魔王と噂されていますが、ただ好きなものに囲まれて生活しているだけです。

ソラリアル

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106話 “またね”が“また会えたね”に変わるその日まで

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シキナを受け取ってから一週間。
明日はいよいよ花冥祭の本番。
今日は前夜祭として、王都全体がお祭りムードに包まれ、準備が進められていた。
アーロンさんは俺との約束を守ってくれて、王都全体に報告と警告文を出してくれた。
その中には、「シキナを守るため、魔王とその従魔が警備を担当する」という文も添えられていた。
ちょっと変な感じだけど、事前に告知しておいた方が、皆が驚かずに済むからな。
そう思いながら、俺は一人で王都に来ていて、ガーノスさんたちと一緒に準備を進めていた。


「しかし、本当にシキナが存在するとは驚きだよな。
話を聞いた時は、おとぎ話としか思えなかっただろ?」

「まぁ、そうでしょうね。俺も最初は実在するなんて思っていませんでした。
でも、セドラから話を聞いて、長寿のセドラが言うなら本当にあるのかも?って思うようになったんです。」

「それを本当に見つけてくるんだから、ヨシヒロは大したもんだよ。
アーロンが王座に就いてから、ずーっと探してたからな。」

「ええ?そんなに探してたんですか?結構無謀なことしてますね…。
何でそんなに必死だったんでしょう?この地に住む民のためとはいえ、頑張りすぎじゃないですか?」

「まぁな…。」


屋台の準備や町の飾り付けを手伝いながら、俺たちは今回のシキナについて話していた。
まさかアーロンさんが国王になってから毎年探していたとは思わなくて、
「どうしてそこまでして?」という疑問が頭に浮かんだ。
すると、ガーノスさんは一瞬黙り込んだあと、静かに教えてくれた。


「あいつが異国で学生をやってた頃の話だ。
その頃は、俺たちがまだ一緒に戦っていた時期でな。
俺のパーティは毎回極秘でアーロンの護衛任務を言い渡されていて、異国に行くまでの道中を同行していたんだ。
ある時その異国に…ギルティス帝国って言うんだが、そこに魔物の軍勢が襲来してきてな。
俺たちパーティも、アーロンも当然一緒になって戦ったんだが…」

「…だが?」

「その時、魔物と戦っていたアーロンが、別の魔物にやられそうになってな…。
パーティの仲間がアーロンを庇って…命を落とした。
けどな、あの状況じゃ誰が死んでもおかしくなかった。
それでもアーロンは、自分を責め続けてる。
今でもあの時のことをたまに話すが、“申し訳ない”って、ずっと言ってる。
だからアーロンは、自己満かもしれないが、きちんと謝りたいんだろうなと思ってる。
そして、可能であれば、そいつの両親にも会わせたいんだろう…」

「そんな過去があったんですね…だから俺に依頼を…」


ガーノスさんから教えられた、アーロンさんがシキナを探し続けていたもう一つの理由。
それを聞いた俺は、胸がぎゅっと苦しくなった。
この世界では、戦争もあるだろうし、魔物が存在する以上、襲撃に遭うこともある。
そんな中で、皆が必死に戦って命を繋いできた。
それと同時に、多くの命が空へ還っていくこともまた事実。
そして、自分を庇って命を落とした仲間のことを、今でも想い続け、
自分のせいだと責め続けているアーロンさんは、どれだけ辛い思いをしてきたのだろう。
そう考えると、自然と胸が痛くなった。
今回、シキナを持ち帰れたことで、少しでもアーロンさんが背負ってきたものを軽くできるだろうか。
ほんの少しでもいいから…そう願わずにはいられなかった…










その日の夜―


日が落ちるまで準備に明け暮れていた俺は、ようやく家に戻ってくることができた。
俺にとっては、ある意味ここからが本番。
一足先に祈りを捧げて、ユキの母親であるユアさんとの対面を実現させようと思っていたからだ。
当日は警備でゆっくりしていられないからな。
今日は前夜祭なので、俺たちがいなくても問題はない。
それに、シキナの管理が難しいということで、俺が預かっていることもあり、盗難の心配もなかった。


