王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

文字の大きさ
78 / 105

第十九章 薬の効き目 一

しおりを挟む
     一

 ヴァッレと非公式の謁見を行なっていたアッズーロの許を、ボルドが訪れたのは、午前半ばのことだった。
「緊急の用件につき、失礼致します」
 侍従の少年は硬い面持ちで会議室に入ってきて跪き、告げた。
「ただ今、テッラ・ロッサのソニャーレから鳩で報せがありまして、幽閉塔に捕らえていたエゼルチト将軍が、脱走した、と。昨夜未明から本日早朝に掛けてのことだそうです」
「誰か、手引きした者がおるな……」
 アッズーロは険しく眉をひそめた。
「協力者が多いとなれば、厄介ですね……」
 ヴァッレも深刻な表情になる。
「ロッソ陛下の求心力が低下しているのであれば、訪問団はエゼルチトを擁する者達の標的とされかねません。取り止めますか?」
「ロッソめ……」
 アッズーロは怒りを抑え切れずに唸る。
「王宮内の人心すら掌握できておらんのか……!」
「まだ、王宮の者が手引きしたと決まった訳ではありませんが……」
 ヴァッレが、ボルドの手前、敬語で窘めてきた。
「エゼルチトの知己ならば、王宮関係者である可能性が高い」
 アッズーロはヴァッレに言い返してから、ボルドを見た。
「とりあえず、こちらからの訪問団派遣は保留にすると、至急、鳩で伝えよ」
「仰せのままに」
 一礼して、ボルドは素早く退室していった。その背を見送ってから、アッズーロはヴァッレに視線を戻す。
「ますます、バーゼとサーレの役割が重要となってくるな」
 この状況下、テッラ・ロッサへ潜入させる予定の工作員と暗殺者には、多くのことを担って貰わねばならないだろう。ヴァッレは頷き、硬い面持ちで言った。
「反乱民に潜入させたルーチェとノッテにも、状況を知らせて注意喚起致します。エゼルチトが、反乱民と合流する可能性もありますから」
「そうだな。ただちに報せを出すがよい。その後は……、わが寝室へ参れ。ナーヴェとともに、今後について検討する」
「――仰せのままに」
 ヴァッレは、寝室でナーヴェとともに、という指示に、やや躊躇った様子を見せたが、異論は唱えず、足早に退室していった。
(全く、ロッソめ)
 アッズーロは、自身もまた会議室を後にしながら、胸中で文句を並べる。
(エゼルチトは幼馴染みなのであろう? 完全に裏切られておるではないか。われは、少なくとも、幼馴染みに裏切られるようなことはないぞ……? 一体何をしておるのだ……)
 後ろからついてくるレーニョも、間諜達へ指令を出しにいったヴァッレも、どちらも幼馴染みだが、常にアッズーロの味方でいてくれる。アッズーロが父王を退位に追い遣った時でさえ、そうだった。
(己を理解してくれる者を増やせ。政は、そこからだ)
 アッズーロはレーニョを従えて寝室に戻ると、寝台に横たわったナーヴェの様子を窺った。朝食時にはまだ寝ていたテゾーロのほうは、揺り篭の中で元気に動いているが、肩まで掛布を被った妃は、ただ静かに眠っているように見える。肉体への接続を最小限にして、本体のほうで病原の解析に勤しんでいるのだろう。
「ヴァッレが来るまでに目を覚ますは、無理やもしれんな……」
 呟いて、アッズーロは妃の寝台に腰掛けた。枕から零れている長く青い髪に指を絡ませ、弄る。控えているフィオーレとラディーチェが微笑んでいる一方、レーニョは目の遣り場に困っているようだが、構いはしない。
(われは、でき得る限り、そなたの傍にいたいのだ……)
 胸中で囁くと、応じるように、ぱちりとナーヴェが目を開いた。
