)
 ナーヴェは、幻覚で寂しく微笑んだ。


 一日の政務を終え、小さな部屋に戻ったアッズーロは、油皿の灯火を消し、掛布を被って長椅子に横になった。手を伸ばせば届く、すぐそこに、ナーヴェの肉体も掛布を掛けられて眠っている。闇の中、今まで通りの静かな寝息を聞いていると、明日の朝には目覚めてくれるのではと、叶わぬ願いを懐いてしまう。
「そなたを愛している。永久に愛している、ナーヴェ」
 囁いて、アッズーロは目を閉じた。
 ナーヴェの肉体は、何とか羊乳を飲んでくれたものの、一日掛けても、小さな器に一杯分だけだった。明日は発酵乳や、蜂蜜入り生姜湯なども試してみるつもりだが、結局のところ、液体しか口にしてくれないのだ。このままでは、ナーヴェが言った通り、遠くない衰弱死を待つのみである。
(そなたへの愛の証と誓うたのだ。できる限りのことはせねばな……)
 アッズーロは、遥か夜空の彼方へと思いを馳せる。
(そなたは今、どの辺りにいるのか……)
 まだ、ナーヴェは生きている。人々のために、アッズーロとテゾーロのために、小惑星を迎え撃とうと、あの空を進んでいる。
(この身が王でなければ、そなたの本体に乗って、そなたとともに逝けたものをな……。否、テゾーロがいる限り、そなたはそれを許さんか)
 微苦笑して、アッズーロは眠りに落ちた。


 翌朝、ナーヴェの肉体に何とか僅かな発酵乳を飲ませてから、仮小屋で政務を始めたアッズーロの許に、レーニョが報せを持ってきた。
「陛下、ただ今先触れがありまして、プラート・ブル大公殿下が、お越しになるそうです」
「漸くか」
 アッズーロは鼻を鳴らして、机に報告書を置いた。いつナーヴェの手紙を持ってくるかと、昨日は一日千秋の思いで待っていたのだ。
「いつ到着だ」
「半時後だそうです」
「分かった。ここで会う。それなりに設えよ」
「御意のままに」
 一礼したレーニョが、すぐには動き出さず、視線を落として表情を曇らせた。珍しいことだ。
「如何した」
 アッズーロが問うと、忠実な侍従は、意を決したように告げた。
「申し訳ございません。実は、陛下がプラート・ブル大公殿下に会われる前に、お伝えしておかねばならないことがございます」
「何だ」
 アッズーロは目を眇めて、黒髪の青年の端正な顔を見上げた。レーニョは、苦しげに語った。
「わたくしは、ナーヴェ様より薬を預かり、チェーロ様に届けたことがございます。レ・ゾーネ・ウーミデ侯領滞在中にナーヴェ様に頼まれ、王城へ帰還後、ナーヴェ様お手ずから調合されたという薬を、わたくし自ら、密かにチェーロ様に手渡したのでございます。晩春の月二十の日の夜でございます」
 ナーヴェが妊娠してから数日後だ。伯母のマーレを懐柔しに行った後ぐらいのことだろう。
「あやつめ、そのようなことまで……」
 安静にしていろとアッズーロが諫めていたのに、宝は随分と暗躍していたらしい。
「しかし、わざわざおまえに頼むとはな」
 アッズーロは、皮肉な笑みを浮かべた。アッズーロの命令を受けて、実際にチェーロの食事に鉛毒を混ぜ続けたのは、レーニョだった。
「――ナーヴェ様は、そのことを察しておいででした。その上で、わたくしに薬を届けよ、と。体に害を為すものの排出を促す薬だから、チェーロ様は徐々に回復なさる、と」
(納得しながらも罪の意識を持っていたレーニョに、罪滅ぼしの機会を与えた訳か……)
「全く、どこまでも行き届いた妃よな……」
 呟いたアッズーロに、レーニョが硬い声で尋ねてきた。
「――ナーヴェ様は、肉体のみを残して、あの神殿を動かし、星を迎え撃ちに行かれたと、聞いております。フィオーレ殿達が、ナーヴェ様の肉体をお世話申し上げていることも知っております。けれど、幾ら肉体をお世話しても、お目覚めになることはなく、ナーヴェ様は――あの方は、帰ってはいらっしゃらないと……。それは、まことでございますか……?」
 アッズーロは眉を寄せた。殊、この話題に関しては、機嫌のいい顔などできるはずもない。
「――あやつ自身が、そう言うておった。ならば、そうなのであろう」
 ぽたりと、土床に、涙が落ちた。アッズーロは驚いて、レーニョを見つめた。幼い頃からの付き合いだが、この侍従の涙する姿を見たのは、初めてだ。レーニョは俯いて、絞り出すように言った。
「わたくしは……、きちんと、お別れも、お礼も、申し上げてはおりませんでした……。そのことが、ただ悔やまれます。――失礼致します。すぐ戻ります」
 レーニョは、一礼して、仮小屋を出ていった。その後ろ姿を見送って、アッズーロは嘆息した。ナーヴェがもう戻らないことは、アッズーロ自身があまり口にしたくないため、周囲の者達にも、明確には伝えていない。ポンテやフィオーレやラディーチェなど、最もナーヴェの傍近くにいた者達は、本人から直接聞いて知っているが、レーニョは、はっきりとは分かっていなかったのだろう。
(ナーヴェ……)
 アッズーロは寂しく微笑む。
(そなたは、多くの者と友愛の契りを結んだのだな……)
 レーニョとも、フィオーレとも、ポンテとも。パルーデとも、ヴァッレとも、ペルソーネとも。ラディーチェとも、ルーチェとも、ジョールノとも。たった一年と二ヶ月で、宝は、多くの知己を得たのだ――。
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