衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

文字の大きさ
120 / 224
第07章 チームエイジ

第07話 移住

しおりを挟む
 
 領主様の城を出て、スラム地区へと向かった俺は、院長先生達と合流した。
 移住希望者の募集は既に終わっていて名簿も出来ていた。
 前々から院長先生が話を進めてくれてた事もあり、スラムの住民も事情は分かってる人が多かった。

 条件は、衣食住の保障をする代わりに働けという事と、給料は月に金貨二枚で話が付いている。
 一度入ったら五年は出て行けないというのは伏せていて、今回は体験という事になっている。
 その出発は明日の朝、俺が先導して連れて行く手筈だ。場所は俺しか知らないから、この先導役を俺がするしかない。というか、まだ居住区を作ってない。今から戻って作る予定だ。だから出発は明日にしてもらったのだ。

 その条件で集まったのがスラム地区の住民の九割。スラム地区の大半の人が移住を希望していた。
 衣食住の中でも食の部分が魅力的だったようだ。仕事をしたいと思ってる人も食えないから仕事を探してるだけで、貯金があるとか、仕事をしなくても食べれるんなら、仕事なんていらないと思ってる人達だからね。

 その辺の対策は既に考えている。格差を付けようと思ってるんだ。
 仕事をよくする人は【星の家】のように俺の考える普通の暮らしを保障する。でも、仕事をしないとかサボる人には、それなりの環境しか与えないようにしようと思ってる。でも、食事だけは保障するよ。それが約束だからね。それなりの食事だけど。

 今日、集まってもらった人達には、明日の朝に集合してもらう事にして、俺は居住区を作るべくレッテ山の麓に向かった。
 明日の集合の時には、人数が多いから農業ギルドの人や商業ギルドの人にもお手伝いをお願いした。
 出発して町を出てしまえば、後は俺一人で何とかなるからね。一応見張りはサーフェ、ドーラ、プーちゃんの三精霊に頼もうかと思ってるけどね。
 でも、妖精樹のヨウムに森を操作してもらって、一本道にしてもらうように頼むつもりだから三精霊が手を出す事も無いと思うよ。

 で、場所は【星の家】から更に山沿いを北に徒歩で二時間ほど行った所で、樹々は鬱蒼と茂っていた。
 来る途中で妖精樹のヨウムに説明してあるから、明日はうまくやってくれるだろう。
 さて、居住区だけど、真ん中に細長ーい倉庫を作って、左右に居住区を分けよう。
 山側が富裕層で町側が貧困層だ。町側と言っても、森を抜けないと行く事ができないから逃げようと思っても意味無いけどね。

 富裕層側は少しレッテ山の斜面に上った所に作って山手だな。昔から日本では山手の方に金持ちが住むからね。少し例外はあるみたいだけど。
 山手の居住区から下には畑を作って、畑の区切りとして道を作ればいいか。畑と居住区の間にはスペースを取って将来店を出したい人にはそこで出してもらってもいいね。
 貧困層側には畑は作らない。だって、働かない者に美味しい物を食べさせるつもりは無いから。
 それでも、ここで出す料理は調味料をふんだんに使うから、他所の町で食べるより断然美味しいと思うけどね。

 だけどね、最初は全員山手側に住まわせるんだ。先に贅沢を覚えさせるんだよ。だったら、貧困層には行きたいとは思わないよね? しかも、そこでも町より美味しい食事ができると分かれば町に戻ろうとも思わないよね。
 他にも格差は付ける。

 建物は二階建てのハイツにしようと思ってる。各家族で住めて、ある程度世帯数を押し込めるから。八世帯が入れるハイツを五〇棟も作れば余裕だろ。
 トイレは衛生上、全部水洗にするけど、風呂はつけない。キッチンは付けるけどね。風呂は大浴場を山手側に十個作ってそこに入ってもらう。もちろん男女分けて作ろうと思う。
 元々風呂って馴染みの無い世界みたいなので、銭湯みたいでいいんじゃない?
 貧困層側には一つだけしか作らない予定。