「あれ、アッズーロ、謁見は終わったのかい……?」
 柔らかく尋ねられて、アッズーロは肩を竦めた。
「いや、一つ問題が起こってな。ヴァッレに対応を命じたところだ」
「どうしたんだい?」
 ナーヴェは僅かに表情を曇らせた。妊娠中の妃に心配は掛けたくないところだが、何か重大なことを決める時は、必ず相談すると約束したばかりだ。ナーヴェの知識と情報と経験を生かせることは、確かに多くある。アッズーロは苦々しく告げた。
「エゼルチトが幽閉塔から逃げたらしい。先ほど、ボルドが知らせてきた」
「そう……。彼はとうとう、ロッソと決別したんだね……」
 ナーヴェは悲しげだ。博愛主義の妃は、ロッソのためにもエゼルチトのためにも心を痛めているのだろう。
「彼は、きっと、ロッソが敢えて見逃した、ぼくの欠陥に気づいたんだ……」
 聞き捨てならないナーヴェの言葉に、アッズーロは目を眇めた。
「そなたの『欠陥』とは、何だ」
「きみも知っているだろう?」
 宝は、ゆっくりと上体を起こし、さりげなく手を貸したアッズーロを見上げて、自嘲気味に言う。
「ぼくが、もう既に壊れている、ということを。もしきみに何かあれば、ぼくはチュアン姉さんのように狂う可能性が高い。それが、ぼくの欠陥――いや、ぼく達姉妹の欠陥なんだよ。ロッソは疾うに気づいていたと思うけれど、きっとエゼルチトも、この欠陥に気づいたんだ。だからロッソのために、優し過ぎるロッソの意に反して、ぼくを破壊することに決めたんだろうね……。推測ではあるけれど、エゼルチトの意図は、これでほぼ間違いないよ」
 指摘してから、ナーヴェは深刻な口調で呟く。
「ぼくは、エゼルチトの罠に掛かって、大人しく破壊されたほうが、いいのかもしれない……」
「馬鹿なことを申すな」
 アッズーロは弱気な妃を叱ったが、確かに気懸かりな「欠陥」だ。
「『馬鹿なこと』ではないよ」
 ナーヴェも真面目に反論してくる。
「ぼくの破壊に反対するなら、アッズーロ、どうか誓ってほしい」
 深い青色の双眸が、真摯にアッズーロを見つめた。
「きみが死ぬ前に、ぼくを初期化するか、永久に機能停止させるかする、と。ヴェルドーラからここへ帰った夜、きみはぼくに、人を愛する覚悟について教えてくれたけれど、ぼくはきっともう、きみを失うつらさに耐えられない。きみのことだけを記録から消去できたら一番いいんだろうけれど、今のぼくの状態だと、それはとても難しくて、そうしようとするだけで、狂って暴走してしまいそうだから」
「――何とか、ならんのか……?」
 アッズーロは、愛おしい宝の頬に触れて、苦しく尋ねた。ナーヴェがそれほどに自分のことを愛してくれていることは無上の喜びだ。しかし、迎える結末がそれでは、後悔のほうが優ってしまう――。
 宝は、悲しげな微笑みを浮かべて答えた。
「ぼくの思考回路で演算する限りにおいては、何ともならないよ……。もし、その時の王がテゾーロなら、きみがテゾーロに、ぼくを初期化するか永久に機能停止させるかするよう、言ってほしい。テゾーロにまでつらい思いをさせてしまうけれど、国のためには必要なことだと、王として了承するはずだよ」
(われがそなたを無理に人に近づけさせ、壊した結果が、これか……)
 アッズーロは唇を噛んだ。視界の端で、レーニョとフィオーレも青褪めた顔をしている。
(今こそ、そなたの予測を、そなたの演算を、超えてしまいたいものだが……)
 己が作らせた肉体の、柔らかな頬を繰り返し撫でつつ、眉間に皺を寄せたアッズーロは、ふと思いついて問うた。
「では、われがそなた同様、永遠に近い寿命を得ればよいのではないか?」
 ナーヴェは、驚いた表情で、目を瞬いた。アッズーロは畳み掛けるように言った。
