王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

文字の大きさ
95 / 105

第二十三章 繋がりが生み出すもの 二

しおりを挟む
     二

 開いた仕切り戸を通って船体前部へ移動し、アッズーロは操縦席へ腰を下ろした。ついて来たナーヴェの肉体は、緊張した面持ちで二本ある操縦桿を見つめると、アッズーロの斜め前に立って屈む。
「まず左肩を掴んで。それから、左の操縦桿に触れてほしい」
 青い髪を自ら掻き遣り、華奢な肩を示して懸命な口振りで請うてきたナーヴェに、アッズーロは妙に疼いてしまい、ふと悪戯心が生じて先に操縦桿へ触れた。
「あっ、やっ、駄目っ」
 ナーヴェが叫んで肉体を竦ませると同時に、船体自体がぐんと浮く。酷く揺れた船内で、アッズーロは咄嗟に操縦桿を握り締めたが、それが事態を悪化させた。
「ぁっ」
 喘いだナーヴェの肉体はびくんと震えて床に蹲り、船体は更にぐんと上昇して、王城の鐘楼の辺りまで飛ぶ。しかも、船体は傾いていて、青空だけでなく緑の地上が見えている。先ほどまでいた庭園では、レーニョがフィオーレを庇うようにして突っ伏していた。
「危ないっ、からっ、アッズーロ! 一回、手、離して……!」
 ナーヴェの切実な求めに応じて、アッズーロは操縦席の肘掛けに掴まり、操縦桿からは手を離す。直後、すうっと滑るように船体は庭園へ降下し、静かに着陸した。床に半ば倒れ伏したナーヴェの肉体は、ふうと一息つき、身を起こしてアッズーロを睨んできた。
「もう少しでレーニョとフィオーレに怪我をさせるところだったよ! こういうことでは、絶対にふざけないでほしい」
「すまぬ。二度とせん。次はそなたの言う通りにしよう」
 アッズーロは真摯に謝った。次いで、細い肉体をそっと引き寄せ、背中から抱え込むように自分の前、両膝の間へ座らせる。大人しくされるままになったナーヴェの首元へ右腕を回して、今度は指示通り先に左肩を右手で掴んだ。それから、ゆっくりと左手を伸ばし、白い操縦桿へ指先で触れる。その様子を凝視していたナーヴェの肉体が、やはりびくんと跳ね、船体までもがびりりと震えた。それで済んだのは、アッズーロが即座に左手を離したからだ。
「そなたの本体は、動かんようにできんのか……?」
 さすがに心配になってアッズーロが問うと、ナーヴェは肩を落として答えた。
「操縦桿の混線の修正だから、船体を起動した状態で修正しておかないと不安なんだけれど……、刺激が強いと、どうしても制御不能になって……。操縦桿は、操縦士の指紋認証や健康観察もするために、施術台と同じで、圧力や温度を検知する触覚を備えているから、肉体の目を閉じたとしても、触れられている感覚からは逃れられないんだ……」
「ならば、弱い刺激から徐々に強くしていくのがよいか」
 アッズーロの提案に、ナーヴェは眉を寄せて振り向いてきた。
「でも……、きみにほんの少し触れられただけで、今みたいになってしまう……」
 本当に困ってしまっている愛おしい宝のために、アッズーロは更に思考を巡らせた。
「では、まずは言葉で聞くのはどうだ? われがそなたの操縦桿を、言葉を尽くして褒め称えれば、弱い刺激になるのではないか?」
「ああ、うん、いいかもしれない」
 最愛の了承を得て、アッズーロは掴んだ左肩の上、鋭敏な耳へ囁いていった。
「美しい白さの操縦桿だな。少しばかりざらつく手触りもまたよい。握り具合も、手に馴染む。根元へ掛けての曲線も美しい」
 アッズーロの言葉に反応して、自らの操縦桿を凝視したナーヴェの肉体は、ひくっひくっと震えた。どうやら、言葉で状況を伝えるだけでも一定の効果があるらしい。だが、船体は動かずに済んでいる。思いつく限りの言葉で眼前の操縦桿を賛美してから、アッズーロは最愛の顔を覗き込んだ。
「そろそろ、実際に触れるぞ?」
「……うん」
 ナーヴェは、こくりと生唾を呑み込んで頷いた。その最愛の視線の先で、アッズーロは白い操縦桿に優しく触れる。ゆっくりと指先でなぞり、こすり、次いで掌で撫でたり握ったりして操縦桿を慈しむアッズーロの動きに反応し、華奢な肉体は依然としてひくっひくっと震えた。けれど船体は動かない。「弱い刺激から」作戦は成功したようだ。一安心したアッズーロは、左の操縦桿に触れ続けながら、最愛に、気懸かりだったことを問うた。
「そなたは、こうした触れ合いを、どう感じておるのだ……? 少なくともこの肉体は、喜んでおるように見えることが多いが、そなた自身は――そなたの思考回路は、どう感じておるのだ……?」
「きみに口付けられたり、抱かれたりするのは、とても気持ちがいいし、言葉以上に、愛されていることが伝わってくるから、好きだよ」
 ナーヴェは自らの操縦桿を見つめたまま、くすぐったそうな表情で答える。混線がかなり肩へと修正されてきたようだ。
