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50話 転移ゲートを生成したあとで、鉱山に向かいました
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「えーっと、ゲートのイメージかぁ…。
あ、そういえば絵に描いても生成できるって言ってたよな?
じゃあ、まずは紙とペンを生成しようっと。・・・・クレオ!」
ポンッ―
「出来た出来た。じゃあ、ゲートはアーチ状で…素材はそうだな、大理石みたいな感じかな。
ゲートの中央は、なんかこう、透明な青い水みたいな壁があって…
濡れないけどヒンヤリする感じ。あれ、絶対に綺麗だろうなぁ。
あ、これは俺と繋がってる人しか通れないようにしないとな。この設定は絶対。
で、そこを通ればギルドに到着できるイメージだな。」
とある日のお昼前。
俺は転移ゲートを作るべく奮闘していた。だけど、イメージがなかなか固まらず。
紙とペンを生成して、そこに自分の思い描くゲートの姿を描き込んでいった。
「紙に書いても有効だったはず」という曖昧な記憶を頼りに、考えながら描くこと約30分。
ようやく形が見えてきて、納得のいくゲートになった。
「よしきた!これで多分いけそうな気がする。
それでは参ります・・・・・・クレオ!」
絵以外にも、言葉で書いても通じるのかな?なんて思いながら、
このゲートをどこに建てようか考えた末に、ユアさんの碑石の隣がいいかなと思った。
そこで意識を集中させて「クレオ」と唱えると、
前回の結界生成の時と同様に、体の中からごっそりと魔力を持っていかれる感覚があった。
魔力無限の俺にとっては特に問題はないけど、魔力を抜き取られる感覚はやっぱり気持ち悪いなって思う。
そんな感じで魔力を一気に使い、少しずつ石碑の隣に俺のイメージ通りのゲートが生成されていった。
白く大理石のような素材、アーチ状のゲートが出来上がり、
その中央に、青く透明な水の壁がゆっくりと現れ、神秘的で綺麗な揺らめきを見せていた。
本当にここを通ればギルドに行けるのかは不安だけど、ひとまず1つ目のゲートは完成した。
「うまいこと生成できたんじゃないか?」
「だよな?俺もそう思う!あとはこれをもう一つギルドで生成すればいいんだよな?」
「ああ。先にそのゲートにギルドの記憶を練り込んでおけ。」
「あ、ホントだ。やってみるわ。」
ゲートが完成したところで、側にいたロウキに出来栄えを聞いてみると、
「うまいことできたんじゃないか」と、珍しく褒められた。
そして「ギルドの記憶を練っておけ」と言われ、
よく分からないなりに意識を集中させて、王都のギルドを思い浮かべた。
【転移場所の登録が完了しました。】
「お、出来たみたい!ありがと、エマ。」
手をゲートの水の壁にかざしてしばらく待ってみると、水面が波紋を描き始めた。
更に待っていると、エマが登録完了を知らせてくれた。
これで1つ目のゲートが完成だなと喜んでいた時、ふと思いついてロウキに質問した。
「なぁロウキー。これ一回作ったら、複製できる人いないの?
解析して複製とか生成とか、よくあるじゃん?出来る魔物とかいない?」
「…そうだな。知識系魔物とかならいるんじゃないか?」
「知識系魔物?え、なにそれ!」
「体に取り込んだものを解析して、同じものを生成したりできる魔物だ。
まあ、珍しすぎてこの辺にいるかは分からんがな。」
「え、絶対従魔にしたいんだけど!」
ずっと思っていたことがある。
一度生成したものを複製したり、既製品を解析して再現したり、
そんなことができる存在がいたら、仲間にしたいなって。
俺にはそういう能力は備わっていないらしく、
もしこの世にそういうことが可能な生き物がいるなら、絶対に仲間にしたい。
そんな野望のもと、ロウキに質問してみると、知識系魔物の存在を教えてくれた。
思わず「絶対に従魔にしたい!」と言うと、ロウキはギュッと目を細めて、ため息を吐いた。
「己の欲望のために魔物を使役するな。人間を探せばよかろうが。」
「確かに…それは良くないんだけど…
人間って、面倒なんだよね。人間関係とかさ。」
「はぁ?お前はそれでも人間か?群れで暮らす生き物だろうが、人間は。」
「人それぞれ違うんですよ、ロウキさんや。
コミュニケーション…えっと、交流が苦手な人もいるのよ。
なるべく俺は平穏に暮らしたいから、信頼できる人が見つかるまでは下手に交流持ちたくないのよ。」
「自分の欲望のために魔物を使役するな」と一喝された俺は、確かになとも思った。
