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3 図書館暮し始めました
3- 6.図書館暮し始めました
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レベル5の司書に連れられて、ソゴゥは来た道を戻り、奥の建物へと移動する。
「お腹は空いていませんか?」
オスティオス園長が来た際、食堂の料理人に頼んでソゴゥの好物を詰めたお弁当を持ってきてくれたのを、園長が手続きをしている間に応接室で、ヨドゥバシーと二人で食べていたため「大丈夫です」と答える。
「では、館長に挨拶に行きましょう。このイグドラシルの唯一のレベル6です。ソゴゥ様の修行全般を担当されることとなるでしょう。我々レベル5でも、館内の案内や書籍の場所など、イグドラシルのルールをお教えするくらいのことはできるでしょうが、レベル5とレベル7では、その任は全く異なりますので、一番レベルが近い者が教育係となるのです」
「そうですか」
「まずは、顔合わせとして、館長室へ行きましょう」
奥の建物の外側の壁に添うような階段を、建物を半周回り込むように上った先にある、蔦で覆われた扉の前に立ち、司書がノックをして入室を伺う。
女性の声で「どうぞ」と返事があり、扉を開けて中へ入る。
「今日の適性検査でレベル7となった、ソゴゥ様です」
見事なラタンチェアに座った暗赤色の司書服を着たエルフの女性が、目を細めこちらを見つめていた。
白銀の髪、ペリドットグリーンの瞳、そしてその顔は野島百華そのままだった。
ソゴゥは呆けたように、レベル6を見つめ返し、やがて唐突に「母さんじゃない!!」と叫んだ。
「何言っているの!! 母さんよ!!」
「え?」
「あっ、しまった! 母さんだっていうのは内緒にしようと思っていたのに、ソーちゃんが『母さんじゃない』なんて言うから! なんで、ソーちゃんそんなこと言うの?」
「いやいや、だって父さんが白髪で紫の目、母さんも白銀で緑の目。俺、黒髪、黒目。おかしくない?」
「それには理由があるのよ。ところで、どうして母さんて分かったの?」
「いや、母さん、まんま母さんじゃん」
「やっぱり、ソーちゃんは記憶があるのね」
「母さんもなんだね、父さんと、兄さんたちは覚えていないみたいだけれど」
母さんは、ハッとして一緒に入室してきたレベル5の司書に「ジャカランダさん、すみません、ちょっと二人で話をさせて下さい」とお願いした。
「はい、ヒャッカ様、もしやとは思っていましたが、あの時のお子さんなのですね」
「そうなんです、その節は、皆さんには何度もご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「いえいえ、こうして立派に育ち、レベル7となられたこと、とても嬉しく思っております。では、私は執務室へ戻りますので、何かございましたらお申し付けください」
司書の退出と共に、ヒャッカが立ち上がりソゴゥの頬を両手でそっと包み込んだ。
「ずっと、ずっとソーちゃん達に会いたかった。ソーちゃんたちの側にいられなくて、寂しい思いをさせてしまって、本当にごめんなさいね。こんなに大きくなって」
「今日ここに、淀波志も来ていたんだよ」
「ソーちゃん達と一緒にいられなかった理由、ちゃんと話すわね。その前に、母さんの異世界転生の話から順を追って話すけど、ソーちゃん、そっちの椅子に座って。あと何か飲む?」
ソゴゥは勧められた椅子に座る。
髪や目の色が変わっても、雰囲気や話し方、仕草の変わらない母親を前に、ああ、やっと会えたと、感極まって泣きそうになる。
淹れてもらったお茶を一口飲んで息を吐き、どうぞと促す。
「ソーちゃんは、転生する前のこと、覚えている? その、ソーちゃんが事故に遭った日のことなんだけど」
「覚えているよ、橋の下にいて、横転したトラックの積み荷の下敷きになったんだよね?」
「知っていたのね・・・・・・・出来れば、そんな恐い記憶なければいいと思ったのだけど・・・・・・」
