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25話 回復魔法を覚えました
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翌日―
「昨日と変わらずって感じだな。」
アイテムボックスの中に奇跡的に残っていた食パンを取り出し、
朝食を済ませた俺とクロは、湖へ向かう前に地下の魔物管理室を覗いてみた。
ガラスの中でスヤスヤと眠るドラゴンの赤ん坊。
トクントクンと脈打つ卵。
昨日から特に変化はなさそうだった。
この卵がいつ孵るのか、ドラゴンの赤ん坊がいつ目を覚ますのかは分からないけど、
俺に課せられた責任は、きっと重い。
そんなことを思いながら、湖へと向かった。
「相変わらず雰囲気悪いなぁ、この森は。」
「主が湖を浄化できたら、きっと良くなるってー。」
「そうだなぁ…。あと何日かかるかなぁ?」
湖へ向かう途中、森の空気は相変わらず重く、気分が下がる。
ここには、きっと生き物もあまり寄りつかないだろう。
でも、湖が浄化できたら、動物たちも戻ってくるかもしれない。
そうだと嬉しいな。
「さてと。今日もやりますか。
クロ、周辺に異変がないか見ててくれな。」
「オッケー!任せて!」
「よし。じゃあ、やるよ。
湖の穢れを祓い、その命の鼓動を復活させよ!」
「主、頑張れー!俺、ちょっとその辺見てくるなー!」
浄化作業が始まると、クロは俺から離れて周辺の警戒にあたってくれた。
悪魔が警備にあたるなんて、考えたこともなかったな。
でも、あんなにいい子な悪魔がいるって事実を知れたのは、ちょっと嬉しい。
【クロのように“良い子”というのは異例です。あまり油断されないよう忠告します。】
「……まぁ、そうだよな。
人間が好きで、いい子な悪魔って普通じゃないかもな。
でも、俺からすればクロで良かったけどなー。めっちゃ可愛いし。」
クロがいい子で嬉しい。
そんなことを思っていたら、エマから「油断するな」と忠告が入った。
確かに、これまで読んできた漫画や小説、ドラマや映画で、
悪魔が“良い奴”だったことなんて、そうそうなかった。
それが現実なのかもしれない。
でも、クロは良い子だから、それでいいんだ。
そう思いながら、作業を続けた。
◇
「主ー! 主ー!」
浄化作業を続けて数時間が過ぎ、すっかり昼時になった頃。
クロの声がして振り返ると、そこには小さな狼を抱えたクロがいて、俺はギョッとした。
「その狼の子供、どうしたんだ?」
「森で見つけたんだ。怪我してるみたいで…。
主の魔法で治してくれよ! 俺、悪魔だから神聖魔法は使えないんだ!」
「結構ひどい怪我してるけど…。
治すって、神聖魔法なの?俺、できるの?」
【全属性に適性があります。程度は不明ですが、“ハイヒール”をおすすめします。】
「オッケー。じゃあ、やるよ。
狼くん、ちょっと待っててね。・・・ハイヒール!」
クロが抱えていたのは、ひどい怪我をした狼の子供だった。
回復魔法なんて知らない俺は困っていたが、
エマが魔法名を教えてくれたので、早速使ってみることに。
すると、じわじわと傷が癒えていく様子が見て取れた。
こういうのって、もっと一瞬で治るイメージだったけど…。
俺の魔力の威力の問題なのかな?