良くないことだとは思いつつも、ロウキが提案してきた“解析・複製ができる人間を探せ”という案は即座に却下した。
人間が誰しもコミュ力高いわけじゃないし、得意不得意もある。
そう言うと、ロウキは視線を逸らし、もう一度大きなため息を吐いた。
「わがままな奴だな…。
…それではセドラのじいさんに訊いてみたらどうだ?あやつは物知りそうだったじゃないか。」
「あ、確かに!え、じゃあ今から行く?」
「はぁ…お前は本当に思いついたら即行動だな。
ユキたちを呼んでくるから、お前は出かける支度をしておけ。」
「やった!じゃあ俺は準備してくる!」
ロウキは「わがままな奴だな」と呆れながらも、
鉱山にいるセドラなら何か知っているかもしれないと、代替案を出してくれた。
こういうところ、優しいよな…。なんて思いながら、
俺は家の中に戻り、調理済みの食事をアイテムボックスに詰め込んで外に出た。
「あるじさま、準備できました!」
「主、行くぞー!」
「かばん、もとうか?だいじょうぶ?」
「ありがとうミル!俺は大丈夫だからな。」
「・・・さっさと行くぞ。」
「オッケー!それじゃあ鉱山に向けて出発ー!」
準備を終えて外に出ると、すでに皆が集合していて、
面倒くさそうにしているロウキを先頭に、家を出発した。
だけどよく考えたら、セドラに心で問いかければ反応があるんじゃ?
なんて思っていたけど、皆で出かけることが楽しいようだし、
ここは黙って出かけた方がいいな。
そう思いながら、俺たちは鉱山へと向かった―…。
◇
「じゃーん!今日のお昼ご飯は焼き鳥でーす!」
「はじめて、たべる!」
「前に食べた肉と野菜の串焼きと、何が違うんだ?」
「あれはオークのお肉だったでしょう?
今回は、王都で購入した“スモールバード”って魔物のお肉らしいんだけど、
俺の世界の鶏肉に似てたから、生成スキルで塩ダレ味と甘辛タレを作ってみました!
これ、今からじっくり焼いて食べます!野菜スープもあるからねー。」
「おれ、やく。」
「ありがとうミル!じゃあ俺はこっちでスープ温めるからなぁ。」
鉱山に向かって歩くこと約2時間。
昼食をまだ食べていなかったことを思い出し、早速ランチタイムにすることにした。
アイテムボックスからテーブルなどを取り出し、調理開始。
ミルはいつも俺と一緒に料理を担当してくれているから、今日も率先して手伝ってくれた。
気分は焼鳥屋の大将だな。なんて思いながら、俺はスープを温めていた。
焼けた焼き鳥を串から外してみんなに配っていくと、待ったなしで食事が始まった。
「うむ!この調味料とやらも絶品だな!
スモールバードはあまり美味とは思わなかったが、
焼き鳥にするとまるで味が変わるのだな!」
「あるじさま、このお肉美味しいです!」
「うんまいなぁ!スモールバードって火で焼いて食べてたけど、
前の主は一気に焼いてたからかなぁ?硬かった!
でもこれは外側がカリッとしてて中が柔らかいの、美味すぎー!」
「焼き鳥はいいねぇ。昔から俺、好きだったんだよねぇ。
おにぎり食べたいなぁ…。米ってどうやって作るのか、研究しなくちゃだなぁ。」
焼き鳥を食べていると、無性におにぎりが食べたくなってくる。
前々から白米が食べたいとは思っていたけど、研究はしていなかった。
王都には似たようなものがあるのかな?
今回、時間が取れたら王都に寄って食品のお店を回ってみようかな。
それに、ゲートも設置できるならしておきたいし。
そんなことを一人で考えながら昼食を取り、
食後の休憩をはさんで、再び鉱山へと向かって歩き出した―…。
◇
あれからのんびり歩き続けて野営をし、翌日の夕方前には鉱山に到着した。
ここに着くまでに今回は低級魔物に遭遇したけど、皆に討伐してもらおうと思っていたのに、
ロウキに「魔法を使え」と言われ、何とか頑張って自分で討伐した。
これからもずっと、こんな感じで強制的に鍛えられるんだろうなぁ…。
なんて、一人で嘆いていた。
「あれ?今日は休日なのかな?人がいない。まあ、その方が俺はいいんだけどさ。」
この世界の曜日の感覚がないから分からないけど、今日はどうやら休日らしい。
ガランとした鉱山の入り口には、担当の警備兵が2人立っているだけだった。
「こんにちはー。ちょっとお邪魔しますね。」
「はっ!ヨシヒロさま!どうぞお通りください!」
「はは、すみません…お邪魔しますねぇ。」
警備兵に声をかけると、俺の情報が行き渡っているのか、あっさりと通してくれた。
こういう扱い、なんだかむずがゆいなって思う。
ひとまずペコリと頭を下げて中に入ると、前に来た時よりも空気が澄んでいるように感じた。
セドラが正気に戻って、きちんと守護してくれているからなのかな?
