衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第02章 目指せレベル10

第06話 ランクアップ

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 朝食を摂っている時に昨夜考えた名前を言ってみた。

 色々出したんだけど、全部却下された。
 どうやら厨ニ的なもので無いと受け入れてくれないようだ。
 でも、そこまで拘ってるようでもなく、『夜露死苦団』って言ってみたら、「悪くはないわね」って言って決まりそうになってしまったので、慌てて訂正したからね。
 漢字的なやつなら受け入れてくれそうだ。

 それならと、『衛星』が付けたいと言ったら、「清潔にはしたいけどパーティ名には向かないわね」ってベンさんと同じで衛生と間違われた。
 衛星は受け入れてもらえないようだ。

 結局、星なら受け入れてもらえたので、『煌星きらぼし冒険団』で落ちついた。
 昼まで掛かってしまったよ。

 もう昼になってしまったから、先に昼食を摂り冒険者ギルドへ。

 パーティ登録を済ませると、俺だけお呼びが掛かった。
 相談したい事もあったし、マスターの部屋にお邪魔する事になった。

 キッカ達はこのまま武器屋に行くと言っていたのでそのまま別れ、俺だけそのままマスタールームへ。

 部屋に入ると今回もマスターから座るように促されたので、素直に座る。

「で? なんで呼ばれたか分かってるよな?」
 挨拶も無く、マスターが話し始める。
 回りくどいのが苦手だって言ってたっけ。

 呼び出された理由ね……んー、いくつか思い当たるけど、どれだろ?
 精算金か、ランクの事か、もしかしたら盗賊団の事かな?

「精算金の事ですか?」
「それは用意してある。後で渡そう」
「ではランクの事ですか?」
「それも後にしよう」
「あとは…盗賊の事ですか?」
「そうだ、あれはお前一人でやったのか。仲間もいたと聞いてるが、『菊花剣難団』だったか。あんな雑魚なんか何人いても役に立たないよな。何か話してくれるんだよな」

 話せと言われても衛星の事を言っても信じてくれないだろ? でも、信じてもらえればダンジョンに行く許可がもらえるかもしれないし、一度言ってみようか。

「俺の職業欄って知ってます?」
「衛星魔法だな。聞いた事が無い魔法だからよく覚えてる」
「はい、その衛星って、俺の周りを飛んでいて、ずっと俺を守ってくれているんです」
 ここもここもと三つの衛星を順番に指さしてみた。
 マスターは俺の周りを見るが何も無い事はすぐに確認できる。もちろん俺の指差す先には何も見えない。

「それがお前の答えか」
 そうとしか言えないんだもん。凄く睨まれててメチャクチャ怖いんですけど。
 でも、信じてもらわないとダンジョンが……

「はい、それでこの衛星は、結構俺の言う事を聞いてくれるんです」
 まだ睨んでるよー。これ絶対信じて無いね。

「この…この装備も衛星に作ってもらったんです」
 そう言って胸や腕の装備を主張するが、もはや聞く耳持たずって感じになってる。
 結構勇気を出して言ったんだけどなぁ。信じてくれてないよね。

「今回の盗賊団も衛星が眠らせてくれて……」
「もういい! お前の秘密主義はもうわかった! ランレイ、後は任す」
 怒っちゃったね。でも、他に言いようがないじゃないか。剣や魔法の腕前を見せろって言われても見せられないんだから。なんで本当の事を言って怒られなきゃいけないんだ。俺だって結構勇気を出して言ったんだぞ。


 怒って自分の机に戻るマスターと入れ替わりに、秘書のランレイさんが俺の前に座る。
 溜息をついて座るランレイさん。

「あなたも嘘をつくんなら、もっとうまくつきなさいね」
 小さな声で言われたので、マスターには聞こえてないと思うけど、嘘じゃないんだけどなぁ。
 なんかもっともらしい言い訳を考えないといけないな。

「それじゃ、報酬ね。詳細は聞く?」
 あ、この素材がいくつで単価がいくらでってやつか。
 俺は首を振って断った。

「じゃ、これが素材の合計ね。白金貨が二百四十枚、金貨が四十三枚、銀貨が六十六枚、銅貨が十五枚ね。それで、次はこれ」
 ランレイさんは別に分けて用意していた、今と同じ硬貨が入った袋を前に出した。
 マスターの予想通り、前回の素材代を超えたね。

