前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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第112話 魔法練習の果てに

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 「ん~……全く解らん!」
 (いや、解ったからこそ解らん……)

 マサキはそう言うと、練習再開をとっとと諦めて地べたへ座り込んでしまった。

 目を閉じて仰向けに大の字で寝転ぶと「サワサワ」と心地良い風が頬を撫でた。
 (そう云えば……前にもこんな事あったなぁ……何時だったっけ?…………あ~……確か……ティナに初めて会って捜し物を見付けて待ってた時……だったかな?)

 「ほら!そんな所で寝てないで練習続けてよね!誰の為にやってるんだと思ってるのかなぁ?」
 
 思い出に酔っていたマサキであったが、その思い出の人物とは思えない、当の本人が「凄味」を纏って登場したのである。
 (懐かしい……今となっては何もかもが懐かしい……嗚呼懐かしい……)

 「ク、クラタナさん……そ、そんな所で寝ると、か、風邪をひくですよ……」

 ロリ子はいつだって俺のフォローをしてくれる。つか、よくよく考えたら、俺が誰かのフォローをする時って有ったかな?有るのかな?
 
 (あの時……この世界に転生した時に、一ヶ月後には今の様な状態になるとは誰が想像しただろうか?)

「ああ……ごめん、起きて練習するって!」

 そう言って、一応マサキは起き上がったのだが、尻に根が生えたかの様に、一向に立ち上がろうとはしなかった。

 「ホントちゃんとしてよね……」
 ティナはやれやれと言わんばかりに腰に手を当て、マサキに八羽を掛けたのであった。
 
 「うん。解ってるし、付き合って貰って、申し訳無いってのも有るんだけどさ~……こうも成果がかんばしくないとモチベーションダダ下がりなんすよ……」
 と、正直に内心を吐露したのだった。。

 「仕方ないでしょ?マサキが自分でハードル下げないんだもん……」

 「そ、それはそうなんだけどさ……あの時は練習も無しに出来たから、もっと簡単に出来るもんだと……実際には甘かった……甘過ぎたわ。」

 ロリ子ことアリシアはどうでもいいこの二人のやり取りを、黙って聴く役に徹していた。

 「だったら、あの時と今じゃ何が違うの?普通に考えたら、今じゃ知識も増えたんだから発動し易いと思うんだけど……って私の感覚だけどね。」

 「違いねぇ……」

 違いと言えば、正にその知識の有る無しだ。
 それでさっきの疑問が生まれた理由わけなんだが、未だその解は見付かっていない。
 ティナもロリ子もその解を理解してそうなんだが、それを正確に俺に伝える言葉が見付けられ無かった。

 「さっき二人が言おうとした事って何よ?」

 「ク、クラタナさんの、い、意識の問題って事ですか?」

 「そうそう!」

 「な、なので、ク、クラタナさんの意識の問題かと……」
 
 モジモジしながら上目遣いで見詰めてくるロリ子は反則級の可愛さであって、正直「ズルい」と思う。

 「う、うん。そうだよね……って、いやいや。そうじゃなくてさ、意識は解ったから、その意識をどう変えれば良いのかって話だよ。」

 「あ~!なんだがモヤモヤするっ!ここ迄出てるのに!」
 とティナはてのひらを伏せて喉元へやるジェスチャーをしていた。

 (モヤモヤしてるのは俺も同じな訳で……いや、「悶々」と言った方が正確かな?)

 二人が「う~ん」とか「あ~……」とか口にしているのを横目にマサキは潰れたタバコを取りだし火をつけてまたもや吸い始めた。

 「ちょ……マサキぃ~!休憩多いわよ!てかさっきからずっと休憩しっぱなしなんですけどぉ~!」

 「だって糸口見つからんのだもん……」
 ぷはぁ~っと、両腕を後ろへやり上半身を支えながら、雲ひとつない真っ青な大空を仰ぎながら大きく煙を吐いた。
 白い煙がすうっと音も立てずに青空に溶け込んで行く。
 ボーッとそんな光景を視野に入れてハタと気付いた。
 「前世で最期に空を見たのは何時だろう……いつも下を向いてた気がする。アスファルトで舗装された地面、会社のリノリウムの地面、仕事中の手元……思い出せるのは下を向いている時の事ばかり……」