なんて思いながら、セドラがいる地下2階へと向かった。
「じいちゃん元気かなぁ?」
「僕、進化してから初めて会うので、ちょっと緊張してます。」
「絶対“カッコよくなった”って言ってくれるって。」
「そうだと嬉しいです!」
地下へ降りていく途中、クロとユキはそんな会話をしていて、なんだか微笑ましかった。
クロは蘇ってから初めてできた友達…弟?だし、ユキも父親以外で初めて遊んだ相手だろうし。
この二匹を見ていると、心がポカポカして、なんかこう…満たされるんだよなぁ。
「あー!いた!じいちゃん!遊びに来た!」
「おお、お前さんたち来たのか。おや?ユキ、お前さん進化したのか?
随分と男前になったのう。」
「はい!僕、母上のおかげで進化できたみたいです!
母が契約していたルビーの精霊さんが、今僕と契約してくれていて、
その影響で進化したみたいです。」
「そうかそうか。角が生えたフェンリルは珍しいからな。
きっとユキの母の愛情が、そうさせたのかもしれんな。」
「僕もそう思います!父上と母上の愛情のおかげで、こうなりました!」
「・・・」
地下2階に降りてセドラの住処に向かうと、のんびりしているセドラの姿が見えた。
クロとユキは走ってセドラのもとへ向かい、セドラは優しく迎えてくれた。
ユキの進化に気づいたセドラは目を細め、
ユキが進化した経緯を説明すると、「そうかそうか」と嬉しそうに笑っていた。
これはあれだ。本当に“孫とじいちゃん”の構図だ。
いいな、こういうの。
そう思いながら、しばらくそのやり取りを見つめていた。
あ、そういえば絵に描いても生成できるって言ってたよな?
じゃあ、まずは紙とペンを生成しようっと。・・・・クレオ!」
ポンッ―
「出来た出来た。じゃあ、ゲートはアーチ状で…素材はそうだな、大理石みたいな感じかな。
ゲートの中央は、なんかこう、透明な青い水みたいな壁があって…
濡れないけどヒンヤリする感じ。あれ、絶対に綺麗だろうなぁ。
あ、これは俺と繋がってる人しか通れないようにしないとな。この設定は絶対。
で、そこを通ればギルドに到着できるイメージだな。」
とある日のお昼前。
俺は転移ゲートを作るべく奮闘していた。だけど、イメージがなかなか固まらず。
紙とペンを生成して、そこに自分の思い描くゲートの姿を描き込んでいった。
「紙に書いても有効だったはず」という曖昧な記憶を頼りに、考えながら描くこと約30分。
ようやく形が見えてきて、納得のいくゲートになった。
「よしきた!これで多分いけそうな気がする。
それでは参ります・・・・・・クレオ!」
絵以外にも、言葉で書いても通じるのかな?なんて思いながら、
このゲートをどこに建てようか考えた末に、ユアさんの碑石の隣がいいかなと思った。
そこで意識を集中させて「クレオ」と唱えると、
前回の結界生成の時と同様に、体の中からごっそりと魔力を持っていかれる感覚があった。
魔力無限の俺にとっては特に問題はないけど、魔力を抜き取られる感覚はやっぱり気持ち悪いなって思う。
そんな感じで魔力を一気に使い、少しずつ石碑の隣に俺のイメージ通りのゲートが生成されていった。
白く大理石のような素材、アーチ状のゲートが出来上がり、
その中央に、青く透明な水の壁がゆっくりと現れ、神秘的で綺麗な揺らめきを見せていた。
本当にここを通ればギルドに行けるのかは不安だけど、ひとまず1つ目のゲートは完成した。
「うまいこと生成できたんじゃないか?」
「だよな?俺もそう思う!あとはこれをもう一つギルドで生成すればいいんだよな?」
「ああ。先にそのゲートにギルドの記憶を練り込んでおけ。」
「あ、ホントだ。やってみるわ。」
ゲートが完成したところで、側にいたロウキに出来栄えを聞いてみると、
「うまいことできたんじゃないか」と、珍しく褒められた。
そして「ギルドの記憶を練っておけ」と言われ、
よく分からないなりに意識を集中させて、王都のギルドを思い浮かべた。
【転移場所の登録が完了しました。】
「お、出来たみたい!ありがと、エマ。」
手をゲートの水の壁にかざしてしばらく待ってみると、水面が波紋を描き始めた。
更に待っていると、エマが登録完了を知らせてくれた。
これで1つ目のゲートが完成だなと喜んでいた時、ふと思いついてロウキに質問した。
「なぁロウキー。これ一回作ったら、複製できる人いないの?
