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第07章 チームエイジ
第03話 ゼパイルさんの成果
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工房に入ると色んな匂いが入り混じった熱気に晒された。
鉄の焼ける匂い、墨の燃える匂い、酒の匂い。
ちゃんと仕事やってんのかねぇ。
「ゼパイルさーん、エイジです」
声だけ掛けてズカズカと中まで入って行った。一人でね。
ユーは院長先生との話の時は大人しくしてたけど、もう飽きたのか、「ちょっと修行してくる」と言って山に向かって走って行った。
ユーは武器に興味はあるみたいだけど、作る作業には興味が無いみたいで、さっさとどこかに行ってしまった。
俺はゼパイルさんに用があるし、呼ばれてるとも言われてるので行くしかない。ついでに言われたんだけどさ。
声を掛けたけど返事は無かった。でも、遠慮無しに入って行く。
鍛冶の仕事は火を入れると手を離せないと聞いた事もあったから。
予想通り、ゼパイルさんは鍛冶仕事の真っ最中だった。ガンガンと槌打つ音が聞こえてたからそうとしか思えなかったんだけどね。
集中していて声を掛けても全然気付かれなかった。音も煩いけど、ゼパイルさん自信も凄く集中しているようだ。
仕方が無いな、少し待ってみようか。鍛冶仕事も見てみたかったし。
ゼパイルさんが作ってたのは剣だった。
大ばさみで真っ赤に焼けた鉄を挟んで、窯で熱を入れては出して打つ。ジューっと水に浸けて持っている剣を集中して色んな角度から見た後、何やら手を翳している。そしてまた窯に入れ、打ってはまたの繰り返しだ。
槌で打つのも一回一回の間隔が予想していた間隔より遅い。いや、見始めは早かったのだが、ドンドンと遅くなって来ている。
もっとテンポ良く打っていくものだと思ってたので意外だった。
集中してヘッド部分が光ると振る、集中してヘッド部分が光るのを待って振る。と、繰り返しているから一振り一振りの間隔が長い。ヘッドの輝きも打つ毎に増してる気がする。
一振りする毎に剣の形が整っていく。これは見てて凄く楽しくなってくる。
衛星が家を建てるのを見てても楽しいんだけど、これはもっと楽しいな。
でも、もう剣の形になってると思うんだけど、それでもまだ終わらないようだ。どうなったら完成なんだろうな。
「ぷっはー!」
そう思ってると、ゼパイルさんが大きく息を吐いた。
どうやら一区切りついたのかもしれない。
それなら、と。労いも兼ねて酒樽を出してみた。安い方の『竜殺し』ね。それでもドワーフ国でしか買えないって言うんだから貴重品ではあると思う。ドワーフ国ってどこに在るんだろね。もうエルダードワーフの里に行ったから、別に行かなくてもいいかな。
スンスンと鼻を動かすゼパイルさん。
すぐに酒の匂いを嗅ぎつけたようだ。
こんな暑くて鉄の匂いがキツイ所でよく分かるもんだ。
グリンっと顔だけこっちに向けたゼパイルさん。
怖ぇ~よ。身体ごとこっちに向けよ!
「よぉ酒かぁ。ちょうど終わったし飲むとするか」
俺の名前はエイジだよ! 酒って名前じゃねーし! 本当に剣はちゃんと出来てるんだろうな。心配になってくるよ。
「お疲れ様です、ゼパイルさん。終わったんなら先に話を聞かせてください」
そう言って酒樽をしまった。そうしないと、この人話を聞かないから。
「なっ! なんでしまうんだ? 先に飲ませろってんだ!」
「話が先です」
ね? こういう人なんだよ。
「ほらよ」
ゼパイルさんは、無造作に床に散乱していた剣の中から一本拾ってこっちに差し出した。
「え? これは何ですか?」
「お前ぇが注文したんだろ? もう忘れたのか」
注文? なんだっけ。
剣を受け取ってマジマジと眺めてみたが、とんと覚えが無い。
仕方が無いのでゼパイルさんに聞いてみた。
「これって……?」
「あ~? 本当に忘れちまってんのか? そりゃ『封魔の剣』だぞ。似せるのが難しくてよ、何本も打っちまったぜ」
あー! アイリスに頼まれた領主様の剣か!
あれ? でも折れた剣を直してくれるんじゃなかったの?
