衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

文字の大きさ
33 / 224
第03章 20枚の地図~護衛依頼編

第04話 買い取りの相談

しおりを挟む
 
 マイアの召喚した三精霊に粉々に打ちひしがれた俺。
 今は、馬に任せ衛星に落ちないように補助してくれと頼み、馬上でふて寝している。

 寝ていると言っても睡眠している訳ではなく、馬の首にもたれて目を瞑っているだけ。
 でも、そうする事で徐々に睡魔も襲ってきて、半分寝ている状態になっていた。馬の揺れ具合と相まって、意外と心地いい。

 基本、馬は賢い。しかも今は衛星の補助があり、町までは一直線に寄り道もせず辿り着く。
 衛星が守ってくれているんだから、魔物に襲われるって事があるはずもなく、無事に町に辿り着いた。雑魚魔物はトレントが倒してくれてるだろうしね。

 門には何度か入門を確認してもらった顔見知りの兵士がいた。冒険者カードを見せると、兵士の前で水晶に手を翳して、犯罪履歴が無い事を確認し入門手続き完了。
 馬を引いてる状態でも、歩きながら通って水晶に手を翳せる窓口がある。この町を拠点としている物なら、態々馬を繋いで水晶での確認のために詰所に入ったりしなくていいのだ。
 流石に馬からは降りないといけないけど、どうせすぐに馬を預けるから、ここで降りても大差ない。

 町を出る時は身分証を見せるだけ。町で何か事件などが起こった時は身分確認も厳重になるらしいが、まだこの町には長く滞在していないので、今の所そういった事は起こっていない。

 まずは、買い物だけど、お目当ての店がどこにあるのか分からない。
 商業ギルドで聞けば、登録と合わせて一石二鳥なんだけど、商業ギルドに行くのは気が向かないんだよなぁ。
 でも、そうも言ってられないのも分かってるんだよな。
 んー、先に冒険者ギルドに行って、それから商業ギルドに行く事にしようか。


 冒険者ギルドに寄ると、犬耳お姉さんのアイファの所へ。
 混雑する時間帯は過ぎていたので、すぐに俺の番になった。

「おはよう、アイファ。今日もランレイさんを呼び出して欲しいんだけど」
「いつもいつもランレイさんなのね。私に用事は無い訳? それにあなた依頼を熟してないでしょ。そろそろ何か依頼を達成しないとランクが落ちるわよ。折角Dランクになったんでしょ?」

 え? そんなルールもあったの? 知らなかったよ。
 転生したからには冒険者だ! と思って冒険者には登録はしたけど、まだ依頼らしい依頼って何も熟して無いんだよね。
 素材の買い取りをしてもらったのと、盗賊団を捕まえて突き出しただけだよ。

 あとやった事って領主の屋敷に忍び込んだ事と、土地を買って孤児院の引っ越しをしたな。
 こっちのは冒険者ギルドには関係ない事だから、依頼ってわけでも無いし。
 今後の方向性を決める意味でも、何か依頼を熟したいな。

 俺に依頼が熟せるのかって事だよ。
 もしできないのであれば、冒険者に拘る必要は無いわけだからな。

「俺の向いてそうな、ちょうどいい依頼って無い?」
「イージに向いてる依頼ねぇ……イージは何が得意なの? 素材採取が出来るって事は魔物を倒したって事でしょ? それなら……あ、イージのレベルは1だったね。だったら薬草系の採取依頼かな」

 ふっふっふっふ、レベル1は卒業したのだよ。
 聞いて驚け見て笑え! はっはっはっは。実はレベル152なのだよ、アイファくん。

「実は……」
「なにニヤニヤ笑ってんのよ、気持ち悪いわね。あ、さてはランレイさんの事でも考えてんのね。だったらその辺りの事もランレイさんに相談すればいいじゃない?」
「え? い、いや、実は……」
「今日も内緒でケーキをあげるんでしょ。私は知ってるんだからね」
「そ、そのレベルはもう……」
「レベルの事もランレイさんに聞けばいいんじゃない?」
「い、いや、その……」

 アイファは席を立ち、後ろの事務員に言伝を頼んでいるようだ。
 なんで急に機嫌が悪くなったの?

「ランレイさんを呼びに行ってもらったから用事は終わりね。さっさとどいて。次の方、今日はどのようなご用件でしょうか?」
 手でチョイチョイとあっち行けってされた。

 なんなんだよ、急に。さっきまで機嫌よかったみたいなのに。なんか地雷でも踏んじゃった?
 意味わかんないんだけど。

 意味も分からず突き放された俺は、ランレイさんを待った。
 ランレイさんはすぐに来てくれたので、また例の如く個室へ案内された。
 もう、この流れだとケーキのおねだりなんだろうね。
 この個室に行く事でアイファが怒ったの?
 いや、それは無いだろ。確かにケーキはあげてるけど、主に土地の話しかした事ないんだから。
 もしかして、アイファがやきもち焼いてくれてるとか? 別にそういう仲でも無いしな。一度食事に行っただけだし……わからん。

 アイファの事は今は置いといて、ランレイさんに相談だな。
 ランレイさんに相談する事は三つだ。
 買い取り先の事と、その為に商業ギルドが関わって来るのかって事が一件、レベルが上がったので、その報告と人間が管理してないダンジョンについてが二件目。あとはマイアが畑を作ってる所が俺の土地から出てるので買い取れるかだな。

「いつも呼び出してしまってすみません。今日も相談なんですけどいいですか?」
「ええ、私はケーキさえ頂ければ問題無いわよ」

 もしかして、アイファが怒ったのって、このランレイさんの話し方にも問題があるのかな? 初めに会った時の業務的な感じじゃなくて、砕けた話し方に変わって来てるもんな。でも、俺とランレイさんが話してる所なんて、誰にも聞かれてないよな。
 あ、今はランレイさんに相談だったな。

