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44話 鉱山に潜む魔獣を探しに行きます
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「わぁ、すみません!これと、これと、これもください!」
「はいよー!1コセルと5コパだよ。」
まずは市場の各店で食料の調達をしていた俺は、果物から野菜まで一通り購入した。
近くのお肉屋さんでは、アイテムボックスに入っていない新鮮なお肉を選んで購入。
その隣の鮮魚店でも大量に買い込んだ。魚を食べる機会がなかったから、食べるのが楽しみ!
それに、うちは大食いさんがいるから、たくさん買っておかなくちゃな。
なんて思いながら、大量の食材をアイテムボックスに詰め込んだ。
そして、ついに俺は念願だったアレを手に入れることができた。
「ルビートマトの種だ…!それに他の種もある!
これも一通り買って帰ろうっと!」
クロとロウキが「美味しい」と言っていたルビートマトの種。
そして、初めて聞く野菜の種も並んでいて、全部育ててみようと思いすべて購入した。
これは帰ってからの楽しみが増えたぞ。
そんなことを思いながら、店を移動して魔道具と魔導書の専門店へ。
そこで購入したのは、お守りのようなペンダントと、『魔法の基礎学』という本。
この本には、初級魔法から上級魔法までの呪文や魔法陣が載っていて、
魔法を覚えるにはうってつけの一冊だった。
ロウキがうるさいからなぁ。
少しだけでも覚えてみようかな。そんな気持ちで手に取った。
「よし、こんなもんかな。ガーノスさんのところに戻るかな。」
欲しいものが買えたところで、俺は冒険者ギルドへと戻ることにした。
初めての買い物は、ワクワクの連続ですごく楽しかった。
転移ゲートが完成したら、もっと気軽に王都に来られるようになる。
そうなったら、ゆっくりのんびり楽しめそうだな。
そんなことを思いながら、軽やかな足取りでギルドへ向かった。
ギルドに戻ると、のんきにおやつを食べながら談笑するロウキたち。
これから魔物討伐に出かける前とはとても思えないなぁ。
まぁ、いつもの光景って感じがするけどな。
「それじゃあ、行ってきますね。」
「おう!頼んだぜ!」
「ヨシヒロさん、お気をつけて!」
「ありがとうございます、アリーシャさん。行ってきます!」
ガーノスさんとアリーシャさんに見送られながら、俺はギルドを出発した。
家から王都よりははるかに近い距離だから、大丈夫だとは思う。
思うけど、腕利きの冒険者がやられてしまったという事実には、やっぱり恐怖を感じる。
それでも、何とかなるだろうって思っちゃう俺は、もう色々麻痺してるのかもしれない。
「さっさと終わらせて帰るぞ。」
「鉱山ならいっぱい素材取れそうだな!頑張っちゃうよー!」
「おれも、がんばる!」
「ワオオオンッ!」
この4匹がいれば、大体のことは心配いらないって思ってる。
俺は護られてばかりで、それがダメなんだろうけど…。いや、俺は一般人ですから。
なんて、無理やり納得させながら、鉱山に向かって西へと足を向けた。
鉱山への道のりは、王都を出て西方面に続く道を進み、途中にある森を抜けて、
なだらかな坂道を越えた先にあるらしい。
時間にして、およそ2時間半から3時間ほど。
その鉱山では、魔道具や宝石職人のために採掘作業を行う作業員たちが、
毎日のように朝から晩まで精を出しているという。
何百年も前から存在する鉱山で、これまで調査が必要になるほどの
危険な魔獣が出たという記録は、特に残っていないらしい。
「ロウキやクロは、あの鉱山に行ったことあるのか?」
「もちろんあるぜ!前の主は魔道具なんかも作ってたし、
生活に必要な魔法石もあるからなぁ。」
「我は遊びに行ったことはあるが、危険な魔獣はいなかった記憶だがな。」
「ふーん。やっぱりそうか。突然変異なのかね。」
