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第七章
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しおりを挟む女性からするなんて、もしかしたらこの世界では考えられない事かもしれない。でもそんなの関係ない。私達には共通して前世というモノがある。
あの世界の事を知っている。それなら別に私からでも問題はないはずだ。
きっと、どんな言葉で伝えた所で今更同情をと思われてしまうのか目に見えてわかる。
振り向かせようと私に想いを伝えることに努力をするのに、それが報われるとは恐らく思わないのだろう。赤月は、どこか自分の中でこれは叶わぬ恋だと前世の事を重ねているように見えた。
───前世と現世は違うのに。
「お、お、お、お嬢様…?」
「聞こえなかったなら何度だって言ってあげる。信じられないなら、恥ずかしいけど何度だって貴方に口づけをするわ」
「え、え…………?」
赤月の動揺は収まることなく。
「ちょ、ちょ、待って下さいお嬢様」
幸いなことに、護衛等は会話の聞こえぬ場所にいるために"お嬢様""赤月"という呼び名は大丈夫だった。
「…………落ち着いたら言って」
黙り込む赤月に私が告げた。
自分で作り出した展開ではあるが驚き続けてはいた。自身の行動力に心底驚いている。でも、今赤月を掴まなければいけない気がした。お嬢様と執事という前世の関係を私よりかなり気にしていた。気にせずにと口ではいうものの、実際に私という存在を対等に接するのには無理を感じた。
おそらく、彼の中で前世のあの出来事はかなり大きな事なのだと思う。
別に消せなんて言わない。でも、いつまでもその関係を続けるという事に問題がある。
「いや、駄目です。理解が追いつきません」
「…………本気で言ってるの?」
「はい。ただ一つ納得が行くのはこれが全て夢という事が前提の話で…」
「夢じゃないわ」
「いや…そうとしか考えられ」
「私は幻じゃない。貴方は夢を見ていない。これは現実。……受け入れたくないなら別に一生そうやって言ってて構わないけど、これだけは聞いて。…………ねぇ赤月。私は赤月という言葉は貴方を縛っていると思うの。無意識に貴方を前世のことを頭に置かせているようで。……だから私は今後一切、赤月と呼ばないわ」
「なっ……それは嫌です!」
「いいえ、呼ばない」
「お嬢様、それだけはお止めください!」
「だから赤月もお嬢様と呼ばないで」
「了承しかねます」
これを断固として赤月…ルディエル殿下が譲らないことは重々承知していた。
でも、変わらないといけない。そうでなければ、貴方の傍にいれる自信が無いから。
「お嬢様、それだけは絶対に」
「だって」
殿下の言葉を遮る。
「私は貴方のお嬢様では無く、貴方の恋人になりたいんですもの」
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