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48話 ルビートマトで母の想いが目を覚ましました
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「うんまーーーいっ!主ありがとうっ!」
「あ、本当に甘いなぁこれ。イチゴにちょっと似てる?
普通にデザートとして食べられるんじゃ?」
「久々に食したが、悪くないな。」
「これ、はじめてたべた。おいしい。」
「ワフッ!ワフッ!」
王都から戻った俺たちは、耕していただけだった畑に、さっそくルビートマトの種を植えた。
すぐに芽を出して、ゆっくりと成長。そして24時間後には、立派な赤い宝石のような実をつけた。
見た目は苦手なトマトと変わらないから、一瞬迷ったけど…
口に入れた瞬間、まるでイチゴのような甘みが広がって、幸せな味に驚いた。
ずっとクロが食べたがっていたから、ようやく食べさせてあげられて嬉しいな。
なんて思っていると、クロに続いてみんながガブリとトマトを食べて、幸せそうな声をあげた。
だけど、トマトにかぶりついたユキだけは、どこか不思議そうな顔で口をもごもごさせていた。
「ワフ…?」
「どうした?ユキ。…ペッてして?」
「ワフ…」
「あ、ロウキ、これってもしかしてルビー?」
「ああ。ルビートマトという名の由来はそれだ。稀にルビーが採れる。
ユキ、それは食べ物じゃないから出しなっ…ああっ!」
「わぁっ!!ユキ!ペッてしなさい!お腹壊すだろう?!」
トマトの中に石ころでも入っていたのかと思って、ユキの口を開けさせると、
ベロの上には赤く輝く2センチほどのルビーが乗っていた。
それを見たロウキが、「ルビートマトと呼ばれる理由だ」と改めて教えてくれた。
本当にルビーが採れることがあるんだなぁ…と感心していると、
食べ物じゃないから出しなさいというロウキの話を最後まで聞かず、
ユキはそのままルビーを飲み込んでしまった。
俺は慌てて口を開けて出そうとしたものの、時すでに遅し。
口の中は空っぽになっていた。
「まったくユキは…ロウキに似て食いしん坊だなぁ…」
「我はユキほど食い意地を張っておらぬわ。」
「どこがだよー!いつも“肉肉”うるさいじゃん!」
「知らんっ!・・・ん?……ユキ?お前…?」
「え?…え?!ユキ?!」
ロウキに似て食いしん坊だなぁと言うと、ロウキは「違う」と言い張って軽く言い合いに。
そんな中、ロウキがユキを見てギョッとし始めた。
なに?と思って俺もユキに視線を向けると、
ユキの体が光に包まれて、ふわぁっと宙に浮いた。
そして、真っ白だった毛並みが、少し赤く輝き始める。
明らかに様子がおかしい!
やっぱりさっきルビーを食べたから、体に異変が起きたんだ!
どうしよう!
そう思って焦っていた次の瞬間―
ユキの額に一本の長い角が生えた。
まるでユニコーンの角を少し短くしたような、美しい角。
そして、ルビーのペンダントのような首輪が、ユキの首元に現れた。
それを見たロウキの目は、どこかうるんでいるように見えた。
これは一体どういうことだ?
そう思っていると、ユキの体からスウッと小さな何かが出てきた。
それは、俺がこの世界で初めて見る、精霊と呼ばれる存在の姿だった。
「はじめまして皆さま。私はルビーを司る精霊、マーニと申します。
かつて私は、この子の母であるフェンリルと契約を交わしておりました。
しかし、彼女の命が残りわずかとなった時、彼女の願いにより契約を子であるこの子へと移しました。
そして今日まで眠りについておりましたが…
この子がルビーを飲み込んだことで、再び目を覚ますことができました。
これまで彼女に与えていた加護は、すべてこの子に引き継がれます。
彼女の意思と共に、私はこの子を守護することをお約束いたします。」
「すごい…ユアさんの…遺した愛だ…」
「ユア…お前は本当にっ…」
ユアの体から姿を現したのは、ルビーを司る精霊・マーニだった。
彼女はとても小さな姿だけれど、赤く長い髪が美しく、可愛らしさもある存在だった。
そんな精霊マーニから、これまでの経緯を説明してもらうと、自然と目から涙が零れ落ちた。
ふとロウキを見ると、目を潤ませながら、愛おしそうにユキとマーニを見つめていた。
こんな形で、ロウキが愛したユアさんに触れることができるなんて、思いもしなかった。
これは本当に、母の愛以外の何ものでもない。そう思っていた、その時だった。
「ち、父上…あるじさま…僕です。ユキ…です。」
「ユキが喋ったーーーー!!!」
「ユキー!!」
「ユキ、しゃべった!おれと、おなじ!」
今まで一言も喋ることがなかったユキが、突然「父上」「あるじさま」と声を出した。
赤ちゃんが初めて言葉を話した時のような感動に似た感情が芽生えた俺は、
思わず叫んでユキをギュッと抱きしめた。
ついにユキがお喋りするようになったのかぁ。
ヤバいな、この感動。
それに、ユアさんの愛情が全身から伝わってきて、本当に涙が出てくる。
「母上に、お礼を言いたいです。」
しばらくユキを抱き上げていると、ユアさんにお礼を言いたいと言うので、そっと地面に下ろした。
そして、ついこの間ようやく家の庭に建てたユアさんの石碑の前へ向かうと、
石碑を見上げながらユキは言った。
「母上、僕は母上の愛情をたくさんいただきました。今、すごく幸せです。
これからも父上やあるじさまたちを護っていきますので、
お空の上から見守ってください。」
「ユキ…」
ユキは石碑を見上げながらそう言い、側に咲いていた花を摘んでお供えした。
ああ、ユキは本当に優しい子だな。
ユアさんの愛が、ユキをこんなふうに育てたんだろう。
それに、口では色々言っているけど、ロウキの愛情もとても深くて。
それがちゃんとユキにも伝わっていたと思うから。
だからユキは、こんなにも心優しいフェンリルになったんじゃないかなって、そう思うんだ。
「それでは、私はこの子の中に戻ります。皆様にも、精霊の祝福を…」
「ありがとう、マーニ。ユキを頼むな。」
「はい。」
ユキの祈りを見届けたマーニは、再びユキの中へと戻っていった。
ユアさんのことで、俺も色々と不安に思っていたことはあったけど、
マーニの加護と、ユアさんの愛情があれば、きっとユキは大丈夫だろう。
その想いは、これからもユキを護ってくれる。
俺は、そう信じていた。
◇
「ルビーの精霊の加護かぁ。どんな加護なんだろう?
ユキ、ちょっと来て!」
「はい!あるじさま!」
「ちょっとステータス見るね。ステータスオープン!
えーっと…?
炎への適性強化の加護、生命力の強化、邪気を払う力か…。
そうか、じゃあユキは火属性のフェンリルさんだなぁ。
あ、でも一応ロウキの雷属性の適性もあるんだな。やっぱり親子だねぇ。」
「そうみたいです。父上が、母上は炎の扱いがとても上手だったそうです。
僕もそうなれるように頑張ります。でも、雷は苦手なので父上にお任せします。」
「あはは、そうね。苦手なものは得意な人に任せればいいもんね。
でもそっかぁ。きっとユキはお母さん似だろうなぁ。優しい顔してるもんなぁ?」
ルビーの精霊マーニが現れたあと、俺はユキがどんな加護をもらっているのか気になって呼び寄せた。
ステータスを確認してみると、炎系の加護、生命力の強化、邪気退散のような加護が記されていた。
マーニの加護ではあるけれど、そこにはユアさんの想いも一緒に宿っている気がしてならなかった。
母親の愛情って、やっぱり一番の加護だよな。なんて、一人でちょっと感動していた。
「ユキ!遊びに行こうぜー!」
「クロ兄さん!行きましょう!」
「あはは、クロ兄さんかぁ。お兄ちゃんになれてよかったな?」
「うんっ!俺、嬉しい!じゃあ、行ってくる!ミルも行くぞー!」
「おれもいく!まってー!」
ユアさんの愛情にじんわりと浸っていたところに、
クロがやってきて、ユキとミルを連れて遊びに出かけた。
「兄さん」なんて呼ばれて、クロは照れくさそうにしながらも、嬉しそうに尻尾を揺らしていた。
ユキも喋れるようになったから、これからますます賑やかになるだろうなぁ。
まあ、悪いことじゃないけど。
こうなってくると、俺の領地には入られないように、きちんと線を引いておかなくちゃ。
「ロウキー。暇なら俺の領地の入り口?境界線?に行かない?
ちゃんと分かるようにしておきたくて。」
「仕方があるまい。すぐそこだが、乗れ。」
「え?いいのかー?ありがと!」
「今、我は気分が良いからな。行くぞ!」
「ああ!」
領地の境界線をハッキリさせたかった俺は、ロウキに声をかけてみた。
するとロウキは「気分がいいから乗せてやる」と言って、背中に乗せてくれた。
この機嫌の良さの理由は分かってる。
今日のことで、ロウキも少しでも救われたんだとしたら俺も嬉しい。
ロウキにとっての大切なユアさんの想いは、きっとロウキも包んでくれるだろうから。
その想いを心で感じることで、永遠に一緒にいられるって気がする。
そんなことを思いながら、ロウキの背中にギュッと掴まり、領地の境界線へと向かった―…。
「あ、本当に甘いなぁこれ。イチゴにちょっと似てる?
普通にデザートとして食べられるんじゃ?」
「久々に食したが、悪くないな。」
「これ、はじめてたべた。おいしい。」
「ワフッ!ワフッ!」
王都から戻った俺たちは、耕していただけだった畑に、さっそくルビートマトの種を植えた。
すぐに芽を出して、ゆっくりと成長。そして24時間後には、立派な赤い宝石のような実をつけた。
見た目は苦手なトマトと変わらないから、一瞬迷ったけど…
口に入れた瞬間、まるでイチゴのような甘みが広がって、幸せな味に驚いた。
ずっとクロが食べたがっていたから、ようやく食べさせてあげられて嬉しいな。
なんて思っていると、クロに続いてみんながガブリとトマトを食べて、幸せそうな声をあげた。
だけど、トマトにかぶりついたユキだけは、どこか不思議そうな顔で口をもごもごさせていた。
「ワフ…?」
「どうした?ユキ。…ペッてして?」
「ワフ…」
「あ、ロウキ、これってもしかしてルビー?」
「ああ。ルビートマトという名の由来はそれだ。稀にルビーが採れる。
ユキ、それは食べ物じゃないから出しなっ…ああっ!」
「わぁっ!!ユキ!ペッてしなさい!お腹壊すだろう?!」
トマトの中に石ころでも入っていたのかと思って、ユキの口を開けさせると、
ベロの上には赤く輝く2センチほどのルビーが乗っていた。
それを見たロウキが、「ルビートマトと呼ばれる理由だ」と改めて教えてくれた。
本当にルビーが採れることがあるんだなぁ…と感心していると、
食べ物じゃないから出しなさいというロウキの話を最後まで聞かず、
ユキはそのままルビーを飲み込んでしまった。
俺は慌てて口を開けて出そうとしたものの、時すでに遅し。
口の中は空っぽになっていた。
「まったくユキは…ロウキに似て食いしん坊だなぁ…」
「我はユキほど食い意地を張っておらぬわ。」
「どこがだよー!いつも“肉肉”うるさいじゃん!」
「知らんっ!・・・ん?……ユキ?お前…?」
「え?…え?!ユキ?!」
ロウキに似て食いしん坊だなぁと言うと、ロウキは「違う」と言い張って軽く言い合いに。
そんな中、ロウキがユキを見てギョッとし始めた。
なに?と思って俺もユキに視線を向けると、
ユキの体が光に包まれて、ふわぁっと宙に浮いた。
そして、真っ白だった毛並みが、少し赤く輝き始める。
明らかに様子がおかしい!
やっぱりさっきルビーを食べたから、体に異変が起きたんだ!
どうしよう!
そう思って焦っていた次の瞬間―
ユキの額に一本の長い角が生えた。
まるでユニコーンの角を少し短くしたような、美しい角。
そして、ルビーのペンダントのような首輪が、ユキの首元に現れた。
それを見たロウキの目は、どこかうるんでいるように見えた。
これは一体どういうことだ?
そう思っていると、ユキの体からスウッと小さな何かが出てきた。
それは、俺がこの世界で初めて見る、精霊と呼ばれる存在の姿だった。
「はじめまして皆さま。私はルビーを司る精霊、マーニと申します。
かつて私は、この子の母であるフェンリルと契約を交わしておりました。
しかし、彼女の命が残りわずかとなった時、彼女の願いにより契約を子であるこの子へと移しました。
そして今日まで眠りについておりましたが…
この子がルビーを飲み込んだことで、再び目を覚ますことができました。
これまで彼女に与えていた加護は、すべてこの子に引き継がれます。
彼女の意思と共に、私はこの子を守護することをお約束いたします。」
「すごい…ユアさんの…遺した愛だ…」
「ユア…お前は本当にっ…」
ユアの体から姿を現したのは、ルビーを司る精霊・マーニだった。
彼女はとても小さな姿だけれど、赤く長い髪が美しく、可愛らしさもある存在だった。
そんな精霊マーニから、これまでの経緯を説明してもらうと、自然と目から涙が零れ落ちた。
ふとロウキを見ると、目を潤ませながら、愛おしそうにユキとマーニを見つめていた。
こんな形で、ロウキが愛したユアさんに触れることができるなんて、思いもしなかった。
これは本当に、母の愛以外の何ものでもない。そう思っていた、その時だった。
「ち、父上…あるじさま…僕です。ユキ…です。」
「ユキが喋ったーーーー!!!」
「ユキー!!」
「ユキ、しゃべった!おれと、おなじ!」
今まで一言も喋ることがなかったユキが、突然「父上」「あるじさま」と声を出した。
赤ちゃんが初めて言葉を話した時のような感動に似た感情が芽生えた俺は、
思わず叫んでユキをギュッと抱きしめた。
ついにユキがお喋りするようになったのかぁ。
ヤバいな、この感動。
それに、ユアさんの愛情が全身から伝わってきて、本当に涙が出てくる。
「母上に、お礼を言いたいです。」
しばらくユキを抱き上げていると、ユアさんにお礼を言いたいと言うので、そっと地面に下ろした。
そして、ついこの間ようやく家の庭に建てたユアさんの石碑の前へ向かうと、
石碑を見上げながらユキは言った。
「母上、僕は母上の愛情をたくさんいただきました。今、すごく幸せです。
これからも父上やあるじさまたちを護っていきますので、
お空の上から見守ってください。」
「ユキ…」
ユキは石碑を見上げながらそう言い、側に咲いていた花を摘んでお供えした。
ああ、ユキは本当に優しい子だな。
ユアさんの愛が、ユキをこんなふうに育てたんだろう。
それに、口では色々言っているけど、ロウキの愛情もとても深くて。
それがちゃんとユキにも伝わっていたと思うから。
だからユキは、こんなにも心優しいフェンリルになったんじゃないかなって、そう思うんだ。
「それでは、私はこの子の中に戻ります。皆様にも、精霊の祝福を…」
「ありがとう、マーニ。ユキを頼むな。」
「はい。」
ユキの祈りを見届けたマーニは、再びユキの中へと戻っていった。
ユアさんのことで、俺も色々と不安に思っていたことはあったけど、
マーニの加護と、ユアさんの愛情があれば、きっとユキは大丈夫だろう。
その想いは、これからもユキを護ってくれる。
俺は、そう信じていた。
◇
「ルビーの精霊の加護かぁ。どんな加護なんだろう?
ユキ、ちょっと来て!」
「はい!あるじさま!」
「ちょっとステータス見るね。ステータスオープン!
えーっと…?
炎への適性強化の加護、生命力の強化、邪気を払う力か…。
そうか、じゃあユキは火属性のフェンリルさんだなぁ。
あ、でも一応ロウキの雷属性の適性もあるんだな。やっぱり親子だねぇ。」
「そうみたいです。父上が、母上は炎の扱いがとても上手だったそうです。
僕もそうなれるように頑張ります。でも、雷は苦手なので父上にお任せします。」
「あはは、そうね。苦手なものは得意な人に任せればいいもんね。
でもそっかぁ。きっとユキはお母さん似だろうなぁ。優しい顔してるもんなぁ?」
ルビーの精霊マーニが現れたあと、俺はユキがどんな加護をもらっているのか気になって呼び寄せた。
ステータスを確認してみると、炎系の加護、生命力の強化、邪気退散のような加護が記されていた。
マーニの加護ではあるけれど、そこにはユアさんの想いも一緒に宿っている気がしてならなかった。
母親の愛情って、やっぱり一番の加護だよな。なんて、一人でちょっと感動していた。
「ユキ!遊びに行こうぜー!」
「クロ兄さん!行きましょう!」
「あはは、クロ兄さんかぁ。お兄ちゃんになれてよかったな?」
「うんっ!俺、嬉しい!じゃあ、行ってくる!ミルも行くぞー!」
「おれもいく!まってー!」
ユアさんの愛情にじんわりと浸っていたところに、
クロがやってきて、ユキとミルを連れて遊びに出かけた。
「兄さん」なんて呼ばれて、クロは照れくさそうにしながらも、嬉しそうに尻尾を揺らしていた。
ユキも喋れるようになったから、これからますます賑やかになるだろうなぁ。
まあ、悪いことじゃないけど。
こうなってくると、俺の領地には入られないように、きちんと線を引いておかなくちゃ。
「ロウキー。暇なら俺の領地の入り口?境界線?に行かない?
ちゃんと分かるようにしておきたくて。」
「仕方があるまい。すぐそこだが、乗れ。」
「え?いいのかー?ありがと!」
「今、我は気分が良いからな。行くぞ!」
「ああ!」
領地の境界線をハッキリさせたかった俺は、ロウキに声をかけてみた。
するとロウキは「気分がいいから乗せてやる」と言って、背中に乗せてくれた。
この機嫌の良さの理由は分かってる。
今日のことで、ロウキも少しでも救われたんだとしたら俺も嬉しい。
ロウキにとっての大切なユアさんの想いは、きっとロウキも包んでくれるだろうから。
その想いを心で感じることで、永遠に一緒にいられるって気がする。
そんなことを思いながら、ロウキの背中にギュッと掴まり、領地の境界線へと向かった―…。
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【あらすじ】
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彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
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