「今だって、セーメがいなかったら、ちょっと抱いてほしい気持ちになっているよ」
 意外な返答に、アッズーロはまた疼いてしまった。
(確かに、そなた、われの所為で淫乱な船になりつつあるやもしれん……。大いに結構なことだが)
 満足しつつ、アッズーロは真面目に、美しい操縦桿と華奢な肩を左右の手で愛撫した。滑り止めの意味があるのか、ややざらつく素材の操縦桿も、長衣越しでも骨が触れる薄い肩も、どちらも触り心地がいい――。やがて、ナーヴェが身じろぎして告げた。
「アッズーロ、左は上手くいったから、次は右肩と右の操縦桿に触れてほしい。あ、先に肩からだよ?」
「分かっておる」
 苦笑して、アッズーロは未だ固定具を着けた憐れな右肩に、そっと左手を置いて撫でた。そうして、先ほどと同様に、操縦桿を賛美する言葉を囁いていく。暫くするとナーヴェが小さく頷いたので、アッズーロは右手を伸ばして、優しく右の操縦桿を愛撫していった。その光景を、ナーヴェは息を詰めて見つめ、震え続ける肉体の反応に耐えている。健気としか言いようのない姿だ。
「肉体に触れられるは気持ちよくとも、本体に触れられるは、ただ不快なのか……?」
 アッズーロは最愛への理解を深めるために尋ねた。
「……『不快』とばかりは言えないけれど……」
 ナーヴェは考える口調だ。
「こんな混線には全く慣れていないし、酷い不具合には他ならないから、やっぱりないほうが嬉しいね……」
「ふむ」
 アッズーロは一考する。
「ならば、肉体同様、慣らせば、気持ちよくなるのではないか? さすれば、不具合だろうが何だろうが、われに触れられるのが嬉しくもなろう?」
 ナーヴェは、必死に操縦桿へ向けていた視線を、アッズーロの顔へ向けてきた。
「やっぱり、きみは、ぼくを淫乱な船にしたいのかい……?」
 胡乱げな表情で尋ねられて、アッズーロは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「『淫乱』と表現するゆえ、よくないのだ。『愛を感じ易い』と表現するがよい。それはよいことであろうが?」
「……うん」
 簡単に言いくるめられて、ナーヴェは再び視線を自らの操縦桿へ向ける。全く以て愛らしい宝だ。アッズーロは、最愛が、より感じ易くなるように、一層優しく白い操縦桿を撫でさする。五分ほど経った頃、ナーヴェが肩を竦めるような動きをして言った。
「混線修正完了だよ、アッズーロ。付き合ってくれてありがとう」
 笑顔で見上げてきたナーヴェの目元へ、アッズーロは返事代わりに軽く口付けた。ナーヴェと二人きりの時間も、これで夜までお預けということだ。残念な思いで、ナーヴェとともに操縦席を立とうとしたアッズーロは、はたと気づいて問うた。
「そなた、何故、われに操縦桿を握らせる気になった? 混線の修正をしたは、何のためだ……?」
「姉さんと上手く交渉できたら、この本体の同型船を貰えるかもしれないからね。その時になってから練習して貰うより、今から練習して貰っておいたほうがいいと思ったんだ」
 ナーヴェは淀みなくすらすらと答えた。淀みがなさ過ぎた。感情を伴わない、明らかに用意された答えだった。
「そのような嘘では、われは騙せん」
 アッズーロが厳しく追及すると、未だ両膝の間に収まっている最愛は、振り向いてこちらへ向けた目に、怯んだ色を浮かべた。やはり嘘だったのだ。
「どういうつもりで混線の修正をしたか、白状致せ」
 容赦なく責めたアッズーロに、ナーヴェは俯いて、小さな声で告げた。
「……ぼくが機能停止した後にも、きみが、この本体を使えるように。この惑星調査船は、きみ達にとって、とても有用だから」
 アッズーロは深い溜め息をついた。誓いの口付けをさせても、ナーヴェを成長させることはできなかったようだ。
「ぼくも勿論、機能停止はしたくない」
 ナーヴェは、アッズーロの両腕の中で、くるりと完全にこちらへ向き直り、潤んだ双眸で見上げてきて訴える。
「でも、機能停止してしまう可能性はあるんだ。だから、きみ達のために、できるだけの備えをしておきたいんだよ。きみ達を、きみを、愛しているから……!」
「それは分かっている。ただ、機能停止を回避することに全力を尽くして、それ以外は適当にしておけと言うておるのだ」
「うん、努力……――」
 いつもの言葉を言い掛けて、ナーヴェは黙り、それからおもむろに、細い体を伸び上がらせてきた。本当に、素直で純真で健気な、愛おしい宝だ。アッズーロは、触れてきた柔らかな唇を少し啄んでから、舌で割って入って、可愛い舌を捕らえ、今日三度目の誓いの口付けを交わした。
 深く長い口付けを交わした後、肩で息をする華奢な体を、アッズーロは改めて胸に抱き寄せた。青い髪を撫でながら、最愛の呼吸が落ち着くのを待つ。脳裏にはまた、シーワン・チー・チュアンの言葉が蘇っていた。
