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第11章 プロジェクト
第06話 ゴーレム討伐
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「その節は、えろ~すんまへんでしたなぁ。なんや、長老部のファンファーバレルがえらい粗相したらしいでんなぁ」
あっ! そうだ。そんな名前の高飛車な優男だったよ。あの事も書いてあったんだな。
こっちのやつは……
「手加減おんち? 体感おんち? なんですかこれは。モフ好き、ショタ好きって……」
「あっ! あきまへん! それは見たらあきまへん! 跳ねときましたんやけどなぁ、なんで混じってんや?」
見るなと言われても、もう見てしまった。
花子さんの苦手なものが書いてあったので聞いてみたんだ。こうして渡して来るぐらいだから聞いても問題ないと思ったんだけど、問題だったようだね。
―――ハナコデータ
おんち、味おんち、方向おんち、手加減おんち、体感おんち
体力バカ、底なし魔力、ネチネチな性格、モフ好き、ショタ好き、徹夜好き、腐女子
始めの三つは分かるんだけど、次の二つの意味が分からない。
二列目なんかは好き放題書かれてた。これってホントかね?
他にも得意なもの苦手なものが書かれてたし、ステータスもさっき鑑定で見たままのものが書いてあった。
―――苦手なもの
料理、洗濯、掃除、裁縫、算数、地理、魔属性、ダイエット……
―――得意なもの
妄想、瞑想、食事、長風呂、薬精製、菜園、聖属性……
これ女としてアカンやつやん! あ、移っちゃった。
えっ? この人がエルフ界のトップ? 嘘だー、こんな人がトップだったらエルフ界の先行き暗すぎない?
「見んといてっちゅーとるやろ! これはアカンて」
見ていた紙を奪い取られた。
まぁ、ほとんど読み終わってたからいいんだけど、だらしない女の代表だな。男女差別とか言われそうだけど、家事全般ができる女の人がいいよね。ただの俺の好みなんだけどね。
うちの連中だって、それぐらいは……そういや見た事無いな。ユーも苦手そうではあったか。
【星菓子】の人達は女子力高かったんだけど、他は【星の家】のシスターミニーぐらいしか見てないや。俺の場合、衛星が作ってくれるんだけど、女子が作ってくれたものもいいよね。
「どこまで見はりましたんや?」
「……得意なもの?」
「ほとんど全部やないか! もうアカン、もうアカンわ。もううち嫁に行かれへんわ!」
行く気だったの? 年齢も載ってたけど、アッシュより上だったよな?
「なんか言いはりましたか」
「いえ……なにも……」
怖ぇ~。怖え~よ。年の事は忘れる事にしよう。
「ええ判断でんな」
ニヤリと嗤う花子さん。
俺、声に出してないんだけど! なんで分かるんだよ! テレパスなんて記載無かったぞ!
隣を見ると、アッシュ達の顔色が更に顔色を悪くなっていた。
「あーすんまへん。つい、聖気が漏れてしまいましたな。エイジはんが悪おまんねんで、反省しぃや」
「は、はい、すみません……」
なんで俺が! と思うけど、つい謝ってしまう俺だった。
「ほんで、どこに住まはるんでっか? 最上階に用意はしてまっけど、好きなとこ選らんでもろても構しまへんで。でも、この悪魔はんらは最上階には住めそうにありまへんな」
「何の話ですか?」
「ここに書いてありまんがな、『拠点の提供をしろ』って。惚けたあきまへんで」
「あ、ホントだ」
差し出された紙にはそう書いてあった。
タマちゃんはここに拠点を張ろうとしてたのか。なんで態々エルフのとこなんだよ。
「でも、ここからだと人の住む町まで遠いですよね。もう少し近いところで誰も近寄らないような場所ってありませんか?」
「町から近こうて誰もおらんとこ? んー……ありまっせ。ありまんねんけど、あんまりお勧めできひんな」
「何故ですか?」
「物騒な輩がおるんや。あいつさえおらんかったらお勧めやねんけどなぁ」
「誰がいるんですか?」
「ゴーレムはんや。うちら、あーゆー無機物みたなもんが苦手やさかい手の出しようがのぉてなぁ。ゴーレムはんをどないかできたら、そこに住んでもうても構へんで。うちらも苦手なもんがのうなってばんばんざいや」
「えと、すみません、ゴーレムハン? あ、ゴーレムはんですか。ゴーレムですね。正直、話の内容も分かり辛かったんですが、ゴーレムを倒せばそこに住んでもいいという事ですね。花子さんて同郷って言ってましたが、言葉が分かり辛くて」
本当に分かり難い。普通に話せないんだろうか。
