衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第03章 20枚の地図~護衛依頼編

第07話 依頼の詳細

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 約束の当日、冒険者ギルドでランレイさんと面談した。
 もちろん、アイファは休み。この後で一緒に食事をする約束をしている。

 冒険者ギルドには昨日も来たからね。一応、アクセサリー屋には行ったんだけど、これといったものが無くて、アイファに直接聞いてみたんだよ。どんなペンダントが好みなんだって。
 そしたら言わないんだよ。「女の子の好みぐらい分かるようになりなさい」だって。
 それが分かってたら、彼女ができてるっつーの。

 仕方が無いから、必殺アバウト衛星頼みだ。
「女の子の好みそうなペンダントを作ってくれる? デザインは星だな」って頼んだら、綺麗な星のデザインのペンダントを作ってくれたよ。
 星形のペンダントトップには小さな宝石が幾つか散りばめてあって、真ん中には魔石が組み込んであったよ。
 この世界では宝石よりも魔石の方が好まれてるのかな? 衛星が作ってくれたんだから間違いないだろ。

 もちろんケースも頼んだよ。箱の素材はベルベットみたいな感じでたのんだら、俺の思ってた通りの理想のペンダントケースを作ってくれた。

 ランレイさんとの話が終わったら、食事の時にでも渡そうかと思ってるんだ。
 これでアイファの気持ちはガッチリ掴んだも同然だな。はっはっはっはー

 今は例の如く、ランレイさんのケーキ完食待ちです、はい。

「ふぅ、何度食べてもあなたの持って来るケーキは美味しいわね。お店を出す気は無いの?」
「そんなに量が作れませんからね、趣味みたいなものですし」
 たぶん、衛星なら作ってくれるかもしれないけど、ケーキ屋って勘弁してよ。
 ただでさえ、孤児院経営みたいになってんのに、もっと冒険者枠から離れて行っちゃうよ。

「そう、それは残念。でも、今後も私達には持って来てほしいんだけど。良い情報があれば流してあげるわよ」
「はい!」
 それは期待しております! 特にアイファ情報に!

「じゃあ、今日の本題ね。先日言ってた領主様からの護衛依頼だけど、出発するのは明日。時間は特に決めてないみたいだけど、夜を希望されてたわ。行き先はハイグラットの町。そこまで馬車を護衛して往復する仕事よ。達成すればワンランクは確実に上がるわね。道中の成績によってはツーランクアップできるかも」

 おお! この依頼を達成させると冒険者ランクが上がるかもしれないんだ。…ん? 待てよ。冒険者ランクが上がるほど危険な仕事って事じゃないのか?

「これって、もしかして相当危険な仕事だったりして…はは」
「そうね、ハイグラットの町は隣の国と今やっている戦争の最前線だから相当危険な仕事なの。戦争も危険だけど、逃亡兵がそのまま盗賊になったりしてるみたいだから、道中も危険が伴うわ」
 なっ、そんなんダメじゃん! なんでそんなとこに行く奴がいるんだよ! その護衛が俺ってどういう事なんだよ! そんなの俺には無理じゃん!

「領主様はあなたの腕を非常に買ってたんだけど、あなた何をしたの? あなた一人では護衛は無理だと断ったんだけど、領主様が心配ないっておっしゃるから引き受けては来たんだけど、あなた一人で大丈夫?」
「いやー、はは」
 大丈夫じゃないと思います。絶対無理だと思います。

「あなた、そう言えばパーティも組んでたわね。この依頼はパーティで行くの?」
 そう言えばそうだな。キッカ達と行ってもいいのか。クラマは……付いて来そうだな。

「キッカ達とは相談してみます。これってパーティ以外の人も付いて行っていいんですか?」
「そういうのは困るわ。道中で知り合って護衛を頼むんならアリかもしれないけど、初めからは認められないわね。誰かいるならパーティ登録してしまえば?」

 魔物や精霊って冒険者ギルドに登録できるの?
 見た目は人間と変わらないけど、どうなんだろ? ……さすがに聞けないなぁ。

「そうですね、登録に来てみますね」
 ダメ元で登録させてやろうか。登録出来たら儲けものだな。
 護衛依頼は夜出発だって事だから、明日の昼過ぎ頃に来て登録させてみよ。

 ハイグラットの町がどこにあるかも知らないので、ランレイさんに聞いてみたら地図をくれた。
 本当は売店で売ってるから本当は買ってほしいんだけど、今回だけ特別よって言われて、この国の地図をもらった。
 
 凄く大雑把な地図で、大体の町の場所や街道が書いてあるだけで、位置関係が本当に合ってるのか疑いたくなるような地図だった。
 前に買った地図も大雑把な地図だとは思ったけど、この地図は更にいい加減な地図に見えた。
 でも、無いよりはマシだよな。この地図があるだけで、どっちに行けばいいかぐらいは分かるからね。

 冒険者ギルドを出て、さっきもらった地図を見ながらアイファの家に向かった。


 今回向かう方角は南か。
 ベンさんと来たのも南から来たんだったな。途中で盗賊から馬車に乗った三人を助けたんだよな。
 まさかそれが領主の娘とその従者たちだったとはね。
 本来はテンプレでいい方向に流れて行くはずだったのに、何か違うよね。
 
 町まで来たら消えちゃうし、次に見た時は追いかけられるし、その後は領主の城で見たけど、偽領主問題があって、その偽領主に絡まれてたんだよな。
 普通だったら、お礼にとか言って領主の城に泊めてくれたり、もしかしたら恋に発展したりとか、あってもいいのにね。あ、領主の娘のアイリスってまだ子供だったよ。俺はロリ系はストライクゾーンに入ってませんからね。
 アイリスって、いくつぐらいなんだろ。たぶん、十歳ぐらいなんだろうね。
 十年後に出会ってれば、いい出会いになったかもね。

 地図で見るとベンさんがいた集落より南なんじゃないかな。はっきりとは分からないけど、そんな感じがするよ。
 ベンさんとは歩いて来たから街道だけで一週間掛かっちゃったけど、今回は馬車だろ? だったら集落より南でも十日も掛からないんじゃない?

