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104話 心護が奇跡を起こしてくれました
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「シンゴが、治してあげる!」
パクッ―
「ぎゃあああっ!!
シンゴーー!!食べちゃダメでしょうーー!!」
「待って、ヨシヒロ様。もう少し様子を見ましょう。」
「ええっ?!でもさすがに…!」
「もぐもぐっ…んー…このお花、泣いてるよ、パッパ。」
「え?」
「このお花、咲きたいって泣いてるの。
だから、シンゴが治してあげるね。」
シンゴの様子を見ていると、何の躊躇もなくパクリとシキナの蕾を口にした。
予想通りの展開に、思わず悲鳴をあげて止めに行こうとしたところ、ルーナが「もう少し様子を見ましょう」と俺を制止した。
ドキドキしながら見守っていると、シンゴは「お花が泣いてる」と言い、悲しそうな表情を浮かべた。
どうしてそう思ったのかは分からないけど、シンゴはシキナを咲かせてあげようと、真剣に頑張っていた。
「自分が助けてあげる」って、一体どうするつもりなんだろう。
グリフォンにはそういう力が備わっているってこと?
なんて、分かりもしないことを一人で考えていると、シンゴはまだ飛べない翼をパタパタと羽ばたかせ始めた。
「シンゴ…助けるから…助けるよー!!」
ピカッ―
「えっ…?シンゴ?!」
何度も何度も翼を羽ばたかせていたシンゴ。
「助けるから」と言った次の瞬間、シンゴの体がピカッと眩い光に包まれた。
それは目を開けていられないほどの強い光で、思わずギュッと目を瞑った。
すると、耳に届いたのは、先ほどとは比べ物にならないほど力強い翼の羽ばたく音。
ゆっくりと目を開けると、そこにいたのは―
立派な大人のグリフォンの姿になり、大きな翼を優雅に羽ばたかせいたシンゴだった。
どういうことだ?なんで突然シンゴが大人に?
そんな成長速度が加速するなんてこと、ある?!
と慌てていたけど、俺以外の皆はとても冷静で、シンゴの成長した姿を喜ぶように微笑んでいた。
「パパ!僕がユキお兄ちゃんの願いを叶えるからね!」
驚く俺に流暢にそう言うと、シンゴはその翼をもう一度ゆっくりと羽ばたかせた。
すると、その翼から金色とも銀色ともいえる光の粒子が、蕾全体に降り注ぎ始めた。
それはまさに“光の雨”と呼ぶにふさわしい光景。
その粒子はシキナの蕾に大量に降り注ぎ、次の瞬間、蕾がその光を花びら全体で吸収し始めた。
そして―
蕾という蕾から黒いモヤのようなものがブワッと噴き出し始めて、ギョッとした。
なにあれ?!怖いんだけど!
「あれは…邪気…?」
「邪気…ですか?」
「ええ。よくあるのです。神聖魔法で邪悪を排除する際、その対象から黒い煙が立ちのぼることがあります。
それを私どもは“邪気”と呼んでおります。」
「なるほど…ということは今、シンゴが降らせた光の雨が、蕾にまとわりついていた邪気を排除しているということですか…?」
「そうなりますね…。さすが聖獣でもあるグリフォンです。
その力は、いかなる邪悪も邪気も払う光をお持ちなのですね…。」
「ほえー…シンゴって、すごいんだなぁ。」
黒いモヤの正体についてセシリア様から教えてもらい、グリフォンという存在がこの国で“聖獣”と呼ばれる理由が少し分かった気がした。
そして今回のことで、シンゴは覚醒し、急成長を遂げたということなのだろう。
初めて見る“大人のグリフォン”は、空の王者としての風格はもちろん、気高く、威風堂々と佇んでいた。
先ほどまで俺の腕にすっぽり収まっていた、あの小さな背中が今は空を抱けるほどに広がっている。