「盗賊団の討伐分ね。詳細を聞く?」
 また首を振って断った。

「白金貨が二枚と金貨が七十枚。あと、盗賊のアジトにあったものはあなたの物よ。他に何か質問は?」
 アジトにあった物は俺の物でよかったんだ。安心したよ。

「そうだ、俺のランクはどうなりますか? ダンジョンに行きたいんですけど」
「あなたのランクね。マスター、どうしますか?」
「なにがだ」
「この方の冒険者ランクです。盗賊討伐前にマスターが設定したのはEランクでしたけど、それから盗賊団を壊滅し、全員を生け捕りにしています。通常ならツーランクアップでも問題は無いと思うのですが。それにこの方はダンジョンに入る事を希望されています。ダンジョンに入るのなら個人だとDランクは必要ですが」
「だったらDランクにしてやればいい」
「しかし、問題が……」

 おお! ダンジョン行けちゃうの? Dランクは確定なの? 俺って結構優秀な奴だった? 一気にスリーランクアップだよ。
 でも、問題ってなんだろ。

「あー、私が言ってたやつか。それなら普通に頼んでみろ。そいつなら受けてくれるだろ」
「わかりました」
 ランレイさんはマスターに返事をすると、俺に向き直り交渉をしてきた。

「イージさん、あなたのランクはEランクで決まりかけていたのです。本当はもっと上でも良かったようなのですが、こちらの思惑があり、Eランクとさせて頂く予定でした」
「思惑ですか……」
 なんだろ、冒険者ギルドの思惑ってちょっと怖いね。

「はい、薬草採取なのです」
「はぁ」
「あなたが提出した薬草は大量な上に鮮度が良く、薬屋ギルドから指名依頼が来ているぐらいなのです。それでEランクにしておけば、薬草採取でもポイントが付きますので、冒険者ギルドへの貢献度にも繋がり丁度よかったのですが」
「はぁ」
 だから何なの? よく分かんないんだけど。

「Dランクになれば薬草採取ではポイントが付きませんから、Dランク以上の冒険者が薬草採取をする事はありません」
 なるほどね、Dランクぐらいになるとポイントにもならなくて、お金にもあんまりならないんなら薬草採取する事は無いだろうね。

「そこであなたに交渉です」
 え? 交渉? 俺に頼むんじゃ無かった?

「あなたのレベルは1ですよね?」
「……はい」
 そんなに大きな声で言わなくったって知ってるよ!

「いくらDランクでも、レベルが10を切る者はダンジョンには入れません。普通、Dランク冒険者にレベル10以下の者なんていないからです」
 そうだろうね。EやFランクにもいないかもしれないね。
 やっぱりレベル10にならないと入れないのか。

「そこで、あなたはダンジョンを希望されていますので、入れるようにしてさしあげましょう」
「え!」
 マジ! それは嬉しいかも。

「その代わり、定期的に薬草や毒消し草を採取して冒険者ギルドに納めてほしいのです」
「それぐらいの事でいいのでしたら、やりますよ」
 俺が採ろうとしたら、衛星が勝手に採るんだからね。今回の盗賊団の森の中でも採ってるはずだよ。

「引き受けていただけますか! ありがとうございます。今はあなたが納めてくれた薬草で一時的に薬草不足も解消していますが、今は戦争の影響で薬草の納品が追いついていない状態なのです。出ていく量が多いので、すぐにまた薬草不足になるでしょう。ご協力感謝いたします」

 そうなんだ、戦争の影響ね。大変だね、冒険者ギルドも。
 でも、これでダンジョンに行けるんだね。嬉し~!

「それでは下で冒険者カードを交換しますので、一緒に行きましょう。マスター、宜しいですね?」
「ああ、構わないぞ」

「あ、その前に一つ相談がありました」
 席を立とうとした時に思い出した。

「はい、なんでしょうか」
「はい。今回、盗賊団を捕まえた時に馬をたくさん連れて来まして、それも俺の物って事でいいんですよね?」
「はい、それで結構です」
「それで、その馬を使って、何か商売ができないものかと」
「馬を使った商売ですか……そういうのは商業ギルドの方が詳しいでしょうね。一度行ってみられては如何でしょうか」
「商業ギルドですか……わかりました、一度行ってみます」


