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第六章
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しおりを挟む翌日。
私は久しぶりにジュゼッペ様とお茶をしていた。
といってもすぐにお茶は終わり、ジュゼッペ様の提案で商人を呼んで買い物をしようとしていた。
「さ!アイシア様。何か買いましょう」
「いや…ジュゼッペ様。私別に今はこれと言って欲しいものは…」
「欲しくなくても買いましょう!気分転換にもなりますよ」
「……別に私は今普通ですよ?」
「い、いいから、いいから!」
「もしかして…何かありました?」
「べ、別に!何もありませんよ?」
「本当に?」
「え、えぇ。もちろん!」
「怪しい…」
そう思いながらジュゼッペ様を見ていると、どうやら新しいドレスなどを買いたいようだった。
元々そういう人では無いのに、どういう風の吹き回しなのか。
聞きたいところだが、本人ドレス選びに夢中である。
「アイシア様……」
「あらヒルユ。どうしたの?」
そんな中、ヒルユがこっそり耳元で状況説明をしてくれた。
「実は…お嬢様に春が来たようで」
「………え?」
「どうやら何処かの殿方に一目惚れしてしまったみたいなのです」
「あら……」
ジュゼッペ様にそんなことがあったとは。
「それは…いつ?」
「おそらく昨日かと」
「それはまた…」
なるほど。その殿方の目にとまってほしい為に、ドレスを新調しているわけか。
それを考えると、とても可愛らしい話だ。
「ちなみにヒルユ。どんな殿方なの?」
「私も詳しくは…」
そりゃそうだな。
一目惚れなら相手の事などあまり知らない。
正直…ジュゼッペ様には幸せになってもらいたい。
ジュゼッペ様は婚約者候補という肩書きを持ってはいるものの、別に殿下のことが好きなわけではない。
それなら、自分が思う人と幸せになって欲しい。
「ジュゼッペ様……」
「あ、ごめんなさい私ったら」
「いえいえ。ドレス新調は大切なことですから」
「そ、そうですか?」
「はい。頑張ってください」
「……え、もしかして……」
あ、しまった。ちょっと含んだ言い方してしまったかな。
「ヒルユ!貴女勝手にアイシア様に言ったの?」
「も、申し訳ありませんお嬢様」
「な、なんてことを…」
そう言いながら、ジュゼッペ様はみるみる赤くなっていった。
「いや…ジュゼッペ様?私は…応援しますよ」
「え、あ、そ、それは…ありがたいことですわ」
「いえいえ」
「お、お恥ずかしい…」
そう言いながら顔を伏せてしまうジュゼッペ様は可愛らしかった。
「…ちなみに…どのような方なのですか?」
「え、……その…。その方は私が、荷物を落としてしまったとき、周りにいた王城の従者でも侍女でも無く、真っ先にその荷物を拾って渡してくださったのです」
「あー…」
なるほど。その優しさに惚れたと。
「へ、変な理由かもしれませんが…」
「いや、全く変ではありませんよ」
「そ、そうですか?」
「はい。……ちなみに名前とかは」
「それが…緊張してしまってお聞きできなかったのです」
「そうですか」
誰だかわからないのは少し厳しいかもしれない…。
「でも、容姿のことなら覚えています」
「あ、聞かせてください」
「とても麗しかったです。髪の色はアイシア様よりは少し暗めの赤で瞳の色は緑色…背は私より高くて…」
「…………」
え、ちょっと待って。
それに当てはまる人…私知ってるな。
それ…私の兄様です。
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