魔王と噂されていますが、ただ好きなものに囲まれて生活しているだけです。

ソラリアル

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46話 ごめんね…だけど、よろしくね。そして再び王城に行きました

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「…吾輩を呼んだのは、お主か。」

「…ああ。もう、大丈夫か?」

「お主は…あの魔法使いの末裔か?」

「いや、俺はあの人の領地を継いだ、ただの人間だよ。転生者だけどな。」

「そうか…空気が、よく似ておるな。」


Angelic Handを使用してしばらくすると、
セルリアドラゴンの瞳が、先ほどより澄んだ金色に変わり、俺に話しかけてきた。
心なしか、セルリアでできた鱗の発色も良くなり、まるで青空のように美しい色になった気がする。

「長き眠りの中で、どうやら吾輩は己を失っておったようだ。
お主の温もりに触れ、ようやく正気に戻れた。感謝する。
吾輩は、昔からこの鉱山を守護する守護竜として、この地に住んでいた。
眠りから覚めることができた今、再び守護竜として在ることを望む。だが…」

「何か、困っていることでもあるのか?」


「あの日、あの魔法使いが逝去してから、永い眠りにつくことを覚悟した。
もう目覚めることはないだろうとな…。
しかし、お主のおかげで再び目を覚ますことができた。
再びこの世界を見ることができることに、この上ない喜びを感じておる。
お主には、感謝してもしきれぬ。
だから、お主とは契りを交わしたい。
守護の地を離れるわけにはいかぬが、力になれることもあろう。
そして、必要とあらばセルリアも惜しみなく提供しよう。」

「セルリアとか、俺よく分かんないけどさ…
…俺と、友達になってくれない?」


正気に戻ったセルリアドラゴンは、目覚めたことを心から喜んでいるようだった。
俺と契約を交わしたいと言ってくれた。それはつまり、従魔になるということになるんだけど。
さすがに、この地を護る守護竜を従魔にするわけにはいかない。
だから俺は、友達になってくれたら嬉しいなって思って、そう伝えた。
すると、セルリアドラゴンはとても優しい目で笑い、少し俯きながら、静かに言った。


「友達、か…。不思議な響きよな。
吾輩のような者と、友達か…。」

「え?ダメ?でも従魔とは違うじゃん?
力を貸してくれるドラゴンが友達って、良くない?」

「お前…どこまでも能天気な奴だな…」

「主らしいけどなー!」

「あるじ、いいにんげん。」

「ワオンッ!」


「友達」という言葉を伝えると、セルリアドラゴンは「不思議な響き」と言って、少し微笑んだ。
そんな俺の発言に、ロウキは呆れ、クロやミル、ユキは何だか笑っていた。
俺、変なこと言ったかな?だって、従魔にするのとは何か違う感じがしたから。
そうなると、友達以外に何があるっていうんだよ。
それがダメなら、呼びにくいから名前をつけるだけでもいいかな。
そんなことを思いながら、言葉を続けた。


「え?ダメ?あ、じゃあ名前!名前を決めるよ!
そしたら、良くない?」

「馬鹿め…名を与えるということが、従魔契約だろうが…」

「あ、そうか…。でもほら、セルリアドラゴンって呼びにくいし!
短縮して“セドラ”とか、いいじゃん?」

「あ…」

「あ…」

「あ…」

「ワフッ…」

「…え?」

「お前は本当にどんくさい奴だな…。名を決めて呼ぶとか、有り得んぞ…」

「え?」

「どうやら吾輩は“セドラ”という名前になったようだな。気に入ったぞ。」

「え、え、嘘……もしかして今ので契約成立したとか言わないよな?!」

「するだろう、普通…」

「嘘でしょ?!え、なんか詠唱みたいなのしてないじゃん?!」

「詠唱なんかせんでも、その者を想い、名を呼んだら契約成立するわ、馬鹿者。」

「えええっ、ど、どうしよう?!解除、解除の方法を!!」


俺は特に何も考えていなかった。
ただ、長い名前の呼び名を短くしたらどうかなって提案しただけなのに。
どうやらそれだけでも従魔契約が成立してしまうらしく、
あっという間にセルリアドラゴンはセドラという名前に決まり、俺の従魔となってしまった。
そんな俺の行動に、さすがのロウキも頭を抱えていた。
慌てて契約解除の方法を探そうとあたふたしていると、
セルリアドラゴンは柔らかい声で俺に言ってくれた。