「えと…折れた剣はどうしたんですか?」
「おお、あれか。ありゃダメだ。修復はしてやったがな、封魔の力が戻らなかった。ただの綺麗な剣でよけりゃそこらに転がってるはずだぜ」
言われて工房を見渡すが、剣がいっぱい散乱してて、どの剣が『元封魔の剣』なんだか分からない。
エルダードワーフの里の倉庫も乱雑だったけど、ドワーフって整理下手なのか?
短剣やナイフに槍先に斧、矢じり、投擲ナイフなどが散乱していた。一番多いのは剣だったが、これはゼパイルさんの好みだそうだ。剣を打つのが一番好きらしい。
色んな素材で色んな武器を打つ。それが至福の時らしい。
その割にはここは酒の匂いも充満してるけどね!
散乱してる武器の中から一本拾い上げ左手に持つと、右手でクレクレと手をクイックイッとするゼパイルさん。
あー、酒と交換ね。分かりましたよ。
再び酒樽を出す、酒樽の蓋を目掛けて持っていた剣を振り下ろす。
おい! それ商品じゃん! 木槌代わりに使うんじゃねーよ!
あ~あ、ちょっと酒で濡れてるよ。
すぐにゼパイルさんから剣を奪い取ったけど、剣は既に酒で濡れていた。
「ちょっとゼパイルさん!」
「あ~? いいじゃねーか、そんな出来損ない。そんな剣ならこんな事ぐらいにしか役に立たねーよ」
「そういう事じゃ……はぁ……」
その剣は俺が領主様に持っていくやつなんだよ。もうちょっと大事に扱ってくれないかなぁ……
それからゼパイルさんと少し世間話をした。
俺からはエルダードワーフの件などを。その時に出した『七月剣』にゼパイルさんが凄く食い付いたので一本進呈したけどね。
ゼパイルさんからは【星の家】の子供達へは、それぞれに見合った武器を作り上げて院長先生に既に渡したそうだ。
そんな事、院長先生からは言われなかったぞ? 普通なら凄く感謝されそうだけど、ゼパイルさんだから仕方が無いか。だって、酒を見ると何も話ができなくなるんだもん。
どうせ院長先生の所に行く時だって酒の匂いをプンプンさせて行ったんだろうな。そりゃ邪険にされるって。
「それで、報酬だが。酒をよこせ。贅沢は言わねぇ、『竜殺し』でいいぜ」
は? この人何言ってんの? 酒よこせって何日か前に何樽か渡さなかったか? エルダードワーフの里に行く前に渡したと思うんだけど。っていうか、今出したし!
それに『竜殺し』でも十分贅沢な気がするのは俺だけか?
「あの、ゼパイルさん? 飲みすぎじゃない? 一日どのぐらい飲んでるの」
「普段は一升ぐらいだが、今は鍛冶仕事をやってるからな。一日一樽ぐらいか。飲んだ方が不思議な力が出ていいもんが出来んだよ。さすがは酒だぜ、なぁ!」
なぁって言われても……
不思議な力って、さっきの槌のヘッドが光ってたやつか? 確かに不思議な感じはしたけど、不思議な力って……それは命名されてないんだね。それが酒のおかげ? ホントかなぁ……
「報酬にしても、酒樽は先日前金として渡しましたよね?」
「あんなもん、もうあるかい! 儂を誰だと思ってんだ! それにあれは前金じゃねぇ! 手付金だ。だからこっから報酬が発生するんだぜ」
ゼパイルさんだよ! なんて言ったら殴られそうだな。
この人、エルダードワーフより呑むんじゃないか? 飲みすぎだって! 酒が絡むと計算高くなってるし、自分中心すぎるぞ!
「はぁ、分かりました。でも、【星の家】の子供達の分は家賃分だって言いましたよね? だって素材は俺持ちなんだし。まぁ、サービスとしてあと一樽は出しましょうか」
そう言って更に一樽出した。
「…それだけかい」
いや、十分でしょ?
「そんなんじゃいい武器が作れねぇ! あと三樽だしやがれ!」
おいおい。
「わかったぜ。酒の分がありゃいいんだな? だったら、その辺に転がってるやつを拾って行きゃいいんだ」
えー! その散乱してるやつ? そんなの売り物になるの?
「これはロンズデーライトで作ったやつだ。そこらの鍛冶屋にゃ加工なんてできない代物だ。ミスリルライドを混ぜたやつや、配合率を色々と試した試作品だが、さっきもらった『七月剣』の何倍もの切れ味は儂が保証する」
おお! 『七月剣』より上って凄くね?
