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101話 田舎の景色は最高に癒されて幸せです
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「こっちは小さな村がポツポツある感じなんだなぁ。いいねぇ、平和だなぁ。」
「そうだな。この辺りは自然が多く、その果実や木材を収穫するために存在している村だ。
あとは、こうした自然の中だと家畜もよく育つからな。
無理に開拓せず、自然を生かした村づくりというのが、この辺の領地を治める貴族の方針らしい。」
「なるほどねぇ。割といい貴族の領地なのかもしれないなぁ。
自然豊かで空気も美味しいし、のどかで癒されるー。」
王都を出発してしばらく走ると、自然豊かな景色が広がり始めた。
そこには小さな家がポツポツと建ち、牛や馬たちが放牧されていた。
なんとも穏やかな風景で、こういう場所でのんびり暮らすのも悪くないなと思った。
「主、そういえばさっきガーノスに何か紙をもらってた?」
「え?あー、忘れてた。これ、噂をかき集めて描いたシキナのデザインだって。」
「えー!見せてー!」
「これがシキナ…ですか。」
「幻想的だよなぁ。妖精の住処に咲くっていうのも、分かる気がするよね。」
外の景色を眺めていた時、クロに言われて、ガーノスさんからもらっていたシキナの絵を思い出し、ポケットから取り出した。
そこに描かれていたのは、日本でいうユリのような形をした花で、これなら咲いていたらすぐに分かりそうだなと感じた。
「この花を妖精からもらえたら、ユキの母ちゃんに会えるんだよな?」
「そうだね。どういう風に対話するのかは分からないけど、この花を譲ってもらえたら、きっと会えるね。」
「ユキ、ユアに会えたら何を伝えたいのだ?」
「えっと…まずは、元気に育ってますって。あとは、母上の名前を直接ご報告したいです。
それから、母上が契約していた精霊が、僕を護ってくれていますっていうのも伝えたいです。」
「そうか…。あいつ、喜ぶだろうな。」
花の絵をじっと見つめていたユキ。そんなユキに、ロウキが静かに問いかけた。
少し考えたあと、自分が今伝えたいことを口にして、ユキはふっと笑った。
その笑顔を見たロウキは、何とも言えない表情を浮かべていた。
叶えられるものなら、すぐにでも叶えてやりたいんだろうけど、
今回ばかりは、妖精たち次第というところがあるからなぁ…。
それに、隠されている妖精の住処が、俺たちに分かるのだろうか?
人間である俺に、心を許してくれるかも分からないし、どうなるかはまったく読めない。
こういう時、妖精と仲良しの友達でもいればよかったんだけど、そんな都合よくはいかないよなぁ…。
なんて思いながら、どうかこの花を譲ってもらえますようにと、ただ祈るばかりだった―…。
◇
「お腹空いたーー!!」
「もうすぐ出来るから、クロ運んでくれるー?」
「とっても美味しそうな匂いです!ヨシヒロ様!」
「だろう?これは絶対に美味いぞー!」
馬車を走らせること数時間。あっという間に日が暮れ、空には星たちが輝き始めた。
すると、当然ながらお腹も空いてくるわけで。
一度馬車を停めて、青空ご飯にすることにした。
家でもよく外で食事をするけど、皆で食べる青空ご飯は本当に美味しいんだよな。
なんて思いながら、持ってきていた調理道具でせっせと料理を開始。
するとたちまち美味しそうな匂いが広がり、早く食べさせろと言わんばかりに皆の目が輝き始めた。
「主、今日のご飯はなーに?」
「まずは、レッドサーモンと玉ねぎときのこのホイル…包み…焼き!
俺が生成したバターとお味噌で味付けたから、絶対美味いぞー!
サーモンの身はほぐしてあるし、玉ねぎときのこはバターと味噌の旨みを吸い込んでるからなー。
骨も取っておいたから、これをご飯の上にかけまーす!」
「あああっ!いい匂いーー!!」
「あとは、いつもの野菜スープ!それと、デザートにルミグミのケーキを焼きました!
ミルが作ってくれたものを保存しておいて良かった!