「よい。吾輩はセドラという名を気に入った。
それに、元々契りを交わす予定だったろう?
気にするでない。他の者たちのように共に旅はできぬが、
吾輩に問いかけてくれるのなら、それに応えられる。
いつでも吾輩を呼ぶがよい。」

「いや、あの…なんかゴメン…でも、友達ってのは嘘じゃないから!
こうなったらもう…な。よろしくな、セドラ!俺はヨシヒロだ!」

「ヨシヒロか…。良い名だ。吾輩の名はセドラ。
これから先、お主の力になると誓おうぞ。」

「…ありがと、セドラ!」


この状況はマズいと思っていたけれど、セルリアドラゴンはそれを受け入れてくれて…。
名前を気に入ったと言い、これから力になると宣言してくれた。

今回のことは、ミルの時よりも想定外すぎて、本当に申し訳なく思っていた俺に、
セルリアドラゴン改めセドラは、その大きな体についている長い尻尾で優しく俺の頭をポンポンッと撫でてくれた。


「ヨシヒロよ。お主は面白いのう。
そういえば、吾輩と従魔契約したことで能力の一部が継承されたぞ。存分に使うがよい。」

「え?能力って?」

「セルリアンドームと言ってな。自分だけでも、仲間全体にも使える結界じゃ。
少々の攻撃は通らんから、安心して戦闘に立てるぞ。」

「結界!!便利!!それは嬉しいなぁ!
あ、でも俺は戦闘のない、のんびりな生活を送りたいのよ。」

「馬鹿め。この従魔の数でのんびり暮らせるわけがないだろうと、何度言えば分かるのだ。
その結界があれば、ミルがいたダンジョンよりも高レベルなダンジョンに行けるな。」

「ダンジョン楽しみだなぁ!主!主が死なないならそれでいいよ!」

「たのしみ!」

「ワフッ!」

「え、嫌ですけど?」


セドラから、契約したことで能力の一部が継承されたと言われ、
まさかの強力な結界だと分かり、正直嬉しかった。俺は素人だからな。死んじゃうから。
なんて思いながらも、「のんびりスローライフを送りたい」と言うと、
後ろからロウキに鼻で笑われた。
そして、クロたちも新しいダンジョンに行くのを楽しみにしているようで…。
いやいや、あれ以上のダンジョンとかダメでしょうよ。俺の命がなくなる!
なんて思いながら、どうやったら回避できるかを今のうちに考えておこう。
そう、誓った―…。







冒険者ギルド-


「・・・というわけで、もう鉱山は安全です。
ちゃんとセドラの住処も作り直して、よっぽど悪さをする悪党や魔物が来ない限り、
セドラは手を出さないですから、安心してください!」

「お前…なんつーことを…」

「馬鹿だろう?でもコイツのこういうところに救われたのだ、あのドラゴンは。」

「鉱山に守護竜がいるって話は聞いたことがあったが…言い伝えだと思ってたぜ。
まさか本当に存在して、しかもヨシヒロの従魔になっちまうなんてな…。」


あれからセドラと少し話をして、「持って帰れ」と言われたセルリアが鞄の中に大量に入っていた。
そのまま王都へ戻り、ガーノスさんに今回の出来事を報告すると、
ガーノスさんは大きなため息を吐いたあと、顔を手で覆った。
結構バカなことやっちゃったなぁとは思っていたけど、ここまで呆れられるとは…。


「いやぁ…ほんと、俺が軽率に名前呼んじゃったからなんですけどねぇ…
でもその結果、ドラゴンの友達ができました!めっちゃカッコいいですよ、セドラ!」

「カッコいいとかかっこ悪いとかじゃねぇだろう…
これはアーロンにも報告案件だからな。悪いが、今から一緒に来てくれ。
ロウキたちはしばらくここで休んでてくれ!行くぞ、ヨシヒロ!」