「ああ、勘違いすんな。素材が違うんだ。同じ素材なら儂の負けだが、儂は素材に恵まれた。運も実力の内ってな。だから酒を出しな、次は防具を作ってやるからよ」
えらく殊勝な事を言うんだね。似合わないよ。
ゼパイルさんの説明では、ロンズデーライトだけを使うより他の鉱石も配合させて粘りや軽量化を図ることで武器に適した配合率と防具に適した配合率があるらしい。
それが大体分かったので、次は防具を作りながら、それを研究して行くそうだ。
その試作品でも市場に出回ってるものより相当に高く売れるらしい。それに俺が驚くと、素材が違うので当たり前だ! ってまた怒られた。
渋々酒樽を三つ追加し、衛星に散乱してる武器を回収してもらった。衛星に回収してもらう方が整理ができるから助かるんだよ。
リストは別紙でもらえるからね。
最近は日本語で書いてくれるから俺には読めるし他に洩れる事も無い。非常に助かっている。
これってレシピももう日本語で書いてもらえるんじゃない?
試しに、メロンパンのレシピを頼んだら日本語だった。
【星菓子】のメニューが増えた? いやいやダメだ。パンの新作を作ると今あるパン屋が潰れるかもしれないからね。ここは自重しておこう。でも、自分達で食べる分ぐらいならいいだろうから、シスターミニーと女子寮の連中には教えておこうかな。俺が清書するか教えないといけないんだけどね。
防具が完成したら院長先生の所に持って行ってって頼んだけど、酒の匂いをさせて行ったら院長先生だけじゃなく、子供達にも嫌われるよ。もしかしたら、もう嫌われてるかもしれないよって言ったら結構へこんでたな。
さて、次は『封魔の剣』を持って行くのか。
いつになったらハイグラッドの町に行けるのやら。
――――――――――――――――――――――――――
大変お待たせしました。
同時進行していた『馬車って自分では動けないんです。あっ、ちょっと動けた』が、ようやく最終回を迎えました。
というか、最後だったので、あっちを優先して終わらせました。
これで、もう少しこの作品に集中できると思います。
これからも、よろしくお願いします。
あと、ブックマークが555だったので、このまま放置でも……とか、ちょっと思ってしまいました。すみません
鉄の焼ける匂い、墨の燃える匂い、酒の匂い。
ちゃんと仕事やってんのかねぇ。
「ゼパイルさーん、エイジです」
声だけ掛けてズカズカと中まで入って行った。一人でね。
ユーは院長先生との話の時は大人しくしてたけど、もう飽きたのか、「ちょっと修行してくる」と言って山に向かって走って行った。
ユーは武器に興味はあるみたいだけど、作る作業には興味が無いみたいで、さっさとどこかに行ってしまった。
俺はゼパイルさんに用があるし、呼ばれてるとも言われてるので行くしかない。ついでに言われたんだけどさ。
声を掛けたけど返事は無かった。でも、遠慮無しに入って行く。
鍛冶の仕事は火を入れると手を離せないと聞いた事もあったから。
予想通り、ゼパイルさんは鍛冶仕事の真っ最中だった。ガンガンと槌打つ音が聞こえてたからそうとしか思えなかったんだけどね。
集中していて声を掛けても全然気付かれなかった。音も煩いけど、ゼパイルさん自信も凄く集中しているようだ。
仕方が無いな、少し待ってみようか。鍛冶仕事も見てみたかったし。
ゼパイルさんが作ってたのは剣だった。
大ばさみで真っ赤に焼けた鉄を挟んで、窯で熱を入れては出して打つ。ジューっと水に浸けて持っている剣を集中して色んな角度から見た後、何やら手を翳している。そしてまた窯に入れ、打ってはまたの繰り返しだ。
槌で打つのも一回一回の間隔が予想していた間隔より遅い。いや、見始めは早かったのだが、ドンドンと遅くなって来ている。
もっとテンポ良く打っていくものだと思ってたので意外だった。
集中してヘッド部分が光ると振る、集中してヘッド部分が光るのを待って振る。と、繰り返しているから一振り一振りの間隔が長い。ヘッドの輝きも打つ毎に増してる気がする。
一振りする毎に剣の形が整っていく。これは見てて凄く楽しくなってくる。
衛星が家を建てるのを見てても楽しいんだけど、これはもっと楽しいな。
でも、もう剣の形になってると思うんだけど、それでもまだ終わらないようだ。どうなったら完成なんだろうな。
「ぷっはー!」
そう思ってると、ゼパイルさんが大きく息を吐いた。
どうやら一区切りついたのかもしれない。
それなら、と。労いも兼ねて酒樽を出してみた。安い方の『竜殺し』ね。それでもドワーフ国でしか買えないって言うんだから貴重品ではあると思う。ドワーフ国ってどこに在るんだろね。もうエルダードワーフの里に行ったから、別に行かなくてもいいかな。
スンスンと鼻を動かすゼパイルさん。
すぐに酒の匂いを嗅ぎつけたようだ。
こんな暑くて鉄の匂いがキツイ所でよく分かるもんだ。
グリンっと顔だけこっちに向けたゼパイルさん。
怖ぇ~よ。身体ごとこっちに向けよ!