「ほうか? うちらんとこは、これが普通やったさかいな。うちは”いとはん”呼ばれとったんやけど、それも分からしまへんか?」
「”いとはん”……すみません、分かりません」
「ほな、生まれた時代がちゃうんやろな。”いとはん”言うのは商売人とこの二人目の娘の事や。長女以外の娘を”いとはん”言うとこもあったけどな、うちとこは妹もおったけど、うちだけが”いとはん”て呼ばれとったんや。一番目の長女は”こいさん”言うてな。そらもう、えろう可愛がられるんや。うちの扱いとは天と地ほどの差がありまんのやで」
商売人の娘ね。でも”こいさん”は聞いた事があるような……興味ないから覚えてないや。
でも、大まかに考えても江戸から昭和ぐらいまでの話じゃないの? 平成生まれの俺と花子さんの年の差が合わないんだけど。
まぁ、ここは異世界だし、昔から勇者もいたようだから時系列順に来るわけじゃないんだろうね。
俺と花子さんの来た時代が入れ替わってても不思議じゃない世界だから、こういう時差もあったりするんだろうね。
「すいません、よく分かりません。僕は”いとはん”と呼べばいいんですか?」
「そういう話をしとんのとちゃいますんや! もう”いとはん”でもあらへんさかい、花子で構へんえ」
「分かりました。それで…その場所を教えてもらえますか?」
「エイジはんは意外とせっかちな性格してはりまんねやな。も少し話しまへんか」
「いえ、アッシュ達も辛そうなので早く出発したくて」
「ホンマやね。他の人らやったら休めるとこに案内するんやけど、この人らは悪魔はんやさかいなぁ。よけいに、しんどなるかもしれへんなぁ」
花子さんも納得してくれて、場所を手持ちの地図に書き込んでもらい、ようやく出発する事ができた。
話が分かり難くて疲れるんだよ。大阪弁ってテレビでよく見てたから大体は分かったんだけど、それでも花子さんの大阪弁は馴染みの無いものだったから、よく分からなかったよ。
出発の際に、「エイジはんだけは後で待っとるさかいにな。あとで来ておくんなまし」って言われたんだけど、まだ用があるのかな?
色々と衛星がやらかしてるようなので、フォローの意味も含めて来た方がいいんだろな。
花子さんとしてはエルフ界を滅ぼされるんじゃないかと気が気でないだろうしね。
……そういう雰囲気は見受けられなかったけど、きっとそうに違いないはずだ。
「エイジ様? 後で戻るの?」
「そうだね、呼ばれたもんね。無視はできないかな」
「そう……そうよね、行くわよね」
「あー、アッシュは苦手な場所だったね。いいよ、ノワールと行って来るからアッシュはザガン達と待っててくれればいいから」
「そういうわけには……」
「いいからいいから。これから行く場所にゴーレムがいるそうだし、そっちで頑張ってもらって、拠点作りを手伝ってもらえればいいから。適材適所で行こうよ。誰だって苦手なものはあるって」
「……やけに優しいのね。どうしたの? もしかしてニセモノ?」
もうそのネタは飽きたから。心配して損した気分になるからホント辞めて欲しいんだけど。
「冗談よ。でも、お役に立てなくてゴメンなさいね」
「いいからいいから。大丈夫、貸しにしておくから。丸薬十個分ぐらいかな」
「なっ! それはダメ! そんなの……そうだわ! 貸しはこの二人にツケましょう!」
また『下僕の手柄は主人の手柄、主人のミスは下僕の失態』とか言ってるし、だいぶ本調子に戻って来たみたいだな。
「エイジ様? 本当にここで合ってるの?」
「うん、ここのはずなんだけどなぁ」
地図と見えてる場所を見比べてみる。
森の地図って森しかないから本来は分かり辛いんだけど、ノワールに乗って空から見ると、ここは街道が近くに見えるし、森のはずれに草原が広がり、その向こうには小高い丘も見える。しかも目的の場所は禿山になった小山だ、非常に分かりやすいから間違えてるとは思えない。
その禿山の小山の麓に洞窟があるんだけど、それも確認できている。
その洞窟を守るゴーレムがいるという話なんだけど、そのゴーレムが見当たらない。だからアッシュが確認して来たのだ。
「やっぱり間違いないよ、ここで合ってる。問題はゴーレムがいないって事なんだけど」
「そうね、それがいないと解決した、とはならないわよね」
そうなんだ。ゴーレムをどうにかできればここに住んでもいいと言われたからね。
そのゴーレムがいないとアッシュの言うように解決した事にはならない。
せっかく、俺の初戦闘かと思ったのに、相手がいないんじゃ戦いようがないじゃないか。
そう初戦闘だ…って……ん? いつもこんな感じで張り切ってた前の自分とダブルんだけど……もしかして?
