衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

文字の大きさ
102 / 224
第06章 伝説の剣

第11話 隣国へ

しおりを挟む
 さっさと用を済ませてユーを追いかけるつもりだったが、なんだかんだと小用が重なり、結局は一日潰れてしまった。
 あと、エルダードワーフの里の場所を知ってると言ってたので、ゼパイルさんにも同行を願ってみたが、あっさり断られてしまった。
 場所は聞いてたけど、実際に行った人の案内があった方がいいし、エルダードワーフとも面識があるみたいなので誘ってみたんだけどね。今は鍛冶仕事が忙しいと断られちゃったよ。
 雇い主がいいから来てくれと言ってんのにね。おかしな話だよ。

 でも、あの怒鳴ってばかりのドワーフのおっさん、鍛冶仕事はどの程度出来るんだ? 見たことは無いけど、商業ギルドのセシールさんが優秀だと言ってたし、ドワーフって鍛冶師ってイメージがあるからな。
 渾身の作品の剣が魔剣になったとか、『封魔の剣』を作った事があるって言ってたから大丈夫じゃないかな?
 『封魔の剣』がどの程度のものか分からないけど、凄そうだし、まずは出来上がった作品を見てからだな。
 ま、【星の家】の子達が使う程度のものなら、どんなものでも問題ないでしょ。

 翌朝、食事を終えるとクラマとマイアと共に出発準備を完了させた。
 キッカはまだ帰って来てない。
 迎えに行くのは吝かではないんだよ? でもね、行った先で長くなるのは目に見えてるじゃん?
 もちろん、自分でやった事については責任は取らせて頂きますよ。でもね、帰って来てからでもいいと思うんだよね。
 ここは、必殺『難問は先延ばし作戦』でいいと思うんだよ、うん。

 少し待ったが帰って来るようすが無いので、院長先生にキッカへの伝言を頼んで、三人で出発した。これ以上遅くなると、後回しにしている全ての対応も遅れてしまうからだ。
 もっと遅くてもいい案件もあるけど、そうも言ってられない。クラマとマイアも待ちきれなくてイラつき出してるから。

 三頭の天馬にそれぞれ乗った俺達は北方の隣国ベルガンド王国に向けて旅立った。
 目的地は国境を越えた先にある森の中。エルダードワーフの里である。
 王都までを一日も掛からず往復できる天馬の速さなら丸一日も掛からず到着する事ができるだろう。

 でもやんね。やってたまるか。あんな怖い思いは当分したくない。二度としなくてもいいと思ってる。それは天馬を駆る者としてどうかと思うが、今はまだ無理だ。
 高高度を飛んでもらった事と、風圧は遮断してくれた事で速さはあまり感じなかった。目も瞑ってたしね。
 でも、あの高さは無いわぁ~。絶対なしだって。

 出発と同時に高く飛んで行こうとするクラマに慌てて待ったをかけたよ。
 この周辺には人里も無いからね。【星の家】の皆は天馬達が飛べるのは知ってるし隠す意味も無い。だからと言って高く飛ぶ必要は無いのだよ。
 だから森の上空五メートルぐらいを飛んでもらってる。偶に飛んでる高度より高い樹もあるけど、そんなのは避ければいいだけだ。

 遠目に見れば樹の上を走ってるようにも見えるだろう。
 俺としては凄く落ち着ける高さだ。
 これなら少々スピードを上げてもらってもいいだろう。でも、こないだみたいな速さは勘弁だ。降りた後の脱力感が半端無いから。
 口から魂が出る経験は始めてだった。実際には出てないと思うけどね。

 そんなスピードでも馬よりは遥かに速い。一日走り続ければ二日先行したユーを追い抜いてしまいそうだ。
 単純計算で相手はどんだけ早くても時速40キロ程度だろ。サラブレッドでも無いみたいだし、ずっと走り続けられるものでもないから馬を休憩させながらだしな。こっちはタマちゃんにも確認してみたけど、時速80~90キロ。しかも道など無視して一直線に進んでる。ホントに追い抜いちゃうかもしれないな。

 ノワール達天馬に乗ってるとスピード感はあまり感じないんだ。だから時速を聞いた時に驚いて落ちそうになったよ。そんなに出てると思ってなかったんだから。

 いつも通り、魔物に出会う事も無く、ただひたすらに目的地を目指して飛ぶ俺達三人。
 いつも通りクラマは魔物にエンカウントしいないのが不満のようだが、そんなもの出会わない方がいいに決まってるのだ。
 マイアもいつも通り静かにしてるけど、今日は森のすぐ上を飛んでるためか、いつもより周りを気にかけてるように見える。

 森の精霊様だからね。森の現状確認でもやってるのかもしれない。どうやったらできるのかとか分かんないけどね。
 だって周囲探知とか凄いからね。クラマもその点は凄いけど森の中だったらマイアには敵わないだろうな。
 俺? 俺もそういう魔法書があったらすぐにできるようになるさ。
 最近覚えた空間魔法ね。空間把握はちょっとできるんだけど、せいぜい半径一メートル程度だった。
 そのエリアの中なら誰がいるとか分かるんだけど、実際に魔物が入った事が無いので分からない。クラマは分かったけど従者だし対象外かもしれないしね。
 その範囲なら空間移動もできた。……あまり意味が無いのかもしれないけど。自分でもショボって思ったもん。
 あと、空間収納もできた。……収納できるのはやはり同じ大きさ……収納バッグを持ってる俺には意味が無かった。出し入れの時にMPを消費する分だけでも、収納バッグの方がいい。収納バッグはMPを消費しないからね。

