異世界転生者の図書館暮らし1 モフモフと悪魔を添えて

パナマ

文字の大きさ
27 / 46
4モフモフと悪魔と朝ごはん

4- 5.モフモフと悪魔と朝ごはん

しおりを挟む
ヨルと呼ぶことにした悪魔の格好が問題だった。このまま王城の門扉を一緒に通過することが出来るほど、俺の心臓は強くない。
ある意味、別の城の王であっておかしくない格好とも言えるだろう。
後々面倒なことにならないよう、面通しはしておいた方がいいが、さてどうするか。
悩んでいたところに、スミスとナタリーが黒い服をカツいでやって来た。
広げてみると、黒い司書服だった。

「初めて見る色だ」
モバイルのカラーリングの様な表現で言うならば、レベル3と4は同じプラチナブルーのデザイン違い、レベル5と6は同じクラシカルボルドーのデザイン違い、レベル7のみがミッドナイトグリーン。
むしろ分かりにくくなったか、要は青味がかった白銀色と、暗い紫がかった赤、それと暗い深緑と言うところだ。
レベル3未満はそもそも司書にはなれないため、この三色が司書服の色だ。
ともかく司書服なら、王城を訪ねても問題ないだろう。

「これに着替えたら、直ぐに出るぞ」とヨルに服を渡す。
司書服は、ヨル用にアツラえたようにぴったりだった。

イグドラシルの外門の前で、王宮からの迎えの馬車に乗り、イグドラム宮殿へと向かう。
正門から入り、王の居城へと向かう途中にある、王に近しい立場の者との会合の際に使用する部屋に通され、王の来訪を待つ。
やがて護衛の騎士を伴って王がやって来た。

「第一司書よ、このような形で許せ」
「お気遣いは不要にございます。御身の安全が第一ですので」
騎士を出入口に立たせ、王が白く曇りのないテーブルの上座に着くと、王に近い順にソゴゥ、ヨルと並んで腰を下ろした。
「では時間もない早速、喫緊キッキンの課題について話そう。まずは、今朝報告を受けてすぐに、ティフォン・トーラスについて調べさせた結果、王都内のトーラスの屋敷に、ティフォンが不在であることが確認された。残されていた使用人によると、昨夜のうちに領地に帰ったという。事実確認のためにトーラス本家へ問い合わせると、ティフォンの帰省は予定になく、また本人からの連絡もないと言う。それから、昨夜遅くに隣国のウィドラへの国境を超えた団体がある。トーラス家の関連商業団体だ。通行許可証は通常に取得されたもので、登録人数などに問題がないため通行が許可されている。ここまでで、意見はあるか?」
「ティフォン・トーラスは国境を越えたと考えます。トーラス家の十二貴族が所有する、トーラス家貴族書のうち、ティフォンが管理する、『大風の書』が国外に持ち出された可能性があります」
「余もそう考える。ティフォン・トーラスの特殊能力は、記憶の保管。見たものをそのまま記憶することが出来るが、その記憶を脳に完全な状態で留めておけるのは、100時間だそうだが、イグドラシルから奪おうとした第五指定図書の内容を別の媒体バイタイに書き写すことが出来ない以上、第五指定図書の内容と『大風の書』を使って、何か事を起こそうとした場合、この100時間内に行われる可能性が高い」
イグドラム指定図書は転写が出来ないなど、三重のセキュリティが掛かっている。
「貴族書が国外に持ち出された場合、その権利は、十二貴族からイグドラシルへ移行します。これは、イグドラシル第一司書である私の案件のようです」
「ティフォン・トーラスの逮捕タイホ拘束コウソクは王命で刑事部と軍部に要請する。貴族書の回収は貴殿に任せる。大量の人員を国外に送り出すのには時間がかかる。騎士数名を貴殿に付けるので、別働隊として事に当たってほしい」
「かしこまりました」
「では、直ぐにここへ適任の騎士を呼ぶ。この場を使って作戦を立てるがよい」と言って、王が目を閉じる。
やがて、見慣れたラベンダーアメジストの瞳と、白髪のイセトゥアンの顔に戻る。

「王からの要件は以上だ。久しぶりだな、ソゴゥ。どうだ、俺の影武者ぶりは」
「影武者って言うか、口寄せ? 降霊術? 真似しているのは見た目だけで、実際にシャベっているのは王本人だから、似ているも何もないだろ」
イセトゥアンは変身の特殊能力を買われ、王族の影武者を務めたりするが、今日の会議にイセトゥアンを立ち会わせたのはソゴゥの要望でもあった。
流石に得体の知れない悪魔を連れて、王に会うわけにはいかないと、先の手紙で伝えていたのだ。

「そいつが、召喚した悪魔か」
イセトゥアンが、ソゴゥの横いるヨルに視線を向ける。
「ヨルと呼んでいる。ヨル、これは俺の兄のイセトゥアンだ、王宮騎士をしている」
「ヨルとやらよ、これはお前の採用試験でもある。今回の件で、ソゴゥのサポートが上手く出来たなら、ソゴゥの護衛の任を許可すると王は仰っていた。俺から言わせれば、第一はソゴゥの命を守ること、怪我をさせない事、ソゴゥの言うことを聞くこと、それからついでに貴族書を取り戻す手助けをするんだ」
「おい、ついでが一番重要なんだけど」
「我はマスターの命を守るための存在。言われずとも、当然のことである」
「だから、マスターって呼ぶなって言っているだろ、こういった場では館長と言うように」
「承知した」
イセトゥアンに伴って来ていた、護衛役の騎士が、謁見室のドアを開けて、二人の上級宮廷騎士を招き入れた。
一人は砂色の髪を、エルフの騎士がよくやる編み込みにした短髪で、体格がよく、アイスブルーの目つきが鋭い男。もう一人も金髪を同じ編み込みにした短髪で、鮮やかなブルーの瞳には不安と緊張が伺えた。
「王宮騎士団、特務隊第一班、ブロン・サジタリアスです」
「同じく、王宮騎士団、特務隊第一班所属、ヴィント・トーラスです」
「トーラス家の者ですか、この任務がどういうものか理解しているのですね?」とソゴゥがヴィントに尋ねる。
「トーラス家のハジソソぐために、全力で任務にあたる所存です」
「ティフォン・トーラスを抹殺マッサツしますが、いかがか?」
「は?」
「ティフォン・トーラスの抹殺を想定していなかった、もしくは、殺すことが出来ないと言うのならこの任務は降りたほうが賢明です、どうですか?」
「ティフォン・トーラスは国家の敵、我がトーラス家の敵、私の敵です。貴族書を取り戻すための弊害ヘイガイとなるならば、ティフォン・トーラスを倒してみせます」
「交代する気はないという事ですね?」
「はっ! 私をお使いください」
ソゴゥは「では、よろしく頼みます」と二人の騎士に言い、イセトゥアンに目を向けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...