 マスターの許可もおり、秘書のランレイさんと一階に降りた。

 偶々なのかどうか分からないけど、犬耳のアイファの窓口で冒険者カードを渡すと、少しゴソゴソして銀色のカードに代えてくれた。
 Dと大きく書かれたカード。銅から銀に変わったね。銅のカードも格好良かったけど、銀もいいね。

 カードを見てもレベルは記載されて無いけど、受付で渡すと分かるんだろうな。

「ランレイさん、これで俺もダンジョンに行けるんですね」
「はい、この町のダンジョンなら行けるように手配しておきます」
「この町の?」
 俺が笑顔で問いかけた質問に、なにやら意味深な事を言うランレイさん

「はい、この冒険者ギルドでは、この町の中にあるダンジョンの管理も任されております。そのダンジョンでしたら入って頂いて結構です」
「この町以外では?」
「それは難しいですね、Dランクでレベル10以上というのは、どのダンジョンでも同じでしょうから、後は人間が管理していないダンジョンぐらいしかありまえせんね」
「そんなダンジョンってあるの?」
「さあ、私は存じ上げません」

 なんだよそれ! ぬか喜びじゃん!
 でも、ここの町のダンジョンだけでも行けるようになって良かったと前向きに考えよう。

 ランレイさんとの話が終わると、流石は私の見込んだイージねってアイファはDランクになった事を褒めてくれた。
 話が終わるのを待っててくれたようだ。
 やっぱり褒められると嬉しいから、俺も用意してあったカットしたケーキを皿に乗せて渡してあげた。

「これは何?」
「ケーキって言うんだけど知らない? 凄く甘いんだよ。甘いものって嫌いじゃないよね」
「甘いもの⁉ そんなの好きに決まってるじゃない。これって甘いの?」
「うん、甘いよ。食べてみてよ」

 フォークを渡すとアイファが一口食べた。

「!」

 一気に食べたアイファはまだ欲しそうにフォークをくわえて俺を恨めしそうな目で見る。

「美味しかった?」
「まぁまぁね。もう無いの?」
 その食べっぷりでまぁまぁですか。素直に美味しいって言えばいいのに。
 空になった皿にもうワンカット乗せてあげた。

「アイファ、それってどんな味なの? 凄く美味しそうに食べてるけど」
 ランレイさんはまだいたんだ。そういやまだランレイさんがいる時にケーキを出したね、甘いものって聞くと女性だから興味もあるんだろうね。

「ランレイさんも食べますか?」
「ええ、頂けますか?」
 ランレイさんにもケーキを皿に乗せてフォークを渡した。
 皿はたくさんあるんだ。毎回、衛星に作ってもらう料理を食べたら洗ってもらって俺が収納してるから。
 衛星達は毎食ごとに皿も作ってくれるからね。

「あー! ずるい! 私も食べたーい!」
 隣の受付のお姉さんも見ていたみたいだ。これだけ暇だからね、美味しそうに食べてると興味を持つよね。

 今は昼過ぎで冒険者は一人もいないみたいだからね。

 隣の受付に行き、同じようにケーキを配る。受付はもう一人いるから同じように渡さないとね。
 あ、馬耳の買い取り受付ポーリンさんにも渡してあげよう。

「なにこのフワフワ~! あっまーい!」という声を背中で聞いてポーリンさんにも渡して来た。

 八等分したケーキは俺が二個食べたから今持ってるのは残り六個。ポーリンさんに渡したら終わりだね。後はチーズケーキか。

 ポーリンさんに渡してアイファの所に戻ると、四人の女性が待っている。
 受付三人と秘書のランレイさん。

「イージ、もう無いの?」
「うん、イチゴケーキはもう無いんだ。また作っておくよ。後はチーズケーキならあるけど食べる?」
 四人の女性が同時に力いっぱい頷く。

 空いた皿にチーズケーキを乗せてやると、皆すぐに食べ始める。
 いくら暇でも自分の席に戻って食べようよ。

 チーズケーキを食べたら満足したのか、それとももう無いのが分かったからか、お礼を言ってそれぞれ仕事に戻って行った。
 次、また作って来たら絶対に私の分もお願いします! 絶対だよと、何度も念を押された。
 これも商売できそうだな。でも、衛星しか作れないのが難点だな。

 馬の件もあるし、商業ギルドにでも行ってみようかな。

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