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122話 懺悔室の告白と、湖にいたアレについて
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あれから王城の王国騎士団施設には献花台が設けられ、皆が祈りを捧げながらマークさんを囲み、思い出話に花を咲かせていた。
そして、マークさんのご両親に連絡を取ろうとしたが、ご両親は失踪後に王都を離れ、別の村落へ移住していたらしい。
すぐに馬を走らせ、一週間後にご両親が再び王都へとやって来て、マークさんとの対面を果たした。
その場に俺も立ち会わせてもらい、あの時の出来事を話したり、ご両親からマークさんについて教えてもらったりして、その日は過ごした。
とてつもなく苦しい時間ではあったけど、ご両親から「見つけてくれてありがとう」と言われた時、少しだけホッとすることができた。
ただ、当時マークさんたちに迷いの樹海のルミグミの話をした彼女だけは現れなかった。
だけど、俺が彼女の立場だったら、この場に来る勇気はきっと持てなかったと思う。
自分の言葉一つで人の命が奪われた。そう感じているのは目に見えて分かる。
帰ってこられたと聞いても、「会いに行こう」「謝りに行こう」とすぐには思えないだろう。
その辺は俺が口を出すことではない。時期が来ればきっと会えるはずだ。
そう思い、何も言わずにいた。
そして帰り道、エトワール教会の扉が少し開いているのが気になり、そっと中へ入ると、ダニエル神父の前で膝をつき懺悔をする女性の姿があった。
こちらに気づいた神父に「シッ」と人差し指を口元に立てられ、俺は静かにその女性の言葉を聞いた。
「本来であれば私は王城に出向き、マークのご両親に謝罪をすべきでした…
しかし、私は出来ませんでした…大事な息子を死に追いやったのが私だと知られるのが怖かった…
そして、責められるのもまた怖くて…私は…私はとんでもなく最低な人間ですっ…」
ダニエル神父にそう告げる彼女の声は震えていた。
だけど、その言葉の重さは教会の静寂の中に響き渡り、俺の心を強く締め付けた。
「…私は、マークにルミグミの話をしました。
取ってきた人と付き合うなんて言ってしまった。
実際、私は誰とも付き合うつもりはなかった。
だから、無理難題を言えば諦めるだろうと、自分勝手な考えで…
だけど、その言葉を…マークが本気にして、命を落としてしまった。
すべて、私の、たった一つの言葉が…人を殺しました…
神父様……私はどうすれば…
ご両親に謝罪をする勇気も、罰を受ける覚悟も持てない、臆病で卑怯な人間です…。
今年、魔王様が用意してくださったシキナに祈りを捧げてマークに会えていたら…少しは違ったのでしょうか…」
彼女は胸の内にある正直な気持ちを懺悔の言葉として吐き出していた。
ご両親がマークさんの死を嘆いたのと同じくらい、彼女もまた、自分の罪によって地獄のような苦しみを味わっているのだろう。
ただ、ご両親は「何がきっかけで森に出かけたのか知らない」と言っていた。
ということは、この事実がご両親の耳に入った時のことを考えると、恐ろしくて仕方がない。
そう思う彼女の気持ちは理解できた。
そんな彼女に対し、ダニエル神父は黙って話を訊き、ひとしきり語り終えたところで手を差し伸べ、立ち上がるよう促した。
そして、ゆっくりとした口調で彼女に語りかけた。
「神は、過ちを悔い、立ち上がろうとする者を追い詰めたりはしません。
あなたは今、マークさんへの過ちの重さを受け止め、ここで悔い改めています。
その罪を償う方法は、ただ死を待つことではない。ましてや自分から命を絶とうとしないでください。」
「神父様…私の気持ちを…分かっているのですね…」
「選択を間違えたのは言うまでもありませんが、あなたはそれほどまでにマークさんに愛されていたというのもまた事実。
その想いに応えられなくても、これから先、彼が命をかけて手に入れようとした『愛』の重さを忘れずに、愛することの意味を探し続けることが、償いになるかもしれませんね。」