 そんな事を考えてると、すぐにアイファの家に辿り着いた。
 
 ドアノッカーでドアを叩くと、アイファが出て来てくれた。
 前回は緊張してたから色々警戒してたけど、今回はスムーズに呼び出せたよ。
 でも、後になってお父さんが出て来てたらと思うと、不用意すぎたなと反省した。

 今回はアイファが店を考えてくれていて、無駄なやり取りをせずに店に向かった。
 少しお洒落な感じの料理店だった。
 確かにお洒落なんだけど、出て来る料理はどこもそんなに変わり映えしない。宿屋に隣接している飯屋でも、冒険者ギルドの食堂でも、そんなに変わらない。
 しかも全体的に味が薄いし、焼く料理が多い。

 この店は紅茶とパンをメインにしてるみたいだけど、あんまり美味しくない。
 これなら焼いた肉を、衛星に作ってもらったマイ塩やマイ胡椒をこっそり隠れて掛けて食べた方が満足できそうだよ。
 さすがに持ち込みはダメなのかなぁと思ってたら、アイファが持参の果物を出した。

 え? 持ち込みありの店だったの?
「え? 持って来た物を出していいの?」
「知らなかったの? 大体どの店でもオッケーよ。飲み物さえ頼んでれば、パンも出してもいいのよ」
 マジか! それならこんなの食べなかったのに。

 「じゃあ」と言ってケーキを出した。ランレイさんじゃ無いんだからホールでは食わないよ。
 ホールでは出したけど、その場で切り分けてワンカットずつアイファと食べた。

「これってどうやって作ってるの? 今度私にも教えてくれない?」
「作り方?」
「ええ」
 参ったな、作り方なんて知らないんだけど。衛星ってレシピは作ってくれないのかな?

「うーん、どうだろ? ちょっと試してみようか」
「試す?」

《衛星、このケーキのレシピってもらえる?》

『Sir, yes, sir』

 お? さすがは衛星。聞いてみるもんだね。

 パサッ

 衛星が一枚の紙を出した。

 紙を手に取って確認した。
 なんだこれ? 全部英語じゃん! 読めねーって!

《これじゃ読めないよ。日本語かこの世界の言葉にしてよ》


 返事は無い…か……
 んー、和英辞典でもあれば自分で調べらるんだけど、それも無いしな。諦めるしかないな。

「魔法で作ってたのね。それじゃ無理ね」
 残念そうにするアイファ。

 勝手に勘違いしてくれたけど、あながち間違いでも無いね。衛星しか作れないんだし、衛星には俺が頼むしかないんだからね。
 このレシピが読めたら誰でも作れるようになるかもしれないけど、この世界で一番英語が読めそうなのが俺だろ? だったら無理だな。

「うん、ごめん。でも、また持ってくるよ。それと…これ」
 衛星に作ってもらった星型ペンダントが入ったケースを渡した。

「あ、昨日言ってたやつね。見てもいい?」
「うん、どうぞ」

 ケースを受け取り中を見るアイファ。

「うわぁ~素敵~」
 笑顔で喜ぶアイファ。

 衛星も中々やるじゃないか。こんなに喜んでくれるとは思って無かったよ。

「この真ん中の石って、魔石だよね?」
「そうだね」
「これってなん何の属性? 何か付加効果があったりする?」
 え? 知りませんけど。そこ重要なの? なんだろ、その期待の眼差しは。

 鑑定で調べてみると、【無属性】【付加効果――】だった。

「えーと、無属性で付加効果は何も付いてないね。何か付いてた方が良かった?」
「……」
 魔石の説明をするとアイファが真っ赤な顔で俯いてしまった。

 あれ!? 怒った? だって、好みを聞いても教えてくれなかったから衛星に任せた結果なんだよ。俺は悪くないからね、悪いのは衛星だからね。

 しばらく沈黙が続いた。
 絶対怒鳴られると思ってたら、アイファはずっと黙ってるんだ。俺から話せば薮蛇だろうし、黙ってるしかない。

「帰る」

 アイファが沈黙を破り、帰ると言った。
 そんなに怒ったのかなぁ。顔を見る限り、怒ってるようには見えないけど、ずっと真っ赤な顔をしてるし、怒りを抑えてるのかな。ちょっと震えてるようにも見えるし。
 お店の中だし自重してくれてるのかもしれないな。

 流石にこの状態では家まで送る事もできず、お店を出た所でアイファと別れた。


 実はかなり後に知る事になるのだが、無属性、付加無しのアクセサリーはプロポーズの意味があったらしい。
『俺の色に染めたい』って意味があるそうだ。

 アイファを怒らせたと思い、夕食後に遅くまで衛星達と反省会を開くエイジであった。
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