衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第07章 チームエイジ

第21話 魔族は賢い??

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 四人の魔族を奴隷として囲う事になってしまって途方に暮れていたが、一応彼らは常識人であった。
 奴隷だからかもしれないが、俺を敬う事を除いても、人間とあまり変わらない奴らだと分かった。

 ただ、無断宿泊になってバレて騒がれるのは避けたかったので、五人分の宿泊費を支払う結果になったのは仕方が無い。お金はたっぷり持ってるのに、こんな事で捕まりたくは無い。
 それぐらいは俺も払ってやる。不本意とはいえ、俺の奴隷になってしまったのだから。
 だが、こいつら鬱陶しいんだよ。俺の世話を焼きまくるんだ。
 ずっと話し掛けてくるし、答えないと自分で予想してあらぬ方向の結論を出しちまうし、ちょっと立とうもんなら、四人で俺の後ろにベターっとくっついてくるし。
 もう何杯紅茶を飲んだかわかんねーよ! タップンタップンだ!

 王城のパーティにも付いて来ようとするから、それだけは何とか阻止したよ。
 武器と回復薬を出して、売値と仕入れ値を出して、輸送費と、店を持ってないから卸値も出させて、月に剣と槍を百本ずつ売った場合の粗利から純利益まで計算しろ、と言って宿に缶詰にしてやった。時間が余ったら回復薬もなって言ってやった。
 ま、喜んで「頼って頂きありがとうございます」って言ってたけどね。
 奴隷になったとはいえ、魔族ってあんなに尽くす奴らだったの? 全然イメージが違うんだけど。

 奴らを置いて一人で出掛けたパーティだったけど、前に出て話す出番までは無かったけど、食べる暇が無いほど俺に挨拶に来る人が引きも切らずにやって来る。領主様もいたのだが、助けを求めようにも、彼も身動きが取れないほど人に囲まれていた。

 やれ私の家でパーティするから来いだの、やれ私の四女を嫁にどうかだの、うちの領地にもケーキ屋を出せだの、もう煩い煩い。
 それも、勲章を貰った時には知らなかったのだが、勲章イコール授爵なのだそうだ。
 領主様は伯爵からそのままだけど、俺は騎士爵になったのだそうだ。あの緊張感の中だったから、言われたのかもしれないが、まったく覚えがない。俺っていつの間にか貴族になってたみたい。
 でも、領地は頂いてないから、このままフィッツバーグ領で領主様から支配地を間借りするという形で落ち着きそうなので、今までとそう変わらないと思う。だた、税金は納めないといけないのだそうだ。そうは言っても、国内でも有数な魔窟で有名なレッテ山の麓とあって、大した額にはならないみたいだ。

 あと、王都にも屋敷を持たないといけないらしい。
 年に、最低でも一度は王城にも顔を出さないといけないらしい。
 非常に面倒だ。折角国家公認冒険者の依頼を十年免除してもらったのに、それ以上に面倒な事になってしまった。
 だから貴族になんてなりたくなかったのに、あれって辞退は……できないよな。
 断るだけで不敬罪だと言われそうだ。

 何とか、他の貴族からの誘いを全て断り、ようやく宿に戻ってきたら、宿題にしていた帳簿作りが終わったので確認して欲しいと四人の魔族が持って来たのだ。
 マジか! とは思ったが、俺が言いつけたのだから見ないわけには行かない。
 合計金額だけ確認して、純利益の金額に驚いた。
 商業ギルドから納税されるのは分かってるので、その分も差っ引いて白金貨五〇〇以上の純利が出ていたのだ。
 人件費も輸送費も何もかも込みで計算されていた。

 あれって各百本で計算させたんだけど、もっと持ってるんだけど。
 それほど値打ちのあるものだったようだ。
 まぁ、売れればだろうけど、完売間違いなしと四人ともが自信を持って言うんだ。
 そのまま軍に持って行ければ、もっと高い値で売れると言うが、軍には何の伝手も無いからね。
 それから、販売戦略の作戦会議のようになってきたが、俺は途中で寝落ちしたよ。
 お前ら武人って言ってなかったか? あ、あれはラングルド族の二人だけか。レギオン族は領主の座を狙ってたほどだから、こういうのは強いのかも。

 翌日、以前に領主様から貰った馬車をノワールに牽いてもらい、王都を立った。
 領主様にはもちろん挨拶に行ったよ。領主様は、付き合いのある貴族のパーティに呼ばれてるから、まだ何日か王都に滞在するそうだ。
 帰りは領軍もいるから大丈夫だろう。

 本当は、そのパーティに俺も連れて行きたかったようだけど、砂糖や調味料で忙しい事を領主様は知ってるので、渋々諦めてくれた。
 でも、フィッツバーグに戻ったら領主様の受勲パーティ
 ノワールに牽く馬車でバーンズさんの待つハイグラッドの町を目指した。
 御者役は俺。だって、魔族四人のいる空間にいたくないもん。
 ノワールに御者は必要ないけど、魔族達からは大反対されたけど、御者席は絶対譲らなかった。