 今、【星の家】では大浴場は一つだけだけど、お湯はずっと一定の温度を保ち巡回させて清潔を保たせているから、浴槽については全然掃除すらしなくていいんだ。それと同じもので、もう少し規模の大きなものに使用と思う。
 浴槽はいいんだけど、洗い場や脱衣場は掃除をしなければならない。【星の家】では子供達が当番で掃除をしているけど、これも移民達に当番制でやってもらおうと思う。

 食事は大食堂を作って、そこでしてもらう。
 料理もできるものが当番でするとか、専門でしてもらう事にして、倉庫作業を免除してもいいね。
 初めは出来ないだろうから、ミニーさんの下で料理修行している子供達にやってもらうのがいいかな。女子寮から応援に来てもらうのもいいかも。どうせ、支店の話は、砂糖の件が落ち着かないと進まないんだから。
 慣れてくれば移民達にすべて任せようと考えてるんだ。

 仕事の方は、もちろんメインは農業。ま、作るのは精霊や妖精がするので、収穫するぐらいなんだけど。それも妖精が手伝ってくれるからね。
 そして倉庫の作業。
 ここで大半の人に働いてもらう。
 今回考えてる加工品は調味料。だから畑に植えるものも調味料の元になるもの。
 ケチャップだったらトマトだし、一味唐辛子はそのまま唐辛子。醤油に味噌は大豆だし、酒類なんかもいいね。ワインだったら葡萄とかね。
 ソースについては色々入ってるので、”必殺アバウト衛星頼み”で行こうと思ってる。『ソースに必要な作物を必要な分だけ区画に分けて植えて』って感じでね。土地はいっぱい余ってるんだから。

 そして、その作業を真面目にやってるかを点数制で採点して、あまりにも酷い人には貧困層に移ってもらう事にする。
 その採点をする管理責任者をロジャーとロイドにやってもらおうかと思ってる。
 ロジャーには作業管理責任者を、ロイドには収支管理責任者をやってもらうのだが、その上で採点管理責任者も兼任してもらおうと思ってる。

 自分でしなくとも、出来る者に任せる事も責任者には必要になってくる。
 院長先生が推した二人なら、それぐらいやれるのではないかと思ってるんだが、青年間近の彼らには荷が重いか? でも、サポートは大勢いるから、すぐにできるようになるんじゃないかな。二〇〇人もいないんだから。

 もちろんトップは俺なんだけど、初めに軌道に乗るまでは見るけど、後は問題が起こらない限りノータッチで行こうと思ってるんだ。
 できれば、スラムの人も社会復帰したいと思ってるかもしれないし、その時に自主性が全く無い人になってもらっても困る。
 でも、五年はここから出すつもりは無い。

 このシステムや点数制を見る限り、俺が悪の支配者って感じに映るかもしれないけど、仕事にも有り付けずにスラムにいた人達なんだ。初めはこっちサイド主導で全面的に言う事を聞いてもらった方がいいと思うんだ。
 それから後に食堂や服屋などの商売をここで始めて旅立って行けば、出て行った後も失敗が少なくなると思うんだ。五年経てば、ここを出て行ってもらってもいいと思ってる。その頃には、この地も独立権を得てると思うから。
 この居住区では貨幣を使わず点数制にするので、会計は弱くなるかもしれないけど、独立したければそれぐらい勉強するよね。

 領地として独立を考えてる訳ではなくて、フィッツバーグ領の一地区となれればいいと思ってるんだ。貴族じゃないのに土地を持つのは領主様が反対してたからね。
 今の状態でバカな貴族が利権を狙ってやって来ても返り討ちにしてやるだけなんだけど、返り討ちにするともっと騒ぎ立てられて領主様でも守りきれなくなると思うから。バカな貴族ってどこからか湧いて来るようだからさ。
 だから、もう領主様やこの居住区が、砂糖やここから売られる商品でもうちょっと力を付けるまで、五年あれば何とかなるんじゃないかと見ている。