「そなたは、この肉体が死しても生き返らせた。神ウッチェーロも随分と長生きさせたのであろう? ならば、われの寿命をそなた同様にすることも、可能なのではないか?」
 ナーヴェは更に目を瞬いてから、掠れた声で告げた。
「ぼくの、以前の本体があれば、或いは……。でも、今の本体では、無理だよ……」
「では、そなたの姉ならば、でき得るのだな?」
 確認したアッズーロに、ナーヴェは困惑したように頷いた。
「可能、だと思う……」
「決まりだな」
 アッズーロは、にやりと笑って見せる。
「そなたの姉と取り引きを重ねて、いずれは、われの寿命をそなた並みに伸ばすこととしよう」
「でも、それは、歴史上、暴君へと至る道だよ……」
 ナーヴェは、王の宝らしく諫めてきた。アッズーロは片眉を上げて応じた。
「神ウッチェーロは、そなたのために長く生きて、暴君となったのか?」
「ううん」
 ナーヴェは小さく首を横に振る。
「彼は、最期まで賢君だった……」
 瑠璃に似た美しい双眸が、滲んできた涙で潤んでいる。その目元に指先で触れ、アッズーロは言い聞かせた。
「われはそなたが傍にいれば、絶対に暴君とはならぬ。そなたは決して、われを暴君とはさせぬだろう。そして、われが元気に生き続ければ、そなたが狂うこともない。われらは真に『比翼の鳥』、『連理の枝』となるのだ」
 ナーヴェの両眼から涙が溢れて、アッズーロの指を濡らした。
「……親しい人達を見送りながら生き続けるのは、とてもとてもつらいよ……?」
 それは初めて言葉として吐露された、ナーヴェの寂しさだった。
「そなたがいれば、耐えられる。そなたは、わが最愛ゆえ」
 アッズーロは言い切った。けれどナーヴェは、やはりナーヴェだった。簡単には納得しない。
「長く長く一緒にいたら、きみはぼくに飽きてしまうかもしれないよ……?」
 可愛らしい反論に、アッズーロは、涙に濡れた頬を摘まんで言い返した。
「先人達も太鼓判を押した、そなたの優れた学習能力は、常にそなたを魅力的に輝かせる。もっと自信を持つがよい。千年後のそなたが、どれほど魅力的になっているか、今から楽しみだ」
「……きみは本当に、途方もない人だね……」
 ナーヴェは、頬を摘ままれたまま、眩しげにアッズーロを仰ぎ、湿った声で零した。最愛から送られた、最高の褒め言葉だ。得意になったアッズーロが、更に甘い言葉で応酬しようとした時、レーニョの声が、ひどく申し訳なさそうに響いた。
「……陛下、妃殿下、ヴァッレ様が、お越しになられました」
「……分かった。通すがよい」
 アッズーロは溜め息とともに許可し、最愛の頬を一撫でして手を離した。
 寝室の入り口に現れたヴァッレもまた、申し訳なさそうな顔をしていた。室内の声が聞こえるところで、暫く待っていたのだろう。しかし、話し出すと、ヴァッレの表情は厳しいものに変わった。
「御歓談中、失礼致します。バーゼとサーレ、ルーチェとノッテへの報せは済みました。エゼルチトのその後の動向について、新しい報せはございません」
「奴はどこへ逃げると考える?」
 アッズーロの問いに、ヴァッレは硬い面持ちで答えた。
「レ・ゾーネ・ウーミデ侯領へ逃げる可能性が最も高く、また、それが最もわれわれにとって厄介かと。ただ、パルーデ自身は、決して身近に奴を受け入れる危険は冒さないでしょうから、エゼルチト将軍は、レ・ゾーネ・ウーミデ侯領の辺境を通って、カテーナ・ディ・モンターニェ侯領に入り、反乱民に合流するのではないでしょうか」
「その推測は、ぼくの予測とも一致するよ」
 ナーヴェが穏やかに口を挟んできた。アッズーロは、寝台の上で上体を起こしたままの妃を振り返る。最愛は、やや沈んだ口調で続けた。
