112 / 125
112話 声の内容について教えてもらいました
しおりを挟む
ギルドにいたガーノスさんを呼び止め、事情を話すと「しばらく待ってくれ」と言われ、俺たちは待機することにした。
それから約30分ほど経ち、ようやくガーノスさんの手が空いたようで、別館へと顔を出してくれた。
「悪いな、待たせちまって。今日はやけに魔物討伐の報告が多くてな。
地域ごとにまとめていたところだ。
万が一、大事になりそうならヨシヒロたちにも依頼を出させてもらうから、頼むぞ。」
「うう…分かりました。」
「ところで、今日はどうしたんだ?」
魔物討伐の報告が多いと、面倒くさそうに言うガーノスさん。
この辺りで魔物討伐の報告が増えているって、ちょっと怖いな…。
できれば討伐依頼なんて受けたくない。
そう思っていたところで、俺より先にロウキが口を開いた。
「ガーノスよ。最近、“迷いの樹海”に誰か派遣したか?」
「…何故それを知っている?」
「我らが育てている“心願樹”という、植物の姿をした精霊がいるんだが、
通称“追憶の欠片”と呼ばれていて、人間の感情を吸収し、記憶する性質を持つ。
感情魔力をエネルギー源としていてな、毎日のように誰かの感情を口にして、やかましくて仕方がない。
その中の言葉に、こうあった。
“森の洞窟に閉じ込められている”“一人で向かわせてごめんなさい”と。
その意味を知るべく、ここに来たというわけだ。」
「なんじゃその植物は…すげぇもん育ててんだな…。」
「先日の花冥祭で、感情があまりにも多く動いたこともあって、突発的に生まれたのだ。
で?どうなのだ?迷いの樹海に、何かあるのか?」
ロウキはコダマのことを説明し、そのコダマが口にした言葉の意味を探るためにここへ来たと伝えた。
すると、ガーノスさんの眉がピクリと動いた。何かあると感じるのは当然だ。
それは、口にしたくないことなのだろうか?
そう思いながら、俺はガーノスさんの言葉を静かに待った。
「お前たちと出会う前…そうだな、ちょうど1年前くらいだったか?
ルセウスのところの騎士団の第二部隊の騎士の一人が“迷いの樹海”に出かけた。
理由は馬鹿げててな。
第二部隊の中で仲の良い連中が何人かいて、当時、同じ女を好きだったらしい。
で、その女がこう言ったんだ。
“迷いの樹海にあるとされる『ルミグミ』を取ってきた人と付き合う”ってな。」
「ええ…ルミグミなら、うちにいっぱいありますけど…
立ち入り禁止エリアでしたから、無理だったんですね…」
「ああ。ルミグミは昔から“幻の果実”として有名だったからな。
他の騎士たちは“無理無理”って笑ってたそうだが、
皆がその話を忘れた頃に、騎士の一人がそれを真に受けて、迷いの樹海に行っちまった。
そして…帰ってこなくなった。
誰ももうルミグミの話なんて覚えてなかったからな。
無断欠勤を続けた末に、逃げて辞めたんだろうって思われてた。
でも…その女が、罪の意識に耐えられなくなったんだろうな。
別の騎士に、“あの人、迷いの樹海に行くって言ってた”って話したことで、ようやく発覚したんだよ。」
「愚かな女子だな。…もっと早く言っておれば、そやつは助かったかもしれんというのに。」
「そうだな…。
一応、ルセウスが命じて、副団長のランティスが第二部隊を連れて迷いの樹海に捜索に行ったことはあるんだが…
結局、何も分からずじまいだった。」
「そうだったんですね…」
ガーノスさんから聞いた“迷いの樹海”で起きた出来事。
事件というか、事故というか…。
その話を聞いた俺は、何とも言えない気持ちになった。
“好きな人に振り向いてほしくて頑張った”。そう言えば聞こえはいい。
でも、内容を聞く限り、彼女に利用されたんじゃないかとも思えてしまった。
だけど、自分の軽はずみな言葉のせいで、一人の青年が危険な場所へ向かい、
帰らぬ人になったかもしれない。そう知ったら、冷静ではいられないはずだ。
