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第七章
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しおりを挟むこの想いは、大切にしなくては。
「…………」
侍女だと思っていた女がまさか第一王子の婚約者だとは思うまい。予想外過ぎることに未だ、呆然と立ち尽くしていた。
「私は貴方になどついて行かない。当然、妻のフリなどしないわ。逃げれるものなら逃げれば良い。悪事を黙認してたことだけでも十分処罰対象なのに、第一王子の婚約者である私を誘拐したこと、当然こちらも処罰対象よ。自分から罪を重ねたことを後悔するといい」
この男がどうなろうと知ったことではない。けど、ジュゼッペ様を蔑ろにした分この男にも同じ苦しみを与えるのは当然の事だと感じる。
「ふざ…ける…な」
「これが現実よ」
「そんなこと、許されない。俺は…特別なんだ。才能ある素晴らしき者だ…………お前のような小娘に人生台無しにされるわけにはいかないんだよっ!!」
「!!」
憐れな人は私めがけて腰に携えていた剣を振り上げた。
事前に距離を取っていたこともあり余裕でかわせた。かわすと同時に、剣を肘で奴の手から落としお腹に蹴りを一発御見舞した。
「ぐあっ!」
よろめき離れる男。
もう一発と思い、私から近づき足に力を入れる。しかし奴が馬車に乗ったときに見せた短剣を思い切り振り上げた。かわし切ることができず、顔をかすってしまった。
「……っ」
頬に血が垂れる。どうやら左目の下を切られたようだ。
「は、ははは!女の癖に抵抗するからこうなるんだよ!」
狂ったように叫ぶ。
痛みに気を取られている隙に奴は落とした剣を拾い、再び私に剣を向けた。
「これで終わりだっ!!」
あぁ、片目だけじゃ見えない。避けきれない。
そう感じて、両方の目を閉じた。
すると、私の体は浮いた。
というより抱き上げられた。
「お嬢様、お迎えが遅くなり大変申し訳ありません…。二度もこのような失態をおかし、合わせる顔がありません…」
「…………赤月」
安堵したが、他に足音が聞こえる。今回は護衛騎士を連れてきたみたいだ。
痛みを我慢して目を開ければ、男は遥か先に吹っ飛んでいた。
「シア………その目は奴に?」
「え、まぁそうね」
「そうですか。どうやら奴には私自ら直接死を与えなくてはいけないようですね」
「いや、待って」
「ここで少し待ってて下さい。すぐ済ませます」
「ちょ、殿下」
そう言うと私を下ろし、歩き出した。
もちろん私は赤月に人殺しになってほしいわけではない。
でも、今の赤月はきっと何を言っても届かない気がする。恐らく怒りで我を忘れてる状態、なのかもしれない。
いや…届けなきゃ。
「…………っ」
私は赤月の腕を掴んだ。
そして、渾身の力で私の方へ引き寄せ、背伸びして顔を近づけた。
「赤月、私は貴方が好き。赤月でありルディエルである貴方が好き。これは慕う意味ではなく、これからずっと一緒にいたいという意味。…………わかるわよね?」
「え……お嬢…………様?」
突然の事に驚きで声を出せないようだった。
「いや………夢……?」
予想通りの返答。
それなら。
「夢じゃないわ。貴方を愛してる」
そう言うと、赤月のネクタイを引っ張り、唇に触れた。
赤月、私は貴方の傍にいたい。
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