前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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ローズの街

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 ギャボボボボ…………ギャロロロロ…………

 ローズの街中に入り、取り敢えず今晩泊まる宿屋を探そうとしているが、土地勘が無く街中を彷徨っていた。

「ガッ……さっきここ通ったよ…」

「ザザッ…………パチッ……マジかよ。さっぱり解らんなぁ……」
(なんでジロジロ見てくんだ?)

 「ザッ……てかさ、街の人の凄く視線を感じるんですけどぉ……」

「ザザッ……それな……俺も感じでる。何でだ?爆音だからか?」

 マサキとティナはとても重要な事を知らなかったからである。実はギルドから借りたヘビーモアSとは、前世で言う所のスーパーカー並の価値のある乗り物であり、例えるなら「ランボルギーニディアブロ」並のお値段と性能である。そんな事を知らない為、何故自分らが観られて居るのか解らなかった。
 ここで疑問が生まれるのが、何故そんな高級なモアをいとも簡単に無期限貸出したのかと言うと、所謂ギルドと町の名誉の為である。
 若しかすると、スキル第一人者が自分の町から出るかも知れないのに、貧相なモアを貸してギルド本部に送り出したとなれば、ギルドと町の印象が悪くなってしまう為、ギルド所有の一番の高級モアを貸したのである。
 そんな事をハナから言っても萎縮するだろうと、クロスビーが考え、マサキに敢えて高級とは言わずに「最速」の部分だけを教えたのであった。
 マサキはそんな事とは露知らず、限界を超えるような乗り方でこの街まで来てしまった。

「シー……ティナ、モニターにローズの地図出して拡大表示できないか?」

「ザザッ……ちょっとやってみる。」
(ティナのRIO(レーダー迎撃士官)っぷりもサマになって来たなぁ…)

 その間も、道行く人に振り向かれ視線を集めていた。
(なんなんだつーの……アイドリングが高いんだから仕方ないじゃん…)

「ザッ……マサキコレで良い?」とティナは俺に見えやすいように身体を横にズラした。

「パチッ……ちょっと一回止まって調べよう。」

「ザッ……了解。」

 ローズの街は石造りやレンガの建物が多く、五階建て程の建物も見受けられた。そして何より人が多い。この土地の住民も多いのだろうが、大きな街の為、商人や観光客等も沢山居た。
(何となくスペインのマドリードっぽい雰囲気だなぁ……)

 マサキはモニター画面の現在位置を確認して宿を探すが、中々見付からない。

「ザッ……ティナ、もういっその事、役所に行って教えて貰った方が早いかもなぁ……」
(この視線にもう耐えられそうにもない俺氏……)

「ザザッ……あ~……まぁそうかも。もしそうするんだったら最初にクロスビーさんが入力してくれた経路図があるからすぐ分かるよ!」

「ザッ……了解、じゃそうするか。」

「ザザッ……あ、ちょっと待って!何か一番上のモニターの項目が点滅してる。」

「ザザッ……なに?ちょっと見せて!」

《 magic core  temp caution 》と点滅している。

 長時間、低速で走り続けた上に、アイドリング状態で停止していた為、魔石の放熱温度が高くなり過ぎてオーバーヒート寸前の警告灯であった。

 「ザザッ……不味い…少し走らせないとオーバーヒートして止まっちまうわ!急いで役所に向かおう。」

「ザッ……了解!ここでは普通に道に沿って行くよ!」

「パチッ……了解。」
(このモア思った以上にデリケートなんだなぁ……)


 グァボボォォ……ォォォ……ォォォォ……ォォォォォォォォォォォォ~ン
 
 軽く加速したのだが、建物同士の反響もあって、爆音が辺りの空気を震わせた。そして大注目を浴びる事になった。

(ひとまず注目されてんのは置いといて、役所に行ってモアを冷却したい……)

 道幅はモアが問題無くすれ違いが出来る幅がある。前回借りたギガントモアではかなり厳しい感じがする。歩道は無く路肩に露店が所狭しと立ち並び、自分らが住んでる街とは桁違いの活気に満ち溢れていた。

「ザザッ……マサキ、ここを真っ直ぐ行くと大通りに当たるから、そこを左に、そして突き当たりが役所だよ!」

「ザッ……了解。」
(もう少しだから持ってくれ……)
 魔石の温度変化を気にしながら慎重にモアを進めて、何とか役所迄辿り着いた。

(温度、レッドゾーンギリギリだったな……)

 アフターアイドルをして魔力を停止し、ここでも視線が痛い。

 ローズの役所と言うかギルドは、流石本部という事もあって、とても立派で総石造りの巨大な建物だった。
(デカいな……一階の天井がギガントモア位の高さあるぞ!)