解析して複製とか生成とか、よくあるじゃん?出来る魔物とかいない?」
「…そうだな。知識系魔物とかならいるんじゃないか?」
「知識系魔物?え、なにそれ!」
「体に取り込んだものを解析して、同じものを生成したりできる魔物だ。
まあ、珍しすぎてこの辺にいるかは分からんがな。」
「え、絶対従魔にしたいんだけど!」
ずっと思っていたことがある。
一度生成したものを複製したり、既製品を解析して再現したり、
そんなことができる存在がいたら、仲間にしたいなって。
俺にはそういう能力は備わっていないらしく、
もしこの世にそういうことが可能な生き物がいるなら、絶対に仲間にしたい。
そんな野望のもと、ロウキに質問してみると、知識系魔物の存在を教えてくれた。
思わず「絶対に従魔にしたい!」と言うと、ロウキはギュッと目を細めて、ため息を吐いた。
「己の欲望のために魔物を使役するな。人間を探せばよかろうが。」
「確かに…それは良くないんだけど…
人間って、面倒なんだよね。人間関係とかさ。」
「はぁ?お前はそれでも人間か?群れで暮らす生き物だろうが、人間は。」
「人それぞれ違うんですよ、ロウキさんや。
コミュニケーション…えっと、交流が苦手な人もいるのよ。
なるべく俺は平穏に暮らしたいから、信頼できる人が見つかるまでは下手に交流持ちたくないのよ。」
「自分の欲望のために魔物を使役するな」と一喝された俺は、確かになとも思った。
良くないことだとは思いつつも、ロウキが提案してきた“解析・複製ができる人間を探せ”という案は即座に却下した。
人間が誰しもコミュ力高いわけじゃないし、得意不得意もある。
そう言うと、ロウキは視線を逸らし、もう一度大きなため息を吐いた。
「わがままな奴だな…。
…それではセドラのじいさんに訊いてみたらどうだ?あやつは物知りそうだったじゃないか。」
「あ、確かに!え、じゃあ今から行く?」
「はぁ…お前は本当に思いついたら即行動だな。
ユキたちを呼んでくるから、お前は出かける支度をしておけ。」
「やった!じゃあ俺は準備してくる!」
ロウキは「わがままな奴だな」と呆れながらも、
鉱山にいるセドラなら何か知っているかもしれないと、代替案を出してくれた。
こういうところ、優しいよな…。なんて思いながら、
俺は家の中に戻り、調理済みの食事をアイテムボックスに詰め込んで外に出た。
「あるじさま、準備できました!」
「主、行くぞー!」
「かばん、もとうか?だいじょうぶ?」
「ありがとうミル!俺は大丈夫だからな。」
「・・・さっさと行くぞ。」
「オッケー!それじゃあ鉱山に向けて出発ー!」
準備を終えて外に出ると、すでに皆が集合していて、
面倒くさそうにしているロウキを先頭に、家を出発した。
だけどよく考えたら、セドラに心で問いかければ反応があるんじゃ?
なんて思っていたけど、皆で出かけることが楽しいようだし、
ここは黙って出かけた方がいいな。
そう思いながら、俺たちは鉱山へと向かった―…。
◇
「じゃーん!今日のお昼ご飯は焼き鳥でーす!」
「はじめて、たべる!」
「前に食べた肉と野菜の串焼きと、何が違うんだ?」
「あれはオークのお肉だったでしょう?
今回は、王都で購入した“スモールバード”って魔物のお肉らしいんだけど、
俺の世界の鶏肉に似てたから、生成スキルで塩ダレ味と甘辛タレを作ってみました!
