悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん

文字の大きさ
94 / 155

第94話 招かざる客1

しおりを挟む
今日もコスタリア領は日差しが暖かくさわやかな朝

「ゴブ~」(おはよ~ゴブ~)

この何気ない日常が幸せなんだゴブ
今日もゴブリン体操とジョギングをしてから執務をこなそうかね
あっという間に平日の1週間が過ぎて明日は女神の日
今日は早めに仕事を切り上げてみんなでお風呂に入って身を清めるゴブ

なんて油断をしていると突然に面倒ごとが舞い降りてくるのがファンタジー世界ですからな・・・フラグを立てないようにいつものルーティンを静かにこなすゴブ

いつもの時間に執務室に行き、少し溜まった書類を仕分け、奥方様の待つサロンに午前の休憩の時間になったので向かう。日常、日常。日々是好日なり~

「ゴブ~」(お待たせゴブ~、少し遅くなってしまったゴブ~)

コンコンッとドアをノックするといつもの奥方様のご機嫌な返事が返ってくる

「はい、どうぞ~」

「ゴブ~」(失礼しま~す、今日はいつにまして声が高くご機嫌ですな~)

ガチャ。背伸びしてやっと届くドアノブを下げてドアを開いて入るとそこには最近どこかで会ったことのあるような知らない貴婦人が座っていた

「うふふ~、ゴブちゃん。また来ちゃった」

パタン、わたしはそ~っと部屋から出てドアを閉め直した
う~む、誰だったかな~でもあまり関わらない方が良い人物だった気がするゴブ
記憶をたどって考えているとドアが開いて中からひょこっと顔をだしてきた

「ゴブちゃん~、顔を見るなり逃げるなんてひどいじゃない。一緒に虫歯を治療した仲じゃない、キズつくわ~」

げっ、まさかと思って候補から外していたがあの王妃様だったか

「ゴ、ゴブゥ~」(あはは、忘れるわけないゴブ~、ごきげんようゴブ~)

わたしは冷や汗を隠しながらなんとかカーテシーであいさつをする
そして何やらばたばたと騒がしい一団が廊下をむかってきている
奥方様が先頭でドレスをたくし上げて走ってきている
普段は自分の家でも人よりかなりゆっくりと足音をたてず優雅に歩いているのに
お客様の前ではしたないですぞ

「ぜぇぜぇ、叔母様。いつこちらにおいでになったのですか。先触れがありませんでしたが・・・」

「ついさっきよ。馬車だと時間がかかるから王族緊急避難用の転移陣をここの地下に設定して一人で来ちゃった。護衛は今日の午後にでも到着すると思うから、はいこれ先触れの書類ね」

先触れのお知らせをご本人が持ってきたら意味がないと思います
そしてご主人様が乗っていない馬車を護衛しているフリをしながら全速力で向かってきているであろう部下の人たち・・・かわいそうゴブ

「はぁ、そんなことが出来たんですね・・・知りませんでした」

「あくまで緊急時だけだけどね~、一方通行だから帰りは馬車になっちゃうし~」

そういう問題か?各所にある転移陣に王城から直接つなげられるってヤバくないか
マンションオーナーがマスターキーを持っていて全部の部屋を開けられるって感じか

「叔母様・・歓迎いたしますわ、突然なのでたいしたおもてなしも出来ませんが」

「いいのよ~、それに今日は一応王妃として訪問していることになっているから~」

ピキッと奥方様の額に青筋が入ったのが見えたが気づかないないふりをしよう
奥方様は笑顔のまま王妃様をサロンの奥へ案内していく・・・上流貴族は違うゴブ

メイドさんたちがてきぱきとお茶の用意をして部屋から出ていく
それではお呼びでないのでわたくしも今日は別の場所でお茶にしようかゴブ

「ゴーブ」(それでは失礼しましたゴブ~)

ミセッティは逃げ出した。しかし まわりこまれてしまった!

