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23話 異世界にもお風呂があったのに入れませんでした
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オークの肉、それはやっぱり、想像通り豚肉に近い味がした気がした。
これならまあ、食べられるな。
そう思いながらも、自分で狩りをするのは無理だなぁとも感じていた。
肉に関しては、市場まで買いに行くのが一番賢い選択かもしれない。
そんなことを考えながら食器を洗い、キッチンを出てすぐ近くの応接間?談話室?でくつろぎ始めた。
この部屋の灯りは柔らかいオレンジ色で、どこか温もりを感じる。
暖炉もあって、厚みのあるソファーが心地いい。
「なぁ、この城ってどんな部屋があるんだ?
復元する前に見えたけど、よく分かんなくてさ。」
「えー?いろいろあるぞ。本がいっぱいある部屋とか、魔物を管理する部屋とか、実験の部屋とか。」
「わー、異世界って感じだな。」
「あとはー、あったかいお湯が出るところ!」
「え?あ、もしかしてお風呂ってこと?!え、あんの?この世界に?お風呂?」
「お風呂ってなに?前の主があったかいお湯に入るの好きで、地下にあるぞ。」
「ええ?本当?そこ行きたい!案内して!」
城の復元時にいろいろな部屋の様子は見えていたけど、あまり理解していなかった俺は、
クロにどんな部屋があるのかを改めて尋ねた。
すると、まさかのお風呂があると聞いて驚き、ソファーにすがっていた体をガバッと起こした。
「主~、こっちだよー。」
クロに案内をお願いして地下へ続く扉を開け、階段を下りていくと、
少し広めのホールがあり、扉が3つ並んでいた。
そのうちの1つを開けると、石造りの廊下が続いていた。
進むにつれて、空気が少しずつ温かくなっていくのが分かる。
「わぁ!本当にお風呂じゃん!」
「これ、お風呂って言うのかぁ。」
廊下を抜けた先に現れたのは、黒曜石のような岩で縁取られた湯船。
湯気が立ち上がり、室内なのに露天風呂のような開放感がある。
壁には古代文字のような模様が刻まれていて、神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「ここって地下だよな?なんで窓から外の景色が見えるんだ?」
「地下にいる間も外を警戒しないといけないからって、
地上の風景が見えるように魔法をかけて作ってたよ。」
「へぇ、すごいなぁ。……なぁ、早速入ってみようかな。」
地下なのに窓があり、そこから外の景色が見えることに驚いてクロに尋ねると、
前の家主が警戒のために魔法でそうしたと聞かされ、さすが異世界だなと思った。
まぁ、とにかくだ。
ひとまず疲れを癒すためにも、お風呂に入りたい。
そう思って服に手をかけた瞬間、無機質なエマの声が響いた。
【このお湯は湖の水を引いて沸かされています。
湖自体に穢れがある今、このお湯に入るのは危険と推測します。】
「あー……なるほど、そういうことか。
クロ、このお風呂のお湯は、あの湖の水なんだってさ。
浄化できないと入れないって。」
せっかくお風呂という至福の時間を手に入れられるかと思ったのに、
湖の浄化が終わらないと使えないなんて…。
目の前にあるのに“お預け”を食らうのは、なかなか辛い。
でもまあ、仕方ない。
とはいえ、体を綺麗にしたいときはどうすればいいんだ?
そう思って、クロに尋ねてみた。
「クロ、この世界の人たちはどうやって体を綺麗にするんだ?」
「え? 普通に“Purify Body”って言えばいいんじゃない?
主は汚れたらいつもこれ唱えてたぞ。」
「ピュリファイ・ボディ…よし!じゃあ、ピュリファイ・ボディ!」
クロに教えられた通り、体を綺麗にする魔法“ピュリファイ・ボディ”を唱えてみると、
光の粒のようなものが体を包み込み、汚れが落ちていく感覚があった。
こういう魔法もあるのか…。
前世でも使えていたら、どれだけ楽だっただろう。
「んじゃ、戻りますか。」
「おー!」
いつか湖がちゃんと浄化できたら、思う存分お風呂を堪能してやる。
そう思いながら、お風呂ゾーンをあとにした。
「そういえば、地下のあと2部屋は何なんだ?」
「えっとー、一つは“魔力炉”って言って、この城の動力源だって。
そこにある魔法石の結晶に魔力を通して、城全体を機能させてるんだ。」
「へぇ。じゃあ、もしかして俺が復元した時に、俺の魔力が注がれたのかな?」
「そうじゃない?じゃないと灯りすらつかないからさー。」
「なるほどねー。ちょっと覗いてみよ。」
エントランスに戻る途中、地下の残りの2部屋が気になった俺は、クロに尋ねた。
“魔力炉”という異世界らしい響きに惹かれて、その扉を開けてみることにした。
扉は先ほどのお風呂のものとは違い、重くてゆっくりと開いた。
中に入ると、少しひんやりした空気の中、青白い光が部屋を包んでいた。
その光の正体は、大きな魔法石の結晶。
魔法陣の上にドシンと置かれ、煌々と輝いている。
「なんか心臓みたいだな。これが止まると、城が終わっちゃうって感じがする。」
「多分そうだよ。この結晶から魔力が枯渇したら、城はダメになると思うぜ。」
「やっぱそうなんだ。まあ、今はもう大丈夫だろ?俺がちゃんと管理するからさ。」
魔法石の結晶は、この城の“心臓部”のような存在。
クロの言葉に頷きながら、俺は少しだけ達成感を味わっていた。
俺の無限の魔力がなければ、この魔法石も復活できなかったのかもしれない。
ってことは、俺は少しは役に立てたってことかな?