これ、今からじっくり焼いて食べます!野菜スープもあるからねー。」
「おれ、やく。」
「ありがとうミル!じゃあ俺はこっちでスープ温めるからなぁ。」
鉱山に向かって歩くこと約2時間。
昼食をまだ食べていなかったことを思い出し、早速ランチタイムにすることにした。
アイテムボックスからテーブルなどを取り出し、調理開始。
ミルはいつも俺と一緒に料理を担当してくれているから、今日も率先して手伝ってくれた。
気分は焼鳥屋の大将だな。なんて思いながら、俺はスープを温めていた。
焼けた焼き鳥を串から外してみんなに配っていくと、待ったなしで食事が始まった。
「うむ!この調味料とやらも絶品だな!
スモールバードはあまり美味とは思わなかったが、
焼き鳥にするとまるで味が変わるのだな!」
「あるじさま、このお肉美味しいです!」
「うんまいなぁ!スモールバードって火で焼いて食べてたけど、
前の主は一気に焼いてたからかなぁ?硬かった!
でもこれは外側がカリッとしてて中が柔らかいの、美味すぎー!」
「焼き鳥はいいねぇ。昔から俺、好きだったんだよねぇ。
おにぎり食べたいなぁ…。米ってどうやって作るのか、研究しなくちゃだなぁ。」
焼き鳥を食べていると、無性におにぎりが食べたくなってくる。
前々から白米が食べたいとは思っていたけど、研究はしていなかった。
王都には似たようなものがあるのかな?
今回、時間が取れたら王都に寄って食品のお店を回ってみようかな。
それに、ゲートも設置できるならしておきたいし。
そんなことを一人で考えながら昼食を取り、
食後の休憩をはさんで、再び鉱山へと向かって歩き出した―…。
◇
あれからのんびり歩き続けて野営をし、翌日の夕方前には鉱山に到着した。
ここに着くまでに今回は低級魔物に遭遇したけど、皆に討伐してもらおうと思っていたのに、
ロウキに「魔法を使え」と言われ、何とか頑張って自分で討伐した。
これからもずっと、こんな感じで強制的に鍛えられるんだろうなぁ…。
なんて、一人で嘆いていた。
「あれ?今日は休日なのかな?人がいない。まあ、その方が俺はいいんだけどさ。」
この世界の曜日の感覚がないから分からないけど、今日はどうやら休日らしい。
ガランとした鉱山の入り口には、担当の警備兵が2人立っているだけだった。
「こんにちはー。ちょっとお邪魔しますね。」
「はっ!ヨシヒロさま!どうぞお通りください!」
「はは、すみません…お邪魔しますねぇ。」
警備兵に声をかけると、俺の情報が行き渡っているのか、あっさりと通してくれた。
こういう扱い、なんだかむずがゆいなって思う。
ひとまずペコリと頭を下げて中に入ると、前に来た時よりも空気が澄んでいるように感じた。
セドラが正気に戻って、きちんと守護してくれているからなのかな?
なんて思いながら、セドラがいる地下2階へと向かった。
「じいちゃん元気かなぁ?」
「僕、進化してから初めて会うので、ちょっと緊張してます。」
「絶対“カッコよくなった”って言ってくれるって。」
「そうだと嬉しいです!」
地下へ降りていく途中、クロとユキはそんな会話をしていて、なんだか微笑ましかった。
クロは蘇ってから初めてできた友達…弟?だし、ユキも父親以外で初めて遊んだ相手だろうし。
この二匹を見ていると、心がポカポカして、なんかこう…満たされるんだよなぁ。
「あー!いた!じいちゃん!遊びに来た!」
「おお、お前さんたち来たのか。おや?ユキ、お前さん進化したのか?
随分と男前になったのう。」
「はい!僕、母上のおかげで進化できたみたいです!
母が契約していたルビーの精霊さんが、今僕と契約してくれていて、
その影響で進化したみたいです。」
「そうかそうか。角が生えたフェンリルは珍しいからな。
きっとユキの母の愛情が、そうさせたのかもしれんな。」
「僕もそう思います!父上と母上の愛情のおかげで、こうなりました!」
「・・・」
地下2階に降りてセドラの住処に向かうと、のんびりしているセドラの姿が見えた。
クロとユキは走ってセドラのもとへ向かい、セドラは優しく迎えてくれた。
ユキの進化に気づいたセドラは目を細め、
ユキが進化した経緯を説明すると、「そうかそうか」と嬉しそうに笑っていた。
これはあれだ。本当に“孫とじいちゃん”の構図だ。
いいな、こういうの。
そう思いながら、しばらくそのやり取りを見つめていた。
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