「愛の重さ…愛することの意味…ですか…
私は…愛を知ることを許されるのでしょうか?」
「愛は、神が全ての人に与えた光です。
あなたは今、その光に背を向け、闇に包まれた状態です。
ですが、過ちから逃げず、その重さを知り、それでもなお、誰かのために心を尽くして生きていくこと。
その道のりそのものが、あなたにとっての償いとなり、やがて愛の意味を教えてくれるでしょう。」
「神父様…」
ダニエル神父の言葉は本当に重く、それでいて彼女の背中をそっと押してくれるようなものだった。
俺は神父の話を訊いたあと、一礼してそっと扉を閉めた。
今、彼女に会ったとしてもどんな言葉をかければいいのか分からないし、神父の言葉以上のものは絶対に出てこないと思ったからだ。
「主、あの人が騎士のこと祈ってた人?」
「そうだよ。あの感じだと、今年は会えなかったみたい。
だけど、祈らずにはいられなかったんだよ。その祈りがコダマに拾われたんだろうな。
…来年はシキナで彼女とマークさんが再会できたらいいね。
そうすれば彼女も彼女のご両親も、ほんの少しでも救われるかもしれないからさ。」
「そっかぁ。会えたらいいな、来年は!」
「では、来年もセシリア様にお願いをしに行かねばなりませんね?」
「そうだなユキ。ユキのユアさんに会うためにも、セシリア様と話し合っていかなきゃだな。」
「はいっ!」
教会を出てギルドへ向かう途中、クロとユキとそんな話をした。
本来なら人間の感情なんて気にすることのない悪魔や魔物。その子たちがこうして他人を心配している姿は、誇らしく思えた。
そして、今回勝手に迷いの樹海へ行って良かった。やっぱり人の心の声はきちんと聞かないといけない。
時には無視することも必要かもしれないけど、きっと俺はこれからもこうして何かを気にして、行動していくんだろう。
本当、のんびりライフはどこへやらって感じだ。
まぁ、これが俺の異世界生活なんだろうな。そう感じていた―…
◇
「魔王様ー!おかえりなさいっ!」
「ミカゲー!ただいまぁ!」
「魔王様のお城、とっても素敵です!向こうの世界とは全然違います!
それに、皆で育てているお野菜も、あっちの湖も澄んでいて大好きです!」
「さすが魔王様って感じだったぜ!」
「二人とも、ここに到着してからずっとこうなのです…」
ゲートをくぐって家に戻ると、一番にミカゲが出迎えてくれた。
どうやらこの場所がすごく気に入った様子で、はしゃぐレツとルイに呆れるリツ。その様子が可愛すぎて笑ってしまった。
そして、ルイが「湖」という言葉を口にしたことで、迷いの樹海でモモが倒した巨大魚の存在を思い出した。
「そういえば、モモがやっつけた巨大魚、あれどうすんの?食べるの?」
「当たり前だろう。せっかくモモが頑張ったのだぞ。ちゃんと食ってやらねば可哀想だぞ、ヨシヒロ。」
「パッパ!モモちゃん頑張ったよ!食べて!」
「だよねー…?ちょ、ひとまず出してみようか…」
巨大魚…正直言って気持ち悪い。
あんなにデカい魚なんて見たことないし…。カジキマグロならテレビで見たことあるけど、異世界の巨大魚ってさ…。
もう形は忘れたけど、気持ち悪かったことだけは覚えている。
皆が期待していることもあって渋々取り出そうとしたけど、重たすぎてミルに引っ張ってもらった。
ドンッ-
「わぁ!何だよこのデカいの…」
「ふむ…。やはり我は知らんな、この生き物…ピラニアか?」
「あ、確かに似てるかも!こんなのによく食べられなかったな、モモ…」
ミルに取り出してもらったのは全長2~3メートルほどの巨大魚。
その見た目はロウキが言うようにピラニアのようで、歯も鋭く、どう見ても肉食系だろうと想像がついた。
そこで俺はロウキと一緒に鑑定スキルを発動。
「これなら正体が分かるだろう」と思い、巨大魚に向けて「ステータスオープン」と唱えた。
そして現れたステータス画面に書かれていた内容に、俺は少し恐怖を覚えた。
「え…迷いの樹海の巨大魚で、種族名なしって書いてるけど…
それに状態が瀕死って…え?この状態で生きてるの?!