「ホントに好きなんですね」
 そう言って先にケーキを出してあげた。

「食べながらでいいですから、話を聞いてもらって何かいい考えがあったら教えてください」
「ワカッタワ」
 あれ? もう聞いて無い?
 ま、食べてからでもいいしね。

 こういう報酬というか、お駄賃的な事って引っ越しのバイトを思い出すよ。
 ご祝儀ってやつ。「後で飲み物でも飲んでください」って千円もらった事があるんだけど、あれっていつも仕事の終わりに貰うんだよね。
 ああいうのって先に貰ってれば、やる気のテンションが全然違うのになぁって思ったことがあるよ。先に貰ってれば、荷物をもっと丁寧に扱ってたのにな、とか思ったもんな。

 こういうのは覚えてるのに、転生した時の事は何も覚えてないんだよなぁ。元日本人の高校生だったまでは覚えてるんだけどなぁ。どうやって死んだかも覚えてないんだよな。ホントに死んだの? この世界で初めて気が付いた時はあの死体の山の中にいたわけだし、やっぱり死んだんだろうなぁ。

 そんな事を考えてると、ようやくランレイさんが食べ終えたみたいだね。
 また、ホール一個食ったね……太るよ。

「先に顔を拭いてください」
 と言って、ふ~っと満足そうにしているランレイさんに綺麗なタオルを渡した。
 ランレイさんが拭き終わるのを待って話を始めた。

「今日は買い取り先について教えてほしくて」
「買い取り先? 何を売るの?」
「農作物と、薬草関係と、薬ですね」
「農作物は農業ギルドでいいんじゃない? 薬草はうちでも買い取るけど、薬にして売るつもり? それなら薬屋ギルドだけど、あそこは資格が色々と煩いから素材で売る事をお勧めするわ。うちも薬草は売って欲しいから、いつでも買い取るわよ」

 そういえば、薬草の採取依頼をしてほしいから俺のランクをDに上げたくないって言ってたよな。農業ギルドってあるんだね。商業ギルドに行かなくても済みそうだね。それに、薬に精製しなくてもいいんなら、その方が楽だよな。

「でも、売るのは俺じゃ無くて、孤児院の人達なんです。売りたい薬草は月光草と蒼白草です。あと……」
 マンドラゴラとアルラウネの事は言わない方がいい? 伝説のやつだから言っちゃうとややこしくなりそうだし、黙っておこうか。

「月光草に蒼白草⁉ それって高級薬草の素材じゃない! それは是非うちで買い取るわ!」
「は、はい…」
 凄い食い付き方だな。マンドラゴラとアルラウネの事は話さなくても済みそうだ。

「孤児院の人達からですが、それでもいいんですか?」
「ええ、町の人には領主から何か出てたみたいね、孤児院を相手にするなって。でも、うちは元々そんな話は聞く気も無いし、うちには孤児院出身の冒険者もいるのよ。良いものを持って来てくれるんなら、うちはいつでも買い取るわよ」
 そうだったんだ。それなら薬草の件は解決だな。これで定期的な収入ができそうだよ。

「ありがとうございます。では皆にはそのように伝えます。冒険者じゃ無くても買い取りってしてくれるんですか?」
「ええ、それは大丈夫よ。でも、冒険者の方が割高で買い取っているから、誰かが冒険者登録した方がお得ね」

 それはいい情報です。
「はい、そう伝えます。次なんですが、農作業の道具を売ってる所はどこか知ってますか? ジャガイモとか小麦を育ててるんですが、小麦って籾殻を取らないといけませんよね。その道具が欲しいんです」
「それも農業ギルドね。たぶん売ってると思うわよ」
 確かに。

「それと、この前購入した土地なんですけど……」
「返品不可よ!」
「いや、返品じゃなくてもっと周りも買えないかと思いまして」

 土地の話を出した途端に返品不可って言われたね。よっぽどいらない土地だったんだ。

「あんな所の土地がもっと欲しいですって? 大丈夫なの?」
「はい、強い仲間が増えましてね。あの辺りの魔物なら倒してくれるので安心です」
 嘘じゃないよね? クラマやマイアが強くてあの辺りの魔物なら倒してくれるもんね。
 守ってるのは衛星の作った結界だけど。

「それと僕もレベルが上がったんです。だからもうダンジョンも普通に行けそうです」
「まぁ、強い仲間ができたんですね。レベルが上がったのもその方達のお陰? 強い人といるとレベルも上げやすいでしょうからね」
「はい、まぁ、そんなとこです。それで、どうなんでしょう。土地を広げたいんですけど、売ってもらえないんでしょうか」
 特に池の周辺を。

「あそこは領主の土地なのよね。たぶん、売ってはくれると思うけど、直接領主に言わないとダメね。前回イージが買った土地は領主に無理やり買わされた土地だから、うちが転売しても問題無かったんだけど、他はねぇ。うちじゃ判断できないわね」
 領主に直接頼むのか……それは嫌だなぁ。もう関わりたく無いんだよな。
 でも、せめて池の周りだけでも欲しいんだよね。マイアが伝説のベビー人面樹の畑を作っちゃったからね。
 マイアの結界で誰も入れないと思うし、あんな所に近づく奴もいないと思うんだけど、人の土地に無断でやってるって気持ちの問題なんだよな。

 領主の所ね。嫌だなぁ、誰か代わりに交渉してくれないかな。
 まずは農業ギルドに行ってから考えようか。先に済ませられる事から済ませよう。

しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...