「主、ドキドキするな!」

「そうだな!俺もこういうのは初めてだから、どんな風になるのかドキドキだよ!」


皆で食事を囲みながら、これから目にするであろう奇跡を前に、何だかずっと胸が高鳴っていた。
ユキだけでは悪いかなと思った俺は、「会いたい人がいるなら言ってごらん」と皆に声をかけた。
でも、今年はユキとロウキが主役だからと、誰もが譲ってくれて、その仲間思いな姿に、思わずジーンときた。

ユキとロウキはというと、さっきから何だか様子がおかしい。
というより、そわそわしているのが伝わってきた。
そりゃそうだよな。ユキは初めて母親に会うわけだし、ロウキにとっては、同じ時間を共有してきた最愛の女性だもんな。
そう思うと、そわそわするのも当然で、何だかとても微笑ましく思えていた。


「さてと。ご飯も食べたし、やりますか?」

「おー!いよいよだな!楽しみ!」

「あるじさま…僕はドキドキしすぎて心臓が大変です!」

「あはは、そうだよな?初めてお母さんに会うもんな?
大丈夫だよユキ。しっかりお母さんとお話しな。」

「は、はい…」


食事を終えた俺たちは、ユアさんの碑石の前にお供えしていた果物を少し避け、シキナを一輪取り出してその隣に置いた。
そして、ユキとロウキに前に立ってもらい、二人に祈りを捧げるよう伝えた。
その後ろ姿を見ているだけで、胸が締めつけられるようだった。
父と子が、亡き妻・亡き母に再会を願う姿は、あまりにも儚くて、切なくて。
俺はぐっと堪えながら、心の中で祈った。
ユアさん、どうか…どうか二人の前に姿を現してやってください!
両手を合わせ、目を閉じて、そう祈っていた時だった。

風もないのに、突然ふわりと浮かび上がったシキナ。
微かに発光する花びらの光が、天へと昇り始めた。
その光景はまるでオーロラのように美しく、言葉を失った。
ロウキは驚きながらも、じっとその光を見つめ、
ユキは少しだけ不安そうに、その光を見つめていた。
次の瞬間―
天に昇っていた光が、ユアさんの碑石を包み込んだ。
そして、その光の中から、半透明ながらも生前の面影を残す、美しいフェンリルがそっと姿を現した。
このフェンリルがユアさんか…。
本当に、ユキそっくりだな…
そう思うだけで、目頭が熱くなった。


「…ゆ…あ…」

「あなた…本当に…あなたなのね?」

「ああ…我だ。今は…ヨシヒロという人間の従魔となり、ロウキという名を貰った。
ヨシヒロは、お前の名も付けてくれたのだ。
ユア…ヨシヒロの世界の文字で、“優しい愛”と書くそうだ。
そして、これが我らの愛しい息子、ユキだ。“幸せ”という文字を書いてユキと読む。
ユア…会いたかった…」

「私の名前…ユア…とても素敵なお名前ね?
それにロウキにユキ…なんて良い名前なのでしょう。
ユキ…もっとこちらへおいで。」

「は、は…母上っ…僕は…僕はずっと…お会いしたかった…お会いしたかったのです…」

「ええ。私もですよ、ユキ。
あなたが成長する姿を見たいと、ずっと願っていました。
その願いが今日、ようやく叶いましたね。ユキ、立派になって…母は幸せですよ。」

「ううっ…母上っ…ははうええええっ…!」


ユアさんが現れた瞬間、ロウキの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
それをぐっと堪えながら、ロウキは自分の名前、ユアさんの名前、ユキの名前について語った。
そしてユキを紹介すると、ユアさんの瞳はさらに優しくなった。
ああ、母親の眼差しそのものだ。そう思いながら、俺はそのやり取りを見守っていた。
ユキは、ようやく会えた母親に、最初は声を震わせながら、それでもしっかりと「会いたかった」と口にした。
けれど、ユアさんが優しく話しかけてくれた瞬間、すっかり子供に戻って、声をあげて涙を流した。
いつも冷静なユキだけど、本当はこうして泣いたり甘えたりしたかったんだよな。
だって、まだ子供なんだもん。
だけど、ロウキを見て育ち、仲間を守ろうとする強い気持ちが、ユキに背伸びをさせて、子供らしさを押し込めていたんだろうな。

だから、今は…今だけは、ちゃんと子供に戻っていいと思うんだ。
ようやく親子が揃ったんだから、甘えて甘えて、「やめなさい」と言われるくらい甘えたらいい。
俺は、心からそう思っていた。