「よぉ酒かぁ。ちょうど終わったし飲むとするか」
俺の名前はエイジだよ! 酒って名前じゃねーし! 本当に剣はちゃんと出来てるんだろうな。心配になってくるよ。
「お疲れ様です、ゼパイルさん。終わったんなら先に話を聞かせてください」
そう言って酒樽をしまった。そうしないと、この人話を聞かないから。
「なっ! なんでしまうんだ? 先に飲ませろってんだ!」
「話が先です」
ね? こういう人なんだよ。
「ほらよ」
ゼパイルさんは、無造作に床に散乱していた剣の中から一本拾ってこっちに差し出した。
「え? これは何ですか?」
「お前ぇが注文したんだろ? もう忘れたのか」
注文? なんだっけ。
剣を受け取ってマジマジと眺めてみたが、とんと覚えが無い。
仕方が無いのでゼパイルさんに聞いてみた。
「これって……?」
「あ~? 本当に忘れちまってんのか? そりゃ『封魔の剣』だぞ。似せるのが難しくてよ、何本も打っちまったぜ」
あー! アイリスに頼まれた領主様の剣か!
あれ? でも折れた剣を直してくれるんじゃなかったの?
「えと…折れた剣はどうしたんですか?」
「おお、あれか。ありゃダメだ。修復はしてやったがな、封魔の力が戻らなかった。ただの綺麗な剣でよけりゃそこらに転がってるはずだぜ」
言われて工房を見渡すが、剣がいっぱい散乱してて、どの剣が『元封魔の剣』なんだか分からない。
エルダードワーフの里の倉庫も乱雑だったけど、ドワーフって整理下手なのか?
短剣やナイフに槍先に斧、矢じり、投擲ナイフなどが散乱していた。一番多いのは剣だったが、これはゼパイルさんの好みだそうだ。剣を打つのが一番好きらしい。
色んな素材で色んな武器を打つ。それが至福の時らしい。
その割にはここは酒の匂いも充満してるけどね!
散乱してる武器の中から一本拾い上げ左手に持つと、右手でクレクレと手をクイックイッとするゼパイルさん。
あー、酒と交換ね。分かりましたよ。
再び酒樽を出す、酒樽の蓋を目掛けて持っていた剣を振り下ろす。
おい! それ商品じゃん! 木槌代わりに使うんじゃねーよ!
あ~あ、ちょっと酒で濡れてるよ。
すぐにゼパイルさんから剣を奪い取ったけど、剣は既に酒で濡れていた。
「ちょっとゼパイルさん!」
「あ~? いいじゃねーか、そんな出来損ない。そんな剣ならこんな事ぐらいにしか役に立たねーよ」
「そういう事じゃ……はぁ……」
その剣は俺が領主様に持っていくやつなんだよ。もうちょっと大事に扱ってくれないかなぁ……
それからゼパイルさんと少し世間話をした。
俺からはエルダードワーフの件などを。その時に出した『七月剣』にゼパイルさんが凄く食い付いたので一本進呈したけどね。
ゼパイルさんからは【星の家】の子供達へは、それぞれに見合った武器を作り上げて院長先生に既に渡したそうだ。
そんな事、院長先生からは言われなかったぞ? 普通なら凄く感謝されそうだけど、ゼパイルさんだから仕方が無いか。だって、酒を見ると何も話ができなくなるんだもん。
どうせ院長先生の所に行く時だって酒の匂いをプンプンさせて行ったんだろうな。そりゃ邪険にされるって。
「それで、報酬だが。酒をよこせ。贅沢は言わねぇ、『竜殺し』でいいぜ」
は? この人何言ってんの? 酒よこせって何日か前に何樽か渡さなかったか? エルダードワーフの里に行く前に渡したと思うんだけど。っていうか、今出したし!
