王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

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第十四章 心の在処 二

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     二

 アルバまで一往復してきた惑星調査船の助手席に落ち着いて、アッズーロは、しみじみと言った。
「そなたはやはり、船なのだな」
「それはそうだけれど……」
 隣の操縦席に座ったナーヴェは振り向いて、小首を傾げる。
「何だい、改まって……?」
「表情が、この上なく嬉しげだ。何だ、自分で気づいておらんのか?」
 アッズーロが告げれば、ナーヴェは両手で自分の顔を触って訝しんだ。その様子はひどく愛らしいが、相も変わらず己のことにやや鈍い点については、溜め息が出る。
「まあ、よい。だが、もう少々説明せよ。この新たな本体は、前の本体より小型だということは一目で分かるが、そなたが肉体に接続したまま動かしておる点など、他にも異なる点があろう。全て教えるがよい」
「そうだね。違いはいろいろあるけれど、アルバに着くまで、まだもう少しあるから、簡単に説明しておくよ」
 いつも通り小憎らしく、命じたことを微妙に躱す返答をして、ナーヴェは語り始めた。
「まず、接続のことだけれど、前の本体は、船体自体も大きかったし、機能も多かったから、本体を動かしたまま肉体に接続するのは、無理があったんだ。肉体に接続したまま、本体のほんの僅かな機能を使うくらいはできたんだけれど、両方同時に普通に動かすことは無理だった。でも、この新しい本体は、船体も小さいし、機能も限られているから、肉体と両方同時に普通に動かせるんだよ。この操縦席には、操縦桿もあるけれど、基本的に、ぼくには必要ない。まあ、座席が足りなくなるから、とりあえず今はここに座っているけれど」
「その操縦桿で、われがこの本体を操ることは可能なのか?」
 興味を持って、アッズーロは問うてみた。すると、途端に、ナーヴェの顔が真っ赤になり、怖いものでも見るように、身を竦ませてアッズーロを凝視した。
「――それは……手動操縦に切り替えれば、可能だけれど……」
 予想外の反応に、アッズーロは片眉を上げ、それから納得した。疑似人格電脳が収められているという、あの黒い函に直接触れた時もそうだったが、ナーヴェにとっては、肉体より、やはり機械の本体のほうが、より自分の体という感覚があるらしい。
(そなたが、パルーデやロッソに簡単に肉体を触らせた理由が、漸く理解できたぞ……)
 アッズーロは溜め息混じりに確認した。
「つまり、われが操縦桿を握ると、体を他人に無理矢理動かされることになって、不快な訳か」
「――うん。ごめん……」
 ばつが悪そうに詫びたナーヴェに、アッズーロは顔をしかめた。
「何ゆえ謝る? われがそれほど操縦したそうに見えたか?」
「違うのかい……? きみは好奇心旺盛だし、船の操縦を好む人は、少なくとも、ぼくが知る限りは、多かったから」
 改めて言われて、アッズーロは顎に手を当てて考えた。船を操縦したいという気持ちがない訳ではない。だが、それ以上に――。
(そなたに、そのように恥じらった顔をさせることに、興味が湧いたな……)
 あの黒い函に口付けた後のナーヴェは、今までとはまた別の、初々しく、それでいて蕩けるような反応を示して、アッズーロをこの上なく満足させた。どうも、操縦桿を握るということは、同じような反応を引き出せる方法らしい。
「――まあ、いつかは、操縦桿を握ってみたいとは思う」
 アッズーロが真顔で告げると、ナーヴェは困惑した顔で、黙ってしまった。
「おい」
 後席から低い声が響いた。
「何だ」
 アッズーロが振り向くと、ロッソが太い眉をひそめていた。隣で、ジェネラーレも微かに非難めいた表情を浮かべている。ロッソは呆れた口調で窘めてきた。
「夫婦間の会話に水を差す気はないが、この船を今動かしておるは、ナーヴェであろう? あまり動揺させて、船が落ちるようなことだけはしてくれるなよ」
