衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第12章 二つ目の地域制覇へ

第02話 花子の発明

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 大量の試食用マヨネーズを作ったあとは、皆で試食会だ。

 ウマウマと食べる手が止まらないエルフ達。
 これって感想を聞ける状態じゃないね。

「どの組み合わせが一番美味しかったですか?」

 しーんとして誰も答えない。まだポリポリ食べてる人もいる。
 色んな組み合わせを試したからね。一概には言えないか。
 油だけじゃなく卵も数種類試したんだよ。俺の好みとしてはこれなんだけどね。

 卵はそんなに違いは無かったけど、油では違いがあった。椿油が一番美味しいと感じた。
 好みだから人によって違いもあるだろうけど、俺はこれだ。
 でも、やっぱり好みはあるだろうし、投票をして上位三つに絞ろうか。

 で、投票結果。一位椿油、二位菜種油、三位ココナッツオイルだった。オリーブオイルだと少し苦味があったし、他の油もこの三つに比べると、酸味や苦味があってイマイチだった。ひまわり油は癖が無く割りとよかったんだけど、ちょっと物足りないかなって感じだった。
 あくまでも俺の好みだけどね。

「じゃあ、まずは材料集めからね。卵と塩と酢を用意してもらおうかな。油はさっき選ばれた三種類ね。できるだけ多く集めてきてください」

 それぞれに分かれて行くエルフ達。材料集めに向かってくれたようだ。
 エランさんも張り切って材料集めに行っちゃったんで、俺だけが取り残された形だ。

「じゃあ、俺はもっと効率よく作れる道具を考えようかな」
 そう、マヨネーズ作りで何が一番大変かというと、それはひたすら混ぜるのが大変なんだ。
 だから手動ではなく自動で混ぜる機械を作れないものかと考えてみた。

 少量なら泡立て器でも頑張れるんだけど、大量になると手作業は大変なんだよ。
 どうせエルフ全体にマヨネーズをくれって言ってくるだろうから、大量に用意しないと暴動が起きてもおかしくない雰囲気だったからね。うん、大量に作ろうね。
 そのためにも道具だ。一番簡単で使いやすいのはハンドミキサーがいいんだけど、衛星に用意してもらうとしても電気が無い。
 ならば、どうするか。工夫するしかない。

 手動でハンドルを回して泡だて器の部分を回すものは作れる。頭で思い浮かべて衛星にお願いすればいいだけだ。
 現に、今作ってもらったけど、使い勝手としてはいい。ただ、これだと二人一組でやらないとやりにくい。出来ない事も無いんだけど、いちいち置いては油を足してまた持って、と少しばかり面倒だ。
 泡だて器の時にも感じたけど、混ぜながら油を足せれば楽なんだけどなぁ。

 バンッ!

 色々と思案を重ねていた時、荒々しくドアが開けられた。

「エイジはんー! うちはやってやったでぇー!」

 花子さんだった。
 現在、引き篭もり中だと聞いていたので、当分会えないだろうと思ってたらいきなり向こうから出向いて来たようだ。
 しかも、相当にテンションが上がってるみたいだ。

「花子さん、お久し振りです。何がどうしたんですか?」
「どうしたやおまへん。うちはな、うちはなぁ、とうとうやったんや!」
「だから何がです?」

 テンションが上がりすぎてしまってるのか、会話にならない。

「何がって、うちとエイジはんの共通項いうたら一つしかおまへんやないか。マンドラゴラとアルラウネのこっちゃがな」
「あー、研究してたって聞いてましたけど、何かできたんですか?」
「何かやあらへん! 全部や、ぜーんぶ出来たんやで! やーっぱり番やと全然違いまんな、しかもエイジはんの出してくれたマンドラゴラとアルラウネは活きがええ! ほらもう今までのやつらは何やったんかっちゅーぐらいや!」
「それはよかったですね」