しかも何だよこれ…状態異常に獣化って…
何者かが獣化された状態ってなぁに?!ねぇ!!ロウキ!!」
「やかましい!我も見えておるわ!
これは…まぁ、見たまんまだな。
どこかの種族が何者かの手によって強制的に獣化させられたのだろう。
どれだけ恨みを買っておるのだ、こやつは…」
ステータス画面に記されていた異常な状態。
種族名がないのは、獣人以外の何者かが獣化させられたからなのだろうか。
ロウキは「恨みを買ったのでは」と言っていたけど…。
「恨みでここまでするの?!
も、もしかしたら実験に利用された被害者っていう可能性もあるよね?」
「まぁ…無いとは言い切れぬが…ひとまずヒールをかけて湖に放り込んでおかねば死ぬぞ?」
「あああっ!本当だ!!"ハイ・ヒール"!!」
訳の分からない状態に頭がパニックになっていた俺。
するとロウキが冷静に指示を出し、慌ててヒールをかけて、ミルと一緒に湖へ運んだ。
ひとまず泳いでいるから大丈夫だよな?!
もしかしたら、モモが湖に入った時、食べようとしたんじゃなくて助けを求めていたのかもしれない。
…そうだとしても、あんな姿じゃ分からないよなぁ。
というか、やっと迷いの樹海が解決したのに、もう新しい案件?
え?今ホッとしたばかりなんですけど。
なんて思っている後ろで、ロウキたちは巨大魚がいったい誰なのか予想を始めた。
どんな魔法なのか、誰がやったのか、楽しそうに話していて、明らかに関わる気満々。いつものことだけど。
ということは、まずは情報集めですかね。はい。
でも、さすがに今日はメンタルが結構きている。
巨大魚の正体については、また明日から調べてみよう。
そう思いながら、楽しそうに捜査を続ける沢山の魔物探偵たちを見つめていた―…。
そして、マークさんのご両親に連絡を取ろうとしたが、ご両親は失踪後に王都を離れ、別の村落へ移住していたらしい。
すぐに馬を走らせ、一週間後にご両親が再び王都へとやって来て、マークさんとの対面を果たした。
その場に俺も立ち会わせてもらい、あの時の出来事を話したり、ご両親からマークさんについて教えてもらったりして、その日は過ごした。
とてつもなく苦しい時間ではあったけど、ご両親から「見つけてくれてありがとう」と言われた時、少しだけホッとすることができた。
ただ、当時マークさんたちに迷いの樹海のルミグミの話をした彼女だけは現れなかった。
だけど、俺が彼女の立場だったら、この場に来る勇気はきっと持てなかったと思う。
自分の言葉一つで人の命が奪われた。そう感じているのは目に見えて分かる。
帰ってこられたと聞いても、「会いに行こう」「謝りに行こう」とすぐには思えないだろう。
その辺は俺が口を出すことではない。時期が来ればきっと会えるはずだ。
そう思い、何も言わずにいた。
そして帰り道、エトワール教会の扉が少し開いているのが気になり、そっと中へ入ると、ダニエル神父の前で膝をつき懺悔をする女性の姿があった。
こちらに気づいた神父に「シッ」と人差し指を口元に立てられ、俺は静かにその女性の言葉を聞いた。
「本来であれば私は王城に出向き、マークのご両親に謝罪をすべきでした…
しかし、私は出来ませんでした…大事な息子を死に追いやったのが私だと知られるのが怖かった…
そして、責められるのもまた怖くて…私は…私はとんでもなく最低な人間ですっ…」
ダニエル神父にそう告げる彼女の声は震えていた。
だけど、その言葉の重さは教会の静寂の中に響き渡り、俺の心を強く締め付けた。
「…私は、マークにルミグミの話をしました。
取ってきた人と付き合うなんて言ってしまった。
実際、私は誰とも付き合うつもりはなかった。
だから、無理難題を言えば諦めるだろうと、自分勝手な考えで…
だけど、その言葉を…マークが本気にして、命を落としてしまった。
