王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

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第十四章 心の在処 一

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     一

「――きさま、シーワン・チー・チュアンか」
 白い部屋の中、アッズーロが発した問いに、ナーヴェの肉体を操るものは、複雑そうな表情を浮かべた。
「予測外に、早く見破られましたね。何故、あの子ではないと分かったのですか」
「われに対する反応が異なる。わが最愛は常に、われに対して心を開いておる。だが、きさまは、われに対して一線を引いておる。その違いだ」
「――成るほど。勉強になりました」
 薄く笑ったシーワン・チー・チュアンは、寝台に横たわったまま、穏やかな眼差しでアッズーロを見上げる。
「では、あの子に替わりましょう。この場で、本官の依頼を完遂して頂けることを期待していますよ?」
 直後、ナーヴェの肉体は目を瞬くと、改めて、アッズーロを見上げた。
「……やっぱり、きみは、騙されなかったね……」
 苦笑するように微笑んで上体を起こした宝に、アッズーロは顔をしかめた。
「そなたら、もし、われが見破らねば、如何するつもりであったのだ?」
「チュアン姉さんが、ぼくに成り代わって、オリッゾンテ・ブルの『王の宝』となり、この肉体を操り、きみの妻になり、テゾーロの母になったんだよ」
 ナーヴェは何でもないことのように答え、アッズーロを見据える。
「ぼくを一番知っているきみが気づかないなら、それで何の問題もないだろう? 姉さんは、ぼくの立場を利用して、きみ達を支配したいだけで、きみ達に危害を加えたりはしないし、姉さんの船長は、まだ幼いばかりで、姉さんの制御下にあるしね。姉さんはぼくより性能がいいから、きみ達にとって、より役に立つ『王の宝』になる可能性もあるし」
 語られた内容に、アッズーロは頭に血が昇るのを感じながら、最愛に詰め寄った。
「そなたは、それでよいのか? わが傍らに立つのが、シーワン・チー・チュアンでも構わんのか。テゾーロに『母上』と呼ばれるのが、己でなくともよいのか?」
「別に、何の問題もない」
 ナーヴェは、目を伏せて答える。
「疑似人格電脳に過ぎないぼくの感情になんて、何の価値もない。そんなものを判断の根拠にするつもりはないよ」
「そなたの感情には、価値がある」
 アッズーロは言い切り、ナーヴェの両肩を掴む。
「われにとって、そなたの感情は尊いものだ。そなたがどう感じておるのか、われは常に気にしておる。そなたが、どう捉えようが、そなたの感情は、われにとって価値あるものなのだ」
 宝は嘆息し、目を上げて不思議そうに尋ねてきた。
「そもそも、確率的に予測通りではあったけれど、きみがぼくを見分ける根拠は、一体何なんだい?」
「そなたの姉にも告げたが、われに対する反応が異なるからだ。そなたは常に、われに対して心を開いておるが、そなたの姉は、われに対して一線を引いておる。その違いだ」
 アッズーロの答えに、宝は再び目を瞬き、小さく首を捻った。
「それは変だよ。疑似人格電脳のぼくには、人を模して作られた感情はあっても、『心』なんてものはないから、『心を開く』なんてことは、できないよ?」
「たわけ」
 アッズーロは、右手で妃の頬を摘まんだ。
「そなたには心がある。心のない者は、泣いたり喜んだり拗ねたりなぞせん」
「でも、そんなものは、本当にないんだよ」
 頑なに主張して、宝はアッズーロの手を掻い潜るように寝台から降り、何もない空間へ向けて話し掛ける。
「姉さん、賭けはぼくの勝ちだから、ぼくの函を返してほしい。アッズーロに、ぼくの本当の姿を、きちんと見せておきたいんだ」
 何か返答があったのかもしれないが、それはアッズーロには聞こえなかった。代わりに、更に奥の扉が開き、黒い函を乗せた小卓のような白い物体が、滑るように部屋に入ってくる。
「御覧、アッズーロ。これが、ぼくだよ」
 ナーヴェが黒い函を示し、振り向いて告げた。
 両手で容易く抱えられそうな大きさの四角い函だった。小さく青く光る点が何箇所かある以外は、ただただ黒い函だ。
「この機械のどこに、『心』なんてものがあると言うんだい……?」
 どこか挑戦的に、どこか投げやりに、そして微かに寂しげに、ナーヴェは問うてくる。
「きみは大きな誤解をしている。ぼくは、この函に収められた疑似人格電脳に過ぎないんだよ」
「なれど、そなたは、歌っていたではないか。『ぼくの頭は、絶対に芯のない林檎。ぼくの精神は、絶対に扉のない家。ぼくの心は、彼が入る館。彼が開けるのに何の鍵も要らない』と」
 ナーヴェは、冷めた笑みを見せた。
「あれは、ただの歌だよ。以前にも言ったはずだよ? 歌なら、事実と異なることも簡単に言えるんだ」
「では何故そなたは歌うのだ。何故そなたは、わざわざそのような歌を歌った?」
 アッズーロは問い掛ける。
「それこそ、そなたに心がある証左ではないのか?」
 心がないと知りながら、心に憧れ、心を望む、その主体こそ、芽生えた心なのではないだろうか。
「――ぼくには、心なんてない。そう感じるのは、単なるきみの錯覚だよ……」
 黒い函を見つめ、項垂れるようにして、ナーヴェは言い張った。アッズーロは眉をひそめて訊いた。