バカなことをしたなその人。そう思わずにはいられなかった。
「結局、分からぬままなんだろう?」
「そうだな…。迷いの樹海の調査は、思うようにはいかなかった。
ルセウスもランティスも諦めたくはなかったが、アーロンが捜索を打ち切らせたんだ。
“自分の大切な人間を、これ以上失うわけにはいかない”ってな。」
「苦渋の決断でしたね…」
「ああ…。まあ、アーロンの言うことも分かるからな。何とも言えねぇって感じだったぜ。」
ロウキが「帰らぬままなんだろう?」と訊き、ガーノスさんは静かに頷いた。
アーロンさんが捜索を打ち切った理由も、よく分かる。
何とも言えない、辛い状況だったんだな…。
そして、コダマが記憶していた“悲しい声”はその彼女の懺悔だったんだろう。
1年前、あんなことを言ってしまってごめんなさいという懺悔。
まだ人間らしい心が残っていたんだなと思うと同時に、
自分の言葉の重さを自覚して、二度と同じようなことは言わないでほしい。
そんな思いが、自然と胸に湧いていた。
「ガーノスさん、辛い話を教えてくださってありがとうございます。」
「いや、大丈夫だ。…ってわけだからよ。
お前たちも、あの森には近づかないでくれよ?
お前たちまで失ったら、俺は本当に泣くからな?」
「はは、分かりました。大丈夫ですよ。
俺、のんびり生活したいので、そういう危険な場所には行きませんから。」
「ははは、そうだったな?
んじゃあ、俺は仕事に戻るわ。また今度、ゆっくり飯でも食いながら話そう。」
「はい!ありがとうございました!」
ガーノスさんに「絶対に行くなよ」と念を押された迷いの樹海。
当たり前だけど、行くつもりなんてなかった。
そんな恐ろしい場所に、俺が行くはずがない。
そう思いながら、ひとまずゲートをくぐって家に戻ると、ミルたちが、他の子たちに何があったのかを話し始めていた。
…良くないよなぁ、こういうの。
だって俺、分かっちゃうから。皆が、なんて言うのか。
聞こえないふりをしたいけど、どうしたらいいんだろうか。
そう思っているうちに、事情の説明が終わり、皆が口をそろえて言い始めた。
「主、行くよな?」
「あるじさま、生きてはいないでしょうけど、連れて帰ってあげた方がいいのではないでしょうか?」
「私もついて行くわよ、ヨシヒロ様。」
「パッパ!モモも行く!」
「シンゴもー!お助けする!」
ほらね。そう言うと思ってたんだよ。
分かってたよ、皆がこの手の話を聞いて放っておけるわけがないって。
しかも、モモやシンゴまで皆に似てきて「一緒に行く」なんて言い出すなんて…。
さすがに危ないからダメだろうと思いながらも、どうしたものかと悩んでいた。
「ロウキ、どうすればいいんだよこれ…」
「全員連れて行けばよかろう。
この領地には誰も入れはせんし、危ないようなら馬車の中に待機させておけばよい。
ガーノスに言って、馬を借りてくるのだ。」
「えええ…全員で行くのか?大丈夫かよ…」
「たまには全員で出かけるのも悪くなかろう?」
「いやいや…いやいやいや…」
「クロ、ガーノスに馬を借りられるか確認してこれるか?」
「いいぜ!ユキ、行こうぜー!」
「行きましょう!クロ兄さん!」
「また勝手に…」
悩んでいる俺に、ロウキは「皆で出かけたらよい」と、また適当なことを言い始めた。
さすがに無理だろうと思っていたけど、「馬車に待機させればいい」という一言で、
その場にいた全員が“迷いの樹海に行く気満々”になってしまった。
クロはユキと一緒にガーノスさんのところへ向かってしまったし、
ラピスたちは眷属の子たちに「出かけてくるから、いい子にしててね」と説明を始めていた。
シンゴはモモとあっくんに向かって、「お外は危ないから、パッパの言うことをちゃんと聞くんだよ」と、すっかりお兄ちゃんモード。
…もうダメだね。
また収拾がつかなくなっちゃった。もう、行くことが決定だな。
迷いの樹海って、どんなところなんだろうか…。
俺、死んじゃったりしないよな?
