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第一章
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しおりを挟む真剣な両親の目を見る限り、本当に大事な話なんだなと感じる。
「シア…お前は王城に行かなくてはいけないんだ」
「え?」
「この国の第一王子、わかるわよね?」
「はい。さすがに知っていますが」
「第一王子に婚約者がいないことは?」
…嫌な予感がする。
第一王子…ルディエル・グリティス様。
確か私の三個上の17歳で兄様と同い年のはず。
彼は"笑わない王子"として有名である。
感情が無いのかただ疲れているだけなのかよくわからないけど、それだけなら知っている。
「…第一王子に婚約者がいないことと私が何の関係があるのでしょうか」
「いや…実はだな…。王命が下ったのだ」
「え?」
「この国の全ての公爵家は一人令嬢を第一王子の婚約者候補とするため登城させよ…と」
「……拒否したいのですが」
「それができないみたいなのよね。何でも陛下は第一王子の意思を尊重するために今まで貴族であるなら誰が婚約者でも良いから自分で決めて良いと言っていたらしいの。まぁ、御自分のように恋愛婚させたかっただけだと思うけど…。第一王子が約束だった16歳になっても結局婚約者を作らなかったのよね。それならと陛下は公爵家の令嬢から選ぶようにと新しく命じたのよ」
母様の言葉にかなりやられる。
確かにこの国は大国なだけあって、他国の王族との結婚は不必要だ。
………ちょっと待ってください。
よりによって第一王子?
というか登城の時点ですでに嫌なのですけど……?
「ちなみに、婚約者がいる場合のみ無効になるみたいなのよね」
「うちはミラにはすでに婚約者がいるが、シアにはいないから…その…問答無用で登城になってしまうのだよ」
「まぁ…一人娘の公爵家は婚約者がいる場合そっちを破棄して登城する人が多いでしょうね」
「あぁ…。なんてったって王妃になれるかもしれないからなぁ」
問答無用で登城?!
絶対に行きたくないのに!
婚約者候補って…信じられない。
万が一よ…。万が一にでも婚約者候補から婚約者になってしまってはのんびり生活が台無しじゃない!
それどころか前世と変わらず多忙な日々よ!冗談じゃない!
「確認ですけど、婚約者候補に登城する全員がなるんですね?」
「あぁ…」
この国、何があったか知らないけど他国に比べて公爵家が多い。
確か、うちを含めて7つとかあったはず。
そして全ての家に年頃の娘が一人以上いたはずだ。
それなら!
私が選ばれることなんて絶対に無いだろう…!
本当に私は自他共に認める平凡だ。
他の公爵令嬢なんて凄い人ばかりだろう。
「なんとなくシアの気持ちはわかっているつもりだ。だが…王命には逆らえない。なので、とりあえず行くだけ行ってきてもらってもいいか?」
「まぁ、シアちゃん気張る必要ないわよ。第一王子は感情が無いんじゃないかってくらい冷たいと噂されているわ。なら殿下は多彩な才能を持っている人を選ぶはずよ」
母様公認の平凡令嬢ですから。
でも、さすが母様。人脈が広いから情報量が違う。
父様の言う通り行くだけ行かなくてはだな…。
私はのんびり暮らしたいけど、この家に迷惑はかけたくない。
「いつ頃登城すれば良いのでしょうか」
「それが一週間後なんだよ」
「さっさと準備しなくちゃよね」
「…滞在期間はどれくらいで?」
「長くなる人と短くなる人で差があるだろうから、なんとも言えないけど」
なら、短くなることを願って準備しますね!
「そうだ。侍女を連れていけるけど…」
「なら、リーシェ一人で十分です。すぐ帰ってくる予定ですし」
「わかった。本人に伝えてくれ」
「はい。今日にでも」
簡単に話をまとめて書斎を後にした。
ちゃっちゃと行ってさっさと帰ってこよう!
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