急激な成長に少し戸惑いながらも、シンゴが立派になったという事実は、何だか胸にじんとくるものがあった。
「主、蕾が!」
「えっ?」
シンゴに気を取られていた時、クロの声に視線を蕾へ戻した。
すると、光の雨をたっぷりと吸収した蕾が、ぷるぷると小刻みに揺れ始めた。
そして、蕾にため込んだ光の雨が、今度は丸い粒となって蕾から飛び出し、天へと昇り始めた。
とても不思議な光景。まるで逆再生されているような、そんな気分で見上げていると、粒は静かに消えていき、次の瞬間。
「わぁ!」
「シキナが…!」
「綺麗ですわね。」
「おおっ…」
「ヨシヒロ様、すごいです!」
「これが…シキナ…?」
光の粒が天に消えた時、小刻みに揺れていた蕾が、1枚、2枚と花びらを開き始めた。
その光景はあまりにも美しくて、言葉を失った。
そして気づけば、辺り一面が半透明な白い花びらのシキナで満たされ、生き生きと咲き誇っていた。
これはまさに“奇跡の光景”と呼ぶにふさわしい瞬間だった。
「パパ!これでシキナは元気になったね!」
「シンゴーー!すごいよ、シンゴー!」
「へへっ!僕、がんばっ――」
シンゴは嬉しそうに「シキナが元気になった」と言って、地上に降りてこようとした。
だけどその瞬間、シンゴの体が再びピカッと強く輝き、一瞬で“大人の姿”から“いつもの子供の姿”へと戻り、ふわりと力を失って地上へ落ち始めた。
「シンゴォォ!」
「我が行く。」
突然のことに悲鳴をあげると、ロウキが地面を蹴って跳躍し、そのふわふわの背中でシンゴをしっかりと受け止めた。
ホッとしながらロウキの元へ駆け寄ると、シンゴはスヤスヤと眠っていて、その寝顔は、達成感に満ちていて、思わず頭を撫でた。
「シンゴ、偉かったね。お疲れ様。」
「むにゃむにゃ…」
「はは、すっかり子供に戻ったなぁ。」
「シンゴは、この先もこういうことが起きるかもしれんな。」
「確かにね。ちょっとあとで、ゆっくりシンゴについて調べよっと。」
ロウキからそう言われた俺は、きちんとグリフォンについて調べておかなければいけないなと思った。
危ないことにはならないと思うけど、それぞれの種族の特徴は知っておく必要があるもんな。
シンゴのことを護るためにも、ちゃんと理解しておきたい。
「フェンリル様、そしてヨシヒロ殿…何とお礼を申し上げれば良いのか…」
「セシリア様?」
シンゴの頭を撫でていた時、女王セシリア様が俺たちの元へやってきて、両膝をついて深く頭を下げた。
その声は震え、瞳には大粒の涙が浮かんでいて、シキナという存在が、この村にとってどれほど大切なものなのかが、ひしひしと伝わってきた。
「まさか、もう一度この目でシキナを見ることができようとは…
これで、この村の民の願いを、また叶えることができます…。
そして、私自身も…あの人との再会を、また叶えてくれるのですね…!」
「すごいです、ヨシヒロ様!これでまた父に会うことができます!」
「…お父さん…亡くなられていたんですね…。」
「そうなんです…」
「…夫は、魔物から私どもと民を護って…。もう100年ほど前の話ですが…。
シキナを捧げることで、年に一度、私と娘のデイジーは夫と会うことができていたのですが…
もう一度シキナが咲くことがあれば、話したいことがたくさんあります。
もう…叶わない願いだと思っておりました。
そして、我々妖精にとって、シキナは命の源なのです。
この地の妖精はシキナを通じて魔力を得ております。
村の中央にある泉にシキナを落とし祈りを捧げることで、我々は魔力を得て、この命を長寿へと導くのです。
咲かなくなってからは、私の魔力を皆に注いでおりましたが、もう限界が近いと感じておりました。
これで、私どもは身も心も救われます。本当に…本当にありがとうございます…」