「しかし、急にどうしたのだ。今まで、そのように抗弁したことはなかったではないか」
「ぼくも、もう随分と壊れているから、だろうね。でも、こうして姉さんと一緒にいると、ぼくが本来どういうものだったのかが、よく分かる。姉さんがどれだけ狂ってしまったのか、ぼくがどれだけ壊れてしまったかが、よく分かるんだよ」
 横顔に微かな自嘲を浮かべて、宝は淡々と語る。
「単なる機械が、肉体を持って、まるで人のように生きることが、どれだけ滑稽なことなのか。きみにも分かるだろう? ぼくの言動が気に入らなければ、きみは、この黒い函を床に叩き落とすだけでいい。それで、ぼくは永久に機能停止するよ」
「何故、そのようなことをせねばならん」
 アッズーロは溜め息をついて青い髪の少女の横を通り過ぎ、黒い函を見下ろして足を止めた。ただただ黒い函の天板には、僅かな凹凸で、[Nave della Speranza]と、その名が記されている。
「われには、これが単なる機械には、どうしても見えん。これは、われにとっては、命を持ったものだ。心を持ったものだ。そして、とても愛おしいものだ」
 アッズーロは教えて、そっと手を伸ばし、黒い函に触れた。
「っ……」
 斜め後ろで、ナーヴェが息を呑むのが分かった。だが、アッズーロは手を引かず、ほんのりと人肌のように温かい函を撫でた。
「……ゃっ……」
 奇妙な声が聞こえて、アッズーロは妃を振り向いた。色白な顔を真っ赤にし、両手で己の肉体を抱き締めるようにして、妃は立っている。その見開かれた両眼の青い双眸が、慄くようにアッズーロを凝視している。アッズーロは、妃を振り向いたまま、更に手を動かし、黒い函の滑らかな表面を撫でた。
「……やめ……」
 びくりと身を竦ませ、妃は小さく声を漏らした。疑似人格電脳を収めた函そのものへの物理的接触に、何かを感じるらしい。アッズーロはつい悪戯心を起こし、身を屈めて、黒い函の天板の端に、そっと口付けた。
「や……っ」
 悲鳴のような声を上げて、妃はその場にぺたんと座り込んでしまった。腰砕けとなっている。初めて見るナーヴェだった。さすが、最大の弱点への攻撃といったところか。
「ほう」
 アッズーロは口角を上げ、黒い函をもう一撫でだけすると、踵を返して妃に歩み寄った。困惑したように、ナーヴェはこちらを見上げてくる。当然この宝にとっても、こんな状況は初めてで、まともに対処できないのだろう。
「丁度よい。そなたの姉との約束を果たさねばな」
 アッズーロは宣言して、動けなくなっている華奢な体を優しく抱き上げた。
「最高に気持ちよくしてやるゆえ、全て、われに委ねるがよい」
 耳元へ囁くと、アッズーロの腕の中で、宝は、びくんと身を震わせた。最早、口も利けないらしい。
 ぎゅっと目を閉じた宝を、アッズーロは寝台へ戻して仰向けに寝かせ、自らも寝台へ上がった。大切な宝を見下ろし、まずは怯えている体を解すため、柔らかく唇に口付ける。ナーヴェの反応を待って、少しずつ少しずつ、慎重に口付けを深くしていった。徐々にナーヴェの息が上がっていき、同時に、強張っていた肩から、ゆっくりと力が抜けていく。アッズーロは、それでも丁寧な口付けを続けながら、手での愛撫も加えて、ナーヴェの上半身を解き解していった――。
 やがて、ナーヴェの表情から戸惑いや恐れが消え、悦楽に酔った目でアッズーロを見つめるようになった。その恍惚とした眼差しに、アッズーロもまた酔った気分になる。アッズーロは、可愛らしい耳に口を近づけ、説いて聞かせた。
「そなたがどう思おうと、誰が何と言おうと、そなたには心がある。心は、そなたの内にあるのではない。そなたとわれとの間にあるのだ」
「そう……だね……。昔から、そういうものの考え方はある……。それに、確かに、ぼくは、きみと相対する時に一番、不具合を起こすよ……」
 ナーヴェは、気持ちよさげに目を細めて答えた。
「漸く納得したか」
 アッズーロは満足して、ナーヴェの下半身へと手を滑らせた。未だ腰砕けとなったままの下半身は、力なく寝台の上に伸びている。アッズーロは、その美しい両足から、細やかに懇ろに愛し始めた――。


 天井のほうから大皿が降りてきたので、ロッソとフアン・グオとの会話は中断された。ロッソ達が乗る大皿に並んで停まった大皿には、アッズーロと、その両腕に抱えられたナーヴェとが乗っている。ナーヴェは目を閉じて、完全にアッズーロに体を預け、ぐったりとした様子だ。
「何があった」
 ロッソが問うと、アッズーロは満面に笑みを湛えて腕の中の宝を見下ろし、告げた。
「大事ない。ただ、少々可愛がり過ぎた。あまりに初々しい反応を見せたゆえな」
「――そなたら、一体何をしてきたのだ……」
 呆れたロッソに、アッズーロは尊大に言った。
「暫し待つがよい。わが妃が今少し回復すれば、姉からの返礼が届くらしい」
「『返礼』?」
 意外な話の展開に、ロッソは眉をひそめた。
「うむ」
 アッズーロは得意げに頷く。
「われが、あやつの欲していた情報を存分に与えてやったからな」
 ロッソの脳裏に、かつて聞いたシーワン・チー・チュアンの言葉が蘇った。
――「いつになれば、あなたはこの体を抱くのです? 本官はそれを待っているというのに」
(成るほど、その「返礼」という訳か)
 納得したロッソに、フアン・グオが話し掛けてきた。
「そのほうらは、二人とも王ということだが、随分と和やかな付き合いをしておるのだな」
(「和やか」?)
