衛星魔法は最強なのに俺のレベルが上がらないのは何故だろう

うしさん

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第10章 新たなる拠点作り

第04話 一夜目①

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 【悪魔召喚】について、頭の中が整理できた頃、夕食の準備ができたとメイドさんから報告を受けた。
 頭では整理できたけど、気持ちの整理はまだなんだよな。一度呼び出して見てから今後も使うかどうか決めるとしよう。何事も一度試してみないと分からないからね。

 夕食は食堂でするか部屋でするかと聞かれたので、今日の所は部屋で食事したいとお願いした。
 色々あって疲れたからもう眠いんだよ。さっさと飯食って寝たいんだよ。トレーズ様に会ったのって今日だからね。それも二回も会ったし、それからエルフとの出会いも会話も疲れたし、さっさと寝たいんだよ。
 皆、元気かなぁ。ま、今朝会ったところだから元気には違いないだろうけど、心配してるんだろうなぁ。
 皆と会議というか報告会をしたのって今朝の話なんだよなぁ。もう随分前のような気がするよ。

 ここも風呂文化は無いみたいだから、明日、森の中ででも小屋を出して入ろうかな。
 そんな事を考えてると料理が運ばれてきた。
 サラダ、焼き物、サラダ、スープ、サラダ、パン、サラダ……サラダ多くね?
 というか、野菜多くね? いやいや野菜しか無くね?

 サラダはもちろん野菜だ。焼き物ってきのこの焼き物? スープは芋類か。肉は……無いな。
 精進料理? 俺、ベジタリアンじゃないんだけど。
 いやいや、待て待て。こんなメニューだが美味けりゃいいんだ。腹にガッツリ来なくても、美味けりゃ満足できるから。最悪は衛星に頼むか収納バッグに入ってるものを食べればいいんだから。

 結論から言おう。

 ナシだ。

 味? 味はあったよ。結構濃厚だった。
 だけどね、全部甘いんだ。塩はここでも貴重なのか塩の味はほとんどしなかった。
 その代わりに蜂蜜がたっぷりどの料理にも使われてたんだ。焼き物やスープはそれにプラス香草が使われてたようだけど、合わない。蜂蜜と香草に熱を加えられて全然合わないんだ。焼いた後に蜂蜜を掛けるとか、香草だけをスープに入れるならまだ食べられるかもしれないけど、これは食えたもんじゃない。
 合う組み合わせもあるんだろうけど、組み合わせが悪すぎるのか、ハッキリ言って不味いとしか言えない料理群だった。

「あのさ、悪いんだけど……」
 俺の一言で音も立てずに一瞬で五人のメイドが俺の前に素早く並んだ。

 ……忍者か!?

「何でございますか?」
「あの…悪いんだけど、調味料を使ってもいいかな」
「調味料ですか? こちらにはハーブはご用意してございますが」
「いや、自家製のものがあるんで使ってもいいかな? ちょっと僕には口に合わないというか……」

 エイジ! もっとハッキリ不味いと言え! と心の中では叱咤するが、それが言えないのが俺だ。

「今日の料理には大量の蜜と塩をふんだんに使ってあります。それ以上の調味料はお勧めではありませんが」
 その大量の蜜が邪魔で不味いんだよ! しかも塩も言ったけど、ほとんど塩味はしなかったよ!
 だから、醤油かマヨネーズで誤魔化せないかと思ったんだけど、想像するだけで無理そうだし、俺も強気で言う気は無い。

「そうですね、わかりました」
 うぐぅ~、どうしよう。このメイドからすると、凄く贅沢な食事のようだけど、これ以上食べたくない。
 いつも通り、困った時の衛星頼みをしてみるか。

『タマちゃん、この料理を見た目を変えずにメイド達にバレないように美味しくアレンジできる?』
『不可能です』

 おぅふ、衛星までが匙を投げる味って……

『だったらさ、メイド達にバレないように、見た目が同じで美味しい料理とすり替えられない?』

『Sir, yes, sir』

 おおっ! 出たよ、『Sir, yes, sir』が出た! 出来るんだ。やっぱり衛星は頼りになるよな。

『mission complete』

 えっ!? もう~? 全然分からなかったぞ?