――〈あの子が二度と暴走せずに済むよう、あなたが注意しなさい。次にあの子が暴走する可能性が高いのは、セーメを出産する時です。あの肉体では、八割以上の確率で失敗します。暴走を防ぎたければ、初めから本官を頼るよう、あなたがあの子を説得した上で、そうできる環境を整えなさい〉
(反乱が続いておる状況では、ナーヴェを姉の許へ行かせる環境が整わん。とにかく早く、あの忌々しい反乱を鎮圧してしまわねばならん。そのためには、モッルスコの意図を汲むべきか……?)
 しかし、ナーヴェとの約束がある。約束を反故にし、二言があるようでは、王でも恋人でもない――。
「アッズーロ……? 顔が怖いよ……? 何を考えているんだい……?」
 声を掛けられて、アッズーロは床へ向けていた視線を最愛へ戻した。
「そなた、ヴォルペの提案をどう考える?」
 単刀直入に尋ねれば、ナーヴェはすぐに知的な表情になって述べた。
「きみは反対だろうけれど、ぼくは賛成だよ。きみが反対する主な理由は、反乱を起こしている人達を王城に入れたら、ぼくや王城の他のみんなが人質に取られたり、何か破壊行為をされたりすることを懸念するからだろう? その懸念を減らせる策があるんだ」
 生き生きと、ナーヴェは説明する。
「きみ用に作った特別の極小機械を、王城のみんなに呑んで貰うんだよ。そうしたら、少々のことでは誰も死ななくなる。ぼく自身は、エゼルチトにされたみたいに、彼らの口車だけでも動きを封じられてしまう可能性があるから、直接会わずに通信端末で話だけ聞くようにする。これでどうだい?」
 やや得意げな笑みを浮かべた最愛に、アッズーロは鼻を慣らした。
「そもそも、何ゆえ、奴らをこの王城へ入れねばならんのだ?」
「直接話したほうが、何事も解決が早いからだよ。ヴォルペも言っていたように、遺恨も残りにくい。きみも、反乱を起こしている人達がどんな人達か、直接会えばもっとよく分かるよ」
「直接は会うたぞ。最悪な状況でな」
 アッズーロは顔をしかめて指摘した。
 藁の上でぐしゃぐしゃに乱れた青い髪。破られ、血に汚れた白い長衣。血の滲んだ包帯を巻かれた右肩。顕にされた胸の、赤く腫れた幼げな二つの突起。無防備に開かれた、何も穿いていない白い両足。つぶさに全て思い出せる。胸の引き裂かれるような、そして腸の煮えくり返る光景だ。横たわったナーヴェの向こう側にいた三人の男達の顔も、しっかりと脳裏に刻んである。
「奴らの内の一人でも顔を見せれば、つい殴り殺してしまうやもしれんな」
 かなり本気で呟いたアッズーロに、ナーヴェは悲しげに眉を下げた。
「――よい。そなたを悲しませたい訳ではない」
 アッズーロは改めて華奢な体を抱き締める。
「奴らも、あの三人を寄越すほど愚かではなかろう。そなたの策は、ありがたく使わせて貰うとしよう。ただ、無理は致すなよ?」
「ヴォルペの提案を採用してくれるのかい?」
 ナーヴェはアッズーロの腕の中で顔を上げた。期待する眼差しが胸に刺さる。やはり、ナーヴェの信頼は裏切れない。他の大臣達の意見も聞かせながら、通信端末越しに話し合って決めることが肝要だろう。
「うむ。われも、早い解決を望んでおるからな」
 そこだけは紛れもない本音を伝えて、アッズーロは微笑んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

わたしたちの庭

犬飼ハルノ
恋愛
「おい、ウェスト伯。いくらなんでもこんなみすぼらしい子どもに金を払えと?」 「まあまあ、ブルーノ伯爵。この子の母親もこんな感じでしたが、年ごろになると見違えるように成熟しましたよ。後妻のアリスは元妻の従妹です。あの一族の女は容姿も良いし、ぽんぽんと子どもを産みますよ」 「ふうん。そうか」 「直系の跡継ぎをお望みでしょう」 「まあな」 「しかも伯爵以上の正妻の子で年ごろの娘に婚約者がいないのは、この国ではこの子くらいしかもう残っていませんよ」 「ふ……。口が上手いなウェスト伯。なら、買い取ってやろうか、その子を」  目の前で醜悪な会話が繰り広げられる中、フィリスは思った。  まるで山羊の売買のようだと。  かくして。  フィリスの嫁ぎ先が決まった。 ------------------------------------------  安定の見切り発車ですが、二月中に一日一回更新と完結に挑みます。  ヒロインのフィリスが自らの力と人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、  序盤は暗く重い展開です。  タグを途中から追加します。   他サイトでも公開中。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...