 ノワールに乗って行けば一日も掛からず辿り着けるのだが、馬車だとそうは行かない。
 他の馬車より早いと言っても三日はかかる。それ以上スピードを出すと馬車がもたないのだ。
 仕方なく野営をする事になるんだけど、もう魔族の質問攻めでノイローゼになりそうだ。
 ただ、四人で色んな予測を立てて話し合ってるので、計画表が凄い事になっている。

 タイトル『エイジ帝国建国計画書』
 ……タイトルを見てすぐに燃やしてやろうかと思ったが、一応頑張ってくれてるようだから、少しぐらいは中を見てやろうと思って読み始めた。
 まず、武器や薬の販売計画がビッシリと書いてあった。各領地の物価や、特産品。欲しがってる商品や売りたい商品。どこで売って、どこで仕入れればいいか、そのために雇う馬車持ちの運び屋。備考欄には収納バッグを使用した場合の比較、馬を使った場合、徒歩の場合など、微に入り細に入り様々なパターンを比較し検討している。
 
 こ、こいつら……なんでこんなに優秀なんだ?
 もしかして拾いもんだった? いやいや、正体がバレたら破滅が待ってるんだ。なるべく俺とは別行動になるようにしよう。

 こちらも確認してください。と出された計画書。『裏・エイジ帝国建国計画書』
 まず、フィッツバーグ領を押さえ、領主と兵士を傘下に入れる。領主と将軍の人質を取り、支配下に入れ、兵士を操り南回りで各領地を蹂躙して行き……

『衛星、燃やして』

『Sir, yes, sir』

 シュボッ!

 『裏・エイジ帝国建国計画書』は灰も残らず燃え尽きた。

 え? となる魔族達。

 こいつらは……
 俺を何だと思ってんだ。またこんな計画立てられたら困るから、ちゃんと説明しておくか。

「俺は征服などする気は無いから。建国もしない。【星の家】だって【星菓子】だって始めたばかりの居住区だって全部成り行きでやってるだけだから。俺がしたくて始めたんじゃないの! 本当は俺は……俺は?」
 俺って何がやりたいの?

 急に黙った俺を、怒ったと勘違いした魔族たちが平謝りに謝りだす。
 そんな言葉も入って来なかった。

 俺って何やりたいの?
 ……衛星……そうか、衛星だ!
 なぜ死体の山の中にいたのか、なぜ衛星の加護があるのか、あの地図を全部攻略すればわかるんじゃない?
 俺の正体を突き止めるためにも必要な事だよな。
 別に、このままこの世界に骨を埋めてもいいんだけどさ、せめて自分の正体ぐらいは知っておきたいよな。

 衛星に聞いても教えてくれないから、自分で探しに行くしかないけど、衛星も協力はしてくれるからね。
 よし、この魔族たちをバーンズさんに丸投げして、俺は地図探しを続行するか。


 寄り道もせず、今の状態での最短時間でハイグラッドの町に到着した。馬車で三日、普通は一週間は掛かる。ノワールもそうだけど、この馬車もよくもったよ。
 ハイグラッドの町に到着し入門の列に並んでると、一つ大事な事を思い出した。

「ビランデルさ…ビランデル達って、何か入門のカードって持ってる? 冒険者カードとか」
「「「「はい」」」」
 よかった、持ってたよ。だったらスムーズに入門できるな。
 でも、魔族が持ってるカードって何なんだろ。

「見せてもらえる?」
 サッと差し出された四枚のカード。

 ビランデルは…冒険者カード。ヘリアレスは…これも冒険者カード。
 二人ともCランクか。Aランク以上の実力は持ってるけど、ランク上げには興味ないんだろな。どうやって登録したのか気になるけど、また今度でいいか。先に他の二人のカードチェックだ。

 タレランは…何これ? 市民証? フィッツバーグ領の市民証だよ。なになに、タレラン・レギオン(男爵)!?
 おいおい、なに勝手に貴族を語ってんだよ! しかも本名だし、アウトだろ、これ。
 だったらガレンダは? ……完全にアウトだこれ。アレックス・フィッツバーグ(伯爵)って……

 領主様じゃんかよ!!

 お前、これで入門できると本気で思ってたの? さっき拾いもんだって思ったの全部帳消しだ! そうだ全消しだ、全消し!! もうこの世から消えてしまえ!

 うわぁー、もう順番、次じゃん! 今更、列から離れたら余計に目立っちゃうよ。なんで早くチェックしておかなかったんだろ。う――悔やまれるー。
 うわ、もう前が終わったじゃん! わっ、わっ、どうしよう。ここはもう衛星頼みしかない!

『衛星! 無事に入門できるようにして!』

『何もしなくても入門できます』

 え?

「こちらはフィッツバーグ様の馬車ですね。わざわざ並んで頂かなくても結構でしたのに。あっ! あなた様は、もしかして国家公認冒険者の騎士爵様では」
「え? は、はい、そうですが……」
「やはり! お目に掛かれて光栄です! 魔族を何人も倒したという武勇伝はこの町でも持ちきりです! ハイグラッドの町へようこそ! ぜひ楽しんで行ってください」
「は、はぁ」

 後ろを見るとウンウンと感心しきりの魔族が四人。お前達の事を言われてんだよ!
 こいつらって、頭がいいのか、おバカなのか…よく分からん!

 危機(?)を乗り越えた俺達は真っ直ぐにバーンズさんの屋敷に向かった。
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