 だけど、衛星の事は信じてるし、見た目は変わって無くてもすり替えてくれてるはずだ!
 と、勇気を持って食べてみた。

 美味しい~~~

 なんだろう、これ本当に野菜だけって感じの腹にガツンとは来るし、味も濃厚で美味い! それでいて、野菜の風味や食感は残ってるのに違和感も無い。今までに味わった事の無い、最高に美味い料理だ!
 さすが衛星! いい仕事するよね~
 元は野菜だし、いくらでも食べれそうだ。

 出された料理は結構な量があったけど、完食しました。ゲフッ!

「お口に合ったようで安心しました。やはり調味料は必要ありませんでしたね」
 自慢気にドヤ顔で言って来たメイドさん。

「はい、大変美味しく頂きました。ご馳走様でした」
 大人の対応で返す俺。
 ただ文句が言えない小心者なだけなんだけどね。


 料理を片付けてもらうと、あとは寝るだけ。なんだけど……

「あのー……」
「はい、なんでしょうか」
「あなた達はいつまでそこにいるんでしょうか」
「エ・イ・ジ様がいらっしゃる限り、私達はいつまでもお傍でお仕えさせて頂きます」
「いつまでもって…だったらいつ休むの?」
「私達は休みません」

 いやいや、休むだろ! 休まなくちゃダメだろ!

「いやいや、休んでください。それに、いつまでもいられると僕も落ち着きませんし、ゆっくり休めません。どこにも行きませんから、あなた達も休んでください」
「そういうわけには参りません。私達の役目ですので」
「そう…なんですか? でも、休まないって、いつ寝るんですか?」
「寝ません」
「え……寝ないの? 寝なくてもいいの?」
「はい」

 ウソだ、絶対にウソだ。寝なくて済むはずないじゃん! なんでそういうウソを堂々とついちゃうかなぁ。
 ま、いいや、これも衛星に頼んじゃおっと。

『タマちゃん、このメイドさん達を寝かしてほしいんだけど、ちょっと条件があって、目覚めた時に《自分は寝ずに頑張ってました》って思い込むようにできる?』

『Sir, yes, sir』

 いつもながら流石だね。そのまま床に寝かせるのも忍びないので、衛星に布団を用意してもらって寝かせてもらった。
 起きるのもこちらが合図するまで目覚めさせなければいいだろう。布団を片付けてから起こせば不審に思われる事もないし、本人達がぶっ通しで起きていて倒れる心配も無い。
 更に、これが一番重要だけど、俺がのんびりできる。ずっと見張られてるって嫌なもんだよ。
 さて、邪魔な視線が無くなったところで、気になってた【悪魔召喚】の検証でもするかな。
 
 …………
 ………
 ……
 …どうやって召喚するの? 呼び出し方なんて知らないんだけど。タマちゃんが詳しそうだったから聞けばいいかな?
 はっ! まさか……また、まさかの厨ニ的な声出しじゃ無いだろうな。叫ぶとか絶対嫌だからな!
 

『タマちゃん、【悪魔召喚】の召喚方法って知ってる?』

 念の為、声を出さずにタマちゃんに聞いてみた。
 見張られてるかもしれないからね。召喚は見られたとしても俺の能力だって思われるだけだけど、独り言をを見られるのは辛い。
 見張られて無ければそれでいいけど、見張られてた場合を考えて、念の為声に出さずにタマちゃんと会話をした。

『はい、悪魔の名前を知っていれば名前を言って【悪魔召喚】と唱えれば召喚できます。名前を知らない場合、ランクを言えばそのランクの悪魔がランダムで召喚されます。消費MPを告げても召喚できます』

 ズーン。orz

 やっぱりそう来たか…声に出せと。しかも【悪魔召喚】と言えと。
 ただでさえ呪いとか言われてんのに、【悪魔召喚】って言っちゃったら、俺…終わっちゃうよ? 悪魔って印象悪いんだって!

 そうは言っても検証はしないとダメだろう。神様と思われるトレーズ様が付けてくれた加護だ。衛星だって付けてくれたトレーズ様が、役立たないものを付けるはずがない! そうだろ、エイジ!
 そう自分に強く強く言い聞かせる。俺だって悪魔ってどうなの? って思ってるんだ。衛星が役立つものっぽい事を言ってくれたけど、この目で見るまでは信用できないんだから。

 後は監視の目だな。
 絶対、誰か見てると思うんだよ。
 だってさ、あれだけ持ち上げられたのに、メイドさんの見張りだけっておかしいもん。
 もてなしてくれてるにしても、何か変だし。

『タマちゃん? この部屋って監視されてる?』
『はい、監視されています』

 やっぱりか。だったら、メイドさん達を寝かしたのも見られたのかな。
 それにしては、何のアクションも起こらないのは何でだろ。

『メイドさん達が寝てるのも見られてる?』
『対策済みです。もうエイジは寝てるように見せてますし、メイドも壁際に立ってるように見せてます』

 さすがぁ。やるねータマちゃん!
 だったら、検証やり放題だな。

 っと、その前に。この村の規模が知りたいな。どっちを先にやろうか……両方やっちゃおう!