『タマちゃん、ここにゴーレムいた?』
『はい、おりましたが、エイジに危険が及ぶと判断し排除済みです』
やっぱりか! 犯人はお前だ!
『タマちゃん出して。ゴーレムの素材を全部出して』
洞窟前に降りてタマちゃんにお願いした。
『Sir, yes, sir』
目の前に出されたものは、土の山、山、山だった。高さ五メートル以上ある三つの土の山に、金属製の輪っかが六つ。そして今まで見た中でも大きめの部類に入る魔石が三つだった。
「エイジ様? これってなんなの?」
「ゴーレムの…残骸?」
「え? もう終わっちゃってたの? 私の丸薬は?」
そこは丸薬じゃなくて活躍だろ! 活躍もしてねーのに、やんねーよ!
「うん、無しだね。俺はこれを持って花子さんのとこに行って来るからさ、アッシュ達は洞窟の中を調査しててよ。家は、このあたりに建てる予定だから作らなくてもいいからね」
「うっ、それでは私の出番も無いのでしょうか」
ザガンも出番待ちだったのか。ザガンの場合はアッシュほど丸薬に確執してないだろうけど、出番は欲しかったみたいだね。
「うーん、ザガンの作る部屋も快適なんだけど土の中だろ? やっぱり太陽の光を窓から浴びたいから家は俺が作るよ」
作るのは衛星だけどね。
「そう…ですか……」
ガッカリと肩を落とすザガン。
ザガンには悪いけど、やっぱり家は外がいいのだ。
三人の悪魔に後の事を頼み、俺はノワールに乗り、花子さんに報告に戻るのだった。
あの話し方を衛星に翻訳装置かなんかを作ってもらって何とかできないもんかな。
あっ! そうだ。そんな名前の高飛車な優男だったよ。あの事も書いてあったんだな。
こっちのやつは……
「手加減おんち? 体感おんち? なんですかこれは。モフ好き、ショタ好きって……」
「あっ! あきまへん! それは見たらあきまへん! 跳ねときましたんやけどなぁ、なんで混じってんや?」
見るなと言われても、もう見てしまった。
花子さんの苦手なものが書いてあったので聞いてみたんだ。こうして渡して来るぐらいだから聞いても問題ないと思ったんだけど、問題だったようだね。
―――ハナコデータ
おんち、味おんち、方向おんち、手加減おんち、体感おんち
体力バカ、底なし魔力、ネチネチな性格、モフ好き、ショタ好き、徹夜好き、腐女子
始めの三つは分かるんだけど、次の二つの意味が分からない。
二列目なんかは好き放題書かれてた。これってホントかね?
他にも得意なもの苦手なものが書かれてたし、ステータスもさっき鑑定で見たままのものが書いてあった。
―――苦手なもの
料理、洗濯、掃除、裁縫、算数、地理、魔属性、ダイエット……
―――得意なもの
妄想、瞑想、食事、長風呂、薬精製、菜園、聖属性……
これ女としてアカンやつやん! あ、移っちゃった。
えっ? この人がエルフ界のトップ? 嘘だー、こんな人がトップだったらエルフ界の先行き暗すぎない?
「見んといてっちゅーとるやろ! これはアカンて」
見ていた紙を奪い取られた。
まぁ、ほとんど読み終わってたからいいんだけど、だらしない女の代表だな。男女差別とか言われそうだけど、家事全般ができる女の人がいいよね。ただの俺の好みなんだけどね。
うちの連中だって、それぐらいは……そういや見た事無いな。ユーも苦手そうではあったか。
【星菓子】の人達は女子力高かったんだけど、他は【星の家】のシスターミニーぐらいしか見てないや。俺の場合、衛星が作ってくれるんだけど、女子が作ってくれたものもいいよね。
「どこまで見はりましたんや?」
「……得意なもの?」
「ほとんど全部やないか! もうアカン、もうアカンわ。もううち嫁に行かれへんわ!」
行く気だったの? 年齢も載ってたけど、アッシュより上だったよな?
「なんか言いはりましたか」
「いえ……なにも……」
怖ぇ~。怖え~よ。年の事は忘れる事にしよう。
「ええ判断でんな」
ニヤリと嗤う花子さん。
俺、声に出してないんだけど! なんで分かるんだよ! テレパスなんて記載無かったぞ!
隣を見ると、アッシュ達の顔色が更に顔色を悪くなっていた。
「あーすんまへん。つい、聖気が漏れてしまいましたな。エイジはんが悪おまんねんで、反省しぃや」
「は、はい、すみません……」
なんで俺が! と思うけど、つい謝ってしまう俺だった。
「ほんで、どこに住まはるんでっか? 最上階に用意はしてまっけど、好きなとこ選らんでもろても構しまへんで。でも、この悪魔はんらは最上階には住めそうにありまへんな」
「何の話ですか?」
「ここに書いてありまんがな、『拠点の提供をしろ』って。惚けたあきまへんで」
「あ、ホントだ」
差し出された紙にはそう書いてあった。
タマちゃんはここに拠点を張ろうとしてたのか。なんで態々エルフのとこなんだよ。
「でも、ここからだと人の住む町まで遠いですよね。もう少し近いところで誰も近寄らないような場所ってありませんか?」
「町から近こうて誰もおらんとこ? んー……ありまっせ。ありまんねんけど、あんまりお勧めできひんな」
「何故ですか?」
「物騒な輩がおるんや。あいつさえおらんかったらお勧めやねんけどなぁ」
「誰がいるんですか?」
「ゴーレムはんや。うちら、あーゆー無機物みたなもんが苦手やさかい手の出しようがのぉてなぁ。ゴーレムはんをどないかできたら、そこに住んでもうても構へんで。うちらも苦手なもんがのうなってばんばんざいや」
「えと、すみません、ゴーレムハン? あ、ゴーレムはんですか。ゴーレムですね。正直、話の内容も分かり辛かったんですが、ゴーレムを倒せばそこに住んでもいいという事ですね。花子さんて同郷って言ってましたが、言葉が分かり辛くて」
本当に分かり難い。普通に話せないんだろうか。
「ほうか? うちらんとこは、これが普通やったさかいな。うちは”いとはん”呼ばれとったんやけど、それも分からしまへんか?」
「”いとはん”……すみません、分かりません」
「ほな、生まれた時代がちゃうんやろな。”いとはん”言うのは商売人とこの二人目の娘の事や。長女以外の娘を”いとはん”言うとこもあったけどな、うちとこは妹もおったけど、うちだけが”いとはん”て呼ばれとったんや。一番目の長女は”こいさん”言うてな。そらもう、えろう可愛がられるんや。うちの扱いとは天と地ほどの差がありまんのやで」
商売人の娘ね。でも”こいさん”は聞いた事があるような……興味ないから覚えてないや。
でも、大まかに考えても江戸から昭和ぐらいまでの話じゃないの? 平成生まれの俺と花子さんの年の差が合わないんだけど。
まぁ、ここは異世界だし、昔から勇者もいたようだから時系列順に来るわけじゃないんだろうね。
俺と花子さんの来た時代が入れ替わってても不思議じゃない世界だから、こういう時差もあったりするんだろうね。
「すいません、よく分かりません。僕は”いとはん”と呼べばいいんですか?」
「そういう話をしとんのとちゃいますんや! もう”いとはん”でもあらへんさかい、花子で構へんえ」
「分かりました。それで…その場所を教えてもらえますか?」
「エイジはんは意外とせっかちな性格してはりまんねやな。も少し話しまへんか」
「いえ、アッシュ達も辛そうなので早く出発したくて」
「ホンマやね。他の人らやったら休めるとこに案内するんやけど、この人らは悪魔はんやさかいなぁ。よけいに、しんどなるかもしれへんなぁ」
花子さんも納得してくれて、場所を手持ちの地図に書き込んでもらい、ようやく出発する事ができた。
話が分かり難くて疲れるんだよ。大阪弁ってテレビでよく見てたから大体は分かったんだけど、それでも花子さんの大阪弁は馴染みの無いものだったから、よく分からなかったよ。
出発の際に、「エイジはんだけは後で待っとるさかいにな。あとで来ておくんなまし」って言われたんだけど、まだ用があるのかな?
色々と衛星がやらかしてるようなので、フォローの意味も含めて来た方がいいんだろな。
花子さんとしてはエルフ界を滅ぼされるんじゃないかと気が気でないだろうしね。
……そういう雰囲気は見受けられなかったけど、きっとそうに違いないはずだ。
「エイジ様? 後で戻るの?」
「そうだね、呼ばれたもんね。無視はできないかな」
「そう……そうよね、行くわよね」
「あー、アッシュは苦手な場所だったね。いいよ、ノワールと行って来るからアッシュはザガン達と待っててくれればいいから」
「そういうわけには……」
「いいからいいから。これから行く場所にゴーレムがいるそうだし、そっちで頑張ってもらって、拠点作りを手伝ってもらえればいいから。適材適所で行こうよ。誰だって苦手なものはあるって」
「……やけに優しいのね。どうしたの? もしかしてニセモノ?」
もうそのネタは飽きたから。心配して損した気分になるからホント辞めて欲しいんだけど。
「冗談よ。でも、お役に立てなくてゴメンなさいね」
「いいからいいから。大丈夫、貸しにしておくから。丸薬十個分ぐらいかな」
「なっ! それはダメ! そんなの……そうだわ! 貸しはこの二人にツケましょう!」
また『下僕の手柄は主人の手柄、主人のミスは下僕の失態』とか言ってるし、だいぶ本調子に戻って来たみたいだな。
「エイジ様? 本当にここで合ってるの?」
「うん、ここのはずなんだけどなぁ」
地図と見えてる場所を見比べてみる。
森の地図って森しかないから本来は分かり辛いんだけど、ノワールに乗って空から見ると、ここは街道が近くに見えるし、森のはずれに草原が広がり、その向こうには小高い丘も見える。しかも目的の場所は禿山になった小山だ、非常に分かりやすいから間違えてるとは思えない。
その禿山の小山の麓に洞窟があるんだけど、それも確認できている。
その洞窟を守るゴーレムがいるという話なんだけど、そのゴーレムが見当たらない。だからアッシュが確認して来たのだ。
「やっぱり間違いないよ、ここで合ってる。問題はゴーレムがいないって事なんだけど」
「そうね、それがいないと解決した、とはならないわよね」
そうなんだ。ゴーレムをどうにかできればここに住んでもいいと言われたからね。
そのゴーレムがいないとアッシュの言うように解決した事にはならない。
せっかく、俺の初戦闘かと思ったのに、相手がいないんじゃ戦いようがないじゃないか。
そう初戦闘だ…って……ん? いつもこんな感じで張り切ってた前の自分とダブルんだけど……もしかして?
『タマちゃん、ここにゴーレムいた?』
『はい、おりましたが、エイジに危険が及ぶと判断し排除済みです』
やっぱりか! 犯人はお前だ!
『タマちゃん出して。ゴーレムの素材を全部出して』
洞窟前に降りてタマちゃんにお願いした。
『Sir, yes, sir』
目の前に出されたものは、土の山、山、山だった。高さ五メートル以上ある三つの土の山に、金属製の輪っかが六つ。そして今まで見た中でも大きめの部類に入る魔石が三つだった。
「エイジ様? これってなんなの?」
「ゴーレムの…残骸?」
「え? もう終わっちゃってたの? 私の丸薬は?」
そこは丸薬じゃなくて活躍だろ! 活躍もしてねーのに、やんねーよ!
「うん、無しだね。俺はこれを持って花子さんのとこに行って来るからさ、アッシュ達は洞窟の中を調査しててよ。家は、このあたりに建てる予定だから作らなくてもいいからね」
「うっ、それでは私の出番も無いのでしょうか」
ザガンも出番待ちだったのか。ザガンの場合はアッシュほど丸薬に確執してないだろうけど、出番は欲しかったみたいだね。
「うーん、ザガンの作る部屋も快適なんだけど土の中だろ? やっぱり太陽の光を窓から浴びたいから家は俺が作るよ」
作るのは衛星だけどね。
「そう…ですか……」
ガッカリと肩を落とすザガン。
ザガンには悪いけど、やっぱり家は外がいいのだ。
三人の悪魔に後の事を頼み、俺はノワールに乗り、花子さんに報告に戻るのだった。
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しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
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