〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ

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第十五話 新生活!

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 待ちに待った、引っ越しデイ!

 私もハルちゃんもミニマリストなもので、荷造りはさくっと終わり、業者さんを見送ると、現地へてくてく。ほんと、近所なのよね。ありがたや~。

 とうちゃーく!

 やあやあ、これは見るからに良物件! いい仕事してますねー。

 業者さんに冷蔵庫の設置やテレビの配線なんかをしてもらい、ちゃぶ台とテレビしかないリビングに大の字になって寝そべる!

「ハルちゃんも一緒にやろー。気持ちいーよー!」

「おお~、いいですねー」

 スノーエンジェルを作るように、手足をジタバタさせる私たち。

 そういえば、ミドリさんどうしてるだろ? 電話をかけてみる。

「はい、どうされましたか?」

「あ、いえ。今どのへんでしょうと思いまして」

「東F駅に着いたところです。もう、運送業者はそちらに着いてるかもしれません。わたくしも、すぐに向かいますので。すみません、手短ですが、失礼します」

 通話が切れてしまった。

 どれどれ?

 お、キッチンの窓を開けると、たしかに私たちが使った業者とは違うトラックが。

 私に気づいた業者さんが挨拶に来て、荷物を運び込んでいいかと問われたので、「もう少しお待ちを」と、待ってもらうことに。

 すると、ミドリさん到着!

「おまたせいたしました! 荷物を中へお願いします」

 急いで来たのだろう、息が上がっている。

 私たちも荷解きを手伝っていく。

 彼女もミニマリストかと思ったら、案外本が多い。

「どうも、本は紙でないと……」

 とのこと。

 とりあえず、一番広い八畳間は、三人で寝るからハルちゃんルーム。あとの六畳ふた部屋は、私とミドリさん。

 ミドリさんはテレビを見る習慣はないようで、テレビがダブらなかったのはラッキーね。

 逆に冷蔵庫は、小型のが二つという、ちょっと奇妙な状態に。

 コンロはミドリさんのIHと、うちのガスどっちにしようかという話になったけど、協議の結果、ミドリさんのIHに決まりました。決め手は、温度調節が楽という理由。

「だいたいこんなもんですかねー?」

 ふうっと一息。

「はい。あとは、わたくしが本をしまうだけですね」

「手伝いましょうか?」

「いえ、それには及びません」

 んー。

「ミドリさん。これから寝食を共にするんですし、もうちょっと肩の力を抜いた喋り方、難しいですか?」

「申し訳ありません。なにぶん、こうした喋り方が習慣になっておりまして……。ユキ相手だと、問題なくできるのですけど」

 ふみゅ。

 まー、これが彼女にとっての自然体なら、これでいいか。で・も。

「アキ様、はなしでお願いします。こそばゆいので。さんづけとかでいいですよ」

「承知しました」

 さて、すっかりお昼が近い。で、冷蔵庫は私のビールぐらいしかないので……。

「買い物行きましょうか!」

 ポンと手を打つ。

「行きましょう、行きましょう!」

「そうですね。参りましょう」

 というわけで、私の先導で、おなじみのスーパーへ!


 ◆ ◆ ◆


「おねーさん、今日はワイン?」

「だって、引っ越し記念日だもの。かるーくね、かるーく」

 と言いつつ、三本ほどカゴへ。だって、明日オフなんですもの。むふふ。

「ワインに合わせるとなると、お肉がよろしいですね。お嬢様、アキさん、なにかご希望はございますでしょうか?」

「三人で作りましょう。やっぱり、奮発してステーキなんかどうかしらね?」

「悪くありませんね」

 とりあえず、肉コーナーに向かう私たち。

「個人的には、せっかくミドリさんと作るんだから、もっとこう、肉じゃがとか、そういうのがいいなあ」

「まあまあ、ハルちゃん。ミドリさんは逃げないんだから、今日ぐらいパーッといこうよ!」

「んー。おねーさんが、そう言うなら」

 というわけで、いいお肉を買いました! A4黒毛和牛ですよ! ひゅう!