「かもしれんな。お前が湖を浄化して、この辺り一帯の何かが目覚めたんじゃないのか?」
「ええ?俺のせい?それが本当だったら申し訳ないけど…
でも、あの湖の浄化がなければ森は死にゆく運命だったんだし、仕方ない!」
「まぁ、そうだな。どちらにせよ、人間にとっては良くないモノがいるって話だ。
さっさと確認して、必要があれば討伐。それだけだ。
あ、うまい魔物だったら肉はもらって帰ろう。」
「お前は結局それだなぁ。」
道中、鉱山に行ったことがあるか訊いてみると、
クロもロウキも過去に訪れたことがあるようだった。
だけど、これまで危険な魔物が出たという話は聞いたことがないらしい。
ロウキは、俺の湖の浄化が原因の一つじゃないかと言い出して。
ちょっとありそうで、正直怖い。
そうなると、すごく申し訳ないけど…死人が出ていないのが、せめてもの救いかなとも思う。
それに、湖の浄化ができなかったら、ずっとあの気持ち悪い世界に閉じ込められていたわけだし…。
だから、湖の件は大目に見てほしいなぁ。
そんなことを思いながら、俺は静かに歩を進めていた―…。
◇
「良かったー。森の中で変な魔物出たらどうしようかと思ったー。」
「え?魔物は全部ロウキが討伐しながら来てたぞ?」
「え?!いつ?!」
「お前がやかましいからな。見つけた魔物はすべて討伐済みで、アイテムボックスに入れておる。
王都に戻ったら売って金にするが良い。肉はもらっておけよ。」
「え、じゃあミルに鞄持たせてたのはそのためだったの?」
「お前はユキと遊んでただけだからな。まあ、良いではないか。子守担当だろう?」
「えええ…本当、いつの間に…?ありがたいけどビックリだわ。」
鉱山へ向かう道の途中にある森の中。
魔物がたくさんいるだろうからどうしようと思っていたけど、
思いのほか怖そうな魔物には出会わなかった。
「良かった」とクロに言うと、クロは不思議そうに首を傾げた。
そして後ろからロウキが「全部討伐してアイテムボックスに入れておいた」と言ってきて、俺は驚愕した。
確かに俺はユキと遊びながら進んでいたけど、
そんな素振りはまったく見せなかった気がするんだけど?
やっぱりロウキ、怖い! すごい!
なんて思いながらも、何が入っているのか恐ろしくて、アイテムボックスには手を伸ばせなかった。
これはあれだな。
魔物専用のアイテムボックスと、それ以外を入れるアイテムボックスの2つが必要だな…。
今お金持ってるし、買えるかな?それとも生成できるかな?
エマちゃん、教えてくれないかな?
【現在使用しているアイテムボックスを解析すれば、生成は可能と判断します。】
「解析…なんか難しそうだな。
また今度試してみるか。ありがと、エマ。」
魔物を入れる専用のアイテムボックスが作りたくて、
エマが教えてくれないかなぁと思って問いかけると、なんと答えてくれて驚いた。
エマによれば「解析すれば生成可能」とのことだったけど、そもそも解析のやり方が分からない。
これは今度、いろいろと勉強しなきゃいけないな…。
そう思いながら一人考えていた時、ロウキが声をかけてきた。
「ヨシヒロがボケッと歩いている間に着いたぞ。あれが鉱山の入り口だ。」
「へ?あ、本当だ。あ、待って!俺、さっき魔道具買ったんだよー。
これ!守護アイテム。軽い結界張ってくれるって言ってたから。」
「バカめ…そんなものすぐに壊れるぞ。クロに結界張ってもらえば良かろうが。」
「え?クロ、そういうの得意なの?」
「できるよー!じゃあ、主に結界張ってあげるね!
主が死んだら困るから、強いやつにしとく!…エイッ!」
「わぁ。すごいなクロ!天才!」
「へへっ!」
鉱山に到着したと言われた俺は、慌ててポケットに入れていた守護アイテムを首にかけた。
それを見たロウキは呆れながら「すぐに壊れる」と言い、クロに結界を張ってもらえと言ってきた。
まさかクロがそういうの得意だなんて、知らないじゃない?