さぁ、食べますよー!」
「はーーーいっ!いただきまーーす!」
今日のご飯は魚料理。いつも肉ばかり食べてるから、たまには魚で栄養を取らないとな。
それにルーナもいるし、シンゴも食べやすいだろうと思って決めた晩御飯。
下ごしらえは家で済ませていたから、焼くだけ・温めるだけですぐに完成。
皆で「いただきます」をして、それぞれの口に頬張った。
「んーーっ!美味いっ!やっぱり魚料理にして正解だなぁ!」
「俺これ好きだ!毎日でも食べたい!」
「あるじさま、とっても美味しいです!」
「うむ…悪くない。おかわりはあるんだろうな?」
「ヨシヒロ様!帰ったら皆にも食べてもらいましょう!」
スプーンですくって一口食べると、きのこの旨みが舌に広がり、サーモンの塩気がご飯と絡んで、思わず目を閉じた。
やっぱり和風料理はいいな。外は風が涼しくて、食事でポカポカする体をちょうどよく冷やしてくれて、ご飯の美味しさが倍増した気がする。
スープも野菜がゴロゴロ入っていて、しっかり味がついてるから、いくらでも飲める。
ふと皆の顔を見ると、俺と同じような顔をして頬張りながら食べていて、思わず笑っちゃう。
こういう瞬間が、本当に“幸せ”と呼べるひとときなんだよね。最高だよ、本当に。
「マンマ!パッパ!ごはん、美味しいね!」
「ふふっ。そうね。ちゃんと食べて偉いわよ、シンゴ。」
ルーナが静かにご飯を食べる中、シンゴは小さな翼をパタパタさせながら、スプーンで運ばれたご飯を一生懸命食べ始めた。
もちろん、俺が食べさせているわけだけど。
こうやって自分のご飯を食べながら、子供に食べさせるのは至難の業だよな。
俺の場合は、シンゴ優先というわけではなく、俺が食べて、シンゴに食べさせて…の繰り返し。
世間では、子供に食べさせたあと、親が冷めた料理を食べる…なんて話もよく聞くけど、
食事を摂るって、本当に大変なんだよなぁと、しみじみ感じていた。
「あと二日かぁ。何事もなく到着できると良いけど…」
「大丈夫だって主!皆一緒だからきっとうまくいくよ!」
「はは、そうだな?」
ポツリと呟いた言葉。
別にどうこうというわけじゃないけど、漠然とした不安は、やっぱりあるわけで。
それを察したのか、クロがバシバシッと俺の背中を叩いて、「皆いるから」とニカッと笑った。
いつもこうやって励ましてくれるけど…
俺は、絶対に皆がいなきゃ潰れてるな、これ。と、常々思う。
だから今回は、いつも以上に頑張るぞ!と、一人で気合を入れていた。
そして、皆の願いが叶いますようにと、夜空を見上げてそっと願った―…。
「そうだな。この辺りは自然が多く、その果実や木材を収穫するために存在している村だ。
あとは、こうした自然の中だと家畜もよく育つからな。
無理に開拓せず、自然を生かした村づくりというのが、この辺の領地を治める貴族の方針らしい。」
「なるほどねぇ。割といい貴族の領地なのかもしれないなぁ。
自然豊かで空気も美味しいし、のどかで癒されるー。」
王都を出発してしばらく走ると、自然豊かな景色が広がり始めた。
そこには小さな家がポツポツと建ち、牛や馬たちが放牧されていた。
なんとも穏やかな風景で、こういう場所でのんびり暮らすのも悪くないなと思った。
「主、そういえばさっきガーノスに何か紙をもらってた?」
「え?あー、忘れてた。これ、噂をかき集めて描いたシキナのデザインだって。」
「えー!見せてー!」
「これがシキナ…ですか。」
「幻想的だよなぁ。妖精の住処に咲くっていうのも、分かる気がするよね。」
外の景色を眺めていた時、クロに言われて、ガーノスさんからもらっていたシキナの絵を思い出し、ポケットから取り出した。
そこに描かれていたのは、日本でいうユリのような形をした花で、これなら咲いていたらすぐに分かりそうだなと感じた。
「この花を妖精からもらえたら、ユキの母ちゃんに会えるんだよな?」
「そうだね。どういう風に対話するのかは分からないけど、この花を譲ってもらえたら、きっと会えるね。」
「ユキ、ユアに会えたら何を伝えたいのだ?」
「えっと…まずは、元気に育ってますって。あとは、母上の名前を直接ご報告したいです。
それから、母上が契約していた精霊が、僕を護ってくれていますっていうのも伝えたいです。」
「そうか…。あいつ、喜ぶだろうな。」
花の絵をじっと見つめていたユキ。そんなユキに、ロウキが静かに問いかけた。
少し考えたあと、自分が今伝えたいことを口にして、ユキはふっと笑った。
その笑顔を見たロウキは、何とも言えない表情を浮かべていた。
叶えられるものなら、すぐにでも叶えてやりたいんだろうけど、
今回ばかりは、妖精たち次第というところがあるからなぁ…。
それに、隠されている妖精の住処が、俺たちに分かるのだろうか?
