衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第12章 二つ目の地域制覇へ

第16話 指輪購入と思いつき

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「まずは指輪など、お気に召したものがあればお選び下さい。お話は後でゆっくり聞かせてください」

 落ち着いた雰囲気で、やはりどことなく大商人バーンズさんに似ている人だけど、この店の偉いさんみたいだ。
 商売で成功すると太るのかな? 俺は太ってないけどね。
 この世界の贅沢な食べ物って全部肉だから、そうなるのかもね。

「こっちとこっちの違いは何でしょう」

 帽子親父は、もう俺達の専属としてずっと付いて来るので、普通に店員と接するように聞いてみた。
 すると、相手も普通に返して来た。

「こちらは宝石でございます。奥の陳列には魔石を装飾したものを並べております」
「へぇ~、こっちは魔石なんだ。でも、そんなに高くないね。宝石の方が高いぐらいだけど、魔石って付与魔法が付けれるから高いんじゃないの?」

 宝石は綺麗なだけだけど、魔石は実用性がある。その実用性も冒険者にとっては有用なものだし、生活をする上でも有用に魔法はたくさんあるはずだ。
 それなのに魔石の方が安いって何か納得が行かない。

「こちらに使われている魔石は指輪に装飾してもいやらしく無い程度の大きさに留めております。装飾品ですから綺麗なものだけを厳選しておりますが、大きさだけで言うと屑魔石と変わりません。そうなると大した付与もできませんので安くなるのです」

 へぇ、これだけ綺麗な魔石なのに安いのにはそういう意味があったんだ。
 でも、付与はできるんだよね?
 ちょっと試してみるか。

「この一番安い魔石の指輪を一つください」
「えっ! それ? べべ別にエイジがくれるものだから、どれでもいいといえばいいんだけど、それは私の趣味じゃないかなぁって……」
「あ、違うよ、ユーにあげるのは別に考えてるから。これはちょっと試したい事があって買うだけだから」
「そ、そうよね。エイジの趣味が悪くなくてよかったわ」

 そうだよね。ユーの指輪を見に来たんだから、そう思っちゃってもしかたないよね。先にユーの指輪を選んじゃおうか。

「この指輪は後で一緒に清算して下さい。じゃ、ユーの指輪を選ぼう。これなんかどうだろ。黒ってユーも俺も同じ黒目黒髪だろ? ま、日本人としては当たり前なんだけど。でも、こっちじゃ黒って珍しいみたいだし、この……クロダイヤ? っていいんじゃないかと思って」
「うん! それ可愛いし、それでいい!」
「じゃあ。指輪のサイズを測ってもらって作ってもらおう」
「そちらでよろしいですか?」

 会話を聞いていた帽子親父が気を利かせてくれた。

「はい、これでお願いします」
「ちょっと待って? エイジのは?」
「俺? 俺は別に……」
「ダメだよ。同じのを買おうよ」

 それって所謂ペアリングってやつっすか。それはいいかも。

「じゃ、俺も同じのを買うよ」
「うん! お揃いだね!」

 お目が高い、とかお世辞を言われたけど、すぐに指のサイズを測ってくれて少し待つと仕上がった指輪を渡された。もちろんケース入りで。

「早いんですね」
「はい、このリング自体が魔法付加を施された魔道具のようなものでして、調整するのもすぐにできるのです」

 それだけの効果しかありませんが。と謙遜された。
 へぇ~、驚く事ばかりだよ。
 ユーは早速指輪を填めて大喜びだ。

「これはおっしゃっておられた魔石の指輪です。この後もお時間を頂きたいのでサービスとして差し上げましょう」
「え、いいんですか?」
「はい、その代わり、何か思いつかれたようなので、それについても教えて頂ければ」

 抜かりが無いね。この辺はさすがに商売人ってとこかな。
 言っても問題ないだろうし、実用できるかどうかもまだ分からないからね。

「ええ、構いませんよ。どうせ、実験するつもりで買おうと思ったものですから、貰えるんなら見てもらっても問題ありません。できるかどうかは、まだ分かりませんが」
「ええ、結構です。それでは奥に部屋を用意しますので、そちらにお越し下さい」


 そうして通された応接室で実験をする事になった。
 先に、噂話の方を済ませたんだけど、ユーもヘルファンの町には行った事が無いので、帽子親父と一緒になって驚いてたよ。
 因みにこの帽子親父はこの店のオーナー店主で、セダン・ラジュールという名前だった。
 家名があるって事は、それなりの家なのかもしれない。

「ほぉ、それは是非一度ヘルファンの町に行ってみないといけませんね」
「ええ、是非お越し下さい。あ、申し遅れました。僕はエイジと言いまして、皆からはイージと呼ばれています」
「私はユー。冒険者だよ」
「では、お二人とも冒険者の方でしょうか。私の記憶に間違いがなければ、イージ様は受勲されておられませんか?」

 あー、バレちゃったか。宝石店のオーナーで家名も持ってたら、それぐらいの情報は持ってるか。

「そうですね、頂きました。でも、あまり大袈裟にはしたくないんで、普通にお客さんとして接して下さい」
「そう、なのですね。冒険者だというのに自己主張の控えめな方なのですね。分かりました、ではそのようにさせて頂きます。因みに、先ほどお伺いしたヘルファンの町で色々とあった件なのですが、イージ様も関わっておられますな?」