 ま、魔法書の購入にお金が掛かったわけでもなし、収納の中で余ってた素材と交換しただけだからね。贅沢は言うまい、元々は魔法も諦めてたのだから。

 ノワールでの移動も慣れたけど、流石にこのスピードで寝る勇気は無く、途中で食事休憩を一度入れた以外はずっと乗ってたけど眠れなかった。
 街道を走ってた時なら眠れたのにな、空を飛んでる間は緊張で寝れなかったよ。

 順調に進んだ先で国境を越えた。
 もちろん線も引いてないし、壁があるわけでもない。これは地球と同じだ。一部では国境に柵があったりするようだけど、普通は無いからね。
 街道沿いなら関所を作ったり、ゲートを作ったり、標識などで印は作れるけど、森の中なんてできないから適当だよね。

 見張りの意味で誰かを住ませたりする場合もあるみたいだけど、国境線全部を見張る事なんてできるはずがない。
 と思ってた。

 だが、流石はファンタジー。こういうのは魔法で出来たみたいだ。
 結界魔法の応用で結界石をある程度の間隔で置いて国境線を管理してたみたいだ。
 タマちゃんが説明してくれたから分かったけど、知らないままなら全然気づかない所だったよ。
 どうやったのかは知らないけど、タマちゃんが結界を無効化してくれたから、俺達はトラブルも無く国境線を越えた。
 密入国者の完成だ。

 これって犯罪になるんだよな? 犯罪鑑定の水晶で黒判定されちゃうんじゃないの?
 街道を行って門を通った方がよかったんじゃないの?
 そう思ってクラマとマイアに聞いてみたが、彼女達には元々国境なんて関係ないから罪の意識はゼロ。聞いた俺がバカだった。
 人間の定めた国自体、彼女達には関係ないからね。

 俺も念のため、タマちゃんに鑑定水晶を作ってもらって試してみた。判定は白。
 これぐらいじゃ罪にならないって事なんだろうか。それとも結界をすり抜けたから問題ないとか? 基準がよく分からないね。

 ゼパイルさんが地図に印した○部分あたりに到着。
 まだ日が暮れるにはまだ少し時間がある。
 だいたい八時間ぐらい掛かったか。ここはまだ目的地ではないけどね。でも、目的地には近い場所だと思う。
 あとはエルダードワーフの里を見つけるだけだけど……
 やっぱり衛星の出番だよな。

『タマちゃん、エルダードワーフの里を探してほしいんだけど』
『はい、もう発見済みです。すぐに向かいますか?』

 おお! さすが衛星! タマちゃんが来てから更に優秀になってない? ホント頼りになります。

『ちなみにユーの場所は分かる?』
『はい。もうエルダードワーフの里内にいるようです』
『え? もういるの? 早っ!』
 ユーの事は絶対に追い抜いたと思ってたけど、既に到着済みとは…勇者、侮り難し。
 だったら俺達もさっさと里に向かうか。

「クラマにマイア、ユーはもう到着してるかも。俺達もこのまま行っちゃう? それとも、今日はもうすぐ陽が暮れるから、明日の朝にする?」
「明日でいいであろ。わらわは少し探索してくるぞえ」
「そうですね、明日でいいと思います」
 クラマはもういなくなっていた。
 マイアもいつの間にかいない。

 あいつら、いつも何しに行くんだろ。必ずどっか行くよね。
 マーキング的な何かなんだろうか。聞いたら教えてくれるかな。今晩にでも聞いてみよう。

 それから野営の準備に入る。と言っても収納から小屋を出すだけ。他にはする事が無い。
 食事も衛星に言えばいいだけだから、俺は何もする事が無い。
 偶には俺が食材調達なんか……無理だな。魔物や凶暴な野生動物に出会った事が無いのに、どうやって調達する気だよって話だ。

 魚釣りとか? 川なんか周りに無さそうだな。
 木の実? 種類なんかよく分かんないし、クラマが肉無しの食事を許すはずが無い。
 ……やっぱり無理だな。だったら魔法や弓矢の練習でもしとこかな。

 ガサガサ

 茂みが揺れる。

 ん? クラマでも戻ってきたかな?
 ガサガサっと茂みから出てきた者を確認して一言。

「小っさ!」
 いやいや、小さくは無いんだ。おっさんなんだけど、背が低いんだ。クラマかマイアだと思ってたから、身長の低さについ「小っさ」って言ってしまった。
 背は低いが横幅はかなり広いおっさんだった。ゼパイルさんもガタイはいいが背が低かったから体つきが似ているのでドワーフなのかもしれない。
 あっ、髪の毛が青い。だったらエルダードワーフなのかも。

―――――――――――――――――――――――――――

すみません。遅くなりました。
GWは呆けてました。ダラダラです。
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...