セシリア様から教えてもらった、シキナの存在意義。
それは、妖精たちにとって命を繋ぐための、大切な花だった。
今回、シンゴが覚醒して助けてくれたおかげで、妖精たちとセシリア様の命が、ちゃんと繋がったということが、心から嬉しかった。
このまま咲かない状態が続いていたらと思うと…本当に、恐ろしいことだったんだな。
そんなことを考えていると、セシリア様が俺たちに提案をしてくれた。
「ヨシヒロ殿、フェンリル殿、そして皆々様…
今宵はこちらでゆっくりとお休みいただき、明日改めてお礼の場を設けさせていただけないでしょうか?」
「うむ。有難い話だが、我々は早々に帰らねばならぬ。
今宵は休ませてもらうが、明日の朝にはこの地を出発したい。
こやつにはまだ従魔がいてな、皆こやつの帰りを待っているのだ。」
「そうでしたか…。では、日を改めて感謝の気持ちを形にさせていただけないでしょうか?」
「そうだな。そうしてもらえると助かる。」
「承知いたしました。では、今宵はこちらでゆっくりお過ごしください。
デイジー、案内を頼みましたよ。」
「はい!お任せください!」
セシリア様の提案はありがたかったけれど、俺が長居するのがあまり得意じゃないことを、ロウキはちゃんと分かってくれていたようだった。
ロウキの言葉に、セシリア様は優しく微笑み、日を改めて何かしてくださることになった。
ということは、もう一度ここに来るのかな?それとも、セシリア様たちが俺の領地に来てくれるのかな?
もし来てくれたら、皆きっと喜ぶだろうなぁ。
なんて思いながら、無事にシキナを咲かせることができて本当に良かったなと、
しみじみ感じつつ、デイジーさんに案内されたゲストハウスのベッドに、思いきりダイブした。
今日はすごい奇跡を見せてもらった夜だったな…と思い返しながら、これでユキの願いも王都の人たちの願いも叶えられそうだ。
今日は心の底から、シンゴの行いに感謝だな。そう思いながらゆっくりと瞼が閉じていった―…。
パクッ―
「ぎゃあああっ!!
シンゴーー!!食べちゃダメでしょうーー!!」
「待って、ヨシヒロ様。もう少し様子を見ましょう。」
「ええっ?!でもさすがに…!」
「もぐもぐっ…んー…このお花、泣いてるよ、パッパ。」
「え?」
「このお花、咲きたいって泣いてるの。
だから、シンゴが治してあげるね。」
シンゴの様子を見ていると、何の躊躇もなくパクリとシキナの蕾を口にした。
予想通りの展開に、思わず悲鳴をあげて止めに行こうとしたところ、ルーナが「もう少し様子を見ましょう」と俺を制止した。
ドキドキしながら見守っていると、シンゴは「お花が泣いてる」と言い、悲しそうな表情を浮かべた。
どうしてそう思ったのかは分からないけど、シンゴはシキナを咲かせてあげようと、真剣に頑張っていた。
「自分が助けてあげる」って、一体どうするつもりなんだろう。
グリフォンにはそういう力が備わっているってこと?
なんて、分かりもしないことを一人で考えていると、シンゴはまだ飛べない翼をパタパタと羽ばたかせ始めた。
「シンゴ…助けるから…助けるよー!!」
ピカッ―
「えっ…?シンゴ?!」
何度も何度も翼を羽ばたかせていたシンゴ。
「助けるから」と言った次の瞬間、シンゴの体がピカッと眩い光に包まれた。
それは目を開けていられないほどの強い光で、思わずギュッと目を瞑った。
すると、耳に届いたのは、先ほどとは比べ物にならないほど力強い翼の羽ばたく音。
ゆっくりと目を開けると、そこにいたのは―
立派な大人のグリフォンの姿になり、大きな翼を優雅に羽ばたかせいたシンゴだった。
どういうことだ?なんで突然シンゴが大人に?
そんな成長速度が加速するなんてこと、ある?!