それに『竜殺し』でも十分贅沢な気がするのは俺だけか?
「あの、ゼパイルさん? 飲みすぎじゃない? 一日どのぐらい飲んでるの」
「普段は一升ぐらいだが、今は鍛冶仕事をやってるからな。一日一樽ぐらいか。飲んだ方が不思議な力が出ていいもんが出来んだよ。さすがは酒だぜ、なぁ!」
なぁって言われても……
不思議な力って、さっきの槌のヘッドが光ってたやつか? 確かに不思議な感じはしたけど、不思議な力って……それは命名されてないんだね。それが酒のおかげ? ホントかなぁ……
「報酬にしても、酒樽は先日前金として渡しましたよね?」
「あんなもん、もうあるかい! 儂を誰だと思ってんだ! それにあれは前金じゃねぇ! 手付金だ。だからこっから報酬が発生するんだぜ」
ゼパイルさんだよ! なんて言ったら殴られそうだな。
この人、エルダードワーフより呑むんじゃないか? 飲みすぎだって! 酒が絡むと計算高くなってるし、自分中心すぎるぞ!
「はぁ、分かりました。でも、【星の家】の子供達の分は家賃分だって言いましたよね? だって素材は俺持ちなんだし。まぁ、サービスとしてあと一樽は出しましょうか」
そう言って更に一樽出した。
「…それだけかい」
いや、十分でしょ?
「そんなんじゃいい武器が作れねぇ! あと三樽だしやがれ!」
おいおい。
「わかったぜ。酒の分がありゃいいんだな? だったら、その辺に転がってるやつを拾って行きゃいいんだ」
えー! その散乱してるやつ? そんなの売り物になるの?
「これはロンズデーライトで作ったやつだ。そこらの鍛冶屋にゃ加工なんてできない代物だ。ミスリルライドを混ぜたやつや、配合率を色々と試した試作品だが、さっきもらった『七月剣』の何倍もの切れ味は儂が保証する」
おお! 『七月剣』より上って凄くね?
「ああ、勘違いすんな。素材が違うんだ。同じ素材なら儂の負けだが、儂は素材に恵まれた。運も実力の内ってな。だから酒を出しな、次は防具を作ってやるからよ」
えらく殊勝な事を言うんだね。似合わないよ。
ゼパイルさんの説明では、ロンズデーライトだけを使うより他の鉱石も配合させて粘りや軽量化を図ることで武器に適した配合率と防具に適した配合率があるらしい。
それが大体分かったので、次は防具を作りながら、それを研究して行くそうだ。
その試作品でも市場に出回ってるものより相当に高く売れるらしい。それに俺が驚くと、素材が違うので当たり前だ! ってまた怒られた。
渋々酒樽を三つ追加し、衛星に散乱してる武器を回収してもらった。衛星に回収してもらう方が整理ができるから助かるんだよ。
リストは別紙でもらえるからね。
最近は日本語で書いてくれるから俺には読めるし他に洩れる事も無い。非常に助かっている。
これってレシピももう日本語で書いてもらえるんじゃない?
試しに、メロンパンのレシピを頼んだら日本語だった。
【星菓子】のメニューが増えた? いやいやダメだ。パンの新作を作ると今あるパン屋が潰れるかもしれないからね。ここは自重しておこう。でも、自分達で食べる分ぐらいならいいだろうから、シスターミニーと女子寮の連中には教えておこうかな。俺が清書するか教えないといけないんだけどね。
防具が完成したら院長先生の所に持って行ってって頼んだけど、酒の匂いをさせて行ったら院長先生だけじゃなく、子供達にも嫌われるよ。もしかしたら、もう嫌われてるかもしれないよって言ったら結構へこんでたな。
さて、次は『封魔の剣』を持って行くのか。
いつになったらハイグラッドの町に行けるのやら。
――――――――――――――――――――――――――
大変お待たせしました。
同時進行していた『馬車って自分では動けないんです。あっ、ちょっと動けた』が、ようやく最終回を迎えました。
というか、最後だったので、あっちを優先して終わらせました。
これで、もう少しこの作品に集中できると思います。
これからも、よろしくお願いします。
あと、ブックマークが555だったので、このまま放置でも……とか、ちょっと思ってしまいました。すみません
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