そんなことを思っていると、ユアさんがこちらへ視線を向けて、静かに語りかけてきた。


「ヨシヒロ様。この度は、夫と息子の名だけでなく、故人である私の名まで授けてくださり、心より感謝申し上げます。
“ユア”という名前、とても気に入っております。そして、“ロウキ”に“ユキ”。
こんなにも素敵なお名前を授けてくださり、私はとても幸せを感じています。」

「いえ…そんな。俺にとって、ロウキもユキも大切な存在です。
だから、そんな二人が愛した人に名前がないのは、違う気がしたんです。」

「ありがとう…ヨシヒロ様。
あの…私からのお願いがございます。どうか、この先も夫と息子のことを、よろしくお願い申し上げます。
私は微力ながら、いつもお二人を…そしてヨシヒロ様ご一行を、この地から見守っております。」

「ユアさん…ありがとうございます…こちらこそ、よろしくお願いします…!」


まさか俺にまで話しかけてくれるとは思っていなかったから、驚いた。
ユアさんの優しく柔らかな口調は、聞いているだけで心地よくて。
その笑顔は、誰もを癒すような、そんな存在に思えた。
ロウキが惹かれるのも、分かる気がした。

そして、ユキとロウキが愛おしそうにユアさんと話す姿を見ていると、
ちゃんと話せる機会ができて、本当に良かったなと心から思えた。
それもこれも、妖精の住処の皆のおかげであり、
シキナを蘇らせてくれたシンゴのおかげだ。

そんなことを考えながら俺は思っていた。
ずっと心の中にしまっていた想いを、こうして直接伝えられる。
それは、当たり前なんかじゃなく、まさに“奇跡の時間”なんだ。
その奇跡の時間を与えてくれた、すべてのことに感謝しなくちゃ。

そう思いながら、満天の星空を見上げて、
「ありがとう」と心の中で、そっと呟いた。


「あなた、ユキ…そろそろ行かなくちゃ。」

「え?!母上、もう行くのですか?!」

「ええ…。この時間は奇跡の時間。そう長くは続かないのですよ、ユキ。」

「寂しい…です…」


しばらく親子水入らずで話していたけれど、奇跡の時間はそう長くは続かないようで。
ユアさんが「行かなくちゃ」と言うと、ユキは目に涙を浮かべて「寂しい」と口にした。
そんなユキの頭を、ユアさんはそっと撫でた。
実際に触れられるわけではないけれど、ユアさんの手にユキは嬉しそうにしていた。


「私も寂しいけどね、ユキ。でもね、またこうして会える日がくるから。
次に会えるまでに、たくさん成長して、またお話を聞かせてくれるかしら?」

「…はい!僕、また母上にたくさんお話できるように頑張ります!
あるじさまと、父上と、皆と一緒に!」

「楽しみにしているわね、ユキ。
そしてあなた…ユキのこと、よろしくお願いしますね?
あまり無茶をしないでくださいね?それに、ヨシヒロ様を困らせちゃダメですよ?」

「なっ…我がいつ困らせたのだ!我はいつもこやつの面倒をだな―」

「ふふっ!私にはすべてお見通しなんですからね?」

「ぬぐぐっ…」


ユアさんが「また会える日が来る」と言い、ロウキに「ヨシヒロ様を困らせちゃダメ」と言った時、ロウキはギョッとしていた。
こんな表情を見せるのは初めてだな。
そんなロウキは一生懸命反撃していたけれど、そのやり取りが懐かしいのか、ユアさんとロウキの表情はずっと愛おしそうなままだった。


「…それじゃあ、またね。ロウキ、ユキ。」

「ああ…また来年な。」

「母上っ…会えて嬉しかったです!また来年、必ず会いましょうね!」

「ええ。また来年ね。
それでは皆様、今宵は素敵な時間をくださり、感謝申し上げます。
本当にありがとう…また来年、お会いしましょう。」


奇跡の時間はあっという間に終わりを告げた。
光の中にそっと消えていくユアさん。その光が消えるまで、ロウキとユキはじっと黙って見つめていた。

別れは、いつの時代も、どんな時もやっぱり寂しいものだ。
「またね」と言われると、少しだけ切なくなる。

だけど、この「またね」を胸に、俺たちは明日からまた歩いていくんだ。
「またね」が「また会えたね」に変わるその日まで―…。
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