と慌てていたけど、俺以外の皆はとても冷静で、シンゴの成長した姿を喜ぶように微笑んでいた。
「パパ!僕がユキお兄ちゃんの願いを叶えるからね!」
驚く俺に流暢にそう言うと、シンゴはその翼をもう一度ゆっくりと羽ばたかせた。
すると、その翼から金色とも銀色ともいえる光の粒子が、蕾全体に降り注ぎ始めた。
それはまさに“光の雨”と呼ぶにふさわしい光景。
その粒子はシキナの蕾に大量に降り注ぎ、次の瞬間、蕾がその光を花びら全体で吸収し始めた。
そして―
蕾という蕾から黒いモヤのようなものがブワッと噴き出し始めて、ギョッとした。
なにあれ?!怖いんだけど!
「あれは…邪気…?」
「邪気…ですか?」
「ええ。よくあるのです。神聖魔法で邪悪を排除する際、その対象から黒い煙が立ちのぼることがあります。
それを私どもは“邪気”と呼んでおります。」
「なるほど…ということは今、シンゴが降らせた光の雨が、蕾にまとわりついていた邪気を排除しているということですか…?」
「そうなりますね…。さすが聖獣でもあるグリフォンです。
その力は、いかなる邪悪も邪気も払う光をお持ちなのですね…。」
「ほえー…シンゴって、すごいんだなぁ。」
黒いモヤの正体についてセシリア様から教えてもらい、グリフォンという存在がこの国で“聖獣”と呼ばれる理由が少し分かった気がした。
そして今回のことで、シンゴは覚醒し、急成長を遂げたということなのだろう。
初めて見る“大人のグリフォン”は、空の王者としての風格はもちろん、気高く、威風堂々と佇んでいた。
先ほどまで俺の腕にすっぽり収まっていた、あの小さな背中が今は空を抱けるほどに広がっている。
急激な成長に少し戸惑いながらも、シンゴが立派になったという事実は、何だか胸にじんとくるものがあった。
「主、蕾が!」
「えっ?」
シンゴに気を取られていた時、クロの声に視線を蕾へ戻した。
すると、光の雨をたっぷりと吸収した蕾が、ぷるぷると小刻みに揺れ始めた。
そして、蕾にため込んだ光の雨が、今度は丸い粒となって蕾から飛び出し、天へと昇り始めた。
とても不思議な光景。まるで逆再生されているような、そんな気分で見上げていると、粒は静かに消えていき、次の瞬間。
「わぁ!」
「シキナが…!」
「綺麗ですわね。」
「おおっ…」
「ヨシヒロ様、すごいです!」
「これが…シキナ…?」
光の粒が天に消えた時、小刻みに揺れていた蕾が、1枚、2枚と花びらを開き始めた。
その光景はあまりにも美しくて、言葉を失った。
そして気づけば、辺り一面が半透明な白い花びらのシキナで満たされ、生き生きと咲き誇っていた。
これはまさに“奇跡の光景”と呼ぶにふさわしい瞬間だった。
「パパ!これでシキナは元気になったね!」
「シンゴーー!すごいよ、シンゴー!」
「へへっ!僕、がんばっ――」
シンゴは嬉しそうに「シキナが元気になった」と言って、地上に降りてこようとした。
だけどその瞬間、シンゴの体が再びピカッと強く輝き、一瞬で“大人の姿”から“いつもの子供の姿”へと戻り、ふわりと力を失って地上へ落ち始めた。
「シンゴォォ!」
「我が行く。」
突然のことに悲鳴をあげると、ロウキが地面を蹴って跳躍し、そのふわふわの背中でシンゴをしっかりと受け止めた。
ホッとしながらロウキの元へ駆け寄ると、シンゴはスヤスヤと眠っていて、その寝顔は、達成感に満ちていて、思わず頭を撫でた。
「シンゴ、偉かったね。お疲れ様。」
「むにゃむにゃ…」
「はは、すっかり子供に戻ったなぁ。」
「シンゴは、この先もこういうことが起きるかもしれんな。」
「確かにね。ちょっとあとで、ゆっくりシンゴについて調べよっと。」
ロウキからそう言われた俺は、きちんとグリフォンについて調べておかなければいけないなと思った。
危ないことにはならないと思うけど、それぞれの種族の特徴は知っておく必要があるもんな。
シンゴのことを護るためにも、ちゃんと理解しておきたい。
「フェンリル様、そしてヨシヒロ殿…何とお礼を申し上げれば良いのか…」