そう思ってクロに話しかけると、満面の笑みで「得意だよ」と言い、
「主が死んだら困るから強めの結界を張るね」と言って、軽く「エイッ」と指先を向けてきた。
すると、青白い結界らしきものが一瞬見えて、すぐに消えた。
だけど、なんだか護られてるなっていう感覚があって、これが結界魔法か、と知った瞬間だった。
俺も覚えなきゃいけない魔法だったりするかも。
なんて思いながら、皆と共に鉱山の洞窟の中へと、一歩踏み出した。
「はいよー!1コセルと5コパだよ。」
まずは市場の各店で食料の調達をしていた俺は、果物から野菜まで一通り購入した。
近くのお肉屋さんでは、アイテムボックスに入っていない新鮮なお肉を選んで購入。
その隣の鮮魚店でも大量に買い込んだ。魚を食べる機会がなかったから、食べるのが楽しみ!
それに、うちは大食いさんがいるから、たくさん買っておかなくちゃな。
なんて思いながら、大量の食材をアイテムボックスに詰め込んだ。
そして、ついに俺は念願だったアレを手に入れることができた。
「ルビートマトの種だ…!それに他の種もある!
これも一通り買って帰ろうっと!」
クロとロウキが「美味しい」と言っていたルビートマトの種。
そして、初めて聞く野菜の種も並んでいて、全部育ててみようと思いすべて購入した。
これは帰ってからの楽しみが増えたぞ。
そんなことを思いながら、店を移動して魔道具と魔導書の専門店へ。
そこで購入したのは、お守りのようなペンダントと、『魔法の基礎学』という本。
この本には、初級魔法から上級魔法までの呪文や魔法陣が載っていて、
魔法を覚えるにはうってつけの一冊だった。
ロウキがうるさいからなぁ。
少しだけでも覚えてみようかな。そんな気持ちで手に取った。
「よし、こんなもんかな。ガーノスさんのところに戻るかな。」
欲しいものが買えたところで、俺は冒険者ギルドへと戻ることにした。
初めての買い物は、ワクワクの連続ですごく楽しかった。
転移ゲートが完成したら、もっと気軽に王都に来られるようになる。
そうなったら、ゆっくりのんびり楽しめそうだな。
そんなことを思いながら、軽やかな足取りでギルドへ向かった。
ギルドに戻ると、のんきにおやつを食べながら談笑するロウキたち。
これから魔物討伐に出かける前とはとても思えないなぁ。
まぁ、いつもの光景って感じがするけどな。
「それじゃあ、行ってきますね。」
「おう!頼んだぜ!」
「ヨシヒロさん、お気をつけて!」
「ありがとうございます、アリーシャさん。行ってきます!」
ガーノスさんとアリーシャさんに見送られながら、俺はギルドを出発した。
家から王都よりははるかに近い距離だから、大丈夫だとは思う。
思うけど、腕利きの冒険者がやられてしまったという事実には、やっぱり恐怖を感じる。
それでも、何とかなるだろうって思っちゃう俺は、もう色々麻痺してるのかもしれない。
「さっさと終わらせて帰るぞ。」
「鉱山ならいっぱい素材取れそうだな!頑張っちゃうよー!」
「おれも、がんばる!」
「ワオオオンッ!」
この4匹がいれば、大体のことは心配いらないって思ってる。
俺は護られてばかりで、それがダメなんだろうけど…。いや、俺は一般人ですから。
なんて、無理やり納得させながら、鉱山に向かって西へと足を向けた。
鉱山への道のりは、王都を出て西方面に続く道を進み、途中にある森を抜けて、
なだらかな坂道を越えた先にあるらしい。
時間にして、およそ2時間半から3時間ほど。
その鉱山では、魔道具や宝石職人のために採掘作業を行う作業員たちが、
毎日のように朝から晩まで精を出しているという。
何百年も前から存在する鉱山で、これまで調査が必要になるほどの
危険な魔獣が出たという記録は、特に残っていないらしい。
「ロウキやクロは、あの鉱山に行ったことあるのか?」
「もちろんあるぜ!前の主は魔道具なんかも作ってたし、
生活に必要な魔法石もあるからなぁ。」
「我は遊びに行ったことはあるが、危険な魔獣はいなかった記憶だがな。」
「ふーん。やっぱりそうか。突然変異なのかね。」
「かもしれんな。お前が湖を浄化して、この辺り一帯の何かが目覚めたんじゃないのか?」
「ええ?俺のせい?それが本当だったら申し訳ないけど…