 調査船は、どういう仕組みか、赤い沙漠の上を飛んでいる。正面や側面、上面にもある硝子のようなものの嵌められた窓の外には、下に広がる赤い沙漠の地平と、一面の青空が見えている。墜落の危険を感じるのは、当然と言えば当然だ。
「分かっておる」
 アッズーロは尊大に応じ、腕組みする。
「ゆえに、強引に操縦桿を奪ったりなぞせず、自重しておるだろうが」
 ナーヴェがびくりと肩を震わせ、恐る恐るこちらを見たので、アッズーロはもう一度溜め息をついた。


 全く、アッズーロはどこまで本気か分からないので、困ってしまう。
(きみは、いつもぼくの予測を超えてしまうからね……)
 ナーヴェは密やかに嘆息し、都合よく有耶無耶の内に説明を終えられたことに安堵して、観測機器を積極的に動かし始めた。未だに、アッズーロ達に科学的な説明をすることは苦手なのだ。
 この惑星調査船の観測機器には、速度計、電波高度計、風速計、温度計、湿度計、汎用型圧力計、近距離用の光学測定器と能動型極超短波測定器、光学望遠鏡などがある。その内、殆どの機器は常時使用しているが、能動型極超短波測定器と光学望遠鏡については、意識して使わなければ作動しない。
(どのくらい遠くまで観測できるか、試してみよう)
 ナーヴェはまず、光学望遠鏡を、オリッゾンテ・ブル王国のほうへ向けた。惑星は丸いので、光学望遠鏡がどれほどの分解能を誇ろうと、オリッゾンテ・ブルの地表は見えないが、その上空は見える。
(あっちも、ほぼ晴天みたいだね……)
 これは「里心」というものだろうか。無性にオリッゾンテ・ブル王国に帰りたい衝動が強くなってくる――。
(あれ? 何だろう)
 ふと、ナーヴェは眉をひそめた。青空の中に、微かに立ち昇る煙が見える。
(成層圏には届いていないけれど、対流圏のあんな上空にまで漂っているなんて、かなりの量のものが燃えている……?)
 風の流れを計算に入れれば、恐らく、出火場所は、カテーナ・ディ・モンターニェ侯領辺りだ。
「アッズーロ」
 ナーヴェは、隣に座る王へ真顔を向け、告げた。
「できるだけ早く国へ帰ったほうがいい。カテーナ・ディ・モンターニェ侯領で、大規模な火災が起きている」


 アッズーロ達がテッラ・ロッサ王城に到着すると、庭園で出迎えたジョールノが、開口一番報告した。
「カテーナ・ディ・モンターニェ侯領で、反乱が起きたと報せが来ました。ムーロ殿の御判断で、既にムーロ殿御自身とバーゼ、ノッテ、ボルドが、オリッゾンテ・ブルへと出立しております」
「そうか。われらもすぐに帰国する。ロッソ、そういう訳だ」
 振り向いたアッズーロに、ジェネラーレとともに調査船を降りたロッソは真剣な顔で応じた。
「援軍が必要とあらば知らせよ。丁度、明日以降に国境付近で、鉄砲隊を用いた軍事演習の予定がある。その軍をそのままエゼルチトに率いさせて向かわせよう」
「そのような事態は御免被りたいものだがな」
 苦笑して、アッズーロは再び調査船に乗った。操縦席に座ったままのナーヴェは、硬い面持ちで目を閉じている。庭園に船体を着地させた途端、人工衛星に接続すると言って目を閉じたので、まだ接続中なのだろう。
「ジョールノ、ルーチェ、早く乗るがよい」
 まだ庭園に立っている二人を促して、アッズーロは助手席に座った。
「これは――、ムーロから聞いてはいましたが、成るほど、神殿とどこかしら似通った雰囲気ですね……」
 扉から入ってきたジョールノが、感心したように船内を見回してから、後席に腰を下ろした。
「ナーヴェ様、お世話になります」
 ルーチェは律儀に挨拶して、ジョールノに倣い、後席に落ち着く。だが、ナーヴェからの返答はない。依然、操縦席で目を閉じている。
「暫し待て。わが妃は、人工衛星に接続中だ」
 アッズーロは短く説明した。
「それで、大方の状況は掴めましょうが」
 ジョールノが後席から低い声で話す。
「ヴァッレ様からの報せに拠れば、反乱は、民衆から起こり、カテーナ・ディ・モンターニェ侯城や、その周辺を焼いたとのことです」
「ティンブロは無事なのか?」