「と、取り敢えず中入って、観光案内かどこかに行けば教えてくれるだろう。」
(目的の所を見付けれるのかな……超広そうだし……)

 入り口は透明なガラス?の様な素材で出来ており、見た目まんまガラスだ。
 入って直ぐ左手に案内のカウンターがあったので、そこで観光案内、若しくは手軽な宿を教えて貰うことにした。

「いらっしゃいませ!本日はどの様なご要件でございますか?」
(おおっ!公務員なのにこの露出度!はち切れんばかりの夢の双丘ががが!)

 ティナはそんな様子を見て、黙って思いっきりマサキの足を踏んだ。(冷笑)

「げしっ!」

「いっ!」
(こやつ、踵で踏みおった!)

「はぁ?ご要件は……一体………」
 (受け付けのオネーサンの頭にクエスチョンマークが見える。)

「え、ええと、宿を探してるのですが、若しくは観光案内とかの場所を聞きたくて……」
 マサキは目のやり場に困りながらも質問をする。

 オネーサンはニコっと笑い「畏まりました。ご宿泊先のご案内と言う事で承りました。えっと、お二人様、本日のご宿泊でよろしかったでしょうか?」

「ハイ。」
(なんか、アレだよな……一緒に住んでるんだけど、第三者にわざわざご宿泊とか言われると照れ臭くなってくる……)

「ご予算の方は如何程になさいますか?」

 財布の紐は俺が預かって無いので、反射的にティナに顔を向ける。(俺はタダのヒモだしね)

「あ、じゃぁ~、一人一万二千円から一万五千円の間で朝食付きのが有ればそれで。」
(うわ、めっちゃリアリティ有る値段だわ……正に相場って感じ……)

「畏まりました。ご宿泊先の場所など、ご希望が有れば承りますが。」

「えっと、この近くなら助かります。それとモアがあるので……」
(ギリギリまでのんびりしていたいのだよ!)

「畏まりました。」とキーボードらしき物で条件を入力してモニターを見ている。するとカウンターに置かれていた石版に検索結果が表示された。

 「先程の条件で検索した所、五箇所見付かりました。此方の五箇所の地図をプリントしますね!」
(え?プリントって言ったか?プリント?一体なにに?)


 マサキとティナは役所から出て渡された地図を見ている。
(羊皮紙にプリントて……これタダでくれんのか?流石だなぁギルド本部は……)

「なぁ、あんなに高い所で良かったのか?」

「え?大丈夫だよ、経費で落とすってクロスビーさんが言ってたから。」
(マジかよ……出発前の会話はそう云う事も話してたのか。)

「どこにする?」と地図を覗き込む。

「まぁ、どこも似たり寄ったりだから一番近い所にしよう!」

「解った!」
 
 モアの傍に戻ると遠巻きで見られている。
(このモアそんなに珍しいのか?)

ティナが起動スイッチを入れる。

カチカチカチカチ……チキチキチキ……キー……キキキキ……グァボボォォォォォン……ボボホボ……ボボホボ

(うん。相変わらずの爆音だ……)

 圧倒的な音量で遠くの人の足も止まり、何事かと此方に視線を送る。

 レシーバーを耳に付け二人モアに乗り込む。
(なんか見られてるとやりづれぇ~……)

「ザッ……ティナ、地図入力とかは良いのか?」

「シー……まぁ近くだし大丈夫。」

「ザッ……解った。じゃ案内よろしく。」

「パチッ……了解。」

(この世界、電話が無いのが不便だよなぁ……文明の利器がマジ恋しい……)

ボボホボ……ボボホボォォォ~……ォォォォォォ~……

 手網コントローラを握り、ゆっくりモア進めて行くと物の三分で着いた。
(マジか!こんな近いの?本部見えてんじゃん!(笑)

「ザッ……着いたよ!」とティナが言った。

モアを屋根付きの専用駐車場?駐獣場?に止めて入り口の前に立つ。茶色い外見のホテルだ。
 そしてホテル名はニッチモンドホテルと書いてある……
(ぶふぉっ!デジャブすぐる……)

ロビーに入りフロントで宿泊手続きをする。
(大抵ここで満室だから、とかダブルしか無い、で一揉めあるんだよな。そう云う事も予想して今回はティナに任せた。)

「いらっしゃいませ!本日はご宿泊でしょうか?」
(この時間に宿泊が当たり前だろっ!今から三時間休憩とかフリータイムとかあるのかよ!)

「はい!一泊のツインで。」
(おいおい……普通部屋別けるだろ?一つ部屋になるって所で揉めるんだぞ!人気のある物語は……)

「シングル二部屋じゃ無くて良かったのかよ?(小声)」
 恐る恐る聞くマサキ。

「今更部屋を別けても仕方ないでしょ!ツインの方が安いし(小声)」
(いやぁ~……おぢさん嬉しいよ!こんな美少女と旅が出来て、しかも同じ部屋に泊まれて!頑張っちゃおっかなぁ!)

「ぶっちゃけ、ダブル頼んだら俺引いてた。」
(実はダブルだと寝返りされるとベッドが揺れて寝れないんだよなぁ…)

「バカ!そんな事する訳ないでしょ!バカマサキ!」


こうして1日目の旅が終わった。
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