「大丈夫だよ、ほんと、苦しいとかなかったから。怖いって感じる間もなくだったし。皆に悲しい思いをさせたかもしれない事は、悪いと思っている」
「ソーちゃん、わかっている。ソーちゃんがとても命を大事にする子だって、ソーちゃんほど用心深くて、慎重な子はいないわ。だから、これから話すことで、ソーちゃんは自分を責めたりしないでね」
「うん」
「ソーちゃんが事故に遭ったって連絡が来て病院にいったら、もうその時は心肺停止状態で手の施しようもないって・・・・・・・そもそも、お医者さんの話を聞いて想像すると、昔の悪魔が主人公のホラー映画に出てくるブレ〇ン神父みたいな最期だったわけだから、即死だったのね。悪魔になりたいなんて言っていたけれど、そんなシーンを抜粋して真似しなくても・・・・・・・」
「いや、偶々だよ、そこ真似しようとか、ちょっとニッチ過ぎない?」
「それで、病院には母さんたちの他にも、警察の人と、今にも死にそうな青い顔をしたトラックの運転手さんもいて、お父さんが『あんた、そんな死にそうな顔をせんでも、とりあえず死んで償ってくれりゃあええから、死んでくれや』って言ったのよ、そうしたらお兄ちゃんたちが『そんな事を、こんな人目のあるところで言うもんじゃない』って、父さんに言ったの。
たしなめているのかと思ったら『この人が、不慮の事故で亡くなった時、俺らが疑われてしまうじゃろが』って・・・・・・・」
「あー、伊世但兄さんと仁酉が言いそうだね」
「大変だったのよ、淀君は大泣きしながら『コロス』の一点張りだし、光っちゃんは『あんた、ぶっ殺して素剛が戻るんならすぐそうしてるわ、あんたは今ここで俺らに責められて、明日からは日常に戻ったらええ。けど、俺らは一生塞がらん穴と生きていくんよ、それ忘れんといて』って。
母さんはただただ茫然としいてたわ。
ソーちゃんのお葬式が終わってからも、皆、全然元に戻らなくて元気がないままなの。
笑ったり、喜んだり、最初からそういうものが無かったみたいに、淡々と毎日が過ぎてったわ。
そしてある日、家族全員で乗っていた車が崖から転落して、図らずもソーちゃんの後を追うことになってしまったのよ。みんなは即死、母さんだけ救急搬送されたけれど、気がついたら転生してました」
「え? マジで?」
「お腹は空いていませんか?」
オスティオス園長が来た際、食堂の料理人に頼んでソゴゥの好物を詰めたお弁当を持ってきてくれたのを、園長が手続きをしている間に応接室で、ヨドゥバシーと二人で食べていたため「大丈夫です」と答える。
「では、館長に挨拶に行きましょう。このイグドラシルの唯一のレベル6です。ソゴゥ様の修行全般を担当されることとなるでしょう。我々レベル5でも、館内の案内や書籍の場所など、イグドラシルのルールをお教えするくらいのことはできるでしょうが、レベル5とレベル7では、その任は全く異なりますので、一番レベルが近い者が教育係となるのです」
「そうですか」
「まずは、顔合わせとして、館長室へ行きましょう」
奥の建物の外側の壁に添うような階段を、建物を半周回り込むように上った先にある、蔦で覆われた扉の前に立ち、司書がノックをして入室を伺う。
女性の声で「どうぞ」と返事があり、扉を開けて中へ入る。
「今日の適性検査でレベル7となった、ソゴゥ様です」
見事なラタンチェアに座った暗赤色の司書服を着たエルフの女性が、目を細めこちらを見つめていた。
白銀の髪、ペリドットグリーンの瞳、そしてその顔は野島百華そのままだった。
ソゴゥは呆けたように、レベル6を見つめ返し、やがて唐突に「母さんじゃない!!」と叫んだ。
「何言っているの!! 母さんよ!!」
「え?」
「あっ、しまった! 母さんだっていうのは内緒にしようと思っていたのに、ソーちゃんが『母さんじゃない』なんて言うから! なんで、ソーちゃんそんなこと言うの?」
「いやいや、だって父さんが白髪で紫の目、母さんも白銀で緑の目。俺、黒髪、黒目。おかしくない?」
「それには理由があるのよ。ところで、どうして母さんて分かったの?」
「いや、母さん、まんま母さんじゃん」
「やっぱり、ソーちゃんは記憶があるのね」
「母さんもなんだね、父さんと、兄さんたちは覚えていないみたいだけれど」