 アッズーロは助手席で腕組みしたまま問うた。カテーナ・ディ・モンターニェ侯ティンブロは、ペルソーネの父だ。穏やかで度量の広い男である。
「王城のヴァッレ様に反乱を知らせたのはティンブロ様とのこと。その時点では、御無事だったと思われますが……」
 情報には、時差がある。
(民衆から恨まれるような男ではないが、何があったのか……)
 アッズーロは、険しく眉をひそめて顎に手を当てた。
「――大丈夫」
 不意に、ナーヴェが口を開いた。背凭れに預けていた体を起こし、妃はこちらへ目を向ける。
「ティンブロは、無事、逃げ延びている最中だよ。もう少しで、隣のピアット・ディ・マレーア侯領へ入れる。そこでオンブレッロの助力を得て、態勢を立て直すつもりだろうね」
「よし」
 僅かに安堵しつつ、アッズーロは妃の顔色を見る。
「そなたの体調は大丈夫か?」
 ナーヴェは軽く肩を竦めた。
「頗る元気とは言えないけれど、大丈夫、オリッゾンテ・ブル王国まで飛ぶくらいなら、何ということはないよ。それより、オリッゾンテ・ブル王国のどこへ行くかだけれど」
「王城だ。そこから指示を出し、浮き足立った者どもを鎮める」
「了解」
 ナーヴェは頷いて、正面を向く。
「惑星調査船、起動。浮揚開始。地表から五米に固定。回頭。進路固定。発進」
 ナーヴェの呟きに同期して船体が動き、高速で飛行を開始した。
「しかし、そもそも、この船はどのようにして浮いておるのだ?」
 中断されていた説明の続きを求めたアッズーロに、ナーヴェは前方を見据えたまま語った。
「原理は簡単だよ。可動式の八つの噴射口と六つの回転翼で、空気を地面や水面に向けて勢いよく吐き出し、重力と拮抗させて浮いているんだ」
「『重力』とは何だ」
「この惑星が、ものを引き寄せる力だよ。その力のお陰で、ぼく達は宇宙に飛ばされず、大地に立つことができるんだ」
 分かるような分からないような、下手な説明だ。アッズーロは、完全な理解を諦めて、後席のジョールノを振り向いた。
「ムーロやボルドは当然、王城へ戻ったろうが、バーゼやノッテはどこへ向かったのだ?」
「バーゼは、直接カテーナ・ディ・モンターニェ侯領へ入って、様子を探ると申しておりました。ノッテは、一度レ・ゾーネ・ウーミデ侯に指示を仰ぐつもりのようでした」
「ごめんね、ジョールノ」
 不意にナーヴェが口を挟んでくる。
「きみは真っ先にオリッゾンテ・ブルへ戻って、ペルソーネを支えたかっただろうに、ぼく達の所為で、遅くなってしまって……」
「それは、お気になさらず」
 ジョールノは明るい口調で応じ、微笑む。
「王都にいる彼女自身に危険が迫っている訳ではありませんし、結局のところ、到着時刻は、馬車のムーロ達とそれほど変わらなさそうですしね」
「うん。そこは任せてほしい」
 ナーヴェは、張り切った口調で請け負った。


「民衆達の要求は一体何なのです?」
 ペルソーネの問いに、カテーナ・ディ・モンターニェ侯領から馬を走らせてきて会議室の入り口に跪いた密偵の男は、重苦しい口調で答えた。
「カテーナ・ディ・モンターニェ侯城を襲撃した民衆達は、国王の交代を要求しております。即ち、アッズーロ陛下の御退位と、王位継承権第一位のフォレスタ・ブル大公女ヴァッレ様の御即位を」
 名を出されたヴァッレは、顔をしかめて席を立ち、険しい口調で密偵に尋ねた。
「それは、何ゆえです?」
「専横を好む王は、もう要らぬ、と。賢王マーレ様の御息女ヴァッレ様こそ王に相応しい、と彼らは申しております」
「愚か者どもが」
 ヴァッレは低い声で呟いて再び椅子に座り、卓に向き直った。
 会議室の中央に置かれたその卓には、オリッゾンテ・ブル王国の政治を担う全ての大臣が着いている。即ち、道路担当大臣ストラーダ伯カッメーロ、治水担当大臣バンカ伯コッコドリーロ、農産担当大臣ズッケロ、畜産担当大臣ゾッコロ、工業担当大臣チェラーミカ伯ディアマンテ、保健担当大臣メディチーナ伯ビアンコ、学芸担当大臣カテーナ・ディ・モンターニェ侯女ペルソーネ、水産担当大臣プリト、山林担当大臣ヴォルペ、そして外務担当大臣フォレスタ・ブル大公女ヴァッレと、アッズーロから留守を任された財務担当大臣オーロ伯モッルスコの十一人である。ここに、アッズーロとともにテッラ・ロッサへ赴いた軍務担当大臣カヴァッロ伯ムーロを加えて、大臣は総勢十二人だ。アッズーロの父、先王チェーロの御代から大臣を務めている者もいれば、アッズーロの御代になって任じられた者もいるが、皆それなりに有能だ。そして、彼らを大臣の席に据えているアッズーロも。
