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第三章
26 前世という名の過去編4
しおりを挟む花乃は父恭一郎から許可を得て、正式に赤月を専属執事とした。
そして、それからの赤月の成長は驚くほど早かった。
基礎知識は当然のこと、応用も完璧にこなす。
それだけでなく執事として求められる以上のことを彼はやってのけた。
こうして花乃と過ごしていくことで、彼は超人へと進化していった。
それだけでなく花乃から感情を自然に学んでいった。
そして、花乃が幼い少女から大人へとなるうちに赤月の花乃への気持ちにも変化が訪れる。
自分が仕えるべき主人から守るべき主へ、守るべき主から唯一無二のかけがえの無い存在へ。
そこから恋心が芽生えるのに時間はかからなかった。
初めは自分にとっての大切な人の一人くらいの認識だった。しかし自分を大切にしてくれる裏表の無い素直さ、何より自分を第一に頼ってくれること。
全てが彼にとって初めてのことだった。そして花乃と過ごし彼女のことを知るうちに花乃のことを恋愛対象として見るようになってしまったのだ。
もちろん、敬愛を含んでいた。
だが、それだけでは足りなくなってしまったのだ。
赤月にとっては、花乃は生きる意味になっていた。
しかし立場は主と執事。
年齢だって7歳と離れている。
これが両想いならまだ光はあったかもしれない。
明らかに花乃には赤月に対して恋心は無かった。
花乃のことを熟知している赤月だからわかることだった。
赤月は想いを伝えることより、傍にいることを選んだ。
愛しく唯一無二の生きる意味でもある花乃無しではもはや赤月の人生に価値は無い。
彼は恋にはとても臆病だったのだ。
叶う可能性はゼロでは無いかもしれないのに、彼は安定を選んだ。
関係が壊れることを恐れ、自分の感情を犠牲にした。
これは赤月の唯一の後悔だ。
今回は立場や年齢のしがらみは無い。
もしあったとしても、同じ後悔を繰り返すような真似はしないだろう。
だから、今回ばかりは諦めるなどということは決してしない。
それくらい赤月の想いは強い。
彼の決意は誰も変えることなどできやしないのだ。
今回は絶対に。
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