 テンションが違いすぎて付いて行けない。

「何を冷静なフリこいとんねん! これやから東京もんは好かんのや。もっと慌てなはれ」

 東京もんって……別に冷静なフリもしてないし。
 意味が分かんないから付いて行けてないだけなんだけど。

「すいません。それで、なんでここへ来たんですか?」
「そら歩いてやろ」
「そうじゃなくって!」
「わかってまんがな、冗談や冗談。実はな、エイジはんに貰ろたマンドラゴラとアルラウネの繁殖にはすぐに成功したんや」

 へぇ、一組しかあげなかったけど、増やせたんだね。
 でも、マイアだって繁殖はしまくってるから、その上司の花子さんならできるだろうね。

「そうでしたか、それはよかったですね」
「よかったやあらへんわ! 何スカシとんねん! 嬉しいんやったらもっと喜びなはれ!」

 いや、別に嬉しくも無いから喜ぶ必要も無いんだけど。

「それで、どうしてここに? その報告だけですか?」
「どうしたもこうしたもあらへんわ! ものごっつ、ええもんが出来たんや。革命やで、こら革命なんやで!」

 全然意味が分からない。マンドラゴラとアルラウネで、どうやったら革命が起こせるんだよ。

「革命って…HP回復薬やMP回復薬が作れただけで革命は起こせないよ?」
「何言うてはりますんや、そんなもんは前から作ってましたさかい、どうでもよろしおま。うちが今回作ったもんはコレや!」

 デーン! という効果音が似合うような、そんな出し方だった。
 出されたものは丸薬。でも、マイアにもらってる丸薬とは色が違う。
 マイアにもらった部位欠損回復の丸薬は黒色だ。しかし、花子さんの出した丸薬の色は明るい緑。黄緑と言ってもいいぐらい明るい緑色だ。
 でも、大きさも変わらないし、何がどう違うんだろうか。

「丸薬…で、合ってますよね?」
「そや、丸薬や」
「これとは違うんですか?」

 収納バッグに入ってた丸薬を出して聞いてみた。

「ほぉ~。エイジはんもその丸薬の事を知ったはりましたか。そら、あの子がおるんやさかい、知っててもおかしないわな。でも、そんな丸薬と比べんといておくれやす。この聖炉丸せいろがんはエルフ専用なんよ」
「セイロガン?」

 腹痛の薬ですか? エルフ専用の痛み止め?

「聖なる気をいつまでも発し続ける丸薬や。どや、すごおまっしゃろ!」
「聖なる気を…ですか?」
「そや! これがあればエルフは大樹から離れても暮らせるんや。効果はだいたい五〇年は続くはずやで。どや、どやどや! うちってすごおまっしゃろ!」

 おお! それは凄いかも。俺には全く関係ないんで有り難味は無いんだけど、エルフにとっては確かに革命かもね。
 だって、一年以上大樹から離れると段々衰弱していくって言ってたし、それが改善される薬だったらエルフにとっては最高の薬だね。

「凄いですね、でもエルフって大樹から離れる事ってあるんですか?」
「そらぁ……あるやろ……あるはずや」

 無いんだね。ずっとここを拠点としてたんだからいないんじゃない? さっきだって自由人ばかりだって聞いたし、外に出るなんて面倒でしないだろ。ここにいれば衣食住足りてるんだから。

「ま、それはいいです。僕からちょっと花子さんにお願いがあるんですけど」
「ええ事ないやろ! うちの大発明をそんな軽ぅ言うたらあきまへん! そんなん言うたら、うち泣いてまうで」

 まぁ、泣かないだろうけどね。
 そう思って、こっちの話を続ける。

「昨日イベントをやったんですけど、そこで出したマヨネーズがエルフの方々に非常に好評でして、その作り手を募集したんですけど二十人しか集まらなかったんです。それで花子さんに任命してもらえないかと」
「スルーかいな! うちの大発明はスルーかいな! 任命ぐらいはなんぼでもしたるさかい、もっとうちの事を褒めてぇな!」