そんなことを思いながら、静かにその光を見つめていた。
これならまあ、食べられるな。
そう思いながらも、自分で狩りをするのは無理だなぁとも感じていた。
肉に関しては、市場まで買いに行くのが一番賢い選択かもしれない。
そんなことを考えながら食器を洗い、キッチンを出てすぐ近くの応接間?談話室?でくつろぎ始めた。
この部屋の灯りは柔らかいオレンジ色で、どこか温もりを感じる。
暖炉もあって、厚みのあるソファーが心地いい。
「なぁ、この城ってどんな部屋があるんだ?
復元する前に見えたけど、よく分かんなくてさ。」
「えー?いろいろあるぞ。本がいっぱいある部屋とか、魔物を管理する部屋とか、実験の部屋とか。」
「わー、異世界って感じだな。」
「あとはー、あったかいお湯が出るところ!」
「え?あ、もしかしてお風呂ってこと?!え、あんの?この世界に?お風呂?」
「お風呂ってなに?前の主があったかいお湯に入るの好きで、地下にあるぞ。」
「ええ?本当?そこ行きたい!案内して!」
城の復元時にいろいろな部屋の様子は見えていたけど、あまり理解していなかった俺は、
クロにどんな部屋があるのかを改めて尋ねた。
すると、まさかのお風呂があると聞いて驚き、ソファーにすがっていた体をガバッと起こした。
「主~、こっちだよー。」
クロに案内をお願いして地下へ続く扉を開け、階段を下りていくと、
少し広めのホールがあり、扉が3つ並んでいた。
そのうちの1つを開けると、石造りの廊下が続いていた。
進むにつれて、空気が少しずつ温かくなっていくのが分かる。
「わぁ!本当にお風呂じゃん!」
「これ、お風呂って言うのかぁ。」
廊下を抜けた先に現れたのは、黒曜石のような岩で縁取られた湯船。
湯気が立ち上がり、室内なのに露天風呂のような開放感がある。
壁には古代文字のような模様が刻まれていて、神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「ここって地下だよな?なんで窓から外の景色が見えるんだ?」
「地下にいる間も外を警戒しないといけないからって、
地上の風景が見えるように魔法をかけて作ってたよ。」
「へぇ、すごいなぁ。……なぁ、早速入ってみようかな。」
地下なのに窓があり、そこから外の景色が見えることに驚いてクロに尋ねると、
前の家主が警戒のために魔法でそうしたと聞かされ、さすが異世界だなと思った。
まぁ、とにかくだ。
ひとまず疲れを癒すためにも、お風呂に入りたい。
そう思って服に手をかけた瞬間、無機質なエマの声が響いた。
【このお湯は湖の水を引いて沸かされています。
湖自体に穢れがある今、このお湯に入るのは危険と推測します。】
「あー……なるほど、そういうことか。
クロ、このお風呂のお湯は、あの湖の水なんだってさ。
浄化できないと入れないって。」
せっかくお風呂という至福の時間を手に入れられるかと思ったのに、
湖の浄化が終わらないと使えないなんて…。
目の前にあるのに“お預け”を食らうのは、なかなか辛い。
でもまあ、仕方ない。
とはいえ、体を綺麗にしたいときはどうすればいいんだ?
そう思って、クロに尋ねてみた。
「クロ、この世界の人たちはどうやって体を綺麗にするんだ?」
「え? 普通に“Purify Body”って言えばいいんじゃない?
主は汚れたらいつもこれ唱えてたぞ。」
「ピュリファイ・ボディ…よし!じゃあ、ピュリファイ・ボディ!」
クロに教えられた通り、体を綺麗にする魔法“ピュリファイ・ボディ”を唱えてみると、
光の粒のようなものが体を包み込み、汚れが落ちていく感覚があった。
こういう魔法もあるのか…。
前世でも使えていたら、どれだけ楽だっただろう。
「んじゃ、戻りますか。」
「おー!」
いつか湖がちゃんと浄化できたら、思う存分お風呂を堪能してやる。
そう思いながら、お風呂ゾーンをあとにした。
「そういえば、地下のあと2部屋は何なんだ?」
「えっとー、一つは“魔力炉”って言って、この城の動力源だって。
そこにある魔法石の結晶に魔力を通して、城全体を機能させてるんだ。」
「へぇ。じゃあ、もしかして俺が復元した時に、俺の魔力が注がれたのかな?」
「そうじゃない?じゃないと灯りすらつかないからさー。」
「なるほどねー。ちょっと覗いてみよ。」
エントランスに戻る途中、地下の残りの2部屋が気になった俺は、クロに尋ねた。
“魔力炉”という異世界らしい響きに惹かれて、その扉を開けてみることにした。
扉は先ほどのお風呂のものとは違い、重くてゆっくりと開いた。
中に入ると、少しひんやりした空気の中、青白い光が部屋を包んでいた。
その光の正体は、大きな魔法石の結晶。
魔法陣の上にドシンと置かれ、煌々と輝いている。
「なんか心臓みたいだな。これが止まると、城が終わっちゃうって感じがする。」
「多分そうだよ。この結晶から魔力が枯渇したら、城はダメになると思うぜ。」
「やっぱそうなんだ。まあ、今はもう大丈夫だろ?俺がちゃんと管理するからさ。」
魔法石の結晶は、この城の“心臓部”のような存在。
クロの言葉に頷きながら、俺は少しだけ達成感を味わっていた。
俺の無限の魔力がなければ、この魔法石も復活できなかったのかもしれない。
ってことは、俺は少しは役に立てたってことかな?
そんなことを思いながら、静かにその光を見つめていた。
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