そんな不安しかないけど、もし騎士団の人らしき人物がいた場合は、どうにかして連れて帰る方向で考えていた。
「諦めるのが早くなったのではないか?」
「皆のせいだからな?」
「フン!そうさせておるのは、お前だからな。」
「俺が何をしたっていうんだよ…!」
「まぁ、とにかく出かける準備をしておくのだ。」
「はいはい。じゃあ、準備しますかね。」
ロウキは、俺が“行かない”ことを諦めて、皆と一緒に行くと決めたのが分かったのか、
ニヤニヤと笑っていた。
そして、「皆がこうなったのはお前のせいだ」と言っていたけど、
俺が一体、皆に何をしたっていうんだよ…。
なんて、分からないことを考えても仕方がないから、
俺はミルと一緒に、出かけるための食事作りを始めた。
何が起こるか、まったく予想はつかないけど、今回も、とにかく無事に帰ってこられますように。
そう祈りながら、出かける支度をしていた―…。
それから約30分ほど経ち、ようやくガーノスさんの手が空いたようで、別館へと顔を出してくれた。
「悪いな、待たせちまって。今日はやけに魔物討伐の報告が多くてな。
地域ごとにまとめていたところだ。
万が一、大事になりそうならヨシヒロたちにも依頼を出させてもらうから、頼むぞ。」
「うう…分かりました。」
「ところで、今日はどうしたんだ?」
魔物討伐の報告が多いと、面倒くさそうに言うガーノスさん。
この辺りで魔物討伐の報告が増えているって、ちょっと怖いな…。
できれば討伐依頼なんて受けたくない。
そう思っていたところで、俺より先にロウキが口を開いた。
「ガーノスよ。最近、“迷いの樹海”に誰か派遣したか?」
「…何故それを知っている?」
「我らが育てている“心願樹”という、植物の姿をした精霊がいるんだが、
通称“追憶の欠片”と呼ばれていて、人間の感情を吸収し、記憶する性質を持つ。
感情魔力をエネルギー源としていてな、毎日のように誰かの感情を口にして、やかましくて仕方がない。
その中の言葉に、こうあった。
“森の洞窟に閉じ込められている”“一人で向かわせてごめんなさい”と。
その意味を知るべく、ここに来たというわけだ。」
「なんじゃその植物は…すげぇもん育ててんだな…。」
「先日の花冥祭で、感情があまりにも多く動いたこともあって、突発的に生まれたのだ。
で?どうなのだ?迷いの樹海に、何かあるのか?」
ロウキはコダマのことを説明し、そのコダマが口にした言葉の意味を探るためにここへ来たと伝えた。
すると、ガーノスさんの眉がピクリと動いた。何かあると感じるのは当然だ。
それは、口にしたくないことなのだろうか?
そう思いながら、俺はガーノスさんの言葉を静かに待った。
「お前たちと出会う前…そうだな、ちょうど1年前くらいだったか?