 なんか面倒くさい人になってるよ。
 でも、褒めれば任命をしてくれるのか。

「はいはい、ハナコサンハ、スゴイデスネー」
「そやろそやろ、すごおまっしゃろー!」ひゃっはっはー

 この人、本当に精霊女王なの? 全然威厳が無いんだけど。

「何人や」
「え?」
「しゃーから何人やって聞いとりまんねん」
「あ、作り手の件ですね」
「せや」
「そうですねー、どれだけ長時間やってくれるかにもよるんですが、実はエルフ全員が欲しがってるので、それを賄えるだけの人数を確保したいんです。そうなると……」
「千人もおればええやろ」
「千…人?」

 そこまではいらないんじゃない? 使う量にもよるけど、卵一個で一家族の一食分はあるんじゃないかな。
 卵を五個とか十個とか纏めて作れば多くできるんだし、百人もいればいいんじゃない?

「エルフは自由人やけど、気の長いのが多てな。放っといたら何日でも同じ事しとるんよ。マヨネーズも飽きるまで作らしたったらええんちゃいまっか」

 飽きるまで何日もって……それを千人? 何食分マヨネーズを作らせるつもりだよ。

「まぁ、交代制にしてもいいですしね。ほどほどに作ってもらいましょう」
「ほんで、どうやった? うちの作った畑の評判は」

 そっちもやっぱり気になるんだね。でも、コーポラルさんもあの畑には苦労したみたいだし、ここは正直に言ってやるか。

「凄く感謝はしてたんですけどね」
「けど? けどってなんでんねん。感謝以外に何かありまんのか?」
「ええ、植えられてた作物がバラバラで苦労してましたよ。収穫しても纏められないって」
「あー、さよか。たしかにせやな、そこはやっつけやったわ。ほな、やり変えときまひょか?」
「もういいんじゃないですかね。全部収穫してましたし、その後植えなおすって言ってましたから」
「アホか! 植えなおしたらあきまへん! もうやってしもとんのかいな、そんな事したらただの畑になってしまうやおまへんか」
「ただの畑って、普通の畑じゃ無かったんですか?」
「当たり前やおまへんか! うちが作った畑がただの畑なわけあらしまへん。あのまんまやったら一週間毎に収穫できるようにしとったのに、何してくれはりますん?」

 一週間で収穫って…【星の家】の畑みたいだな。
 でも、あれは畑にいた妖精が頑張ってくれてたからだろ? こっちにも妖精がいたのかな?

「しゃーおまへんな、もう妖精に任しまひょ。まーたイチからやるのは面倒でっさかいな」

 妖精じゃなかったんだ。何か方法があったんだね。

「今晩にでもやっときますさかい、エイジはんはマヨネーズを奉納しておくんなまし」
「奉納?」
「そら、うちに奉納してくれやな、あきまへんやろ。うちはこう見えて、マヨラーなんやで?」
「マヨラーって…それなら自分で作ればよかったじゃないですか」
「うちは料理は苦手なんや」
「でも、日本酒を作ったって……」
「あれは偶然だす。偶々米を作って促進させすぎたら、ああなったんだす」

 ……凄いと尊敬して損した。ただのズボラだったよ。

「それはそうと、誰も帰って来まへんな」
「そういえばそうですね」

 気になって外を見てみると、エルフが全員戻って来ていた。
 手にはそれぞれ材料を持ってるのに、なんで入って来なかったんだろう。

「あー、うちがおるから、よぉ入らんかったんやわ。ほならエイジはん、任命はしとくさかい、後の事は頼みましたで。あ、これは今出来上がった分や、誰かに実験台になってもらおと思てたんやけど、エイジはんに任せるわ」

 そう言って緑の丸薬を五つ手渡された。
 おいおい! 俺に治験患者のようなものの指名をさせるの? 嫌だよ、そんな役目。恨まれそうじゃないか。
 文句を言おうと思った時には、既に花子さんはいなかった。入って来た時のように、嵐のように消えていた花子さんだった。

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