「ただ、エゼルチトは、反乱を起こした人達のことを利用はしても、本当の意味で支援はしないだろう。だから、反乱を起こした人達のことが心配だ。エゼルチトは、きっと、ぼくを戦場へ引き出すような手を打ってくる。その材料にされるのは、反乱を起こした人達と、その周りにいる、何の罪もない人達だ」
「そなたを行かせるつもりはまだないぞ」
 アッズーロは釘を刺した。検討はすると言ったが、許可は出していない。
「うん。分かっている」
 ナーヴェは小さく頷き、続けた。
「だから、ぼくはまず、反乱の原因を一つ一つなくして、彼らがいる場所を戦場でなくすよう努力するよ」
「その一つ目が、羊の病に効く薬だな」
 アッズーロは先回りして、確認した。
「いつ頃できそうだ?」
「薬効と副作用の検証が必要だから、確実なことは言えないけれど……」
 ナーヴェは俯き加減に答える。
「三日以内には仕上げられるよう、努力するよ」
「――無理は致すな。今は、腹の子が最優先だ」
 アッズーロは妃に負担を掛けていることを自覚しながら、言い聞かせた。
「うん。分かっている」
 ナーヴェは、澄んだ双眸を上げて微笑み、先ほどと同じ返事をした。その嫋やかな姿は比類なく愛らしい。
(本当に、そなたを、ただただ安全に、安穏に守っていられたら、どれほどよかったか……)
 アッズーロは溜め息をついてから、ヴァッレへ視線を戻し、命じた。
「バーゼはテッラ・ロッサへ留め、サーレにはエゼルチトを追わせよ。その後は、そなたの裁量で指令を出し、エゼルチトと反乱民との接触を可能な限り絶て。同時並行でムーロに指揮を執らせ、エゼルチトの捕縛を目指す」
「了解致しました」
 一礼してヴァッレは立ち上がり、きびきびと退室していった。
「アッズーロ……」
 ナーヴェが憂い顔で見上げてくる。
「エゼルチトはそれなりの数の兵を率いている可能性が高い。反乱を起こした人達を、軍隊のように組織する可能性もある。いざとなれば、きみは、彼らの軍に、この国の軍を、真正面からぶつけるのかい……?」
「そうせざるを得ん時はそうさせる。その前に、できる限りの手は打つつもりだがな」
 アッズーロは苦い口調で肯定した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

わたしたちの庭

犬飼ハルノ
恋愛
「おい、ウェスト伯。いくらなんでもこんなみすぼらしい子どもに金を払えと?」 「まあまあ、ブルーノ伯爵。この子の母親もこんな感じでしたが、年ごろになると見違えるように成熟しましたよ。後妻のアリスは元妻の従妹です。あの一族の女は容姿も良いし、ぽんぽんと子どもを産みますよ」 「ふうん。そうか」 「直系の跡継ぎをお望みでしょう」 「まあな」 「しかも伯爵以上の正妻の子で年ごろの娘に婚約者がいないのは、この国ではこの子くらいしかもう残っていませんよ」 「ふ……。口が上手いなウェスト伯。なら、買い取ってやろうか、その子を」  目の前で醜悪な会話が繰り広げられる中、フィリスは思った。  まるで山羊の売買のようだと。  かくして。  フィリスの嫁ぎ先が決まった。 ------------------------------------------  安定の見切り発車ですが、二月中に一日一回更新と完結に挑みます。  ヒロインのフィリスが自らの力と人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、  序盤は暗く重い展開です。  タグを途中から追加します。   他サイトでも公開中。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...