 あと、加工済み商品についての移送は、こればかりは【星の家】子達か卒業生に頼むしかない。
 後でエルダードワーフの件で秘密を共有してもらう事になる商人がいたとしても、ここの秘密だけは明かしたくない。また院長先生に負担をかける事になるが、この件を持って来たのも院長先生だ。これぐらいは甘えさせてもらおう。
 五年後に出て行きたい者が現れても、その審査も任せようと思う。


 翌日、約束通り、スラム地区に人が集まっていた。昨日よりも多い気がするんだけど。
 よく見ると工事作業者のような格好をした人まで混ざってた。
 商業ギルドのボダコリーさんが説明してくれたけど、ここからスラムの人達が移住して空いた家は全部取り壊すのだそうだ。
 その為に集まった工事業者のようだ。

 スラム区画は一度全部更地にしてしまうようで、今回付いて来ない人達の仮住居の建造も行なうそうだ。
 仮と言っても、そのまま住み着くんだろうけどね。残るのは二〇人もいないと聞いてるけど。
 倉庫の建造の方は、更地にした所から順次建てて行くそうだ。中規模の倉庫を建てて行き、隣り合った同規模の倉庫を建てて行く。そして繋がるように建て終えると、最終的には大規模な倉庫の完成となるようだ。

 俺には中規模な倉庫ができ次第、砂糖製造機械を入れて行ってくれと依頼を受けた。
 面倒だから収納バッグに全部入れて渡しておいた。これでいつでも出せるでしょ。
 請求は領主様にしておこう。機械の料金設定なんかしてないし、相場があると思うから領主様に判断してもらおう。あの領主様なら収納バッグの分も出してくれると思うからね。


 町を出るまでは皆に送ってもらい、門を出てからはロイドとロジャーを連れた俺が先頭に立って居住区に向かった。所要時間は三時間ぐらいだと見てるが、子供もいるのでもっと掛かるかもしれない。それでも、今日中に着く事はできるだろう。

 一時間ほど街道を北へ進み、そこから森に入る。
 ここでひと騒ぎあった。誰も森に入ってくれないのだ。「やはり我々は始末されるのだ」と騒ぎ立てられてしまった。
 絶対に安全だからと説得するのに一時間掛かった。確かに護衛も無く、魔物が多いと知っているだろうし、そう思うよね。Aランク冒険者の護衛でもあれば違うんだろうけど……俺がAランクじゃん!

 という事で、俺の冒険者カードを見せて、絶対に安全だからと説得し、ようやく森に入ってくれた。
 森に入ってしまえばこっちのものだ。
 妖精樹ヨウムの力で樹々を除けさせ全員が入ったと思った所で、先頭を行く俺の前には居住区が現れた。

 え? ワープした? ヨウムってそんな事までできたんだ。この能力は聞いてなかったな。

 後から確認したが、ヨウムの持つ『迷いの森』の能力は、効果範囲の森の中なら、いつまでも同じ場所で彷徨わせる事も出来るし、別の地点に一気に運ぶ事もできるそうだ。効果範囲は半径五〇キロだいうから、端から端だと一気に一〇〇キロを移動できるのか。端から端まで移動する事は無いだろうけど、それでも凄い能力だな。
 先に言っててくれればスラムの人達の説得も楽だったのにな。

 そして全員が居住区に入り、移動は完了した。
 既に畑も実が実っている。妖精も多くいるようだが、今の所は姿を見せないように頼んでいる。
 スラムの人達には、まずは家を自分達で決めてもらって、食堂と風呂の事だけを説明した。
 仕事を始めるのは一週間後からで、それまではこの居住区に慣れる為にゆっくり休んでくださいと案内した。
 もちろんこれも作戦だ。

 説明が終わると、全員が嬉々として家を決め、食堂に殺到した。
 食堂の収容人数は一〇〇人。入りきれない人達は、待ってもらうか並んでもらうしかない。
 酒は用意してないので回転率もいいだろうから、それほど待つ事もないだろう。
 そして一週間後、移民達が風呂にも慣れ、ここでの生活に馴染んだ頃、仕事の説明をすると言って、全員を倉庫に集合させた。
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...