『タマちゃん、このエルフの村【ウエストビレッジ】の規模は五本の大樹だけかな』
『分かりません』

 あれ? まだ調べてないのかな?

『だったら調べてくれる? あと、人口とか強さとか得意分野や苦手分野とか、あと絶対にやってはいけない事とか仕来たりなんかも分かると助かるんだけど』

『Sir, yes, sir』

 やっぱり頼んでなかったから調べてなかったんだ。確かに衛星にとってはどうでもいい事だもんね。
 いつも通り、タマちゃんと二つの衛星を残して四方に散って行ったよ。

 さてと、どんな悪魔を呼び出そうか。俺の知ってる悪魔って……誰? うーん…デビ〇マンとか? それは後々ややこしいから辞めとこう。
 バベルの塔に住んでる二世の敵とか? あれは悪魔の塔に住んでるだけで悪魔じゃないか。
 悪の手先って意外と悪魔っていないなぁ。

『タマちゃん、悪魔のリストを作ってよ。代表的なところだけでいいからさ』

『Sir, yes, sir』

 いっぱい教えてもらっても覚えきれないしね。

 パサっと紙が一枚床に落ちた。
 もう出来たの? いつもながら仕事が早いね。

『エルフの検索完了』

 おっ、こっちももう終わったんだ。完了報告も英語だったり日本語だったり纏まらないね。まだ完全にアップデートが完了してないのかな?

『えっと、エルフの報告はあとでいいや。先に【悪魔召喚】のリストを見るよ』
 って、うわぁー、どんだけいるの、悪魔って。代表的なところだけでいいって言ったのに。こんなの覚えきれるわけないって。
 全然聞いた事の無い名前なんて頭に入って来ないし、ソネリオンなんて、誰それ? って感じだ。
 ゲームなんかで聞いた事があるような名前で行くと、『バルバトス』『グラシャラボラス』『アシュタロト』『ベリアル』『ベルゼバブ』『エキドナ』『アーリマン』『ウリエル』あたりが、聞いた事あるような無いような。無くても覚えられるかなぁって名前だな。
 どうせ全部は覚えられないんだ。せめてルシファーとこの内の何人かは覚えようか。

 大勢の名前があるけど、この名前持ちネームドは爵位も書いてあるな。大公や公爵や伯爵なんかがあるけど、この名前持ちネームドより下はクラスだけだな。名前を持ってないのかな。
 一番上はルシファーか、タマちゃんもそう言ってたな。爵位の欄には皇帝って……こんなの呼んでも大丈夫か?
 そのすぐ下がベルゼバブ。君主って……君主と皇帝って別の意味だったの? アシュタロト大伯爵やらベリアルが王? 結構下の方に載ってるのに王なの? まぁ、王にも色々あるからね。

 うん、どれも呼んだらヤバそうなのだけは分かる。まずは、名前の無い下位のレッサーデーモンあたりから……ん? チビデビル? 消費MP1? お得じゃん! おーおー、チビシリーズって結構いるじゃん。
 チビサタン、チビデモン、チビアクマ、チビオニ、チビアッキか。全部呼んでもMP6じゃん! これいいかも!

 よし決めた! チビシリーズを呼ぼう! これなら俺にも対処できそうだ。
 まずはお試しだから一人だけね。

 ……声を出して呼ぶんだったな。
 周囲確認して、誰も聞いてない事を確認。うん、大丈夫だ。

「ふぅ、さぁ呼ぶぞ! 【悪魔召喚】チビサタン!」

 ふむ、嫌がってた割にはノリノリで言っちゃったけどさ、ちゃんと発動してくれてよかった。これで不発だったら【悪魔召喚】なんて完全封印だったな。

 床には直径五〇センチぐらいの魔法陣が現れ、ズズズズズと奈落から上がって来るように頭から悪魔が現れた。

「あはっ、可愛いっ!」

 この子、身長は五〇センチぐらい? 三頭身の幼児体系で細長い黒い尻尾を持っていて、尻尾の先は矢印のようになってるね。
 悪魔の特徴なのか、青い肌に白黒反転の目の色をしてるけど、その目もクリンクリンだし、二本出た牙が八重歯っぽいのも可愛さを二倍増しにしている。
 『お持ち帰りしたい!』『抱っこしてスリスリしたい!』というのが第一印象だった。