すべて、私の、たった一つの言葉が…人を殺しました…
神父様……私はどうすれば…
ご両親に謝罪をする勇気も、罰を受ける覚悟も持てない、臆病で卑怯な人間です…。
今年、魔王様が用意してくださったシキナに祈りを捧げてマークに会えていたら…少しは違ったのでしょうか…」
彼女は胸の内にある正直な気持ちを懺悔の言葉として吐き出していた。
ご両親がマークさんの死を嘆いたのと同じくらい、彼女もまた、自分の罪によって地獄のような苦しみを味わっているのだろう。
ただ、ご両親は「何がきっかけで森に出かけたのか知らない」と言っていた。
ということは、この事実がご両親の耳に入った時のことを考えると、恐ろしくて仕方がない。
そう思う彼女の気持ちは理解できた。
そんな彼女に対し、ダニエル神父は黙って話を訊き、ひとしきり語り終えたところで手を差し伸べ、立ち上がるよう促した。
そして、ゆっくりとした口調で彼女に語りかけた。
「神は、過ちを悔い、立ち上がろうとする者を追い詰めたりはしません。
あなたは今、マークさんへの過ちの重さを受け止め、ここで悔い改めています。
その罪を償う方法は、ただ死を待つことではない。ましてや自分から命を絶とうとしないでください。」
「神父様…私の気持ちを…分かっているのですね…」
「選択を間違えたのは言うまでもありませんが、あなたはそれほどまでにマークさんに愛されていたというのもまた事実。
その想いに応えられなくても、これから先、彼が命をかけて手に入れようとした『愛』の重さを忘れずに、愛することの意味を探し続けることが、償いになるかもしれませんね。」
「愛の重さ…愛することの意味…ですか…
私は…愛を知ることを許されるのでしょうか?」
「愛は、神が全ての人に与えた光です。
あなたは今、その光に背を向け、闇に包まれた状態です。
ですが、過ちから逃げず、その重さを知り、それでもなお、誰かのために心を尽くして生きていくこと。
その道のりそのものが、あなたにとっての償いとなり、やがて愛の意味を教えてくれるでしょう。」
「神父様…」
ダニエル神父の言葉は本当に重く、それでいて彼女の背中をそっと押してくれるようなものだった。
俺は神父の話を訊いたあと、一礼してそっと扉を閉めた。
今、彼女に会ったとしてもどんな言葉をかければいいのか分からないし、神父の言葉以上のものは絶対に出てこないと思ったからだ。
「主、あの人が騎士のこと祈ってた人?」
「そうだよ。あの感じだと、今年は会えなかったみたい。
だけど、祈らずにはいられなかったんだよ。その祈りがコダマに拾われたんだろうな。
…来年はシキナで彼女とマークさんが再会できたらいいね。
そうすれば彼女も彼女のご両親も、ほんの少しでも救われるかもしれないからさ。」
「そっかぁ。会えたらいいな、来年は!」
「では、来年もセシリア様にお願いをしに行かねばなりませんね?」
「そうだなユキ。ユキのユアさんに会うためにも、セシリア様と話し合っていかなきゃだな。」
「はいっ!」
教会を出てギルドへ向かう途中、クロとユキとそんな話をした。
本来なら人間の感情なんて気にすることのない悪魔や魔物。その子たちがこうして他人を心配している姿は、誇らしく思えた。
そして、今回勝手に迷いの樹海へ行って良かった。やっぱり人の心の声はきちんと聞かないといけない。
時には無視することも必要かもしれないけど、きっと俺はこれからもこうして何かを気にして、行動していくんだろう。
本当、のんびりライフはどこへやらって感じだ。
まぁ、これが俺の異世界生活なんだろうな。そう感じていた―…
◇
「魔王様ー!おかえりなさいっ!」
「ミカゲー!ただいまぁ!」
「魔王様のお城、とっても素敵です!向こうの世界とは全然違います!