「ゴブちゃんも一緒にお茶をしましょう、どうせ無関係じゃないでしょうし」

「ゴブ~」(そういえばボスからは逃げられなかったんだゴブ・・・)

出会って話しかけたらそのまま戦闘になりどちらかが全滅するまで逃げられないのだ
まさか自宅でラスボスと遭遇するとは思っていなかったけど

「そんなに当家のお風呂を気に入ってくれて何よりですわ。またいつでもお越しくださいとは申し上げましたが、まさかこんなに早くまたおいでになられるとは思いませんでした、今日もごゆっくりくつろいでいってくださいませ」

奥方様は王妃として歓待することに気持ちをしっかり切り替えたようだ

「あ~そうね、もちろんお風呂にも入っていくつもりよ。でもまずは領都の元貧民街を視察してからね~案内してもらうわよ」

「はい?貧民街ですか。いえ、さすがにあそこはちょっと・・・他の領都よりいくらかマシとの自負はありますが王族を連れていくのははばかれます。護衛無しではもちろん危険ですがヘタに護衛を付けても逆効果で狙われますし・・・変装して出かけるのも商業街までにしてもらいたいのですが」

「ふふふ、サイネリアちゃん。まだ隠しておきたいのは分かるけどね~。私の情報網を甘く見ないことね。特にコスタリアは要チェックの命令を出しておいて良かったわ~。こんなにおもしろそうな話に私をハブくなんて許さないわよ~」

「は、はぁ、王家に隠し事ですか・・・??」

むぅ、これはマズいゴブ。王妃様の密偵が貧民街の開発のことを報告したんだゴブな
そしてその進捗状況を王妃様自ら確認しにくるとは
しかも今から視察に行くとか言っているし、粗相があれば計画が台無しになるぞ

「ゴブ~、ゴブ~」(テト~、テト~聞こえているゴブか~)

わたしは小声でテトに呼びかける

「ちゅ」

カタっと小さな音がして壁の板材が開き、サロンの花瓶の置いてある家具の裏側から白いネズミが顔だけ出して返事をする

「ゴブゴブ」(今から王妃様が町に来るらしいゴブ、皆に伝えておくゴブ)

「ちゅ」

一言返事をすると壁の中に戻っていった壁穴はまた何もなかったように塞がれている
あいつ結構小さかったな・・・もう3代目、いや4代目世代が産まれているのかな
貧民街のほぼ全ての家に一匹ずつ潜ませているとか言ってたし、あいつなら王妃様の密偵の存在にも気づいていたかも

そして先日、コスタリア家の屋敷担当になったと5匹のホーリーラットが挨拶にきたのだった
何でも意識共有でクィーンの元にリアルタイムで情報を共有できるとか
地球の防犯システムよりもすごいんじゃないか

「何か言った?ミセッティちゃん」

「ゴブ」(何でもないゴブ、いってらっしゃいゴブ)

「それじゃあ、早速変装していきましょ、あたしは細剣使いの冒険者ね」

「・・・ライアン君をすぐに呼んできなさい、護衛させるわよ」

「あ~そうね、この際だからバーゲンハイム家も立ち合いさせた方がいいわ」

そしてまたバタバタとみんなが準備に忙しく走り回りだした
まわりをバタつかせる天才だな、この王妃様は。
自分は髪をアップにしてまとめ軽装の冒険者の恰好をしている
本人は変装が完璧だと思っているようだがそんな綺麗な顔立ちで髪がサラサラの冒険者なんている訳がないゴブ
身に着けている皮鎧や服もキズどころかシミひとつ無いし、違和感ありまくりゴブ

「ふえ~、急に出かけることになって大変です~。何ですか?ミセッティ様」

町娘の変装をしているマリーが奥方様の着替えを手伝っている
こっちは何の違和感も無いな

「ふふふ~、どうです町娘の服装をしてもあふれ出る高貴な雰囲気・・・やっぱり
育ちがいいと出ちゃうんですよね~」

「ゴブ」(全くオーラが出てないゴブ、完璧な町娘の変装ゴブ)

「何ですかその目は~また馬鹿にしてますね~プンプン」

わたしなんて服の上に少しぼろいポンチョを着ただけだがどこにでもいる野良ゴブリンに完璧に変装できているぞ
・・・間違って狩られないよね?
情報伝達よろしくお願いしますよ、チュー太さん
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...