ルセウスのところの騎士団の第二部隊の騎士の一人が“迷いの樹海”に出かけた。
理由は馬鹿げててな。
第二部隊の中で仲の良い連中が何人かいて、当時、同じ女を好きだったらしい。
で、その女がこう言ったんだ。
“迷いの樹海にあるとされる『ルミグミ』を取ってきた人と付き合う”ってな。」
「ええ…ルミグミなら、うちにいっぱいありますけど…
立ち入り禁止エリアでしたから、無理だったんですね…」
「ああ。ルミグミは昔から“幻の果実”として有名だったからな。
他の騎士たちは“無理無理”って笑ってたそうだが、
皆がその話を忘れた頃に、騎士の一人がそれを真に受けて、迷いの樹海に行っちまった。
そして…帰ってこなくなった。
誰ももうルミグミの話なんて覚えてなかったからな。
無断欠勤を続けた末に、逃げて辞めたんだろうって思われてた。
でも…その女が、罪の意識に耐えられなくなったんだろうな。
別の騎士に、“あの人、迷いの樹海に行くって言ってた”って話したことで、ようやく発覚したんだよ。」
「愚かな女子だな。…もっと早く言っておれば、そやつは助かったかもしれんというのに。」
「そうだな…。
一応、ルセウスが命じて、副団長のランティスが第二部隊を連れて迷いの樹海に捜索に行ったことはあるんだが…
結局、何も分からずじまいだった。」
「そうだったんですね…」
ガーノスさんから聞いた“迷いの樹海”で起きた出来事。
事件というか、事故というか…。
その話を聞いた俺は、何とも言えない気持ちになった。
“好きな人に振り向いてほしくて頑張った”。そう言えば聞こえはいい。
でも、内容を聞く限り、彼女に利用されたんじゃないかとも思えてしまった。
だけど、自分の軽はずみな言葉のせいで、一人の青年が危険な場所へ向かい、
帰らぬ人になったかもしれない。そう知ったら、冷静ではいられないはずだ。
バカなことをしたなその人。そう思わずにはいられなかった。
「結局、分からぬままなんだろう?」
「そうだな…。迷いの樹海の調査は、思うようにはいかなかった。
ルセウスもランティスも諦めたくはなかったが、アーロンが捜索を打ち切らせたんだ。
“自分の大切な人間を、これ以上失うわけにはいかない”ってな。」
「苦渋の決断でしたね…」
「ああ…。まあ、アーロンの言うことも分かるからな。何とも言えねぇって感じだったぜ。」
ロウキが「帰らぬままなんだろう?」と訊き、ガーノスさんは静かに頷いた。
アーロンさんが捜索を打ち切った理由も、よく分かる。
何とも言えない、辛い状況だったんだな…。
そして、コダマが記憶していた“悲しい声”はその彼女の懺悔だったんだろう。
1年前、あんなことを言ってしまってごめんなさいという懺悔。
まだ人間らしい心が残っていたんだなと思うと同時に、
自分の言葉の重さを自覚して、二度と同じようなことは言わないでほしい。
そんな思いが、自然と胸に湧いていた。
「ガーノスさん、辛い話を教えてくださってありがとうございます。」
「いや、大丈夫だ。…ってわけだからよ。
お前たちも、あの森には近づかないでくれよ?
お前たちまで失ったら、俺は本当に泣くからな?」
「はは、分かりました。大丈夫ですよ。
俺、のんびり生活したいので、そういう危険な場所には行きませんから。」
「ははは、そうだったな?