 そんな事を考えていた所へ挙動不審気味なロリ子が、人差し指でマサキを指しながら、突如目を見開いて口を開いたのである。
 「ク、クラタナさん!そ、それですよ!」

 「え?どれです……よ?」

 余りにも唐突な事に、マサキとティナはポカーンとなりつつロリ子の方へ視線を向けた。

 「そのFIREです!」

 「いや、だからそれはさっきも……」
  
 アリシアは珍しく人の言葉を遮り
「い、いや、だから、その無意識のFIREです!」 と話を続けたのだった。
 
 「そうそう!だから同じなんだってば!」

 「ですね!ですね!」

 (あれ?さっきも同じ事無かったか?デジャブ?まさかこの短時間が延々とループして繰り返されていて、この既視感の原因は実は「記憶の残心」とか無いよな……ち、因みに今何回目だ?長〇!てか、もし此処にアリスが居たら言えた台詞だな(笑)忘れそうだが、アリスはツルペタ美少女寡黙系キャラな位置付けだからなぁ……)

  等と、本当にどうでもいい事を脊髄反射的に考えてしまったマサキであったが、それとは裏腹に、ティナとロリ子は、別段コントをしたい訳でも無く、それはそれは超~真面目にマサキの事を考えてくれて居たのであった。

 「私が言いたいのは、そのFIREも魔石ファンネル?とかも同じだって言ってるの!」

 「いやいやいや……全然違うだろ!」
 (良かった……ループして無い!)

 「そ、そう云う事では無くですね、そ、その、表面的に見える効果とか、は、発動式とかじゃなくてですね、い、意識の問題ですよ。む、無意識でって言う……」

 「無意識で?!」

 「それそれ!前にも言ったでしょ?マサキは「何となく」で、それなりに他人じゃ出来無い様な事が出来ちゃって……え~っと……その「何となく」が大事なんじゃないのか?って……んで、マサキの意志とは無関係だから自分の中で折り合いが付かないんじゃないの?……みたいな事って。」

  「あ!あ~……。言ってた言ってた。」
 因みにイマジナリーの魔法の事は、例の件も有る為にロリ子にも言ってない。
 
 確かについ先日……一週間か、その位前、丁度新型モアを見せてもらった時に言われた気が……
  殆どの事がそうなんだが、いつも「何とな~く……」でお茶を濁したり、その場をしのいだりしてたので、ある意味俺の常套句になってたのかもしれない。
 自称「省エネ主義」な俺だが、一々いちいち考えながら確固たる裏付けがあって「省エネ」行動などをするよしもなく、実際「何とな~く。」で事なきを得ていたのだが、今回は今まで「何とな~く」やっていた事の【正確】を知ってしまった事……いや、垣間見た事による弊害なのかもしれない。
 自分自身でも、今の魔法に対する知識が完璧とは言い難いのは理解していた。

 ぶらぶらと、ウインドウショッピングをして、この店は何屋なのだと解った気になってるだけに過ぎないのだ。

 良くも悪くも「勘違い野郎」である。
 
 だが、全部が全部これに当てはまる訳では無い。
 上辺だけを見ているにも関わらず、直感でピンポイントに欲しい品物を売っている店を見付け出す事も出来ている。
 それが、タバコに火をつけるFIREであった。
 「火を出す式」「その火から身を守る防御式」「二つの魔法を同時に発動する式」と前にロリ子から言われたので、以前、敢えてそれに意識して魔法発動をした事があったのだ。
 その時は理屈や内容は全く解らず「式の存在」だけを知ってたのでFIREの魔法発動出来なくなる事は無かった。
 
 FIREを発動させる瞬間、現実に見ている光景に重なる様に方程式の様な魔法式が二つ浮かんだと同時に高速で消えて行き、新たなる式が出現したかと思えばそれも高速で消えて指先から炎が出現したのであった。
 殆ど一瞬の出来事なので、その方程式の様な物に何が表示していたとかは全く理解出来なかった。いや、しっかり見れたにしろ理解は出来なかったと思う。ただその時は「本当に式ってあるんだなぁ……」程度の感想しか浮かんで来なかったのである。
 
 「い、今なら……い、今でこそ……ぎ、逆に魔法の内容を理解わかったので上手く魔法発動出来ないのかと思ったのですよ。」

 「まぁ、多分それは当たりだよな。その通りだわ。でもFIREは理屈を理解?した上で使えるのは何でだ?それは理解と言えるのかな?」

 「そ、それはですね、む、無意識の部分の方が多いんじゃないのかと……あ、後、り、理解してるのに出来ないって言うのは、ま、まだ何かしら理解が及んで無い部分が有ると思うんですよ。」

 「まぁ、完璧に「魔法」について理解したかと言われれば、自分自身でも「殆どして無い」が正しいだろうからなぁ……現に理解出来ても、それが確立された裏付けになってFIRE発動している訳では無いからなぁ。」

 そう、シャーロットとの勉強で魔法についてある程度理解した上で問題無く使えている。

 「い、今、も、問題……というか、鍵になって居るのが、そ、その「何となく」と云う無意識ってのと、「無意識に理解している」所が重要なんだと思うんですよ。」

 新しい言葉が出てきた。
 「無意識に理解している事」
 なんだそれは?無意識に理解って?この世のことわりとか大層なもんでは無いよな?もっと小さく考えて「常識」とか「当たり前」とか言う事なのかな?
 ハハッ……(自嘲)いつの間にか俺もこの世界に順応してたって事か?
 いや、違う。この世界に順応ってのは。順応は最初からしていた。違和感が無いからでこそ、何回もそれが違和感と感じたじゃないか。
 
 そんな事を思いながらマサキはFIREの魔法を指先から発動してみた。
 当たり前の様に炎が出現して、その瞬間には魔法式が出現した。
 俺にとっちゃ、魔法式とかマジどうでもいい事であって、タバコを吸う為に「火」を出す事が目的なのだ。
 逆に、わざわざ火を出すための魔法式を、敢えて考えて魔法でタバコに火をつけて吸おうとは思わない。
 それこそ、自称省エネ主義を言ってる俺に取っては「非効率」だからだ。そんな事をする位なら普通にマッチで火をつけた方が早い。
 誰もがタバコを吸う時に、ライターを手に取る動作、フリントホイールを回す動作、火をタバコに近付ける動作、等を考えて行動する事はまず無い。
 タバコに限らず行動原理とはそういう物だ。

 「あれ?」と。

 それこそが「無意識に理解」してる事じゃ無いのか? と。

 「あ~……ロリ子の言いたい事理解したかも……」

 が、どうだ?行動原理、所謂、結論を導く「動機」の過程として、無意識にFIREの魔法を発動させていたのは解ったのだが、だからと言って魔石ファンネルやファイヤーブレードを意のまま操れる様になったという訳では無いのだ。
 
 「た、多分ですが、ク、クラタナさんの魔法は、て、点と点で繋がってるのです。」

 「点と点なぁ……正確にでは無いにしろ、言わんとする所は理解出来る。何だろ?魔法を道具として行動原理の一部に組み込んでるにも関わらず、道具の原理を理解出来てない?みたいな感じ?かな。」

 「ん~……。ち、ちょっと違う様な……お、恐らくですけど、道具の原理は、シ、シャーロットさんとの勉強会で、ク、クラタナさんも理解出来てると思うんですよ。も、問題はそこでは無く、使い方と言うか……マニュアルと言うか……で、でも、それが重要な訳では無いと思うです。」

 此処で言ってる「道具 」とは勿論魔法の事だ。
 「魔法の原理」は理解出来てる?俺、出来てるのか?自分自身出来てるとは思えんのだけど……道具の使い方かぁ…………ん~……解る様で解らん……

 「た、例えば、み、水をコップで飲むのに、そ、そのコップが何で出来ているか?とか何処の水だ、とか、も、もっと細かく言うと、水は何から出来ているのか?とかは関係ないじゃ無いですか?」

 「うん。」

 「ク、クラタナさんの、「水を飲みたい動機」には全く関係ない情報なのですよ。」

 「うん。まぁ、それはそうだよな。」

 「で、でも、水を飲みたいのに飲めない状況……と言うか、飲めない場合……違う……。飲みたい水が目の前に有って、それを飲む、という結果は解っているのに、その手段が見付からない場合はどうしますか?」

 「そりゃぁ……その時の状況にも拠るけど、じかに飲んだり、コップを持って来るなりするけど。」

 「そ、それが「手段」ですよね?で、でもそこで「コップを作って飲もう」とはならないのです。」

 「そらそーだわ。」

 「でも、コップでしか水は飲めないと、仮に「制限」が着いた場合、その場にコップが無ければ、何処かから持って来るなり、作るなりの方法が必要となる訳ですよ。」

 「うん。」

 「そ、それで、ですね、持って来る方法や、コップを作る方法の知識が必要なんですが、ぐ、具体的な事は置いといて、その知識等を置き換えるとそれが所謂「魔法」なんですよ。」

 「あ~………。言いたい事は何となく解る。方法論て事になるのかな?」

 「そ、そして、ですね、わ、私の言いたかった事は、目の前に水があって、コップでしか飲めない制限のある中で、水を飲みたいのに飲めない状況で、尚且つ飲む手段も解って居るのに、意識的にコップを手配するのに手間取ってる……ん~と、コップを使うのは大前提として理解しているんだけどコップの使い方が解らない状況、ってのが今の、ク、クラタナさんの状況なのでは……と。」

 「あ~………………まぁ。でもその解決法はどうすれば良いの?」

 「そ、それなんですが、コップの手配の手段……と言うか方法ですよね、ここで云うコップの使い方?を理解して実行するしか無いと思うのですよ。」

 「まぁ、そうだろうけど、一体どうやってその手段や方法を理解すれば良いの?」
 
 「そ、それは……ですね……」

 「だから、同じなんだってば!」

  このはさっきからコレばっか(笑)何回目だよ……

 「FIREにしろ魔法ファンネルにしろ同じなんだってば。マサキにしてみれば、FIREでタバコに火をつけるのも、魔法ファンネルでフレアランスを出すのも行動原理の動機あっての事じゃない?」

 「いやまぁ……そうなんだが。」

 「初級とか上級関係ないってさっきは言ったけど、ん~……アリシアさんの説明で言えば、今のマサキは制限が付き過ぎてる中で、方法を理解するのに手間取ってるって感じなのかな?いや、方法は理解していても上手く出来ない?みたいな感じ。」

 「それって今のそのままじゃん!(笑)」
 (結局元に戻った……)

 シャーロットとかだったら、どう説明するんだろう?とふと考えてみたのだが、そもそも魔法を教えて貰うのに何故アリシアに振る必要があったのかと。
 ついでに魔法も一緒に教えてくれればいいのに……と感じた所で違和感を覚えたのだった。
 よくよく考えたら、シャーロットの講義内容と、今ロリ子に教わってる事って全然違うよな?意識とか動機とかの言葉どころか、行動原理なんぞの言葉の欠片一つも出て来なかったし……何か引っ掛かるんだよな……

 「楽曲」って魔法を発動させるの為に「モア」と云う楽器を使って「魔石」ってエフェクターやアンプを使って発動するってのは気付いたんだが…………

「ん~……」

 え~?何だ?楽曲を楽器で演奏……エフェクターとアンプだろ?他に何か必要な物って有るか?

 暫く考えて、頭に最初に思い浮かんだ事は「曲覚えなきゃ」である。
 先ず、演奏するには楽曲を覚えないと行けない。
 要は「魔法覚えなきゃ」であるのだが……
 と、そこまで考えてある事について閃いたのだった。

「あ、有ったわ!」

 そもそもの話、曲を覚える前に、その楽器を弾ける技術が無いと仮に曲を覚えた所で楽曲は成り立たない。
 「この曲りたい!」という場合、ず自分が弾けるか、原曲キーで歌えるかの問題が浮上して来る。
 自分は運良く「モア」と云う仮定の楽器媒体が、たまたま得意だったからだけであって、「モア」と云う楽器媒体を使わないヴォーカルパートだとしたらどうだろう?
 要は今の自分の状態である。
 楽器を持たずに「楽曲」と云う魔法を「演奏、若しくは唄う」で発動させる。

 正に「灯台もと暗し」だわ。て事はシャーロットはハード面の勉強であった訳で、今はソフト面って事になるのか。
 って言うか「演奏方法のレクチャー」と言った方が正確なのだろうか?ヴォーカルに例えるなら「発声練習」や「歌う事」だろうからなぁ……

 「あ~……二人の言わんとしてる事理解出来たわ。かと言って出来るようになったのかと言われれば出来ないんだけどね(笑)」

 「た、多分ですけど、な、慣れとかも有るとは思いますが、ま、魔法の理屈と言うか構成と言うか……そ、その辺りを理解出来ればサクサク事が進むと思うですよ。」

 「まぁ、うん。多分そうだよな。」

 「べ、便宜上、ま、魔法式と言いましたが、要はコマンドなんですよ。解ります?コマンドって。」

 「正確にコマンドを理解してるとは言い難いけど、何となく解るよ。」
 (コマンドって上上下下左右左右BAって奴だろ?俺のコマンド理解力ってその程度(笑)

 「ま、魔法式ってのはコマンドと仮定するとですね、AのコマンドとBのコマンドが有るとします。」

 「うん。」
 
 「え、AもBも、そ、それぞれ一つのコマンドとして成り立ってると仮定してですよ。」

 「うん。」

 「そ、それで、Zと云う魔法発動には、え、AコマンドとBコマンドを同時に発動させないといけないです。それにはコマンドCが必要になって来るとします。」

 「うん。」

 「そ、それらが魔法式なんですが、ん~……な、なんて言えばいいのかな?魔法はそれらが紐付けされてるんですよ。」

 「紐付け?」

 「は、はい。」

 「魔法Zを発動する為には、A、BコマンドをベースにCコマンドでリンクする?みたいな?」

 「い、いえ、魔法Zを発動させるには、え、A、BコマンドにCコマンドを割り込ませるんです。そ、それで三つのコマンドと魔法をリンクさせるんですよ。」

 「解る様で解らん……」

 「む、むぅ……どう説明してよいのやら……と、時に、ク、クラタナさん、ハイパーテキストって意味解りますか?」

 「え?」
 (今ハイパーテキストって言ったか?ハイパーテキストってアレだろ?ホームページとかのハイパーテキストマークアップランゲージだよな?)

 「え、HTMLです。聞いた事有りませんか?」
 とロリ子は少しオドオドした口調で話始めたのだった。

 「えっ?あっ?有るっちゃァ有るけど、何か、とても久しぶりに聞いた気がする……」

 それはそうだ。この世界でWWW(ワールドワイドウェブ)が存在するともHTMLが存在するとも聞いたことが無い。
 マサキは反射的に視線をティナに向け様子を伺ったのだが、表情をニュートラルに固定したままであった。
 (ティナよ……何故そこで我関せずを貫く!)

 「で、ですよね……わ、私も、か、かなり久しぶりHTMLとか口にしましたよ……ま、まぁ……こ、この際なのでバラしちゃいますが……」

 「う、うん。」
 表現方法として、頭部アップでコメカミから汗が流れ落ちるシーンなのだが、実際にはそんな事は一切なく、マサキは固唾を呑んだだけに留まった。

 「わ、私も異世界から来ました!い、いえ、恐らくはク、クラタナさんと同じ世界から来ましたと言った方が良いのかも……です。」


    
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