でも、あの湖の浄化がなければ森は死にゆく運命だったんだし、仕方ない!」
「まぁ、そうだな。どちらにせよ、人間にとっては良くないモノがいるって話だ。
さっさと確認して、必要があれば討伐。それだけだ。
あ、うまい魔物だったら肉はもらって帰ろう。」
「お前は結局それだなぁ。」
道中、鉱山に行ったことがあるか訊いてみると、
クロもロウキも過去に訪れたことがあるようだった。
だけど、これまで危険な魔物が出たという話は聞いたことがないらしい。
ロウキは、俺の湖の浄化が原因の一つじゃないかと言い出して。
ちょっとありそうで、正直怖い。
そうなると、すごく申し訳ないけど…死人が出ていないのが、せめてもの救いかなとも思う。
それに、湖の浄化ができなかったら、ずっとあの気持ち悪い世界に閉じ込められていたわけだし…。
だから、湖の件は大目に見てほしいなぁ。
そんなことを思いながら、俺は静かに歩を進めていた―…。
◇
「良かったー。森の中で変な魔物出たらどうしようかと思ったー。」
「え?魔物は全部ロウキが討伐しながら来てたぞ?」
「え?!いつ?!」
「お前がやかましいからな。見つけた魔物はすべて討伐済みで、アイテムボックスに入れておる。
王都に戻ったら売って金にするが良い。肉はもらっておけよ。」
「え、じゃあミルに鞄持たせてたのはそのためだったの?」
「お前はユキと遊んでただけだからな。まあ、良いではないか。子守担当だろう?」
「えええ…本当、いつの間に…?ありがたいけどビックリだわ。」
鉱山へ向かう道の途中にある森の中。
魔物がたくさんいるだろうからどうしようと思っていたけど、
思いのほか怖そうな魔物には出会わなかった。
「良かった」とクロに言うと、クロは不思議そうに首を傾げた。
そして後ろからロウキが「全部討伐してアイテムボックスに入れておいた」と言ってきて、俺は驚愕した。
確かに俺はユキと遊びながら進んでいたけど、
そんな素振りはまったく見せなかった気がするんだけど?
やっぱりロウキ、怖い! すごい!
なんて思いながらも、何が入っているのか恐ろしくて、アイテムボックスには手を伸ばせなかった。
これはあれだな。
魔物専用のアイテムボックスと、それ以外を入れるアイテムボックスの2つが必要だな…。
今お金持ってるし、買えるかな?それとも生成できるかな?
エマちゃん、教えてくれないかな?
【現在使用しているアイテムボックスを解析すれば、生成は可能と判断します。】
「解析…なんか難しそうだな。
また今度試してみるか。ありがと、エマ。」
魔物を入れる専用のアイテムボックスが作りたくて、
エマが教えてくれないかなぁと思って問いかけると、なんと答えてくれて驚いた。
エマによれば「解析すれば生成可能」とのことだったけど、そもそも解析のやり方が分からない。
これは今度、いろいろと勉強しなきゃいけないな…。
そう思いながら一人考えていた時、ロウキが声をかけてきた。
「ヨシヒロがボケッと歩いている間に着いたぞ。あれが鉱山の入り口だ。」
「へ?あ、本当だ。あ、待って!俺、さっき魔道具買ったんだよー。
これ!守護アイテム。軽い結界張ってくれるって言ってたから。」
「バカめ…そんなものすぐに壊れるぞ。クロに結界張ってもらえば良かろうが。」
「え?クロ、そういうの得意なの?」
「できるよー!じゃあ、主に結界張ってあげるね!
主が死んだら困るから、強いやつにしとく!…エイッ!」
「わぁ。すごいなクロ!天才!」
「へへっ!」
鉱山に到着したと言われた俺は、慌ててポケットに入れていた守護アイテムを首にかけた。
それを見たロウキは呆れながら「すぐに壊れる」と言い、クロに結界を張ってもらえと言ってきた。
まさかクロがそういうの得意だなんて、知らないじゃない?
そう思ってクロに話しかけると、満面の笑みで「得意だよ」と言い、
「主が死んだら困るから強めの結界を張るね」と言って、軽く「エイッ」と指先を向けてきた。
すると、青白い結界らしきものが一瞬見えて、すぐに消えた。
だけど、なんだか護られてるなっていう感覚があって、これが結界魔法か、と知った瞬間だった。
俺も覚えなきゃいけない魔法だったりするかも。
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