(アッズーロは、充分有能な王だ。それを、よく知りもせずに……)
 険しく眉をひそめたヴァッレの耳に、モッルスコの声が響いた。
「御即位以降、内政と外交、ともに力を注いでこられた陛下ではあるが、内政には、まだこれと言って目を瞠る成果は出ておらん。民衆は、政治に身の入らなんだ先王チェーロ様の御子息ということで、アッズーロ陛下に対して、不安を懐いてもおる。そこに、何か、よからぬ刺激があったのかもしれん」
「扇動者がいる、と?」
 ビアンコが、端正な顔に冷ややかな笑みを浮かべてモッルスコを見た。
「わしは、そう睨んでおる」
 モッルスコは整えた口髭を扱きながら、面白くもなさげに告げる。
「そうでなければ、少々唐突に過ぎるからな」
 確かにそうなのだ。
(アッズーロは、別に内政で、これといった失策を犯した訳でもないのに……)
 ヴァッレが顔をしかめた時、山林担当大臣ヴォルペが、静かな声音で指摘した。
「わたくしは、これが唐突な反乱とは思いません」
 ヴァッレより一つ年下の、黄褐色の髪を後ろで一つの三つ編みにした、まだ少女のような外見の大臣は、卓の上に視線を落としたまま述べる。
「わたくしは、カテーナ・ディ・モンターニェ侯領の農民出身ですので、彼らのことが、あなた方よりはよく分かります。カテーナ・ディ・モンターニェ侯領の、特に山間部に住む者達は、大変信心深いのです」
 そこまで言われれば、ヴァッレも気づくことができた。
「彼らを不安にさせたのは、神殿の喪失と、あの流星群という訳ですか」
 確かめたヴァッレに、ヴォルペは前髪の下の目を上げて、頷いた。
「はい。彼らにとっての事実は、単純です。即ち、神聖な王の宝であったはずのナーヴェ様を、アッズーロ陛下が人の身に落としたこと。テゾーロ様が生まれて間もなく、王都が地震に見舞われ、神殿が跡形もなく消失したこと。その二週間後に、数多の流星が見られたこと、です。信心深い彼らが、それらの事実を、どう解釈したかは、想像に難くありません。重ねて、陛下は現在、ナーヴェ様を連れてテッラ・ロッサへ赴かれています。不安が募る一方の彼らにとっては、『好機』なのかもしれません」
「――『好機』とは……、奴らはこの国を乗っ取る意図があるということか?」
 静まった会議室に、コッコドリーロの裏返った声が響いた。
「国家転覆とまでは考えていないでしょう」
 ペルソーネが硬い面持ちで反論する。
「わたくしも、わが領民の声を聞いてきましたが、彼らに、統一された強固な意志はありませんでした。彼らの不満を画一的に捉えることはできません。先ほどヴォルペ殿が指摘したようなこともございますし、わたくしが陛下に嫁がなかったことを非難する者や、ナーヴェ様が王の宝であることを疑う輩もおりました。陛下の御不在は、混乱を起こし易い『好機』ではありましょうが、その王座を掠め取ろうなどという輩は、少なくとも、わが領民の中にはおりませんでした。ヴァッレ殿に譲位するよう望む輩はおりましたが」
 アッズーロの妃候補の一人であったペルソーネが、王妃とならなかったことは、カテーナ・ディ・モンターニェ侯領民達に、それなりに複雑な影響を与えているのだろう。
(ペルソーネに非のあることではなく、況してナーヴェ様が悪い訳でもなく、あれは、ただアッズーロが悪いのだけれど)
 ヴァッレは密やかに溜め息をついた。有り体に言えば、アッズーロがナーヴェに惚れてしまったのが悪いのだ。そういう意味では、今回、反乱が起こったことについて、アッズーロには大きな責任がある。
(とにかく、早く戻ってきなさい、アッズーロ。あなたがいないことには、話が進まないわ)
 ヴァッレは、再びざわめき始めた大臣達を眺めて、腕組みした。
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