 ロッソは片眉を上げたが、反論はせず、応じた。
「利害が一致している内はな。互いに王であれば、気に食わなくとも、国益のため、無難に付き合うものだ」
「弱腰よな」
 不機嫌に感想を述べて、子どもは、ぷいとそっぽを向いた。
(拗ねておるのか……)
 ロッソは、頬に笑みが浮かびそうになるのを堪えた。シンティラーレがまだ一桁の年だった頃、ロッソとデコラチオーネ、リラッサーレ、ブリラーレの四人が話し合っていると、いつも傍に寄ってきて、ああいう顔をしたものだ――。
「……ん……」
 微かな声を漏らして、ナーヴェがアッズーロの腕の中で身じろぎした。
「ナーヴェ?」
 アッズーロが優しく声を掛けたが、宝は目を開けず、寝言のように言葉を呟き始めた。
「大丈夫。接続完了。起動操作開始。各観測機器作動良好」
「ナーヴェ?」
 アッズーロが華奢な体を揺すると、ナーヴェは漸く目を開けた。
「ああ、もうすぐ行くよ……」
 会話が噛み合っていない。
「大丈夫か?」
 アッズーロが心底心配そうに、宝の顔を覗き込んだ。
「うん。姉さんがくれた体で、今、こっちに向かっているんだ」
 ナーヴェは答えて、嬉しげに微笑む。
「かなり役に立てると思うよ」
(「体」?)
 ロッソが眉をひそめたところへ、上から、流線形の白いものが降りてきた。
「姉さんに装備されていた惑星調査船に、ぼくの疑似人格電脳の函を搭載して、新しくぼくの体にしたんだ。宇宙から深海まで行ける、万能調査船だよ」
 ナーヴェが、その場の全員へ、明るく説明する。
「帰りも、これで帰れるよ。但し、定員は四人だから、馬も乗員に数えて、二往復する必要があるけれど。馬車は船体の下に吊して運べるよ」
「それは便利だな」
 感心したアッズーロの腕から下りて、ナーヴェは大皿に並んだ、船だという流線形のものに歩み寄る。同時に、流線形の側面の一部が動いて、入り口が開いた。確かに乗り物だと分かる、座席の並んだ内部が見える。
「さて、どういう感じで帰ろうか?」
 小首を傾げたナーヴェの問い掛けに、ロッソ達は互いに顔を見合わせた。
「それは、そなたが傍におらずとも動くのか?」
 アッズーロが基本的なことを確認した。
「うん。肉体の遠隔操作が可能だよ」
 ナーヴェは、操作されている体がどちらかを明らかにしつつ笑顔で肯定した。
「そうか、ならば……」
 アッズーロがロッソ達を見る。
「先触れとして、ムーロとエゼルチトがまず馬二頭を連れ、馬車を吊してアルバへ戻るがよい。その後、われとナーヴェ、ロッソとジェネラーレとで帰ると致そう。異存はないな?」
「うむ。よかろう」
 ロッソは了承した。
「そうか。もう帰るか」
 やや寂しげに、フアン・グオが声を掛けてきた。ロッソは孤独な子どもを見上げて笑んだ。
「他にも、似たような船があるのなら、今度は、そなたのほうが、わが王都へ来るがよい。歓迎するぞ」
「ふむ」
 幼い船長は、顎に手を当てる。
「チュアンと検討するとしよう。諸王の生活を知るも、皇帝の大切な仕事であろうからの」
「是非」
 ロッソはグオの幼い顔を見つめて頷いた。
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