「…分かりましたぁ…」

「俺とユキは付いて行くぜ!」

「ワオオンッ!」


このまま報告して帰れると思っていたけど、それは大きな間違いだったようで…。
アーロンさんにも報告が必要だと言われ、俺はクロとユキと共に再び王城へ向かうことになった。
確かにセルリアは報告義務があるから仕方ないとは思うけど、
こういうのはギルドから献上してくれたらいいのに!
なんて思いながら、ギルド専用馬車に乗り込み王城へと向かった。



「ヨシヒロ様。お久しぶりです。こちらへどうぞ。」

「ありがとうございます…。」

正面玄関で馬車を降りると、クロノスさんが出迎えてくれた。
前回同様にお城を案内されながら、前回とは一味違う重厚な扉の前で立ち止まった。
今回案内されたのは応接間ではなく、もっと格式が高い雰囲気が漂っていて、
何故だか前回より変に緊張してしまっていた。


「こちらがアーロン陛下の執務室です。どうぞ。」

「執務室…し、失礼します!」

「邪魔するぜー。」

「少し待ってくれ。もうすぐ片が付く。」


クロノスさんが案内してくれたのは、まさかの執務室。
扉を開けると、大量の書物が並ぶ広い空間が広がっていた。
そして、奥の大きな書斎机にはアーロンさんが座り、書類に目を通している。
仕事中の姿を初めて見た俺は、やっぱり全然違うと息をのんだ。

そんな俺とは対照的に、ガーノスさんは「邪魔するぜ」といつも通りの挨拶をして、
部屋のソファにドカンと腰を下ろした。
この二人、本当に仲が良いんだな…そう思いながら立っていると、
側にいた少し年配の執事らしき方が俺に声をかけてくれた。


「ヨシヒロ様もお掛けになってください。ただいまお茶をお持ちいたしますので。」

「あ、ありがとうございます…えーっと…」

「これは失礼いたしました。私は王家に仕えております執事長のガロン・スミスでございます。
以後、お見知りおきを。」

「ガロンさん、よろしくお願いします!」


側近のベル・ブラックさんに、執事長のガロンさん。
そして、今お茶を運んでくれているのは、きっとメイド長さんだろう。
俺には未経験の世界の人員配置に、驚かされるというか違和感しかない。
なんて思っていると、そのメイド長さんがテーブルに置いてくれたカップから、
とても懐かしい匂いがした。

そしてこの黄緑色って…まさか?


「お待たせいたしました。王家自慢の茶葉を使用しております。」

「ありがとうございます。えーっと、お名前をうかがっても?」

「申し遅れました。
私はこの王家にてメイド長を務めさせていただいておりますネオ・ローザニアと申します。」

「ネオさん、よろしくお願いします!俺はヨシヒロと言います。
では、いただきますね。

ん・・・やっぱりこれ…緑茶?」

「え?」

「お、ヨシヒロ、気づいたか!この味を再現するのは大変だったが、
やはり緑茶は日本の心よな。」

「何だかほっこりしますねぇ。この味と香りは癒されますね。」

「そうだろう?分かる奴にしか分からんがな。
ヨシヒロならすぐに分かると信じておったわ!」


メイド長のネオさんに持ってきてもらった、透き通るような黄緑色の飲み物。
絶対にそうだと思いながらゴクリと一口飲むと、口の中に広がった渋みと、ほのかな甘み。
それはやけに懐かしく思える味だった。
思わず「緑茶」と声をあげると、周りにいた人たちは目を見開いて驚いた様子で俺を見つめていた。
そして、アーロンさんは「やっぱり気づいたか」と言って、大きく笑った。
どうやらアーロンさんが懸命にこの味を開発して定着させたようで、
「日本の心」と言われて思わず笑ってしまった。
分かるよ、分かる。
緑茶は日本の心だよねぇ。ホッとする味だよね。
なんて思いながら、ゆっくりと味わっていた。


「待たせてしまってすまないな。では、早速鉱山での話を聞こうか。」

「あ、はい!」


そして、一息ついたアーロンさんがこちらにやって来たところで、
俺は今日あった出来事を、もう一度最初から話すことになった。
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