んじゃあ、俺は仕事に戻るわ。また今度、ゆっくり飯でも食いながら話そう。」
「はい!ありがとうございました!」
ガーノスさんに「絶対に行くなよ」と念を押された迷いの樹海。
当たり前だけど、行くつもりなんてなかった。
そんな恐ろしい場所に、俺が行くはずがない。
そう思いながら、ひとまずゲートをくぐって家に戻ると、ミルたちが、他の子たちに何があったのかを話し始めていた。
…良くないよなぁ、こういうの。
だって俺、分かっちゃうから。皆が、なんて言うのか。
聞こえないふりをしたいけど、どうしたらいいんだろうか。
そう思っているうちに、事情の説明が終わり、皆が口をそろえて言い始めた。
「主、行くよな?」
「あるじさま、生きてはいないでしょうけど、連れて帰ってあげた方がいいのではないでしょうか?」
「私もついて行くわよ、ヨシヒロ様。」
「パッパ!モモも行く!」
「シンゴもー!お助けする!」
ほらね。そう言うと思ってたんだよ。
分かってたよ、皆がこの手の話を聞いて放っておけるわけがないって。
しかも、モモやシンゴまで皆に似てきて「一緒に行く」なんて言い出すなんて…。
さすがに危ないからダメだろうと思いながらも、どうしたものかと悩んでいた。
「ロウキ、どうすればいいんだよこれ…」
「全員連れて行けばよかろう。
この領地には誰も入れはせんし、危ないようなら馬車の中に待機させておけばよい。
ガーノスに言って、馬を借りてくるのだ。」
「えええ…全員で行くのか?大丈夫かよ…」
「たまには全員で出かけるのも悪くなかろう?」
「いやいや…いやいやいや…」
「クロ、ガーノスに馬を借りられるか確認してこれるか?」
「いいぜ!ユキ、行こうぜー!」
「行きましょう!クロ兄さん!」
「また勝手に…」
悩んでいる俺に、ロウキは「皆で出かけたらよい」と、また適当なことを言い始めた。
さすがに無理だろうと思っていたけど、「馬車に待機させればいい」という一言で、
その場にいた全員が“迷いの樹海に行く気満々”になってしまった。
クロはユキと一緒にガーノスさんのところへ向かってしまったし、
ラピスたちは眷属の子たちに「出かけてくるから、いい子にしててね」と説明を始めていた。
シンゴはモモとあっくんに向かって、「お外は危ないから、パッパの言うことをちゃんと聞くんだよ」と、すっかりお兄ちゃんモード。
…もうダメだね。
また収拾がつかなくなっちゃった。もう、行くことが決定だな。
迷いの樹海って、どんなところなんだろうか…。
俺、死んじゃったりしないよな?
そんな不安しかないけど、もし騎士団の人らしき人物がいた場合は、どうにかして連れて帰る方向で考えていた。
「諦めるのが早くなったのではないか?」
「皆のせいだからな?」
「フン!そうさせておるのは、お前だからな。」
「俺が何をしたっていうんだよ…!」
「まぁ、とにかく出かける準備をしておくのだ。」
「はいはい。じゃあ、準備しますかね。」
ロウキは、俺が“行かない”ことを諦めて、皆と一緒に行くと決めたのが分かったのか、
ニヤニヤと笑っていた。
そして、「皆がこうなったのはお前のせいだ」と言っていたけど、
俺が一体、皆に何をしたっていうんだよ…。
なんて、分からないことを考えても仕方がないから、
俺はミルと一緒に、出かけるための食事作りを始めた。
何が起こるか、まったく予想はつかないけど、今回も、とにかく無事に帰ってこられますように。
そう祈りながら、出かける支度をしていた―…。
25
あなたにおすすめの小説
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。
家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティ。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
そう言ってくれた彼らの言葉を信じて、
俺は毎日、必死でついていった。
何もできない“つもり”だった。
それでも、何かの役に立てたらと思い、
夜な夜なダンジョンに潜っては、レベル上げを繰り返す日々。
だけど、「何もしなくていい」と言われていたから、
俺は一番後ろで、ただ荷物を持っていた。
でも実際は、俺の放った“支援魔法”で仲間は強くなり、
俺の“探知魔法”で危険を避けていた。
気づかれないよう、こっそりと。
「役に立たない」と言われるのが怖かったから、
俺なりに、精一杯頑張っていた。
そしてある日、告げられた言葉。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
そうして俺は、静かに追放された。
もう誰にも必要とされなくてもいい。
俺は俺のままで、静かに暮らしていく。そう決めた。
……と思っていたら、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、
また少し、世界が騒がしくなってきたようです。
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる