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第12章 二つ目の地域制覇へ
第01話 エルフとマヨネーズ
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少し寝過ごした。
昨日は遅くなったし、今日の予定のエルフの料理教室も何時からって決めてなかったから、いつもより遅めの目覚めでも問題ないだろ。
昨日、やり切った感があったからホッとして寝すぎちゃったんだよね。
特に急ぐ事は無い。と開き直って、ゆっくりと朝食を摂った後、ノワールに乗ってエルフの中央都市に向かった。
「「「エイジ様! お待ちしておりました!」」」
またエランさんが待っててくれてるのかな、と予想してたら、すんごく大勢のエルフに出迎えられた。
しかも、皆の表情を見ると大半のエルフが笑顔で出迎えてくれていて、非常に好意的に見える。
しかも皆、『エイジ』って言えてるし。それだけで友好的だと認識できるよ。
そんな中に憮然とした者が一人、エランさんだった。
「ようこそ、エイジ様。お待ちしておりました」
それでも俺に挨拶をしてくれる時には笑顔でしてくれた。
「うん、こんにちわ。どうしたの? 機嫌が悪そうに見えたけど」
「この者共は先日までエイジ様を見下しておった者達です。それが、昨日のマヨネーズの件以来、掌を返したようにエイジ様エイジ様と。元からお慕いしていた私としてはやるせない気持ちでいっぱいなのです。しかし、エイジ様がエルフ族から慕われるのもまた重畳。複雑な気分で御座います」
ようはあれか。有望な新人発掘で、俺は初期からのファンだったんだぜ! っていうやつか。ただの自慢しいか!
でも、エランさん。あんたも初対面では俺を威嚇して来たんだよ。そういうのはもう忘れてるんだろうな。
「それで、何でこんなに多くのエルフが集まってるの?」
「はっ! ここに集まる全ての者がマヨネーズを教わりたいと」
「全員!?」
えーと……全員って何人いるの! さっきノワールの上から見た限りでは、大樹周辺の草の生えてない所がエルフで埋め尽くされてなかった? 裏側までは見えないけど、こちら側は凄い事になってたよ。
大体エルフって、少数民族だと勝手に思ってたんだけど、この賑わいを見る限りそんな事は無いんだと思い知らされたよ。
「全員って、これ全員?」
「左様です」
そう話してる間も「エイジ様ー!」と色んな所から声が飛んでくる。
途中から「マヨネーズ!」の声も加わり、それ以降は「マヨネーズ」しか聞こえなくなったよ。
どんだけなんだよ、君達。
「さすがに、これ全員には教えられないよ」
俺の言葉に場が静まり返る。ショックで口が聞けなくなったようだ。
それほどのことか!?
「いや、勘違いしないでよ? これだけの人数に纏めて教える事ができないっていう意味だから。マヨネーズの作り方はちゃんと教えるからね」
ホッという溜息が、ボフン! と聞こえるぐらい、全員が一斉に安堵の溜息をついた。
だから、どんだけなんだよ!
「それでは、選抜するのでしょうか」
ギラリ!
エランさんの提案に殺気立つエルフ達。
下手な返事をすると暴動が起きそうだ。
「そうだね、選抜にはなると思うんだけど、いっその事商売にしてみない?」
「商売ですか?」
「そう。工場を作ってさ、そこで皆で作るんだよ。人族も欲しがってたみたいだし、売ってもいいし物々交換でもいいんじゃない?」
そんな俺の提案に『おお!』っと沸き立つエルフ達。
「それで、何人ぐらい働いてくれそう?」
「そうですねぇ、希望者を募りましょうか。これだけいるのですから、何人かはいるでしょう」
「? 何人か?」
いや、何百人の間違いじゃないの?
そんな俺の疑問をよそに、エランさんが集まったエルフに発表した。
「では、エイジ様の提案したマヨネーズ工場で働く者はここに残ってくれ。あとの者は解散!」
その一言でエルフたちが一斉に帰り始める。
え? え、え? 皆、帰っちゃうの?
しばらく待つと、二十人ほどのエルフだけが残り、あとのエルフはいなくなった。
おかしくない? あれだけいたんだよ? かなり少なく見積もっても一万人はいたと思うんだ。
それが二十人? 一万人の1%だと千人で10%だから百人か。
1%も残らなかったの? なんで? そんなに仕事が嫌いなの? マヨネーズを作るという意味では同じだよ?
「なんで?」
「エイジ様は知らなかったのですか? エルフとは自由な森の民なのです」
「自由って、仕事は? どうやって食べて行くの?」
「仕事などしません。気が向いた時に狩りをする程度でしょうか。食事に関しては木の実がいくらでもありますし、これだけ精気の強い場所でなら一年は何も食べずに生きられるのです」
そうなの? 大樹から離れすぎると弱っていくと関係ありそうだね。
「だったらエランさん達も偶にしか警備しないの?」
「いえ、警備隊は女王様より任じられた一部の者が行なっている名誉な仕事です。警備は毎日しております」
ふ~ん、だったら花子さんに頼んでマヨネーズ作りも任命してもらおうかな。
でも、二十人もいれば大丈夫かな?
「じゃあ、まずは場所からだね。エランさん、そんなに大きくなくてもいいんで、どこか作業できる場所はありますか?」
「場所…ですか。ありませんね。ここでは出来ませんか?」
「ここ?」
この広場でするの? 屋根も無いのに?
「はい、ここに仮小屋を建てるのはどうでしょう」
「小屋を建てれるの?」
「はい」
「だったらそれでいいよ。材料や出来上がったものも置きたいから五十人が楽に入れるぐらいの大きさがいいんだけど」
「五十人が入れる程度ですね、分かりました」
その程度でいいのですか? と言わんばかりに何でもないような態度でエランさんは請け負うと、広場の際に生えている樹に向かって手を伸ばした。
「【アイビークリエイション】」
すると、ニュルニュルニュルと蔦が伸びてきて、俺達の前で塊を作っていく。
蔦はまだまだ伸びてきて塊が大きくなって行く。
蔦の塊がどんどん大きくなって行き、高さ五メートルに達した時、それ以上高くは伸びず横へと大きくなりだした。
幅も十メートルに達すると、外側の表面が変わりだした。
蔦でボコボコしていた壁の表面が平らになっていく。天井も歪な形だったものが三角屋根に変わっていく。
エランさんが、スキル? 魔法? を発動してから数分。立派な家が出来上がった。
【アイビークリエイション】ですか。蔦で家を作るなんて、凄い技を持ってるんだな。
「凄いですね、エランさん。これってエランさん固有の技なんですか?」
「お褒めに預かり光栄です。これは私固有の精霊魔法ではありません。少し精霊魔法が得意なものならば出来る精霊魔法です。但し、この聖域でしか使えませんが」
「精霊魔法?」
「はい、大樹から出る精気を利用して自然を操る魔法です。私達エルフは精霊ほど精気を内在していませんので大樹の精気を利用して使っているのです」
なんだろ……精霊ならこれぐらい軽く出来ると言われてる気がするんだけど。そんなに謙遜しなくても、凄い能力なのは間違いないのにね。
エルフは妖精だったよな。妖精の中でも上位に位置する精霊の一歩手前の存在だって聞いた気がする。
マイア達精霊は移動に制限は無かったよな。
エルフは精気を多く内在していないのか。それさえ解決すれば大樹から離れても暮らして行けるんじゃない? どうやって解決できるかは分かんないけどね。
「さ、どうぞ中へ」
エランさんに促されて出来上がった建物の中へと入った。
残ってくれたエルフ達も一緒について入ってくる。
中は普通の家と変わらない内装になっていて、テーブルや椅子も既に置いてあった。
全て木製だけど、あれって床から生えてるみたいに見えるから、完全に固定されてて動かせないみたいだね。
俺の場合は、いつも食事時には衛星に土製のテーブルと椅子を用意してもらってるから、固定でも使い慣れてはいるんだけど、椅子が動かせないのは使い勝手が悪いと思う人もいるだろうね。
でも、エルフ達も慣れてる様子だね。だったら場所としてはこれで問題ないか。
「ここってずっと使えるんですか?」
「ええ、エイジ様がお望みであれば、永遠にここに建てておきます」
永遠って…いちいち大袈裟だな。
「場所問題は解決という事で、まずはマヨネーズの材料から説明しましょう。皆さん、このテーブルに集まってください」
部屋には四人で向かい合わせで座る八人掛けの長テーブルが四組、部屋の中央よりにセットしてあった。
その分、壁との間隔が広く取ってあり、二十人ぐらいなら集まってもらってもまだ余裕があった。
それでも、後ろになった人には見え難いだろうから、一通り説明した後に質問タイムを設けないといけないだろうね。
「材料はここに出しました、卵、油、酢、塩。以上です。わかりましたか?」
もちろん材料や道具の提供者は衛星だ。
それを見てキョトンとするエルフ達。
ま、そうなるよね。作って見せないと分からないよね。
「まずは卵をボールに入れて塩を少々かけてかき混ぜます。ひたすらかき混ぜます」
説明しながら実演していく。以前、ユーと作った肯定をもう一度繰り返すだけだ。
「このようにふんわりしてきたら少し油を入れます。そして、またかき混ぜます」
実演実演。
「様子を見ながら少しずつ油を足してはかき混ぜるの繰り返しです」
実演実演。
「これぐらいまで固くなったら完成です。どうです? 簡単でしょ?」
おお! と、どよめくエルフ達。
そのタイミングで野菜スティックも衛星に用意してもらう。
「さ、エランさん。味見をお願いします」
「わ、私でよろしいのですか?」
「はい、皆さんにも味見をしてもらいますが、建物も用意してもらいましたし、まずはエランさんがお願いします」
「はい! わかりました! その大役、エイジ様のご指名に添えるよう、見事果たしてみせましょう!」
いやいや、野菜を食うだけだから。大袈裟すぎるって。
「美味い! いや、美味でございます。さすがはエイジ様でございますね」
態々言い直さなくてもいいのにね。でも、上手く作れたみたいだね。
マヨネーズも何度か作ってるけど、手間がかかるだけで簡単なんだよね。問題なのは……
「質問はよろしいでしょうか」
「はい、どうぞ」
「その酢とは何でしょうか」
一人のエルフから質問が出た。
そうなんだよ、酢が問題なんだよね。
フィッツバーグの町でも、ハイグラッドの町でも酢が無かったんだよ。
どちらの町でもワインビネガーを代用してたんだよね。フィッツバーグの町の方は居住区から酢が入荷できるようになって酢に変更したんだけど、こっちでもワインビネガーを使うしかないかな?
「本来は米から作るお酒が出来る過程でできるものなんだけど、ワインビネガーでも味は落ちるけど代用できるんだ。ワインビネガーは知ってるよね?」
「もしかして、それは日本酒の事でしょうか」
「え!? 日本酒を知ってるの?」
「はい、この中央都市には女王様が開発したものがあります。かなりの量を作ってるはずなのですが、我々の手元に回って来た事はありませんが」
それって全部花子さんが飲んじゃってるって事? あの人って飲兵衛さんだったんだね。
しかし、日本酒を作っちゃったんだね、さすが同郷の花子さんだ。それなら話が早いよ。
「日本酒を作ったんなら分かると思うけど、米麹って出来るでしょ? その米麹から派生して作るのが酢なんだよ。これがそのレシピね」
そう言って酢の作り方のレシピを出す。
居住区などで予習・復習はやってるから説明もできるけど、衛星の作ってくれたレシピを見た方が理解度が高いからね。
「おお、これが……」
「私も質問があります」
別のエルフが手を上げた」
「はい、どうぞ」
「油は何がいいでしょうか。こちらで用意できる油は菜種油、椿油、オリーブオイル、ごま油、ピーナッツオイル、大豆油、コーン油、ひまわり油などです。あとはラードぐらいでしょうか」
多いな! そんなに油の種類ってあるんだ。俺が知ってるのは三つぐらいだよ。
「どれがいいんだろうね。実際に作ってみて食べ比べをしてみようか」
それから、エルフ達と共に延々とマヨネーズ作りに励むのであった。
昨日は遅くなったし、今日の予定のエルフの料理教室も何時からって決めてなかったから、いつもより遅めの目覚めでも問題ないだろ。
昨日、やり切った感があったからホッとして寝すぎちゃったんだよね。
特に急ぐ事は無い。と開き直って、ゆっくりと朝食を摂った後、ノワールに乗ってエルフの中央都市に向かった。
「「「エイジ様! お待ちしておりました!」」」
またエランさんが待っててくれてるのかな、と予想してたら、すんごく大勢のエルフに出迎えられた。
しかも、皆の表情を見ると大半のエルフが笑顔で出迎えてくれていて、非常に好意的に見える。
しかも皆、『エイジ』って言えてるし。それだけで友好的だと認識できるよ。
そんな中に憮然とした者が一人、エランさんだった。
「ようこそ、エイジ様。お待ちしておりました」
それでも俺に挨拶をしてくれる時には笑顔でしてくれた。
「うん、こんにちわ。どうしたの? 機嫌が悪そうに見えたけど」
「この者共は先日までエイジ様を見下しておった者達です。それが、昨日のマヨネーズの件以来、掌を返したようにエイジ様エイジ様と。元からお慕いしていた私としてはやるせない気持ちでいっぱいなのです。しかし、エイジ様がエルフ族から慕われるのもまた重畳。複雑な気分で御座います」
ようはあれか。有望な新人発掘で、俺は初期からのファンだったんだぜ! っていうやつか。ただの自慢しいか!
でも、エランさん。あんたも初対面では俺を威嚇して来たんだよ。そういうのはもう忘れてるんだろうな。
「それで、何でこんなに多くのエルフが集まってるの?」
「はっ! ここに集まる全ての者がマヨネーズを教わりたいと」
「全員!?」
えーと……全員って何人いるの! さっきノワールの上から見た限りでは、大樹周辺の草の生えてない所がエルフで埋め尽くされてなかった? 裏側までは見えないけど、こちら側は凄い事になってたよ。
大体エルフって、少数民族だと勝手に思ってたんだけど、この賑わいを見る限りそんな事は無いんだと思い知らされたよ。
「全員って、これ全員?」
「左様です」
そう話してる間も「エイジ様ー!」と色んな所から声が飛んでくる。
途中から「マヨネーズ!」の声も加わり、それ以降は「マヨネーズ」しか聞こえなくなったよ。
どんだけなんだよ、君達。
「さすがに、これ全員には教えられないよ」
俺の言葉に場が静まり返る。ショックで口が聞けなくなったようだ。
それほどのことか!?
「いや、勘違いしないでよ? これだけの人数に纏めて教える事ができないっていう意味だから。マヨネーズの作り方はちゃんと教えるからね」
ホッという溜息が、ボフン! と聞こえるぐらい、全員が一斉に安堵の溜息をついた。
だから、どんだけなんだよ!
「それでは、選抜するのでしょうか」
ギラリ!
エランさんの提案に殺気立つエルフ達。
下手な返事をすると暴動が起きそうだ。
「そうだね、選抜にはなると思うんだけど、いっその事商売にしてみない?」
「商売ですか?」
「そう。工場を作ってさ、そこで皆で作るんだよ。人族も欲しがってたみたいだし、売ってもいいし物々交換でもいいんじゃない?」
そんな俺の提案に『おお!』っと沸き立つエルフ達。
「それで、何人ぐらい働いてくれそう?」
「そうですねぇ、希望者を募りましょうか。これだけいるのですから、何人かはいるでしょう」
「? 何人か?」
いや、何百人の間違いじゃないの?
そんな俺の疑問をよそに、エランさんが集まったエルフに発表した。
「では、エイジ様の提案したマヨネーズ工場で働く者はここに残ってくれ。あとの者は解散!」
その一言でエルフたちが一斉に帰り始める。
え? え、え? 皆、帰っちゃうの?
しばらく待つと、二十人ほどのエルフだけが残り、あとのエルフはいなくなった。
おかしくない? あれだけいたんだよ? かなり少なく見積もっても一万人はいたと思うんだ。
それが二十人? 一万人の1%だと千人で10%だから百人か。
1%も残らなかったの? なんで? そんなに仕事が嫌いなの? マヨネーズを作るという意味では同じだよ?
「なんで?」
「エイジ様は知らなかったのですか? エルフとは自由な森の民なのです」
「自由って、仕事は? どうやって食べて行くの?」
「仕事などしません。気が向いた時に狩りをする程度でしょうか。食事に関しては木の実がいくらでもありますし、これだけ精気の強い場所でなら一年は何も食べずに生きられるのです」
そうなの? 大樹から離れすぎると弱っていくと関係ありそうだね。
「だったらエランさん達も偶にしか警備しないの?」
「いえ、警備隊は女王様より任じられた一部の者が行なっている名誉な仕事です。警備は毎日しております」
ふ~ん、だったら花子さんに頼んでマヨネーズ作りも任命してもらおうかな。
でも、二十人もいれば大丈夫かな?
「じゃあ、まずは場所からだね。エランさん、そんなに大きくなくてもいいんで、どこか作業できる場所はありますか?」
「場所…ですか。ありませんね。ここでは出来ませんか?」
「ここ?」
この広場でするの? 屋根も無いのに?
「はい、ここに仮小屋を建てるのはどうでしょう」
「小屋を建てれるの?」
「はい」
「だったらそれでいいよ。材料や出来上がったものも置きたいから五十人が楽に入れるぐらいの大きさがいいんだけど」
「五十人が入れる程度ですね、分かりました」
その程度でいいのですか? と言わんばかりに何でもないような態度でエランさんは請け負うと、広場の際に生えている樹に向かって手を伸ばした。
「【アイビークリエイション】」
すると、ニュルニュルニュルと蔦が伸びてきて、俺達の前で塊を作っていく。
蔦はまだまだ伸びてきて塊が大きくなって行く。
蔦の塊がどんどん大きくなって行き、高さ五メートルに達した時、それ以上高くは伸びず横へと大きくなりだした。
幅も十メートルに達すると、外側の表面が変わりだした。
蔦でボコボコしていた壁の表面が平らになっていく。天井も歪な形だったものが三角屋根に変わっていく。
エランさんが、スキル? 魔法? を発動してから数分。立派な家が出来上がった。
【アイビークリエイション】ですか。蔦で家を作るなんて、凄い技を持ってるんだな。
「凄いですね、エランさん。これってエランさん固有の技なんですか?」
「お褒めに預かり光栄です。これは私固有の精霊魔法ではありません。少し精霊魔法が得意なものならば出来る精霊魔法です。但し、この聖域でしか使えませんが」
「精霊魔法?」
「はい、大樹から出る精気を利用して自然を操る魔法です。私達エルフは精霊ほど精気を内在していませんので大樹の精気を利用して使っているのです」
なんだろ……精霊ならこれぐらい軽く出来ると言われてる気がするんだけど。そんなに謙遜しなくても、凄い能力なのは間違いないのにね。
エルフは妖精だったよな。妖精の中でも上位に位置する精霊の一歩手前の存在だって聞いた気がする。
マイア達精霊は移動に制限は無かったよな。
エルフは精気を多く内在していないのか。それさえ解決すれば大樹から離れても暮らして行けるんじゃない? どうやって解決できるかは分かんないけどね。
「さ、どうぞ中へ」
エランさんに促されて出来上がった建物の中へと入った。
残ってくれたエルフ達も一緒について入ってくる。
中は普通の家と変わらない内装になっていて、テーブルや椅子も既に置いてあった。
全て木製だけど、あれって床から生えてるみたいに見えるから、完全に固定されてて動かせないみたいだね。
俺の場合は、いつも食事時には衛星に土製のテーブルと椅子を用意してもらってるから、固定でも使い慣れてはいるんだけど、椅子が動かせないのは使い勝手が悪いと思う人もいるだろうね。
でも、エルフ達も慣れてる様子だね。だったら場所としてはこれで問題ないか。