それに、皆で育てているお野菜も、あっちの湖も澄んでいて大好きです!」
「さすが魔王様って感じだったぜ!」
「二人とも、ここに到着してからずっとこうなのです…」
ゲートをくぐって家に戻ると、一番にミカゲが出迎えてくれた。
どうやらこの場所がすごく気に入った様子で、はしゃぐレツとルイに呆れるリツ。その様子が可愛すぎて笑ってしまった。
そして、ルイが「湖」という言葉を口にしたことで、迷いの樹海でモモが倒した巨大魚の存在を思い出した。
「そういえば、モモがやっつけた巨大魚、あれどうすんの?食べるの?」
「当たり前だろう。せっかくモモが頑張ったのだぞ。ちゃんと食ってやらねば可哀想だぞ、ヨシヒロ。」
「パッパ!モモちゃん頑張ったよ!食べて!」
「だよねー…?ちょ、ひとまず出してみようか…」
巨大魚…正直言って気持ち悪い。
あんなにデカい魚なんて見たことないし…。カジキマグロならテレビで見たことあるけど、異世界の巨大魚ってさ…。
もう形は忘れたけど、気持ち悪かったことだけは覚えている。
皆が期待していることもあって渋々取り出そうとしたけど、重たすぎてミルに引っ張ってもらった。
ドンッ-
「わぁ!何だよこのデカいの…」
「ふむ…。やはり我は知らんな、この生き物…ピラニアか?」
「あ、確かに似てるかも!こんなのによく食べられなかったな、モモ…」
ミルに取り出してもらったのは全長2~3メートルほどの巨大魚。
その見た目はロウキが言うようにピラニアのようで、歯も鋭く、どう見ても肉食系だろうと想像がついた。
そこで俺はロウキと一緒に鑑定スキルを発動。
「これなら正体が分かるだろう」と思い、巨大魚に向けて「ステータスオープン」と唱えた。
そして現れたステータス画面に書かれていた内容に、俺は少し恐怖を覚えた。
「え…迷いの樹海の巨大魚で、種族名なしって書いてるけど…
それに状態が瀕死って…え?この状態で生きてるの?!
しかも何だよこれ…状態異常に獣化って…
何者かが獣化された状態ってなぁに?!ねぇ!!ロウキ!!」
「やかましい!我も見えておるわ!
これは…まぁ、見たまんまだな。
どこかの種族が何者かの手によって強制的に獣化させられたのだろう。
どれだけ恨みを買っておるのだ、こやつは…」
ステータス画面に記されていた異常な状態。
種族名がないのは、獣人以外の何者かが獣化させられたからなのだろうか。
ロウキは「恨みを買ったのでは」と言っていたけど…。
「恨みでここまでするの?!
も、もしかしたら実験に利用された被害者っていう可能性もあるよね?」
「まぁ…無いとは言い切れぬが…ひとまずヒールをかけて湖に放り込んでおかねば死ぬぞ?」
「あああっ!本当だ!!"ハイ・ヒール"!!」
訳の分からない状態に頭がパニックになっていた俺。
するとロウキが冷静に指示を出し、慌ててヒールをかけて、ミルと一緒に湖へ運んだ。
ひとまず泳いでいるから大丈夫だよな?!
もしかしたら、モモが湖に入った時、食べようとしたんじゃなくて助けを求めていたのかもしれない。
…そうだとしても、あんな姿じゃ分からないよなぁ。
というか、やっと迷いの樹海が解決したのに、もう新しい案件?
え?今ホッとしたばかりなんですけど。
なんて思っている後ろで、ロウキたちは巨大魚がいったい誰なのか予想を始めた。
どんな魔法なのか、誰がやったのか、楽しそうに話していて、明らかに関わる気満々。いつものことだけど。
ということは、まずは情報集めですかね。はい。
でも、さすがに今日はメンタルが結構きている。
巨大魚の正体については、また明日から調べてみよう。
そう思いながら、楽しそうに捜査を続ける沢山の魔物探偵たちを見つめていた―…。
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-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
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