母さんは、ハッとして一緒に入室してきたレベル5の司書に「ジャカランダさん、すみません、ちょっと二人で話をさせて下さい」とお願いした。
「はい、ヒャッカ様、もしやとは思っていましたが、あの時のお子さんなのですね」
「そうなんです、その節は、皆さんには何度もご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「いえいえ、こうして立派に育ち、レベル7となられたこと、とても嬉しく思っております。では、私は執務室へ戻りますので、何かございましたらお申し付けください」
司書の退出と共に、ヒャッカが立ち上がりソゴゥの頬を両手でそっと包み込んだ。
「ずっと、ずっとソーちゃん達に会いたかった。ソーちゃんたちの側にいられなくて、寂しい思いをさせてしまって、本当にごめんなさいね。こんなに大きくなって」
「今日ここに、淀波志も来ていたんだよ」
「ソーちゃん達と一緒にいられなかった理由、ちゃんと話すわね。その前に、母さんの異世界転生の話から順を追って話すけど、ソーちゃん、そっちの椅子に座って。あと何か飲む?」
ソゴゥは勧められた椅子に座る。
髪や目の色が変わっても、雰囲気や話し方、仕草の変わらない母親を前に、ああ、やっと会えたと、感極まって泣きそうになる。
淹れてもらったお茶を一口飲んで息を吐き、どうぞと促す。
「ソーちゃんは、転生する前のこと、覚えている? その、ソーちゃんが事故に遭った日のことなんだけど」
「覚えているよ、橋の下にいて、横転したトラックの積み荷の下敷きになったんだよね?」
「知っていたのね・・・・・・・出来れば、そんな恐い記憶なければいいと思ったのだけど・・・・・・」
「大丈夫だよ、ほんと、苦しいとかなかったから。怖いって感じる間もなくだったし。皆に悲しい思いをさせたかもしれない事は、悪いと思っている」
「ソーちゃん、わかっている。ソーちゃんがとても命を大事にする子だって、ソーちゃんほど用心深くて、慎重な子はいないわ。だから、これから話すことで、ソーちゃんは自分を責めたりしないでね」
「うん」
「ソーちゃんが事故に遭ったって連絡が来て病院にいったら、もうその時は心肺停止状態で手の施しようもないって・・・・・・・そもそも、お医者さんの話を聞いて想像すると、昔の悪魔が主人公のホラー映画に出てくるブレ〇ン神父みたいな最期だったわけだから、即死だったのね。悪魔になりたいなんて言っていたけれど、そんなシーンを抜粋して真似しなくても・・・・・・・」
「いや、偶々だよ、そこ真似しようとか、ちょっとニッチ過ぎない?」
「それで、病院には母さんたちの他にも、警察の人と、今にも死にそうな青い顔をしたトラックの運転手さんもいて、お父さんが『あんた、そんな死にそうな顔をせんでも、とりあえず死んで償ってくれりゃあええから、死んでくれや』って言ったのよ、そうしたらお兄ちゃんたちが『そんな事を、こんな人目のあるところで言うもんじゃない』って、父さんに言ったの。
たしなめているのかと思ったら『この人が、不慮の事故で亡くなった時、俺らが疑われてしまうじゃろが』って・・・・・・・」
「あー、伊世但兄さんと仁酉が言いそうだね」
「大変だったのよ、淀君は大泣きしながら『コロス』の一点張りだし、光っちゃんは『あんた、ぶっ殺して素剛が戻るんならすぐそうしてるわ、あんたは今ここで俺らに責められて、明日からは日常に戻ったらええ。けど、俺らは一生塞がらん穴と生きていくんよ、それ忘れんといて』って。
母さんはただただ茫然としいてたわ。
ソーちゃんのお葬式が終わってからも、皆、全然元に戻らなくて元気がないままなの。
笑ったり、喜んだり、最初からそういうものが無かったみたいに、淡々と毎日が過ぎてったわ。
そしてある日、家族全員で乗っていた車が崖から転落して、図らずもソーちゃんの後を追うことになってしまったのよ。みんなは即死、母さんだけ救急搬送されたけれど、気がついたら転生してました」
「え? マジで?」
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