ゆっくりと傷口が塞がっていく。
でも、ちゃんと治っているなら、それでいい。
そう思いながら、完全に傷が塞がるのを静かに待った。
「主、ありがと!治った!」
「良かったなー。ちゃんと元の場所に戻しておいで。
もしかしたら、親が探してるかもしれないからな。」
「ああ!分かった!行ってくるー!」
傷が塞がった狼の子供は、表情も元気になっていて、俺はホッとした。
クロに「元の場所に戻しておいで」と伝え、俺は再び湖の浄化作業に戻った。
そうか。これで回復魔法が使えることも分かった。
何かあれば、助けてやれる。
知らない魔法ばかりだけど、こうして一つずつ覚えていくのって楽しいな。
誰にも怒られず、誰にも嫌味を言われず、誰にも見下されない世界。
時間を気にせず、思うように生活できるって、幸せなことだなぁ。
そんなことを思いながら、俺はこの穏やかな時間をのんびり楽しんでいた・・・
「昨日と変わらずって感じだな。」
アイテムボックスの中に奇跡的に残っていた食パンを取り出し、
朝食を済ませた俺とクロは、湖へ向かう前に地下の魔物管理室を覗いてみた。
ガラスの中でスヤスヤと眠るドラゴンの赤ん坊。
トクントクンと脈打つ卵。
昨日から特に変化はなさそうだった。
この卵がいつ孵るのか、ドラゴンの赤ん坊がいつ目を覚ますのかは分からないけど、
俺に課せられた責任は、きっと重い。
そんなことを思いながら、湖へと向かった。
「相変わらず雰囲気悪いなぁ、この森は。」
「主が湖を浄化できたら、きっと良くなるってー。」
「そうだなぁ…。あと何日かかるかなぁ?」
湖へ向かう途中、森の空気は相変わらず重く、気分が下がる。
ここには、きっと生き物もあまり寄りつかないだろう。
でも、湖が浄化できたら、動物たちも戻ってくるかもしれない。
そうだと嬉しいな。
「さてと。今日もやりますか。
クロ、周辺に異変がないか見ててくれな。」
「オッケー!任せて!」
「よし。じゃあ、やるよ。
湖の穢れを祓い、その命の鼓動を復活させよ!」
「主、頑張れー!俺、ちょっとその辺見てくるなー!」
浄化作業が始まると、クロは俺から離れて周辺の警戒にあたってくれた。
悪魔が警備にあたるなんて、考えたこともなかったな。
でも、あんなにいい子な悪魔がいるって事実を知れたのは、ちょっと嬉しい。
【クロのように“良い子”というのは異例です。あまり油断されないよう忠告します。】
「……まぁ、そうだよな。
人間が好きで、いい子な悪魔って普通じゃないかもな。
でも、俺からすればクロで良かったけどなー。めっちゃ可愛いし。」
クロがいい子で嬉しい。
そんなことを思っていたら、エマから「油断するな」と忠告が入った。
確かに、これまで読んできた漫画や小説、ドラマや映画で、
悪魔が“良い奴”だったことなんて、そうそうなかった。
それが現実なのかもしれない。
でも、クロは良い子だから、それでいいんだ。
そう思いながら、作業を続けた。
◇
「主ー! 主ー!」
浄化作業を続けて数時間が過ぎ、すっかり昼時になった頃。
クロの声がして振り返ると、そこには小さな狼を抱えたクロがいて、俺はギョッとした。
「その狼の子供、どうしたんだ?」
「森で見つけたんだ。怪我してるみたいで…。
主の魔法で治してくれよ! 俺、悪魔だから神聖魔法は使えないんだ!」
「結構ひどい怪我してるけど…。
治すって、神聖魔法なの?俺、できるの?」
【全属性に適性があります。程度は不明ですが、“ハイヒール”をおすすめします。】
「オッケー。じゃあ、やるよ。
狼くん、ちょっと待っててね。・・・ハイヒール!」
クロが抱えていたのは、ひどい怪我をした狼の子供だった。
回復魔法なんて知らない俺は困っていたが、
エマが魔法名を教えてくれたので、早速使ってみることに。
すると、じわじわと傷が癒えていく様子が見て取れた。
こういうのって、もっと一瞬で治るイメージだったけど…。
俺の魔力の威力の問題なのかな?
ゆっくりと傷口が塞がっていく。
でも、ちゃんと治っているなら、それでいい。
そう思いながら、完全に傷が塞がるのを静かに待った。
「主、ありがと!治った!」
「良かったなー。ちゃんと元の場所に戻しておいで。
もしかしたら、親が探してるかもしれないからな。」
「ああ!分かった!行ってくるー!」
傷が塞がった狼の子供は、表情も元気になっていて、俺はホッとした。
クロに「元の場所に戻しておいで」と伝え、俺は再び湖の浄化作業に戻った。
そうか。これで回復魔法が使えることも分かった。
何かあれば、助けてやれる。
知らない魔法ばかりだけど、こうして一つずつ覚えていくのって楽しいな。
誰にも怒られず、誰にも嫌味を言われず、誰にも見下されない世界。
時間を気にせず、思うように生活できるって、幸せなことだなぁ。
そんなことを思いながら、俺はこの穏やかな時間をのんびり楽しんでいた・・・
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