「お呼びでございましゅか、ごちゅじんちゃま」

 ぐはっ! なにその甘噛みはー!
 ドヤ顔になってるけど、言えてないよー。可愛すぐる~
 もうダメだ、絶対この子持って帰る!
 悪魔! 恐るべし! だったな。

「どんな、ご用で、しょうか」
 どこでそんなセリフを覚えたんだろうな。誰か教えてくれる先生でもいるのかな。言わされてる感がアリアリなんだけど。
 そんな事を考えてると、『どしたの?』みたいに首を傾げてこちらの返事を待っている。

 ごはっ! 参った! もう堪らん!

「うん、特に用は無いんだー。どんな子が出て来るのか見たかっただけなんだー」
「そうですか。ご用がないのでしたら帰らなければなりまちぇん」
 そう寂しそうに答えるチビサタン。甘噛みと寂しそうな表情で用も無いのに呼び出してしまった罪悪感に囚われる俺。

「ごめんごめん、用はあったんだ。君を見るのが用だったんだ。あと、どんな能力を持ってるのか聞きたかったんだけど教えてくれるかなー」
「はい! もちろんです!」
 用があったと答えると、大喜びで返事をするチビデビル。
 もう、この笑顔を見れただけで君の用は終わった気がするよ。あぁ、癒される~

「ボクの得意は戦闘です!」
「へぇ~そうなんだ。どのぐらい強いのかなぁ~」
「ものすごく強いのです!」

 腰に手を当て、胸を張って自慢する姿が非常に微笑ましい。思わず目尻を下げてにやけてしまう。

「では、ボクのパンチをお見せするのです!」
 そう言うと、「シュッシュッシュッ」と声を出しながらシャドーボクシングを始めた。
 「シュッシュッシュッ」って三回言ってるのに一回しかパンチが出てない。

 なんだろ、このホンワカする気持ち……和むなぁ~
 戦闘力は無しと見た方がいいんだろうな。うん、この子に戦闘力なんて求めないって。あ…こけた……
 つまづくとこなんて無いんだけど……あー、目にいっぱい涙溜めちゃって。
 近寄って抱き上げて頭をなでてあげる。

「大丈夫かい?」
「グスン…大丈夫! ボクは強いから泣かないもん!」
 ほぼ泣いた判定だけど、本人が泣いてないと言うんだから尊重してあげよう。

「うんうん、泣いてないね。強い強い」
「うん! ボクは強いんだ! お母様がね、強い男の子は泣いちゃダメだって教えてくれたんだ!」
「お母様?」

 母親がいるのか。そりゃいるか、そうじゃないと、どうやって生まれるんだって話になるよな。

「お母様を呼んでもいいですか?」
「え? 呼ぶの?」
「はい!」

 こんな天使の微笑をされて断れる奴がいれば呼んで来てほしい。

「うん、いいよ」
「ありがとう! じゃあ、MPいただきまーす」
「えっ!?」

 え? 勝手に俺のMPを使っちゃうの? そんな事できるの?
 俺が呆気に取られていると、さっきチビサタンが出て来たよりも五倍ぐらい大きな魔法陣が三つ、一部が重なり合う形で現れた。
 色も鮮やかで、明らかにスケールの違う魔法陣だった。
 一体どんな母親が……いや、悪魔だったな……うえ!? そうだ! 悪魔だよ! 勝手に呼んじゃダメだよー!

 時既に遅し。もう魔法陣から頭から順番にせり上がって来ている。

 騙された! 何が天使の微笑ほほえみだ! 悪魔の魅惑じゃねーか! そんなことわざなんて無ぇーけどよ! ……あれ? いいのか、こいつら悪魔だったよ。

 床からせり上がるようにゆっくりとその悪魔は現れた。ゆっくりと言っても一秒も掛かって無いと思う。だが、そんな短い時間でも、俺には非常に長く感じられた。
 そして現れた女性はトレーズ様には少し負けるが、マイアに匹敵するような美女だった。
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