人間である俺に、心を許してくれるかも分からないし、どうなるかはまったく読めない。
こういう時、妖精と仲良しの友達でもいればよかったんだけど、そんな都合よくはいかないよなぁ…。
なんて思いながら、どうかこの花を譲ってもらえますようにと、ただ祈るばかりだった―…。
◇
「お腹空いたーー!!」
「もうすぐ出来るから、クロ運んでくれるー?」
「とっても美味しそうな匂いです!ヨシヒロ様!」
「だろう?これは絶対に美味いぞー!」
馬車を走らせること数時間。あっという間に日が暮れ、空には星たちが輝き始めた。
すると、当然ながらお腹も空いてくるわけで。
一度馬車を停めて、青空ご飯にすることにした。
家でもよく外で食事をするけど、皆で食べる青空ご飯は本当に美味しいんだよな。
なんて思いながら、持ってきていた調理道具でせっせと料理を開始。
するとたちまち美味しそうな匂いが広がり、早く食べさせろと言わんばかりに皆の目が輝き始めた。
「主、今日のご飯はなーに?」
「まずは、レッドサーモンと玉ねぎときのこのホイル…包み…焼き!
俺が生成したバターとお味噌で味付けたから、絶対美味いぞー!
サーモンの身はほぐしてあるし、玉ねぎときのこはバターと味噌の旨みを吸い込んでるからなー。
骨も取っておいたから、これをご飯の上にかけまーす!」
「あああっ!いい匂いーー!!」
「あとは、いつもの野菜スープ!それと、デザートにルミグミのケーキを焼きました!
ミルが作ってくれたものを保存しておいて良かった!
さぁ、食べますよー!」
「はーーーいっ!いただきまーーす!」
今日のご飯は魚料理。いつも肉ばかり食べてるから、たまには魚で栄養を取らないとな。
それにルーナもいるし、シンゴも食べやすいだろうと思って決めた晩御飯。
下ごしらえは家で済ませていたから、焼くだけ・温めるだけですぐに完成。
皆で「いただきます」をして、それぞれの口に頬張った。
「んーーっ!美味いっ!やっぱり魚料理にして正解だなぁ!」
「俺これ好きだ!毎日でも食べたい!」
「あるじさま、とっても美味しいです!」
「うむ…悪くない。おかわりはあるんだろうな?」
「ヨシヒロ様!帰ったら皆にも食べてもらいましょう!」
スプーンですくって一口食べると、きのこの旨みが舌に広がり、サーモンの塩気がご飯と絡んで、思わず目を閉じた。
やっぱり和風料理はいいな。外は風が涼しくて、食事でポカポカする体をちょうどよく冷やしてくれて、ご飯の美味しさが倍増した気がする。
スープも野菜がゴロゴロ入っていて、しっかり味がついてるから、いくらでも飲める。
ふと皆の顔を見ると、俺と同じような顔をして頬張りながら食べていて、思わず笑っちゃう。
こういう瞬間が、本当に“幸せ”と呼べるひとときなんだよね。最高だよ、本当に。
「マンマ!パッパ!ごはん、美味しいね!」
「ふふっ。そうね。ちゃんと食べて偉いわよ、シンゴ。」
ルーナが静かにご飯を食べる中、シンゴは小さな翼をパタパタさせながら、スプーンで運ばれたご飯を一生懸命食べ始めた。
もちろん、俺が食べさせているわけだけど。
こうやって自分のご飯を食べながら、子供に食べさせるのは至難の業だよな。
俺の場合は、シンゴ優先というわけではなく、俺が食べて、シンゴに食べさせて…の繰り返し。
世間では、子供に食べさせたあと、親が冷めた料理を食べる…なんて話もよく聞くけど、
食事を摂るって、本当に大変なんだよなぁと、しみじみ感じていた。
「あと二日かぁ。何事もなく到着できると良いけど…」
「大丈夫だって主!皆一緒だからきっとうまくいくよ!」
「はは、そうだな?」
ポツリと呟いた言葉。
別にどうこうというわけじゃないけど、漠然とした不安は、やっぱりあるわけで。
それを察したのか、クロがバシバシッと俺の背中を叩いて、「皆いるから」とニカッと笑った。
いつもこうやって励ましてくれるけど…
俺は、絶対に皆がいなきゃ潰れてるな、これ。と、常々思う。
だから今回は、いつも以上に頑張るぞ!と、一人で気合を入れていた。
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