「ここってずっと使えるんですか?」
「ええ、エイジ様がお望みであれば、永遠にここに建てておきます」
永遠って…いちいち大袈裟だな。
「場所問題は解決という事で、まずはマヨネーズの材料から説明しましょう。皆さん、このテーブルに集まってください」
部屋には四人で向かい合わせで座る八人掛けの長テーブルが四組、部屋の中央よりにセットしてあった。
その分、壁との間隔が広く取ってあり、二十人ぐらいなら集まってもらってもまだ余裕があった。
それでも、後ろになった人には見え難いだろうから、一通り説明した後に質問タイムを設けないといけないだろうね。
「材料はここに出しました、卵、油、酢、塩。以上です。わかりましたか?」
もちろん材料や道具の提供者は衛星だ。
それを見てキョトンとするエルフ達。
ま、そうなるよね。作って見せないと分からないよね。
「まずは卵をボールに入れて塩を少々かけてかき混ぜます。ひたすらかき混ぜます」
説明しながら実演していく。以前、ユーと作った肯定をもう一度繰り返すだけだ。
「このようにふんわりしてきたら少し油を入れます。そして、またかき混ぜます」
実演実演。
「様子を見ながら少しずつ油を足してはかき混ぜるの繰り返しです」
実演実演。
「これぐらいまで固くなったら完成です。どうです? 簡単でしょ?」
おお! と、どよめくエルフ達。
そのタイミングで野菜スティックも衛星に用意してもらう。
「さ、エランさん。味見をお願いします」
「わ、私でよろしいのですか?」
「はい、皆さんにも味見をしてもらいますが、建物も用意してもらいましたし、まずはエランさんがお願いします」
「はい! わかりました! その大役、エイジ様のご指名に添えるよう、見事果たしてみせましょう!」
いやいや、野菜を食うだけだから。大袈裟すぎるって。
「美味い! いや、美味でございます。さすがはエイジ様でございますね」
態々言い直さなくてもいいのにね。でも、上手く作れたみたいだね。
マヨネーズも何度か作ってるけど、手間がかかるだけで簡単なんだよね。問題なのは……
「質問はよろしいでしょうか」
「はい、どうぞ」
「その酢とは何でしょうか」
一人のエルフから質問が出た。
そうなんだよ、酢が問題なんだよね。
フィッツバーグの町でも、ハイグラッドの町でも酢が無かったんだよ。
どちらの町でもワインビネガーを代用してたんだよね。フィッツバーグの町の方は居住区から酢が入荷できるようになって酢に変更したんだけど、こっちでもワインビネガーを使うしかないかな?
「本来は米から作るお酒が出来る過程でできるものなんだけど、ワインビネガーでも味は落ちるけど代用できるんだ。ワインビネガーは知ってるよね?」
「もしかして、それは日本酒の事でしょうか」
「え!? 日本酒を知ってるの?」
「はい、この中央都市には女王様が開発したものがあります。かなりの量を作ってるはずなのですが、我々の手元に回って来た事はありませんが」
それって全部花子さんが飲んじゃってるって事? あの人って飲兵衛さんだったんだね。
しかし、日本酒を作っちゃったんだね、さすが同郷の花子さんだ。それなら話が早いよ。
「日本酒を作ったんなら分かると思うけど、米麹って出来るでしょ? その米麹から派生して作るのが酢なんだよ。これがそのレシピね」
そう言って酢の作り方のレシピを出す。
居住区などで予習・復習はやってるから説明もできるけど、衛星の作ってくれたレシピを見た方が理解度が高いからね。
「おお、これが……」
「私も質問があります」
別のエルフが手を上げた」
「はい、どうぞ」
「油は何がいいでしょうか。こちらで用意できる油は菜種油、椿油、オリーブオイル、ごま油、ピーナッツオイル、大豆油、コーン油、ひまわり油などです。あとはラードぐらいでしょうか」
多いな! そんなに油の種類ってあるんだ。俺が知ってるのは三つぐらいだよ。
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