 でも、ハルちゃんこういうの逆に、食べ慣れてるのかな。まあ、ここしばらく私と庶民生活してたし、いいよね!

「あ……今気づいたんですけど、これって、どう見てもディナーですよねえ……」

 お昼からステーキ食べちゃいけないという法はないけど、ミドリさん荷解きが終わってないから、ワインと一緒にいただくなら夜だなあ。

「左様ですね。お昼は、お魚にいたしましょうか」

 三人で物色。お昼はハルちゃんの希望で、アジフライ定食になりました。

 あとは、調味料や日配品を買っていく。

「いやー、買った、買った!」

 三人で大漁です!

 では、帰りましょー!


 ◆ ◆ ◆


「お嬢様は、衣つけをお願いいたします」

「おっけー!」

「それじゃあ、私はお味噌汁を」

 ちなみに、具は無難にネギとお豆腐。

 ハルちゃんが、衣をまとったアジの入ったバットを差し出すと、ミドリさんが手際よく揚げていく。

「おいしそ~」

「アキさんのお味噌汁も、美味しそうでございますよ」

 三人で、お料理! 家庭科の実習を、思い出すなあ。

 フライとお味噌汁が出来上がったので、レンジ米をレンチン。お米を炊くのは、ちょっと時間なかったからね。

「いただきまーす!」

 合唱!

 ん!

「フライ、美味しいですよ、ミドリさん!」

「ありがとうございます。お嬢様のお力添えのおかげです」

「照れるなー、ミドリさん~」

 実にほのぼの。三角関係には、とても見えないね。

 お味噌汁にもお褒めの言葉をいただき、ありがたや。

 こうして、お昼を堪能!

「ごちそうさまでした!」

 というわけで、改めてミドリさんのお手伝いを申し出たけど、固辞されてしまったので、競馬観戦。

「お嬢様、競馬をたしなまれるようになったのですか?」

 ひょいと顔を出し、眉をしかめるミドリさん。

「おねーさんの影響で、観戦だけね」

「賭け事をなさっていないのでしたら、良かったです」

 と、また作業に戻りました。

 やっぱり、心の師匠というか、親なんだなあと、しみじみとしつつも、少しうらやましく。

 嫉妬は良くないね。


 ◆ ◆ ◆


 そして、夜!

 お楽しみの、ワインとステーキ!

「では、不肖わたくしが焼かせていただきます」

 ステーキ美味しく焼くのも、結構コツが要るそうで、ミドリさんの独壇場となりました。

「おまたせいたしました」

 おほ! さすがに鉄板はないけど、美味しそう~!

「いただきます! &カンパーイ!」

 グラスを打ち鳴らし合う。私、酒呑みだから、ワイングラスとか持ってたりするのよね。

 くぅ~! 効くーっ!

 お肉をもにゅ……。

 ん! んん!

「うわ、すっごい美味しい!!」

「ありがとうございます」

 ミドリさんが、頭を下げる。

 柔らかくて、ジューシーで……ああ、もう語彙力崩壊!

「こんな柔らかいお肉、食べたことないです!」

「良いお肉でしたし、さらにシャリアピンにいたしましたから」

 しゃりあぴん……なんか、名前だけは知ってる。

「おいしー! さすが、ミドリさん!」

「ありがとうございます、お嬢様」

 ワインも、もっとお高いのにすればよかったかな。こんないいお肉に、ちょっともったいないことしたかも。

 ともかくも、最高の酒宴を愉しみました!


 ◆ ◆ ◆


「えー、では不束者ですが」

「不束かって、おねーさん、新婚さんじゃないんだから」

 寝所で、クスクス笑うハルちゃん。

「だってねえ。ミドリさん交えてなんて、初めてですもの」

わたくしも、いささか緊張しております」

「ふふ。二人とも、いーっぱい愛し合おうね!」

 それぞれの腕に、手を回すハルちゃん。

 こうして、初「川の字」になったのでした。気持ち良かった~……。

 ハルちゃんって、ミドリさんには攻め・・なのね。
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