「セシリア様?」
シンゴの頭を撫でていた時、女王セシリア様が俺たちの元へやってきて、両膝をついて深く頭を下げた。
その声は震え、瞳には大粒の涙が浮かんでいて、シキナという存在が、この村にとってどれほど大切なものなのかが、ひしひしと伝わってきた。
「まさか、もう一度この目でシキナを見ることができようとは…
これで、この村の民の願いを、また叶えることができます…。
そして、私自身も…あの人との再会を、また叶えてくれるのですね…!」
「すごいです、ヨシヒロ様!これでまた父に会うことができます!」
「…お父さん…亡くなられていたんですね…。」
「そうなんです…」
「…夫は、魔物から私どもと民を護って…。もう100年ほど前の話ですが…。
シキナを捧げることで、年に一度、私と娘のデイジーは夫と会うことができていたのですが…
もう一度シキナが咲くことがあれば、話したいことがたくさんあります。
もう…叶わない願いだと思っておりました。
そして、我々妖精にとって、シキナは命の源なのです。
この地の妖精はシキナを通じて魔力を得ております。
村の中央にある泉にシキナを落とし祈りを捧げることで、我々は魔力を得て、この命を長寿へと導くのです。
咲かなくなってからは、私の魔力を皆に注いでおりましたが、もう限界が近いと感じておりました。
これで、私どもは身も心も救われます。本当に…本当にありがとうございます…」
セシリア様から教えてもらった、シキナの存在意義。
それは、妖精たちにとって命を繋ぐための、大切な花だった。
今回、シンゴが覚醒して助けてくれたおかげで、妖精たちとセシリア様の命が、ちゃんと繋がったということが、心から嬉しかった。
このまま咲かない状態が続いていたらと思うと…本当に、恐ろしいことだったんだな。
そんなことを考えていると、セシリア様が俺たちに提案をしてくれた。
「ヨシヒロ殿、フェンリル殿、そして皆々様…
今宵はこちらでゆっくりとお休みいただき、明日改めてお礼の場を設けさせていただけないでしょうか?」
「うむ。有難い話だが、我々は早々に帰らねばならぬ。
今宵は休ませてもらうが、明日の朝にはこの地を出発したい。
こやつにはまだ従魔がいてな、皆こやつの帰りを待っているのだ。」
「そうでしたか…。では、日を改めて感謝の気持ちを形にさせていただけないでしょうか?」
「そうだな。そうしてもらえると助かる。」
「承知いたしました。では、今宵はこちらでゆっくりお過ごしください。
デイジー、案内を頼みましたよ。」
「はい!お任せください!」
セシリア様の提案はありがたかったけれど、俺が長居するのがあまり得意じゃないことを、ロウキはちゃんと分かってくれていたようだった。
ロウキの言葉に、セシリア様は優しく微笑み、日を改めて何かしてくださることになった。
ということは、もう一度ここに来るのかな?それとも、セシリア様たちが俺の領地に来てくれるのかな?
もし来てくれたら、皆きっと喜ぶだろうなぁ。
なんて思いながら、無事にシキナを咲かせることができて本当に良かったなと、
しみじみ感じつつ、デイジーさんに案内されたゲストハウスのベッドに、思いきりダイブした。
今日はすごい奇跡を見せてもらった夜だったな…と思い返しながら、これでユキの願いも王都の人たちの願いも叶えられそうだ。
今日は心の底から、シンゴの行いに感謝だな。そう思いながらゆっくりと瞼が閉じていった―…。
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【あらすじ】
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彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
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