 肯定されたか。これはカマを掛けてきたか? まずは否定してから反応を見てみようか。

「いえ、僕は特には」
「そこも隠されたいのですね。分かりました、段々とイージ様の全容が見えてまいりました」

 知ってたみたいだな。でも、分かってて大袈裟にしないみたいだし、訂正はしなくていいか。

「しかし、ここからヘルファンの町までですと、一ヶ月は優に掛かりますな。使いの者をやってもいいのですが、話を聞いてしまえば自分で見たいと思ってしまいますな」
「そうですね。でも、現在のヘルファンの町は日々拡張してますから、一度見たからと言って次見た時も同じとは限りませんよ。それに街道はかなり整備されましたから、一ヶ月は掛からないと思いますよ」

 大きな街道に限っては既に衛星が整備済みだ。あと、支線も整備してるとこもある。今までより快適に馬車を走らせられるから移動の時短にはなってるはずだ。

「ほぉ~、それは尚更興味深い。しかし、風呂やトイレは変わらないのでしょう?」
「そうですね」
「では、一度は見てみたいものです」
「そうですね、見るのもいいと思いますが、今この国にドンドン広がっていますので、そう遠くない時期にこの町にも入って来ると思いますよ」
「おお! さすがは実際に関わってる方の情報は新鮮です。では、時代に乗り遅れないように、ヘルファンの町の情報を優先的に集める事にしましょう」

 このラジュールさんって、実は結構やり手かも。もしかして地位もある人かもしれないな。

「それで、魔石の指輪で試したい事があるとおっしゃっておられましたが、何を試されるのでしょう」
「実は、収納魔法を付与できないかと考えまして、ホントできればいいなと思った程度なんですけど、いいと思いませんか? 容量は多く無くてもいいんです。ちょっとした小物入れや財布代わりになればお洒落かなぁって」
「おおおお! それは素晴らしいアイデアです! 確かに、アイテムショップには魔法を付与された指輪はありますが、身体強化やちょっとした魔法を発動できるものしかありません。逆に私共のような宝石店では付与が目的ではありませんから収納魔法を付与するという考えはありませんでした。財布代わりというのは確かにお洒落ですね。うーん、確かにいい…うん、いいですぞ! これは売れる、素晴らしいアイデアだ!」

 ラジュールさんが見守る前で、実際に収納魔法を付与してみた。
 付与は成功したが、やはり容量は多くない。これがもっと大きな魔石だったらもっと容量を大きくできるんだろうけど、指輪に大きな魔石をつけると見た目が悪い。

「ふむ、アリですな。これはアリですぞ! 金貨が百枚入る容量。いいですな、実にいいですな」

 そうかな? 金貨百枚しか入らないんだよ? 銅貨でも銀貨でも大きさは変わらないんだから合計百枚なんだよ? アリでいいの?

「通常、住民が町中で買い物をするのにそんなに多くのお金は持ち歩きません。合計で百枚収納、良いではないですか。普段使うものとしては丁度いい。しかもカットなどしない天然の屑魔石であればグッと原価は押さえられますし、後は付与できるものがいるかどうかのみ。イージ様は出来たようですが、この町にはおりません。王都に行けばいるでしょうし、纏めて頼んでしまえば交通費も一度で済みます。うん、これは明るい未来が見えて来ましたぞ!」

 そうかな? それは買う人がいくらなら出せるかによるんじゃない? 普段使う財布に金貨五枚も十枚も使わないでしょ。せいぜい銀貨五枚までぐらいじゃない? そこまでコストを押さえられるとも思えないよな。

「ところでイージ様、明日のご予定は?」
「明日ですか? 明日は朝から出発して北西の町へ向かうつもりです」
「それは急ぎのご用なのですか? できましたら、明日、私共のために一日お付き合い願えませんか?」
「明日ですか?」
「はい、魔石に収納魔法の付与を一個銀貨一枚で如何でしょうか」

 そういう事か。そりゃ、目の前に付与できる人がいるんだもんな。王都まで行く必要もないし、俺に声を掛けるよな。
 でも、一個銀貨一枚って安くない? 百個やっても金貨一枚だろ? 今さら小銭稼ぎするつもりも無いんだけど。

「もちろん、これだけ高価な指輪を買って頂けるイージ様が、内職のような仕事を請け負ってくださるとは思ってはいません。情報も付けましょう。それで如何ですかな?」
「情報……その情報にもよりますけど」
「先ほどのお話を聞く限り、イージ様は食に関して強い拘りを持ってらっしゃるご様子。海の食材については興味はありませんか?」

「「やりましょう!」」

 え? なんでユーまで一緒になって答えてんの? しかもハモったし。やるのは俺だろ?
 スシー、サシミーって、嬉しそうにはしゃいでるユーを見ると、まぁいっかと思えて来る。ホント、ユーは日本の食べ物には執着が強いよね。

「おお、そうですかそうですか、やって頂けますか。では、屑魔石はこちらでご用意致します。イージ様は明日一日こちらでお願いしますね」

 それも面倒だな。もう衛星に振っちまおう。

「いえ、それには及びません。屑魔石は沢山持ってますので海の情報だけで結構です。その代わり売値を下げて住民に気軽に買えるようにしてくれませんか?」
「おー! イージ様は良い領主になれそうですな。分かりました、ではイージ様のお気持ちを組んで、そのようにさせて頂きます」
「でも、こちらで用意するのは収納魔法を付与した魔石だけですので、リングはそちらで用意してください」
「承知致しました」

 海の食材か。この世界に来てから衛星のお陰で食べてるけど、町で見た覚えが無いからね。
 この世界の海の幸って興味があるよ。刺身とかあるのかな。まさか、また焼くだけって事はない、よな?

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